昨年9月に発足し、パーソナルデータ・プライバシー保護法制の今後を占う組織として注目を浴びた「パーソナルデータに関する検討会」は、12月にその役割をいったん終え、これを踏まえて政府の制度見直し方針が発表されました。2015年の法改正に向けての動向は、企業法務に携わる方はもちろんのこと、ITビジネスを企画・運営する一般のビジネスパーソンにとっても、重要なテーマとなっています。


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nettv.gov-online.go.jp - 山本大臣閣議後記者会見(平成25年12月24日)より


毎日のように新聞・雑誌等でも取り上げられ、論文や専門書も多数刊行されているところですが、今回は、インターネット上で読むことができる文書・資料・記事の中で、抑えておきたい必読リンク集を作ってみました。

なお、タイトルの冒頭についているカッコ書きのナンバーはご紹介の便宜上振っているもので、それ以上の意味はありません。


(1) パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/dec131220-1.pdf

高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部長である安倍晋三総理により決議された、日本の国家としての公式な方針がこれです。間違いなく、現時点での最重要文書。まずはこれを抑えましょう。

(2) 第5回パーソナルデータに関する検討会 議事要旨

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai5/gijiyousi.pdf

上記(1)の制度見直し方針がどのような議論のもとで作られたのか、その過程やニュアンスを掴むには、戦略本部の下部組織である検討会の議事を読み込むのがおすすめです。プライバシー法にあまり詳しくない方にとっては専門的な単語も飛び交っていてとっつきにくいかもしれませんが、逆に現時点でここで語られている内容・論点・キーワードについてキャッチアップしておかないと、今後の議論にもついていけないでしょう。これまでこのテーマをフォローしていなかった方は、この議論を読みこなし理解できるようになることを一つの目標・メルクマールとするとよいかと思います。

(3) 技術検討ワーキンググループ 報告書

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai5/siryou2-1.pdf

パーソナルデータに関する検討会の下部組織WGがまとめた成果物。(2)でもそのエッセンスが説明されていますが、非常に充実した価値あるレポートですので、一読をお勧めします。
・「万能な“匿名化”手法は存在しない」ことを証明したこと
・「特定」と「識別」の概念を分かりやすく整理したこと
この2つは、同検討会の最大の成果であると同時に、2013年の日本のプライバシー法制議論の最大のトピックと言っても過言ではないと私は思います。

(4) 合理的な匿名化措置は可能なのか 「パーソナルデータに関する検討会」で議論されたこと

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20131213/524722/

パーソナルデータに関する検討会および技術検討WGの報告書のポイントを、日経の大豆生田記者が簡潔にまとめてくださっている良記事です。まだこの議論についていけない・・・という初心者の方にもわかりやすい記事です。

(5) 個人識別性の再考と法改正に向けた提案

http://www.horibemasao.org/horibe9_Takagi.pdf

(2)のパーソナルデータに関する検討会による検討結果を受けての、産業技術総合研究所主席研究員 高木浩光氏による提言。「特定」と「識別」の定義分けにもとづいて、実際、それをどう条文に反映すべきかを、主に「個人識別性」と「容易照合性」の観点から提言しています。この2つは、2014〜2015年にかけてパーソナルデータ・プライバシー保護法制を具体化していく上での重要なキーワードになるはずです。

(6) 国際的な変革期にあるプライバシー・個人情報保護法制の現況

http://www.horibemasao.org/horibe9_Sinpo.pdf

世界の中という視点で日本が抱えているプライバシー保護法制の課題を、新保先生が整理してくださっている資料。よく話題に挙げられるEU・米国との比較だけでなく、APEC プライバシーフレームワークやプライバシーコミッショナー会議における視点も含め、国外移転に関する問題点の整理をしてくださっているところが大変参考になります。

(7) 個人情報の保護レベルを世界水準に合わせよう

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130827/500450/?ST=security&P=1

2013年夏に起きたJR東日本のSuica事件を振り返りながら、米国から無理矢理輸入したいびつなプライバシー権概念に立法的に決着をつけ、医療などの産業に遅れを生じさせないようにしなければならない、と熱く語る鈴木正朝先生。(6)の新保先生の資料とあわせてよめば、越境問題をクリアにするということの重要性が理解できると思います。

(8) 平成25年版情報通信白書 ビッグデータ活用とパーソナルデータ

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/pdf/n3100000.pdf

総務省が、(6)(7)のような視点も含めて豊富な図表で現況を整理したもの。特に資料P272以降の日本・米国・英国・フランス・韓国及びシンガポールの利用者を対象としたアンケート調査データは、一般ユーザーがどのような不安と期待を抱えているかを読み取る資料として、参考になります。



※取りこぼしなどがあれば、2014年中は適宜こちらのエントリに追加していきたいと思います。皆様からもコメント欄等でご指摘・おすすめをいただけますと助かります。
※なお、スマートフォンプライバシーの問題については、こちらとは分けて後日別途リンク集をアップする予定です。