本日付でApp Store Reviewガイドラインが改訂され、AppleがついにiOSアプリからのアウトリンク方式による外部課金を認めることとなりました。

これは、2021年9月2日付け公正取引委員会による処分「(令和3年9月2日)アップル・インクに対する独占禁止法違反被疑事件の処理について」を受けてのもの。

現時点ではリーダーApp(雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、ビデオなど、以前に購入したコンテンツを再生するアプリ)のみが対象ですが、これまで、アプリから直接の外部課金ルートへの誘導を絶対に認めなかったAppleが、はじめて一歩譲ったという形になります。

具体的に、レビューガイドラインの変更点を見てみましょう。

変更前:

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変更後:

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ガイドライン変更の最大のポイントは、「3.1.3 その他の購入方法」に記載された、一見しただけでは見逃してしまいそうなこのカッコ書の追加です。

次に挙げるAppでは、App内課金以外の購入方法を利用することができます。ただし、このセクションで挙げるAppでは、App内課金以外の購入方法の利用をApp内でユーザーに促すことは許可されません(3.1.3(a)に該当する場合を除く)

  • 柱書:「App内課金以外の購入方法を利用することができます 」
  • ただし書:「ただし…ユーザーに促すことは許可されません」
  • カッコ書:「(…を除く)」

という、法務パーソンがこんな契約書を作成したら、上司からもお客様からも激怒されそうなほどわかりにくい文章構造になっていますが、今回このカッコ書が加わったことにより、結論として、3.1.3(a)の「リーダーApp」に該当すれば、柱書に書かれた原則どおり、App内課金以外の購入方法を認めるだけでなく、ただし書きが禁止した直接誘導も認める、と解釈できるようになりました。

なお、どのアプリから・どのユーザーが・金額として幾らアウトリンク先(外部)で課金したのかは、デジタルプラットフォームとしてのAppleも管理をする必要があります。そのため、外部決済サイトへのアウトリンクの飛ばし方のルール(外部リンクのアカウントエンタイトルメント)が別途定められています。

要約すると
  1. アプリごとに事前登録し、審査を受ける
  2. アカウントが発行される
  3. 外部決済ルートを紐付けられるよう、Apple指定のExternal Link Account APIをアプリに仕込む
という手続きが必要となるとのこと。

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これが認められたアプリでの具体的なユーザー体験はどのようなものになるのでしょうか。

具体例を想像するに、Kindleアプリから書籍を検索すると、(これまではAppleが禁止していたため存在しなかった)「Amazonで購入」ボタンが表示され、Amazon ウェブサイトでの決済画面にダイレクトに飛んでそのまま購入できるようになるはずです。

ゲームアプリ等のリーダーApp以外への適用拡大や、こうして外部決済を行った場合にAppleが徴収する手数料の取り扱いがどうなっていくのかなど、Appleとアプリ開発者との間に横たわる課題はまだまだ山積みのように見えますが、ようやく、当たり前のことが当たり前にできるようなった、その第一歩という気がします。