法務系Advent Calendar2015の5日目を担当させていただきます。

弊ブログではここ数年「法務パーソンのための基本書ブックガイド」を更新してきましたが、そういえば法務部門で購読しておきたい定期購読誌・データベースの定番的なものをまとめたものはあまり見ないなあということで、今回はそれをまとめてみようと思います。


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1 判例秘書インターネット
http://www.hanreihisho.com/hhi/
裁判例の検索はもちろんのこと、「最高裁判所判例解説(調査官解説)」「判例タイムス」「金融法務事情」「労働判例」等の判例解説、さらに有斐閣データベースの「ジュリスト」「法学教室」等の全文記事検索まで検索できるパッケージ。対応しなければならない法律問題に関し、何らかの手がかりを横断的にリサーチするのに大変便利なデータベースで、何をおいてもこれは契約しておきたいところです。


2 判例時報
※ウェブサイト無し
「判タ」の過去解説記事は判例秘書インターネットで読むとして、それとは別に意識的に判例に目を通す習慣を作るために購読。裏表紙の見出しをざっと見ると毎号1〜2件は興味を引く事件があるので、そこだけは読むようにしています。


3 旬刊商事法務&旬刊商事法務データベース
http://www.shojihomu.or.jp/junkan_ad.html
会社法〜金商法分野に関する情報アップデートのためにはやはり読まなければ・・・いけないんですが、私はこの分野はあまり楽しんで読めない人なんで(笑)。役員にも回覧して読んでもらいましょう。予算に余裕があれば「資料版商事法務」も併せて。


4 ビジネスロー・ジャーナル& Lexis AS ONEバックナンバー検索
http://www.businesslaw.jp/subscription/index.html
最新の法務業界のトピックスを取り上げる速さと、日常の契約法務まわりの記事が多めのBLJは、ダントツで日々の業務でのお役立ち度が高い雑誌です。それだけに、LexisのBLJバックナンバー検索は、法律雑誌のデータベースの中では最もアクセス頻度が高くなります。


5 NBL&NBLデータベース
https://www.shojihomu.co.jp/p006
定期購読がmustとまでは申しませんが、BLJで得られるような法律情報をさらに補完・強化する情報源として。一度定期購読をやめて必要な号だけ弁護士会館ブックセンターに買いに行くというスタイルを取ったものの、著名な先生方が特定テーマを掘り下げた連載(最近でいえば白石先生の景表法連載や森先生のパーソナルデータ連載)はタイムリーに読みたかったりして、結局再契約してしまいました。ところで、データベース契約したのに過去記事検索結果のPDFが画面上うまく表示できないのは私のPC環境だけなんでしょうか…?


6 国際商事法務
http://www.ibltokyo.jp/bulletin.html
日頃から浅く広く外国法をアップデートしておくために、日本語ですばやく読める外国法文献として貴重な国際商事法務。あくまで感覚として、英文契約等の外国法律事務が業務量全体の30%を超えるのであれば購読しておきたいという感じ。


7 WESTLAW INTERNATIONAL
http://www.westlawjapan.com/products/westlaw-international/
外国法に関する具体的な問題に接する頻度が相応にある場合、(使いこなせるかどうかは別として)こういった外国法のデータベースも契約したいところ。このWESTLAW INTERNATIONALについてはドコモの法務部長中村さんがかなり具体的な企業法務での活用事例をご紹介くださっており、そちらをお読みになるとイメージが湧くのではないかと思います。


8 コピライト
http://www.cric.or.jp/publication/copyright/
公益社団法人著作権情報センター(CRIC)による著作権に関する先進的な論文が盛りだくさんの会報誌。各号ごとの個別有償販売には応じてくれず、CRICに入会しないと読めないというハードルの高さがネックです。入会していない人がどうしても読みたい号があった場合は、特定の図書館等で拝見することになります。


9 パテント
http://www.jpaa.or.jp/?cat=47
弁理士会の会員向け情報誌。毎号参考になる知財関連記事が満載です。特許ネタが多めではあるものの、最近の号では茶園先生がキャラクターの保護と著作権についての論稿を寄せられていたりと、著作権まわりも参考になります。弁理士の方が会社に在籍しているとこれが読めるのはありがたいです。


10 季刊労働法
http://www.roudou-kk.co.jp/books/quarterly/
この分野は人事労務部門が労務専門誌(労政時報など)を定期購読しているケースが多く、法務部門として細かい労務事情の動向まで追いかける必要はないかと思いますが、それでも定期的に労働法知識をアップデートする目的で、年4回刊行の本誌がちょうどよいかなと思います。


11 経営法友会リポート&経営法友会ライブラリ
https://www.keieihoyukai.jp/
経営法友会に加入すると毎月送付される会報誌。月例会とよばれる研修会のまとめ記事や、「わが社における法務状況」と題する会員各社が自社の法務体制について報告しているページなどは市販の雑誌には出てこない情報で、法務のリアルを知るのに役立ちます。


「必要な法律情報はその都度顧問弁護士に頼んで調べてもらえばいいし」。私もそういう言い訳をしてこうした情報源への定期的なアクセスとアップデートを怠ってきた者の一人です。しかし、会社が成長して様々な法律問題に遭遇するようになると、顧問弁護士のカバー範囲にも限界があり、またそのスピードでは追いつけないシチュエーションも増えてきます。

一人法務の状態から法務部門を作り、ある程度のチームで法務業務を回すフェーズに入ったその次のステップとして、地味ではありますがこういった権威と定評のある定期購読誌やデータベースにかかる予算を会社に認めてもらい、メンバーが必要な情報に素早く・不自由なくアクセスできる職場環境を作れるかも、腕の見せどころになってくるでしょう。