IPマネジメントレビュー Vol.14 に掲載されている、骨董通り法律事務所 For the Artsの福井健策先生と中川隆太郎先生による、「UGCと著作権 ― 進化するコンテンツの生態系」を拝読。


IPマネジメントレビュー14号
知的財産教育協会
 
2014-09-15



インターネットを介した口コミの力が、企業のマーケティング施策上も無視できなくなっている中で、UGC(User-Generated Contents)に法的にどう対処すべきかという問題は、私が携わる実務の中でも日に日に大きくなっているところです。そんな現状を、『アナ雪』や『Perfume Global Site Project』といった最近の事例も交えながら概観できる良記事です。


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中でも、さすが福井・中川両先生は今の“雰囲気”を正確に切り取っていらっしゃると思ったのが、P06ー07の以下の一節。

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とはいえ、これらの工夫により著作権処理が上手く行えない場合ももちろんあります。そうした場合を含めて、実は多くのケースでは、いわゆる「グレーゾーン」、「暗黙の領域」の中でUGCが制作・共有されています。つまり、(i)規模や態様(販売場所や期間を含みます)、(ii)表現内容などの点で、「権利者にあまり迷惑をかけない」「目立ちすぎて怒られない」よう配慮をした上で、個別の許諾を得ずに利用されています。これらの利用は、形式的には違法である可能性が高いものも多いですが、基本的にはファン活動です。そのため、権利者による黙認(黙示のライセンス)にまでは至らなくとも、権利者への経済的影響も大きくない場合などには、あえて放置していると思われるケースも少なくありません。


クリエイティブ・コモンズ・ライセンスや初音ミクが採用するピアプロ・キャラクター・ライセンスのように、パブリックライセンスとして積極的に開放を打ち出していくという方向性もあるにはあります。しかし、企業としてそういったスタンスを取りたくても、コンテンツ上の性格により取れないものがあります。中でも、Youtubeやニコ動におけるUGC動画の問題は、古いようでいてこれからますますホットになっていくところではないかと思っています。

具体的事例としては、本記事でも紹介されているゲーム実況動画の事例が特にわかりやすいかもしれません。動画は映像(影像)と音声の大きく二つの要素からなるわけですが、ユーザーにYoutubeやニコ動で動画を拡散して欲しくても、BGMにまつわる音楽著作権や、中で演じて下さっている有名声優さんの声や歌に関する実演家権の処理上、おいそれとパブリックライセンスに踏み切れない場合は少なくありません。その割に、ゲーム実況動画の類はかなりの量アップロードされ特に削除もされていないわけですが、これは先生方も記事で触れられているように、あくまで「暗黙の領域」であって、「黙示のライセンス」ではないのです。従って、真面目なファンやユーザーさんから利用許諾を求められてしまうと、企業としては「許諾はしていませんので・・・」と回答せざるを得ず、まさに正直者がバカを見る、といった状態になっています。
 
個人的には、このような実況動画モノに関する「暗黙の領域」問題については、映像部分については、画面面積シェアの3分の1程度を上回らないようにして著作権法32条の引用要件を充足していただきつつ、BGM等音声部分については、新設された著作権法第30条の2の付随対象著作物の範囲で処理していることにできないものか、と思っていますが、どんなもんでしょうか。このあたり、先生方ともお会いできる機会を見つけて、ぜひ意見交換させていただきたいところです。