webによって、誰もがデジタルコンテンツを世に発表できる時代になってだいぶ月日が経ちました。そして、こんな個人ブログでも、広告収入・アフィリエイト収入が得られるのが普通になっています。しかし、これまでは、あくまでも無料コンテンツによって集まったアテンションを広告収入に変えて回収するというモデルがほとんどでした。

それが今、スマートフォン・iPad・Kindleの普及によって、電子書籍・デジタルコンテンツとしてストレートに有料課金するモデルへと変貌してきています。日常はサラリーマンをしているアマチュアライターに有料メルマガの原稿を依頼したり、アマチュアエンジニアにスマホゲームの作成を委託して制作費を支払うような企業も増えていることでしょう。こうして、有料デジタルコンテンツをプロデュースする事業者と、そういう人からの依頼を受けて新たに書き手・クリエイターとなる人は激増していくことと思われます(どれだけ売れるかどうかは別として・・・)。

その際に問題になるであろう法律上の問題が、源泉所得税の徴収です。税の確実・効率的な徴収を行うために、書き手に報酬を支払う立場の事業者に徴収を義務付けているこの税金。電子書籍を始めとする有料デジタルコンテンツの普及によって乱立するであろう“新興デジタルコンテンツ出版社”と“アマチュアクリエイター”が、これまでの無料+広告モデルでは馴染みのない源泉所得税の徴収をめぐって混乱することが、それして課税当局の監視の目も厳しくなっていくことが予想されます。

そんな混乱に巻き込まれる前に、有料デジタルコンテンツをプロデュースする事業者側としての税務を理解しておきたいところ。

Q&A メディア、エンターテイメントビジネスの税務―わかりやすい報酬・料金、非居住者等所得の源泉所得税Q&A メディア、エンターテイメントビジネスの税務―わかりやすい報酬・料金、非居住者等所得の源泉所得税
著者:久川 秀則
販売元:大蔵財務協会
(2008-11)
販売元:Amazon.co.jp



税務の本は数あれど、源泉所得税について絞って述べている本自体がレア。なおかつ、この本では、
・広告代理店
・ゲーム業界
・新聞・出版
・アート・イベント
・芸能プロダクション
・音楽業界
・映画業界
・実演・パフォーマンス
・テレビ・ラジオ
・スポーツビジネス
と、業界ごとに実際に起こりそうなQ&Aを分けてまとめてくれています。デジタルコンテンツというキーワードにこれらの既存業界軸を掛け合わせることにより、源泉徴収という言葉が最近自分の業界でもニオうなあとご心配の方にも、役立つこと請け合いです。

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私はこの本を読むまで、恥ずかしながら、源泉所得税というものが居住者/非居住者の別にこれほどまでにピンポイントで指定されているものであることや、最もポピュラーな原稿料について1回に払われる額が100万円以上になると税率が10%→20%に跳ね上がることなどすら、よく理解していませんでした。

法務部があるような立派な会社ですと、印紙税の貼付判断を経理がするか法務がするかで押し付け合いが起こったりするのが日常茶飯時です。税金については知ったこっちゃないという態度をとっている法務部門も少なくないと聞きますが、やはり契約のあり方によって課税判断が変わる以上、契約文書を司る法務が無関心でいるというのは無責任に過ぎないかと思っています。