著者のお一人、田中浩之先生からご恵贈いただきました。ありがとうございます。


システム開発訴訟 (【企業訴訟実務問題シリーズ】)
飯田耕一郎・田中浩之著
中央経済社
2017-07-01



森・濱田松本法律事務所におけるIT分野のスペシャリストである飯田耕一郎先生と田中浩之先生による、システム開発訴訟の判例まとめ本。この「企業訴訟実務問題シリーズ」、本書を頂くまでこのシリーズの存在自体に気づいていませんでした(汗)。総論/会社法/証券/消費者契約/労働/税務/独禁法/環境/インターネット/システム開発の分野ごとに1冊ずつ計10冊、そのすべてを森濱の先生で分担して書かれているんですね。その最終巻となるのが本書とのことです。

200ページ足らずの少なめボリュームから想像されるとおり、計48の判例を主な紛争発生ポイントごとに分類したうえで、要点をコンパクトにまとめて紹介しながら、そこに共通するリスクポイントを抽出して解説していくオーソドックスなスタイル。システム開発分野の判例を総ざらいしたいというニーズに焦点をあわせて、無駄な情報を一切排除しているのが特徴的です。

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システム開発の法的リスクに関する実務書として著名なものとして、計96の判例を整理した松島・伊藤著『システム開発紛争ハンドブック』があります。あちらで抽出されている判例との被りぐあいを見てみると、
・松島・伊藤本には掲載されているが飯田・田中本に掲載されていない判例 50件
・飯田・田中本には掲載されているが松島・伊藤本に掲載されていない判例 32件
でした。1年弱の後発であることももちろんあるものの、飯田・田中本は、昭和の地裁判決をあえて切り捨て、平成以降の近時判例の傾向を抑えることに割り切ることで、少ない紙幅に情報を詰め込んでいるなという感じです。

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それにしても、こう見ると公刊物未登載・ウエストローでしか見られない裁判例の多さが目につきます。2014年に開催した第3回法務系ライトニングトークで、サイ太先生に登壇していただいた際にも判例DBそれぞれの特徴を解説いただき、ウエストローは登載件数に強みありとお伺いした記憶がありますが、リサーチをきっちりやろうと思うと判例秘書のみでは厳しいんだな、ということを改めて認識させられます。