エンタメ法務の真骨頂ともいえる音楽著作権。私もいちおう元バンドマンの端くれとしてそこそこ分かっているつもりだったのですが、仕事で扱う機会が増えてくると、この領域は本当に難しいなと感じます。

何が難しいのか?その理由を考えてみると、

1)権利者が多い
  作詞家、作曲家、実演家、レコード製作者、放送事業者…
2)権利の種類も多い
  著作(財産)権、著作者人格権、著作隣接権、実演家財産権、実演家人格権…
3)権利者の権利に二次的に関わる関係者がいる
  音楽出版社、レコード会社、プロダクション、プロモーター、広告代理店…
4)さらにそれらの権利者と権利に関わる団体がある
  管理事業者(JASRAC・イーライセンス他)、レコ協、芸団協(CPRA)、音事協…

こんなところにあるんじゃないかと思います。

しかも、これらの登場人物と権利の背景にある歴史的な「しがらみ」が強く、新しくこのビジネスに参加する者にとってはどうしてこんなに複雑になっているのかすらよく分からないという点が、余計に敷居を高くしています。まずそのしがらみを解きほぐすために、この一冊は外せないようです。


音楽著作権管理の法と実務 2015-2016
一般社団法人日本音楽出版社協会(編)



久しぶりに、Amazonどころか一般書店でも買えない本のご紹介となりました。

本書は、法律論にはあまり詳しく触れてくれません。さらに、一章一章の筆者も筆致もまったく独立してしまっており、体系的でもありません。そのためお世辞にも法務パーソンにとっての良書とはいえないのですが、音楽ビジネスにおいて中心を担う音楽出版社とJASRAC、そして権利管理団体らがどのような歴史のもとにそれぞれの役割と業務を担っているのかを、他書よりも詳しく知ることができるという点で、入手しておくべき1冊となります。

音楽著作権の世界においては、最終的には「今のところJASRAC最強!」というのが話のオチです。そのJASRACが行う細かい実務が具体的にイメージできるようになり、そこで出てくる用語に慣れないと、どの本を読んでも頭に入ってきません。そして、音楽著作権にちょっとでも関わったことがあれば必ず目にしているはずの「例の図」=管理委託範囲の選択区分の別表。あれをカラダに染み込ませないことには、お話になりません。

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音楽著作権を理解するには、この本ではないわかりやすくて体系的にまとめられた本を読みつつ、この本も都度ひも解くという、縦糸に横糸を通す作業を業務を経験しながら地道に行っていくしかないようです。

シルバーウィークは、引き続き音楽著作権関係の本を何冊か紹介していきたいと思います。