一昨年ぐらい前から、日本企業によるアジア新興国への投資・現地法人設立が盛んとなり、それにともなって大手渉外法律事務所が主要都市に支所を設けたり、そこで蓄積されたノウハウが書籍化されるようになりました。

私が今年買ったものだけでも以下3冊。










加えて直近では、曽我法律事務所からも「◯◯国法務ハンドブック」がシリーズとして刊行されたところ。

ベトナム法務ハンドブック
粟津卓郎
中央経済社
2013-09-19



これだけアジア新興国法制本がブームになってくると、どれを買っていいのか迷うところ。私もいったいどれをお勧めするべきか、一長一短ある各書籍のプロコン比較表を作成しかけていたのですが・・・昨日経営法友会からこんな冊子が届きまして、早速目を通してみたところ、「なんだ経営法友会入ってればこれだけでいいじゃん」という結論になりました。

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弁護士が組織する日本IPBAの会と企業法務パーソンによる経営法友会が共同で「新興国法制研究会」を立ち上げ、国別に10人前後のワーキンググループを作り、並行して経営法友会の会員向けウェブサイトで寄せられた質問を集めながら研究成果をまとめたのがこの冊子『新興国法制ガイドブック』。

第1部 外資規制を中心とした法制度の概要
第2部 事例(架空のものを含む)をベースにしたポイント解説
第3部 現地駐在員による苦労話アンケート
すべての国について、この3部構成でまとめられています。特にコンテンツの中心を占める第2部については、
1 進出(外資規制/設立/会社運営/株式/撤退)
2 人事労務(労使協議/スト権/賃金カット/解雇)
3 事業(資金調達/取引・契約/債権保全・回収/コンプライアンス)
4 個別法(知財/競争法/PL/税務)
5 司法制度(紛争解決/仲裁)
と、多少の異同はあるものの、ほぼこの切り口で各国統一的に整理されています。国と国を横串にさして比較して読むときなどに便利です。

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何より、「法務パーソンが読むことを前提に法務パーソンが書いた調査報告書」スタイルなので、文字量・情報量・レベルがいずれも丁度よいわけです。市販の本となると、経営者など必ずしも法務ではない人も想定読者に入ってくるために、書き方が冗長になって読みづらかったりしますしね。

今後もこの新興国法制研究会は活動を続け、本ガイドブックの追補版も出していくとのこと。法務パーソンのギルドたる経営法友会として、貴重なノウハウを共有いただけることを引き続き期待しています。