米国ハワイ州の複数の議員が、世界のゲーム課金システムの主流となりつつあるガチャ(randomized loot boxes)課金システムをギャンブルに類似するものとして問題視しはじめ、青少年保護を目的とした規制に向けて動きはじめています。

Lawmakers: Those 'pay-to-play' video games are really just gambling for teens(HAWAII NEWS NOW)

Hawaii News Now - KGMB and KHNL

議論の発端となったのは、世界の最大手Electoronic Arts(EA)社がDisneyから版権を得てリリースした「STARWARS BATTLEFRONT2(SWBF2)」。私もPCゲームは好きなので多少やるのですが、同作は、ルーク・スカイウォーカーやダース・ベイダーなどの人気キャラクターを、最初から使わせない「キャラクターアンロック」システムを採用。苦労してアンロック(解放)したキャラクターを強化するガチャ課金へと強く誘導しているのでは、という批判が高まっています。

私たち日本人になじみが深いこれまでのガチャ課金システムは、“課金をして仮想通貨を購入し、ガチャを回せば強い能力をもったアイテム・キャラクターが数%の可能性で手に入るが、課金をしなければ決して手に入らない(あきらめるか、仮想通貨が無償配布される日を待つか)”、というものです。

他方日本以外の国では、こういったガチャ課金システムはユーザーから受け入れられず、明確な法的規制をしているのは韓国・中国等一部の国だけにもかかわらず、導入されているゲームは多くありませんでした。代わりに主流となっていたのが、ガチャアイテムをスキンと呼ばれる着せ替えコスチュームに限定したタイプの課金システムです。近年人気のOverwatchなどは、このタイプに該当します。

これに対し、最近になってEA社が積極的に取り入れ始めていたのが、“長時間プレイすることでリワードポイントを貯めてアイテム・キャラクターを入手するか、それがいやならガチャ課金で運を天に任せるか”という二択を迫る課金システムです。

中でもSWBF2は、人気キャラクターが使えるようになるまでの時間が1キャラクターあたり約40時間、人気の7キャラクターすべてアンロックして使うためにはおよそ300時間、かつそれらキャラクターをアンロックしても、その能力を強化するアイテムを手に入れるためにガチャ課金をしなければならないという、過酷なゲームバランスを採用。Disney社の人気IPゲームとして注目を浴びただけに、ガチャ課金圧が強すぎ、もはやギャンブルではないかという批判が集まってしまいました。あまりに批判が強かったからか、それとも何らかの圧力が働いたのか、最近になってEA社はユーザーに謝罪し、ガチャ課金を休止してアンロック時間も短縮するという対応を始めています。

SWBF2sorry


ここ日本では、消費者庁によって(コンプガチャは違法だが)ガチャ課金というアイテム販売方式そのものは景品表示法上違法ではないと判断され、公式な見解もでています(「インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A」Q16など)。その後も、何度か問題となる事案が発生しながらも、業界団体によるガチャの表示に関する自主規制の努力が続いています。この表示さえ適正であれば、警察も賭博規制をしようという動きは今のところありません。

今回問題が勃発している米国でも、これまではガチャ課金を直接法規制しようという動きは見られず、自主規制団体のEntertainment Software Rating Board (ESRB)も、「ガチャ課金はギャンブルとはみなしていない」というコメントを一部メディアに表明していたところでした。

冒頭リンクの現地テレビ局リポーターによれば、ハワイ州の議員らは、カリフォルニア州やミネソタ州等の議員を巻き込んで規制に向けて議論を進めているとのこと。これが全米に広がっていくのか、ハワイ州にとどまった議論となるのか。しばらく注視が必要と思われます。