レクシスネクシスのI様よりご恵贈いただきました。いつもありがとうございます。『企業法務のセオリー』といい『クレーム対応の「超」基本エッセンス』といい、相変わらずいい仕事されてます。

6月20日の今日発売です。


アジア国際商事仲裁の実務 International Commercial Arbitration in ASIA
栗田 哲郎 (著, 編集), 吉田 武史 (著), 舘野 智洋 (著), 大森 裕一郎 (著)
レクシスネクシス・ジャパン
2014-06-20



まず800ページ弱という厚さにびっくり。子供の頃何度も読んだ藤子不二雄『まんが道』愛蔵版を彷彿とさせる手触り感です。先日ご紹介した『よくわかる国際商事仲裁』と比較するとこれだけの差!

s-IMG_3484

そして厚さだけ見ると辞書的な・味気のない本を想像されるかもしれませんが、そうなっていないところが編集のワザ。モデル事例でまず流れをイメージ → 体系的な概説 → 各国制度比較 → さらにリアルなモデル事例で紙上疑似体験しながらポイントを復習 → 資料編にリファレンス機能を集約、というボリューミィなクラブハウスサンドイッチ構造となっており、1)とっつきやすさと2)理解のしやすさと3)詳細な情報量の三位一体が実現された、見事な構成となっています。特に、モデル事例を一ヶ所にまとめるのでなくバンズの如く途中途中に織り込んだのが、この本を理解しやすいものにした一工夫だと思います。

s-IMG_3478

また、「筆者ら意見」「筆者らによる調査」等の責任限定表記が付いてはいるものの、条文・判例では必ずしも明らかでない事象に対する経験に基づいた見立てが積極的に表明されています。読者の「そこが知りたい」という欲求に応えて、相当踏み込んで持つ限りのノウハウを開示されようという姿勢で書かれていることが伝わってきます。

編著者がシンガポールの Rajah & Tann LLPにいらしたことで有名な(現在はベーカー&マッケンジー法律事務所在籍)栗田哲生先生でいらっしゃるので、シンガポールオンリーかと思いきや、タイトルのとおりきちんと韓国/中国/香港/台湾/インドネシア/タイ/フィリピン/ベトナム/マレーシア/インドそして日本の制度が網羅されてました。もちろん、それら各国の仲裁法や仲裁機関の特徴を一覧・比較できる表も文中・巻末にばっちりついています。このボリュームから推察するに、シンガポールにいらっしゃるころから自分のノウハウを書き溜めていらっしゃった、ということなのかもしれません。これだけのノウハウを開示してしまっていいんですかと驚きますが、経験を伴わなければマネはできない、という自信がおありなのでしょう。

s-IMG_3481
s-IMG_3483


厚さだけでなくその内容・編集方針も良い意味で『よくわかる国際商事仲裁』とはまったく異なる本書。特に海外案件に携わることのある専門家としては、手元に置いておきたくなる本ではないでしょうか。
 

2015.9.18追記

本書専用ウェブサイトとして便利なリンク集がありました。

▼アジア国際商事仲裁の実務 専用ウェブサイト
http://lexisnexis.co.jp/ICAA/