従業員がソーシャルメディアを利用することで発生するリスクにどう対処するか。今、この問題に悩みながら、その対応策としてソーシャルメディアポリシー/ガイドラインを策定し周知しようとしている企業は多いと思います。

私も、過去従業員のソーシャルメディア利用に対するリスクマネジメントの考え方についてこんな記事を書いたり、雑誌に取材記事を掲載していただいたりしました。でも、なんだか釈然としなかったのです。ポリシー/ガイドラインを定めて従業員を縛っても、根本的な問題の解決にならない気がするのはなぜなのだろうか?

この本を読んで、その疑問が解けました。

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

ザッポス伝説 - DIAMOND, Inc.

ザッポスほど一貫して言動の一致した企業を私は思い浮かべることができません。
透明性が求められる時代、ツイッターが会社の成功か失墜の一員となる時代に、世間にあなたの会社のDNAをさらすこと以上に説得力を持つことがあるでしょうか
企業が好むと好まざるとにかかわらず、企業の透明性がますます高まっています。満たされない顧客もしくは不満を抱く社員は、企業についての不愉快な体験をブログに書き、その話はメールやツイッターといったツールによって燎原の火のように広がります。
ありがたいのは、逆もまた真なりということです。ある企業で素晴らしい体験をした話もたちどころに何百万人もの人に読まれるのです。

トニー・シェイ率いるザッポスは、靴のネット通販と電話を中心とした徹底的なカスタマーサービスで業績を伸ばしてきたベンチャー企業。彼らは、顔の見えないネット・電話で商売しているからこそ、顧客と社会に対する透明性の確保を徹底しています。だから、ザッポスにはソーシャルメディアに特化したポリシーはなく、ガイドラインとして「常識の範囲で行動する」「自分らしく行動する」が与えられているだけで、トニー・シェイ含め社員のツイートは自由奔放です。

リアルに店舗をもたない彼らにとっては、ネットユーザーが顧客であり、そしてソーシャルメディアこそが商売を行う社会そのもの。そこで交わされるコミュニケーションにポリシー/ガイドラインという名のフィルターをかける行為は、顧客や社会に対し、従業員という存在の透明性をぼかしてしまうことに他ならないからです。

確かに、透明性を低くすれば会社の悪い評判は発生しにくくなるでしょう。しかし、「臭いものには蓋をしろ」的発想で行われるコミュニケーションでは、「本音で向きあってくれてないな」と顧客に感づかれるのは時間の問題。そのようなスタンスで顧客と接している限り、会社にとっての良い評判も生まれないはず。

多少のいざこざが起ころうともあえてポリシー/ガイドラインを定めず、ソーシャルメディアの中で従業員を顧客と自然体で接することを認めている会社こそ、信頼できる会社と評価すべきなのかもしれませんね。