インハウスとして働く知人の先生から、こちらの電子書籍をご恵贈いただきました。ありがとうございます。

若手法曹のインハウス就職/転職一問一答 オファー獲得の地図をその手に(DL Market)

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拝読してまず思ったのは、企業法務に職をもとめる若手法曹よりむしろ、先に人材エージェント・ヘッドハンターと呼ばれる方に、自分たちの法曹に対する人材サービスのあり方を見直すために読んでもらいたい、ということでした。

この本は、人材エージェント・ヘッドハンター(特に大手の)がいかに弁護士(業)を理解しないままマッチングしようとしているかを、具体的な事例で証明した上で、ユーザーとしてそのような人材エージェントらとどう付き合って希望の職を勝ち取るべきか、というアプローチで書かれています。そのソリューションとしておすすめされている手法は、さすが弁護士の方が書いただけあって訴訟の準備書面のごとく極めてロジカルで、主張を裏付ける証拠としての事実も必ず添えられています。さらに、ここでは種明かしは避けますが、「インハウス目指して転職活動するなら絶対に利用すべきサービス」までもが、具体的名称とともに記載されています。それらはすべて、かつて人材サービス会社におり、また今はインハウスを採用する側の立場である私から見ても、「まったくもってその通りです。恐れ入りました。」と言わざるをえない的確なものばかりです。

ちなみに、法曹ではない私も、直近の転職はここでおすすめされているあるサービスと手法で決まっていますので、無資格の企業法務パーソンにも十分応用可能なノウハウ集であると言えます。

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事実、私の場合は、(残念ながら)某大手人材紹介会社に費やした時間が最も非効率的で実りの少ない時間でした。別の Q&A で記載したかもしれませんが、

・法科大学院制度の概要
・司法修習の期間
・日本の有名大手法律事務所
・強制加入団体である弁護士会

などの基礎的事項すら知らない方も多々いらっしゃいます(これは非常に多くの業界を担当されていることからやむを得ないことで非難しているわけではありません。)

指摘されているとおり、法曹人口が拡大している一方でインハウスとして採用される事例がなかなか増えない理由には、求人の起こりにくさもさることながら、人材サービス従事者の弁護士(業)に対する理解のなさもあるのかもしれないと、私も薄々思っていました。「薄々」というのは、私自身がかつて某人材会社にいたインサイダーであるため、批判的なことを申し上げにくい立場だったからなのですが。これを読んで、今さらながら身につまされています。