@at1117先生のGoogle+での投稿で、経産省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」が今年の6月末に改訂されていたことを知りました。不覚です。

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂について(経済産業省)
s-jyunsoku

改訂されたのは以下。
・項目の並び順(目次)の修正
・ウェブサイトの利用規約の有効性に関する論点の修正
・未成年者による意思表示に関する論点の修正
・CGM サービス提供事業者の責任に関する論点の修正
・電子商取引の返品に関する論点の追加・修正
・インターネット上の著作物の利用、掲示に関する論点の修正
・国境を越えた商標権行使に関する論点の追加・修正
・法改正、新たな裁判例への対応、その他軽微な修正

この中でもっとも注目すべきは、web上での利用規約の同意の取り方について述べた「ウェブサイトの利用規約の有効性に関する論点」が修正されている点でしょう。

平成22年バージョンでは
インターネット取引はまだ新しい取引形態であり、現時点でウェブサイトに掲載されたサイト利用規約に従って取引を行う商慣行が成立しているとは断定できない。(中略)よって、サイト利用規約への同意クリックなど利用者からのサイト利用規約への同意の意思表示が確認されない限り取引が実施されない仕組みが構築されていない場合には、サイト利用規約に法的効力が認められない可能性が残る。特に、単に同意クリックなどの仕組みがないだけでなく、サイト利用規約へのリンクボタンがサイト内の目立たない場所に小さく表示されているに過ぎないなど、利用者がサイト利用規約の存在に気がつかないであろう場合には、原則として法的効力は認められないと考えられる。

とあったのが、平成23年バージョンではなんと
インターネットを利用した電子商取引は今日では広く普及しており、ウェブサイトにサイト利用規約を掲載し、これに基づき取引の申込みを行わせる取引の仕組みは、少なくともインターネット利用者の間では相当程度認識が広まっていると考えられる。従って、取引の申込みにあたりサイト利用規約への同意クリックが要求されている場合は勿論、例えば取引の申込み画面(例えば、購入ボタンが表示される画面)にわかりやすくサイト利用規約へのリンクを設置するなど、当該取引がサイト利用規約に従い行われることを明示し且つサイト利用規約を容易にアクセスできるように開示している場合には、必ずしもサイト利用規約への同意クリックを要求する仕組みまでなくても、購入ボタンのクリック等により取引の申込みが行われることをもって、サイト利用規約の条件に従って取引を行う意思を認めることができる

見事なまでの180度方向転換です。いや、時代の流れを積極的に反映しようという姿勢はすばらしいと思うのですが、さすがに今回ばかりはいさぎよすぎますぜ経産省・・・。私は以前の準則に忠実であろうと頑張ってたクチですので、なんだか裏切られた気すらします。


さて、この準則の改定については、ちょうど今月発売のBusiness Law Journal No.46で、田辺総合法律事務所の橋本裕幸弁護士が解説をされていらっしゃいます。

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橋本先生はこの記事中「少なくとも筆者の過去の経験からいって、購入手続きの途中で利用規約の画面が表示されたため、面倒になって購入を断念した、というようなケースは記憶にないし、周囲の人間(法律家以外を含む)からも、そのような話を聞いたためしはない」とおっしゃっていますが、webマーケティングの世界では、「利用規約を確認しました」チェックボックスにチェックを入れさせるというそのアクションだけでサイト離脱率が数%上がってしまうことは実証されてまして、私自身もそういうリアルな数字を見せつけられて反論に苦慮した経験があります。経産省の今回の準則改定は、こういった離脱率と日々戦うwebマーケティング担当者にとっては、朗報といえるでしょう。

一方で、プライバシー保護のためのオプトインの手続きに関する総務省のスタンスはまったく逆の厳しいものだったり(こちらの過去エントリ参照)するというこの省庁間の温度差はどっちの方向で調整されていくのか、気になるところではあります。