昨日のTwitterのTLの一部でちょっと盛り上がってたネタの一つが、自社の契約ひな形について、現場向けのユーザーズマニュアル(解説書)を作るのはどうか?というもの。ネタ振りは@overbody_bizlaw先生。




実は、そんな奥様にぴったりな、まさに現場向けのユーザーズガイド(解説書)のような本が出版されてるんですよー。





契約実務と法』の河村寛治先生を筆頭とする元伊藤忠法務部のお三方が著者、そしてこのタイトルということで、てっきり法務部員向けのマニュアルかと思って購入したところ、そうではなく、なんと現場営業担当者向けのユーザーズガイドでした。はしがきより。

 本書では、あらためて、契約書はなぜ必要なのか、契約書は何の役に立つのかなどを含め、契約書が作成されるまでの流れに沿って、どうしたら契約から発生するリスクを回避できるかなどについて、企業の営業の現場で活躍する方々に対して、すこしでも参考にしていただくために、かつて同じ企業の法務部で契約実務を経験した同僚三名が、その際の経験を踏まえてまとめたものです。
 したがって、本書は、企業法務の担当者が最初に読みつつ、企業内の各部署での研修用教材として利用していただくことも意識したものとなっています。

たしかに帯にもそのような宣伝文句が。法務部員が契約実務を現場に共有(してラクを)するためのマニュアル、という趣旨のタイトルのつもりのようです。しかし、タイトル冒頭に「法務部員のための」とつけてしまったことで、ベクトルが現場に向いた本だということが伝わらないんじゃないかなあ、とは思いました。

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中身はどんな塩梅かといえば、河村先生の『契約実務と法』の内容を、法務1〜2年目の若手でも十分理解し使えるような言葉にかみ砕いた上で、法的論点やビジネス常識として抑えておきたいリーガルタームも妥協すること無くきっちりとした解説・条文つきで教えてくれる、欲張りな本となっています。

この感じ、このレベル感、何かに似てるなあ、見たことあるなあと記憶を辿って思い出したのは、むかし◯友商事から出向でいらっしゃって仕事を色々教えていただいた先輩社員(営業の方)に見せてもらった、社内法務研修のテキストでした。商社って、大体入社して2年目ぐらいまでに、営業担当者自身が契約書をチェックでき会社を回すのに必要なひと通りの法務知識をきっちり叩き込まれるんですよね。著者ご出身の伊藤忠さんでも、そういう研修資料が存在しているものと推察します。


冒頭ご紹介した柴田先生コメントの「ユーザーズガイド」ちっくなところをかいつまんでご紹介すると、たとえば売買契約の各条項の意味を条文併記で解説しているこのあたりとか、

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営業担当者向けに瑕疵担保責任・危険負担・損害賠償・期限の利益喪失・特定物・代理店(Agent)・著作権の譲渡・不可抗力等のリーガルタームを説明しているこのあたりなどを見ていただくと、実際のレベル感を掴んでいただけるのではないでしょうか。(ただし、民法改正の動向までコラムで触れているのは、おそらく出版後の本書の寿命延命を考えてのことかと推察しましたが、ちょっと欲張り過ぎな気もしました。)

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もちろん、法務の方が自社のひな形をベースに社内向けユーザーズガイドを作るのが一番親切だとは思うのですが、それにかける費用対効果や、情報管理(心ない現場担当者が、趣旨や重要性を理解せずに、自社内限りのユーザーズガイドの解説をコピペして契約交渉相手に送りつけてしまうことがある)を考えると、この本を人数分購入して配ったほうがいいかもしれません。


契約書の読み方だけにとどまらず、
・契約書はなぜ必要か、なんの役に立つのか
・契約が結ばれるまでの流れ
・調印後の管理
・契約が成立してからのトラブル
・トラブル対応と解決方法
・与信管理と債権保全
・契約解除・終了
といった事前/事後のハウツーや対応についても漏れ無くひと通り記載されているので、これを1冊ずつ現場担当者に配っておけば、3〜5つぐらいは研修コンテンツが企画・実施できそうな感じしますね。