iOSのデベロッパー規約を解説する連載の第12回。今日は、11. Apple Independent Development. Apple社による独自開発の条項になります。短い条文ながらも、結構重要な条件が定められています。


RADA11


Nothing in this Agreement will impair Apple’s right to develop, acquire, license, market, promote or distribute products, software or technologies that perform the same or similar functions as, or otherwise compete with, any other products, software or technologies that you may develop, produce, market, or distribute.

デベロッパーが制作するアプリと同様の、もしくは競合となる製品をApple社が開発し販売することを妨げるものではない、としています。


In the absence of a separate written agreement to the contrary, Apple will be free to use any information, suggestions or recommendations you provide to Apple pursuant to this Agreement for any purpose, subject to any applicable patents or copyrights.

別途の書面を締結しなかったとしても、Apple社はデベロッパーがこの契約に関連してApple社に提供したあらゆる情報について、特許権や著作権があればそれに従って自由に利用することができるとしています。


前段については、プラットフォーマーの立場としては入れておくべき規定ですね。売上規模が大きくなればなるほど、デベロッパーとしてはプラットフォーマーからの収入に依存するようになりますし、かといってプラットフォーマーがいちいちその売上を奪わないように気を遣っていたら、キリがありません。一方で、後段はsubject to any applicable patents or copyrightsという前提条件がついてはいるもののbe free to useと、無償ライセンスの自動付与とも読める構成になっていて、これはApple社にとってかなり有利な条件といえます。

実際にプラットフォーマーがデベロッパーの発明や成果を盗むようなことがあれば、法的に争う余地はあるはずですが、このように書かれるとちょっと疑心暗鬼になってしまうのが人情というものでして…。
 

2014.2.5追記:

「日々、リーガルプラクティス」のCeongsuさんより、これは第三者には開示せず自社内であればNDAの目的外でも営業秘密を利用していいとするResidual Clauseとして注意を要するのではないか、とのコメントを頂きました。やっぱりそうでしたか。

Residual Clauseのリスクについて、Ceongsuさんが最近のエントリで研究の成果をまとめてくださっていますので、ぜひご参照ください。
 
"Residuals" with NDA〜前編
"Residuals" with NDA〜中編 (追記あり)
"Residuals" with NDA〜後編