前回のエントリで、「そろそろ電子マネーが現金を凌駕する潮目がくるような気がする」なんて書いていたら、Gumroadなんて目からウロコのシンプルな決済ソリューションがブームになり驚いている私です。こちらについてはもう少し研究を深めてから書くといたしまして・・・。


電子マネーと資金決済法を理解するためのオススメ書籍その2がこちら。

支払決済法―手形小切手から電子マネーまで支払決済法―手形小切手から電子マネーまで
著者:小塚 荘一郎
販売元:商事法務
(2010-09)
販売元:Amazon.co.jp



というか、この本の良さは、現金以外の様々な支払い手段、すなわち
・電子マネー
・デビットカード
・銀行振込
・小切手
・為替手形
・約束手形
・電子記録債権
・クレジットカード
これらに関わる法規制のすべてを一通り網羅し、本題の電子マネーに関わるリスクや法律上の差異を厳密に解説してくれるところにあります。

特に、その差異をいちいち取引関係図を描いた上で説明してくれているところが気に入っています。例えば、電子マネーとクレジットカード決済を比較するとき、法律的に難しいことを抜きにしても、この2枚の絵を見比べただけで、それぞれの決済手段が持つ特徴とその特徴ゆえに生まれるリスクが伝わってくるというもの。

s-IMG_7787s-IMG_7788


図解だけでなく、本文もとてもわかりやすい。法律書的なカタさがあるのは否定出来ないものの、読者の思考の順を追って説明しようという著者の配慮が感じられる文章です。

本書は、手形法を含めた支払手段法について、法文・契約(約款)と判例法とに基づいて、その法ルールの具体的な内容を記述した上で、「なぜ」そのような法ルールが採用されているのかを機能的に説明しようとするアプローチを採用している。
さまざまな支払手段法を横断する統一性は、このような機能的アプローチの副産物でもある。手形や小切手も支払手段の一つである以上、支払手段として期待される役割やさまざまなリスクの発現の仕方には、共通する部分がある。
まず最初に、最も単純なメカニズムを持つ(プリペイド型)電子マネーから説明を始める(第2章)。
続いて、支払いの相手方への銀行口座へと資金を移動させる、銀行振込について説明する(第3章)。
第3章で取り上げた銀行振込を、銀行振込を、紙(証券)を使って行うのが、小切手である(第4章)。
国際的な資金の移動については、小切手ではなく、為替手形が使われることが多いので、続く第5章で為替手形について説明する。
ここまで取り上げた支払手段は、どれも支払いという資金の移動をもっぱらの目的とする支払い手段であった(略)。これに対し、第6章以下で登場する約束手形・電子記録債権・クレジットカードは、単に支払いを行うだけでなく、支払いを一定期間猶予するという信用機能をも有している。信用機能があるということは、貸し手からすれば、貸し倒れのリスク(信用リスク)が発生するというわけであるから、それに対する何らかの対処を契約や法ルールによって行う必要が出てくることになる。

これははしがきの一節なのですが、ここだけを読んでも、何故大学の法学部ではこういう教え方をしてくれなかったんだろうかと小一時間…。

電子マネーの法律どころか、恥ずかしながら古くからある小切手のなんたるかを法的に語る能力すらもちあわせていなかった私にとっては、この「銀行振込を、紙(証券)を使って行うのが、小切手である」のワンフレーズに出会えただけでも、¥2,300払った価値があったと思いましたよ正直なトコロ。

恐れ入りました、な一冊です。