田辺総合法律事務所のY先生、そしてレクシスネクシスのO様より1冊ずつご恵贈頂きました。自宅用と会社用それぞれ大切に使わせていただこうと思います。





First Aid Kitとは「救急箱」のこと。トラブル・事件が発生してから(お医者様にあたる)弁護士に相談に行くまでの間に、企業法務パーソンがなすべきファーストアクションの部分“だけ”を、計81のCASEをもとに解説するという、非常にチャレンジングなコンセプトで作られた本。

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失礼ながら、コンセプト倒れになってるんじゃないかという懸念を抱きながら読み始めたのですが、その予想は良い意味でハズれました。この本で想定されているCASEが、自分自身が法務として実際に初動対応にあたった経験があるものだったり、知人の所属企業がそれに遭遇して「人ごととは思えない」「自分が彼・彼女の会社の法務だったらどう対応しただろうか」と考えたことがあった、現実味のあるCASEにきっちりフォーカスしているからでしょう。

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一貫して「生兵法は怪我の元。できるだけ早く専門の弁護士に相談すべきである」という結論をぶらしていないのもすごい。こうまで徹底的に書かれると、なんだか「企業内の法務部門なんて初動対応するのがせいぜい」と言われてしまっているような気もしないでもないのですが(苦笑)、自分のここ数年の考えとしても、やはり大きな案件では躊躇せずにその道の一線級のプロに最初から相談するのが正解と思うことが多いので、特に異論を申し上げることもございません。


法務部門が設置されているような規模の企業であれば、買って本棚においておけば、ボヤも含めて1年に1〜2回ぐらいはこれを紐解いて初動対応を確認する機会に遭遇する、つまりこの本が役立つことはあると思いますが、それだけでなく、法務パーソンが法律分野ごとの自分の「法務経験値」を測ったり振り返ったりするのにも使えるんじゃないかと思いました。この本の目次でCASEを読みながら、実際に自分が法務として対応を経験したことのあるトラブル・事件が何%あるかをチェックしてみるのです。恥ずかしながら、私の経験値も【 】で書き出してみると・・・、

 第1章 企業不祥事・刑事事件対応【2/7】
 第2章 M&A、株主対応、コーポレートガバナンス【7/17】
 第3章 知的財産権【7/11】
 第4章 労働法【10/17】
 第5章 独禁法【2/5】
 第6章 債権管理・債務整理【7/8】
 第7〜12章 IT法、不動産、環境法、渉外案件、反社会的勢力、その他【6/16】
 
私でもざっくり半分ぐらいは遭遇してきたということなので、おそらく、上場企業で企業法務を20年ぐらい務められていれば、80%近くは経験されているんじゃないでしょうか。企業不祥事・刑事事件の実対応経験が少ないのは、ハッピーなことではある一方で、自分でも意外だったのが、2章の会社法分野のトラブル・事件の実対応経験が自己認識ほど高くなかったこと。座学は積んでいても、実際の異常事態には遭遇してこなかったんだなー、と。なお、上記で7〜12章をまるっとまとめてカウントしているのは各論だからということもあるのですが、ある章で満点を取ってしまってまして、それをここに書くのが憚られたからです(笑)。
 

さらに応用的な使い方として、法務パーソンの採用面接で口頭試問の問題として使うのもありかもしれませんね。