企業法務マンサバイバル

ビジネス法務に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きる皆様に貢献するブログ。

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今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年4月第1週

 
改正雇用保険法施行に伴う企業の実務対応 平融労務をめぐる日々雑感)

週20時間以上の有期契約社員で雇用保険未加入のものがいる場合は、4月1日以降改めて再確認の上、上記のとおり6か月以上の雇用継続が見込まれ、かつ有期契約更新の可能性があれば、適用の方向で検討を進める要がありそうです。

1年⇒6ヶ月となると、かなり対象者が増えるはずなんですが、どちらの会社もこの改正に人事の担当者がちゃんと反応できているようには見えないのが心配ですね。


割賦販売法と特定商取引法の政令が出ておりました。(よっちゃんの企業法務あれやこれや)

特定商取引法のほうで気になったのが、訪問販売の例外に関する施行令第8条の第2号です。
重要事項の不実告知とか不告知という問題は、後から問題になるケースが多く、「いったいわない」と水掛け論になる場合も多い。
結局、馴染み客の場合でも、訪問販売扱いにし、クーリングオフなどの権利を認めざるを得なくなるのだろうか。
これは、デパートなど固定客向けの業態に結構大きな影響があるのではなかろうか。

細かい改正のフォローを共有していただいて、ありがたい限りです。

ネット販売全盛で訪問販売という手法にも陰りは出てきているとはいいながら、昔ながらの商売がどんどんやりにくくなってきていますね。


日本の50大法律事務所2009(つれづれなるままに 〜弁護士ぎーちの雑感〜)

日経ビジネスでたまに特集される人気弁護士/法律事務所ランキングよりも、よっぽどこちらのリストの方がリアリティがあります。

少し面白いのは、この50大(52事務所)の60期の弁護士数(404名、現在。なお、昨年調査時点では425名)より、61期の弁護士数(379名)の方が少ない、という事実です。大規模・中堅の法律事務所において、少なくとも短期的には、これ以上ペースでの弁護士雇用の需要が生じない可能性があることを示唆するものではないかと思います(私個人はそれでも良いじゃないかという考え方ですが、雇用をある程度「保障」すべきとの見地からは、それでは合格者を調整せねば、という帰結になると思います)。

一方で、拡大する法曹人口の教育機関としてこういった大手法律事務所が事実上の教育機関となるべきと考えている私としては、この事実は非常に残念。大手事務所が雇わないとなると、健全な法曹人口拡大は難しいと思います。


Background Checks: How Much Is Too Much?(Law.com)

Background checks, when used appropriately, can greatly help with the selection of a fitting candidate. Indeed, it is advisable for all employers to do some due diligence in the hiring process to protect against negligent hiring claims, and some industries are required to investigate prospective employees. Nevertheless, as with all personnel-related activities, there are guidelines and limits to what an employer may do.

今後日本でも当たり前に行われるようになるであろうバックグラウンドチェック/リファレンスチェック。
いわゆる興信所による就職差別的な身元調査に違法性があることは議論の余地はないものの、個人のプライバシー権と企業の採用リスク回避のための採用調査権との間で、その合法性にはグレーゾーンが存在します。

その中でも、特に問題となる
・CRIMINAL HISTORY(犯罪歴)
・FINANCIAL AND CREDIT CHECKS(信用情報)
・CHARACTER(人物)
の調査とそれを採否判断に使うことの法的問題についてまとめられた、大変価値の高い記事。

日本においては、こういった議論が全然追いついておらず未成熟なために、一部すでに実施している企業などでは「本人の同意さえ取ればなんでも調査してOK」という風潮すらあるのが恐ろしいところです。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年3月第4週

 
ソフトバンク:採用基準に携帯契約取れば評価 厚労省が調査(毎日.jp)

学生の営業で新規申し込みや他社からの変更契約に応じた顧客が学生からIDを教わり、契約の事実や名前を会社側に伝える。4月12日までに契約を終え26日までに利用が開始された場合、学生の実績として評価対象になる。会社側はこの実績を判断基準の一つとし、4月下旬以降に行われる特別面接に呼ぶ学生を選考するという。
厚労省には応募した学生から情報が寄せられており、担当者は「内定前からこうした条件を定める例は聞いたことがない。法的に問題があるかどうかも含め事実関係を調査している」と話している。

「聞いたことがない」って・・・ご冗談を、厚労省(笑)。
こういう問題の存在は承知しているものの、手を付け出すときりがないので触らぬ神に祟りなしを決めてるんですよね?

似たような事例でよくあるのが、
「新規事業の企画書を提出してください」
で商売のネタを集めるだけ集めて、実際は採用する気はさらさらないベンチャー企業。

みなさん、雇用に釣られて企業に騙されないように気をつけましょう。


新住基カード(まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記)

4月1日から新住基カードが新しくなるようですね。。。全国共通の偽造防止機能付きのロゴマークが付けられるようですね。今まではそれぞれの自治体が独自のデザインで発行していたこともあって、偽物の住基カードを示されて本物かどうかはわかりにくかったから改善ですね(それぞれ市町村の住基カードのデザインを覚えておく必要がありました)。

私は持っていませんが、うちの嫁は免許証がないので、クラブに行くときは住基カードで入場しており、その瞬間だけ役立ってます。

しかしながら、金融機関の一部では本人確認書類としては通用しません。なんて中途半端な。


新国立劇場合唱団員事件の東京高裁判決−労組法上の労働者性を否定(夜明け前の独り言 水口洋介)

東京高裁判決は、出演基本契約と個別出演契約を総体として見ても、オペラ合唱団員は、オペラ公演という出演契約を締結することで、集団的舞台芸術性(オペラ公演の本質)によって諸制約(時間を決めた練習等への参加や本番公演の役割の子弟)を受けることになるが、これは指揮命令、支配監督関係が成立する余地はないとしたのです。

これでは、オペラ合唱団員については、およそ労働者性を否定することになりかねません。この高裁判決の論理で言えば、オーケストラの楽団員についても、その集団的舞台芸術性によって、練習への参加や担当楽器などが自ずと決まっていることとなり、労組法上の労働者性を否定されることになります。また、プロ野球選手も同様ということになります。

解説は水口先生にお任せしますが、仕事そのものの特性だけで労働者性が否定されているとしたらいかがなものかと。


国際売買に適用されるルールが変わります(法務省HP PDF)

これまで、いずれかの国の国内法が適用されていたのが、この条約が発効することで、国内法に変わってこの条約が適用されることになります。
その結果、どこの国の法律が適用されるかについての不明確さがなくなり、円滑な国際取引が促進されます。

ウィーン売買条約が今年の8月から。

今月発売のBLJでも、法律家と実務家が集まっての対談形式による本条約の解説があります。バーゲニングパワーがあって日本法を準拠法にできる契約なら適用を排除すべきだが、それ以外の場合は本条約を適用しておくのが無難、といったご意見が。パンフ以上の詳しい解説はこちらを。


それにしてもこの法務省の広報パンフ、テキスト選択できない設定でPDFにされてて不便です。日本語もちょっと拙い感じがします。1年目の新人官僚が作ったのでしょうか。


「迷惑掛けない」と頼まれ連帯保証 ローン会社に請求権なし 右京簡裁判決(京都新聞)

知人から「迷惑を掛けない」と頼まれて連帯保証人になった京都市内の男性が、神戸市に本社を置く商工ローン会社から、所在不明の知人の代わりに90万円の支払いを求められた訴訟の判決で、右京簡裁(中島嘉昭裁判官)は、会社が男性に「迷惑を掛けない」と告げたのと同じと判断、消費者契約法に基づき連帯保証契約を取り消し、会社側の請求を棄却していたことが、26日に分かった。

消費者契約法、無敵スグる・・・。

同法は施行されてからまだ歴史がなく、裁判例も少ないので、法的安定性が確立されているとは言い難い状況。一方でこの不景気のあおりを受け、BtoC企業にとっては今後台風の目になりそうな予感を覚えています。

今私が作っている大きめの契約書でも消費者契約法が関わってくることもあり、最近勉強中です。来週時間があれば取り上げてみたいと思います。

あと4点・・・

 
去年の12月に受けたビジ法1級ですが、“あと4点”が届かず・・・。
恥ずかしい結果ではございますが、ここにご報告させていただきます。

成績通知を見ると、自己採点の認識と少しずれていたのが、共通問題の2問目(土地工作物の瑕疵担保責任)の採点結果。論点はきちんと抑えていた認識だっただけに、やや解せない点数に。

覚悟はしていましたが、検定料1万円を払ってあの4時間の試験時間をもう一度となると、精神的にきますねぇ。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年3月第3週

 
今週はニュースとネタが盛りだくさんでちょっと長いですが、お付き合いくださいませ。

不正競争防止法の改正案は「内部告発」を抑圧する(夜明け前の独り言 水口洋介)

解雇事件で、解雇の理由がないことを証明するために、営業報告書や顧客に提出した稟議書などを証拠として提出することもあります。

これらも営業秘密にあたります。これを裁判などに証拠として提出したり、弁護士に相談したさいに提供した場合に、不正競争防止法違反だということになりかねません。

今までなら、「不正競争の目的」とはいえないということになります。ところが、「保有者に損害を与える目的」という要件に変われば、残業代請求も、保有者(使用者)に残業代支払い義務を負わせる=損害を与える目的ということになり、目的要件は充足してしまいます。
労働者は、公益通報をしようとする場合には、一定の情報(営業秘密)を取得(領得)した上で行うのが普通です。
(中略)
つまり、公益通報者も、内部告発によって、事業者(保有者)に損害を与えるという認識はあるため「目的要件」である「加害目的」を充足することになります。
こんな大きな改正について、マスコミも報道していません。こんな改正案が国会に上程されているなんて消費者団体も知らないのでは? 

弊blogでは以前から相次ぐ不正競争防止法の改正について警鐘を鳴らし、3月第1週のこのまとめコーナーでも取り上げさせてもらいましたが、まちがいなく、水口先生の懸念のとおり労働者を萎縮させる結果に繋がると思います。

なぜマスコミがこれに反応していないか?
もう法改正をキャッチアップする理解力がマスコミ自身に無くなっているんだと思います。


退職時に会社のデータを持ち出す人は59%(@IT)

ラスカウスキー氏は、「1000名の米国人を対象に、シマンテックなどが共同で行った最新の調査結果によると、『退職する際に会社の情報を持ち出しましたか?』という質問に対して、59%の社員がYESと答えている。持ち出した内容は、メールアドレスのリストが1番多く65%、非経理情報が45%、顧客情報が39%、社員情報が35%と続く。このように最近の営業職やIT関連職員は“自分が培ってきた情報こそが自分の価値”という認識を持っているものが多い。従って、退職時に社内で貯めてきた情報を持ち出すことを正当化する傾向がある。しかもそれが悪いことだと認識しているケースがほとんどだ。このようにITリスクは非常に増している」と警告し、ITガバナンスの重要性を強調した。

上の不正競争防止法改正のニュースとあわせて読むと頭がくらくらしてきますね。

日本でこの調査をしたら、持出し率は100%に近いんじゃないでしょうか。

例えば、日本の慣習だと、担当者が集めた名刺は自分のものとして当然に持ち出していて、「会社のデータを持ち出している」という自覚すらないと思います。
その自覚のなさもリスク要因のひとつといえます。


いびき軽減クリップの不当表示(景表法)(::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉::::)

3社は、それぞれ前記商品を一般消費者に販売するに当たり、商品の包装容器及びインターネット上のウェブサイトにおいて、あたかも、当該商品を鼻に取り付けることにより、いびきを軽減するかのように示す表示を行っているが、公取委が3社に対し当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、ピップトウキョウ及びピップフジモトは資料を提出せず、キートロンは、期限内に資料を提出したが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。

恥ずかしながら、このクリップ昔持ってました。深酒するとひどくなるもので。

ある日朝起きたら無くなってて、それ以来使ってないんですが・・・食べちゃったのかもしれません(笑)。


もう「監査役の乱」とは言わせない(監査役の勇気ある行動に敬意を表します)(ビジネス法務の部屋)

ひとつはトライアイズ社の常勤監査役の方による解任議案差止請求事例であります。(中略)総会において報告されるべき計算書類、事業報告(および附属明細書)については会社法436条2項による監査報告が必要でありますが、当該常勤監査役の方は単独、連結いずれの計算書類においても監査報告書への署名捺印をされなかったようであります。
そしてもうひとつは、名証セントレックス上場の「やすらぎ社」の監査役の方々であります。元役員と会社との間に不適切な不動産取引があったとして、監査役の方々が会社に対して厳格な調査を行うよう要望書を提出し、その要望書によって昨日(16日)社外調査委員会設置に関するお知らせが出された(外部委員会委員の氏名も公表)のでありますが、今日(17日)になって、急きょ「昨日のリリースは当時の代表取締役が独断で行ったものであって取締役会の承認を得たものではない」として、社外監査役と社外取締役らによって構成された調査委員会が設立されたとするリリースが出されております。
これまで「閑散役」とか「名ばかり監査役」「抜かずの宝刀」など、監査役の職務については揶揄されることが多かったのでありますが、内部統制システムの構築と監査役監査との親和性が明確になり、さらに外部監査人(監査法人)と監査役との連携協調が深められてきたことなどから、徐々にではありますが、本来の監査役としての職責が果たされる企業が増えているのではないかと感じております。

最近の監査役に関する事件を見ていると、監査役が株主のために職責を果たし、本当に機能する機関となるための真の要件が見えてきたような気がします。

それは、監査役の生活を、その会社からの収入に依拠させないということ。

社外監査役の独立性は「過去に当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与もしくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないもの」という条件で担保されていることになっていますが、それだけでは真の独立性は担保できないのでは、と思うのです。

「ここで喧嘩を売って解任されたらオレ食えなくなるな…」という人では、今回のような行動は取りにくくなるわけで。

弁護士や公認会計士資格を持っている方だと、その専門性もさることながら収入の道が本業で確保されていることで、その会社からの収入に依拠しない、真の独立性が確保される安心感が生まれます。

そういった資格保持者でない人に収入の独立性を担保してあげることも必要ではないでしょうか。
たとえば、監査役の任期中の報酬全額を供託しておいて、監査役が解任されても紛争中は契約に基づいてそれを引き落とせる仕組みを作るとか。監査役報酬エスクローみたいなものを金融機関がサービスとして提供するとか。すでにありそうな気もしますが。


残業代未払い マクドナルドが原告と和解(NIKKEI NET)

日本マクドナルドが店長を管理職として扱い、残業代を支払わないのは違法として、埼玉県内の店長、高野広志さん(47)が未払い残業代など計約 1350万円の支払いを求めた訴訟は18日、東京高裁(鈴木健太裁判長)で和解が成立した。原告勝訴の一審判決を事実上受け入れ、同社は高野さんが管理職に該当しないことを認め、約1000万円の和解金を支払う。

権限がないのに管理職という肩書であるため残業代が支払われない「名ばかり管理職」を巡る代表的な訴訟が決着したことで、サービス業を中心とする労務管理の見直しにも影響を与えそうだ。

マクドナルドは、負けたという結果を残さないことを優先したのでしょう。それにしても高野さんのとてもうれしそうな笑顔が印象的。

ところで、来週改めて紹介しますが、この名ばかり管理職問題だけをフォーカスした興味深い本が先月発売されています。

残業手当のいらない管理職―労働基準法が定める管理監督者の範囲



Harvard Law Prof: Big Tax on AIG Bonuses Could Be Constitutional(ABAjournal)

Harvard law professor Laurence Tribe says a high tax on bonuses paid to executives by companies receiving bailout funds could likely be structured in a way to avoid constitutional problems.

アメリカの(正直気持ちの良い)大岡裁き。

法律上大丈夫なの?という心配はもちろんあるわけですが、学者側からのお墨付きは出たようです。


AIGのボーナス(isologue)

日本だと(期の途中で期初に遡って課税する法案が通ったりはしますが)、こういう場合には、「租税法律主義や課税の公平性の観点から、『後出し』で特定の人にだけ課税するのは困難。自主返上を求めたい。」とか言って、横並びで返納するというような動きになるような気がしますが・・・・。

一方で日本でAIGボーナス課税みたいなことをやろうとするとどうかというと、磯崎先生のコメントからムリっぽさが伝わってきます。

日本でも起こりそうですから、今のうちから立法しておいた方がいいんじゃないですか?

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年3月第2週


65歳定年制は年齢差別ではない、とECJ判決(EU労働法政策雑記帳)

要するに、雇用政策、労働市場、職業訓練に関係する合法的な社会政策目的によって正当化されるのなら65歳定年も指令違反じゃないよ、といっているわけなので、実質的には政府側が勝訴と読むのが適切でありましょう。

本当は原文にあたるべきですが、hamachan先生の要約に甘えさせていただいて。

年齢差別を撤廃するには、先に定年制が撤廃されなければならないはずなんですが、ちょっとここ最近の世界の潮流とは逆行するような話に見えますね。


More Workers Cite Age Bias After Layoffs (WALLSTREET JOURNAL)

Figures scheduled for release later this week by the federal Equal Employment Opportunity Commission show that age-discrimination allegations by employees are at a record high, jumping 29% to 24,600 filed in the year ended Sept. 30, up from 19,103 in 2007.

差別に厳しいアメリカにおいても、不景気で真っ先に首を切られるのは高年齢者。しかし年齢差別は立証も難しく、なかなか勝ち目がないという現実もあります。


車両撤去土地明渡等請求事件(裁判所)

動産の購入代金を立替払する者が立替金債務が完済されるまで同債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,所有権を留保した者(以下,「留保所有権者」といい,留保所有権者の有する所有権を「留保所有権」という。)の有する権原が,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期(以下「残債務弁済期」という。)の到来の前後で上記のように異なるときは,留保所有権者は,残債務弁済期が到来するまでは,当該動産が第三者の土地上に存在して第三者の土地所有権の行使を妨害しているとしても,特段の事情がない限り,当該動産の撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,残債務弁済期が経過した後は,留保所有権が担保権の性質を有するからといって上記撤去義務や不法行為責任を免れることはないと解するのが相当である。なぜなら,上記のような留保所有権者が有する留保所有権は,原則として,残債務弁済期が到来するまでは,当該動産の交換価値を把握するにとどまるが,残債務弁済期の経過後は,当該動産を占有し,処分することができる権能を有するものと解されるからである

今週弁護士・法務系ブロガーから最も注目を集めていたニュースがこちら。

債権回収のために設定した担保権(所有権留保)のせいで、オートローン会社が思いもよらず車の管理責任と負担を強いられるということに。

残債務弁済期の経過後に「占有する権能を有している」かどうかは微妙ですね。品川のよっちゃんさんも指摘されていますが、自動車のカギでも預かってないと、金かけてレッカーするしかないですしね。

いずれにしましても、安全のために担保権を設定することがかえってリスクを生むこともある、という視点を勉強させていただきました。


ソフト開発社員3人、名ばかり管理職に認定 東京地裁(NIKKEI NET)

「課長代理」の肩書を管理職とみなして、残業代を支払わないのは不当として、ソフトウエア開発会社、東和システム(東京・千代田)の社員3人が残業代など計約1億700万円の支払いを求めた訴訟の判決が9日、東京地裁であった。村越啓悦裁判官は「統括的な立場になく管理職といえない」として、同社に計約 4500万円の支払いを命じた。
判決によると、3人は1990年以降、同社のシステム開発部門で課長代理(後に課長補佐)の職位に就き、管理職としての手当を受領。残業代は支払われなかった。残業は多いときは200時間を超えることもあったという。

めっちゃわかりやすい、とってもありがちな不払いパターン。

ところで、私は職業柄残業手当不払いの会社を山のように目にしていますが、名ばかり管理職問題は氷山の一角に過ぎないと思っています。これが片付いたとしても、その後には「年俸制」や「定額残業手当制」を口実にした不払いという大きな山が残っているのは、まだあまり指摘されていないのです・・・。


Litigation Activity Accelerating in China(Law.com)

Chinese courts handled 10.71 million cases of various types in 2008, up 11 percent from the year before.
Even greater increases were seen in labor disputes, which jumped 94 percent to 286,221 cases, and disputes involving health care, housing and consumer rights, which were up 45 percent to 576,013 cases.

日本よりも一足お先に、中国が訴訟社会化してきました。

労働訴訟や消費者系訴訟の増加率が異様に高いのは、個人としての権利意識の高まりによるものなのかもしれません。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年3月第1週

 
不正競争防止法の一部を改正する法律案について(経済産業省)

(1)営業秘密侵害罪における現行の目的要件である「不正の競争の目的」を改め、「不正の利益を得る目的」又は「保有者に損害を与える目的」とします。
(2)原則として「使用・開示」行為を処罰の対象としている営業秘密侵害罪の行為態様を改め、営業秘密の管理に係る任務を負う者がその任務に背いて営業秘密を記録した媒体等を横領する行為、無断で複製する行為等について、処罰の対象とします。

どんどん強化されていきますね。不正競争防止法は。

このblogで度々懸念のコメントを出させていただいているとおり、不正利用者(と疑われる従業員)側に対する処罰を厳罰化するだけでなく、営業秘密保護要件も強化して、企業における営業秘密の管理・保護努力を高めさせる施策も同時に導入すべきと思います。

そもそも営業秘密を簡単に入手し得る状況でなければ、営業秘密侵害罪は発生しないわけですから。

 
休憩所管理人の業務実態録音(新潟日報)

新潟市北区の市営施設「ビュー福島潟」が、関連施設の無料休憩所「潟来亭」で数回、利用者らの目に触れない場所に小型録音機を仕掛けていたことが5日、分かった。同館の清水重蔵館長は同施設の管理人の男性(59)の業務実態を把握する目的で設置したことを認め、「行き過ぎだった」と男性に謝罪した。男性は「倫理上、あってはならないことだ」と批判している。

組織のあり方・人の働き方が変化していくにつれ、管理者(人事評価者)が従業員の勤務態度を直接監督できなくなり、なんらかのツール(ビデオ、メールログ、アクセスログetc)によって業務実態を監視しようとする状況が、これからだんだんと増えていくと思われます。

プライバシー権や人権侵害という問題も発生しますが、仕事をする職場内での行動については、そういった権利も一部制約されうるのは当然であり、本当に監督者としての立場で行う無断録画・録音が「あってはならないこと」なのかどうかは、議論が必要かと考えます。

ちなみに、裁判の証拠収集の方法としての無断録画・録音については、「証拠が、著しい反社会的手段により、人の精神的・肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴なう方法で採集されたときは、それ自体違法として証拠能力を否定される。無断録音テープは通常話者の人格権を侵害するから、録音の手段・方法が著しく反社会的か否かで証拠能力の適否を決すべきである(東京高判昭52年7月15日)」とされた事案もあるようですが、特に民事訴訟においては無断であっても証拠力が一律に否定されることはないと考えられています。



お前ら、状況分かっているのか??(つれづれなるままに 〜弁護士ぎーちの雑感〜)

ある会社では、今年1月から、ロースクール出の「弁護士」を雇用したのだそうだが、もう辞表を提出して辞めてしまったそうである。
こういうことの繰り返しが、「ロー出の奴はお高くとまっている」「能力もないクセに一人前のことを言いやがって」等々の評判を生んでいき、自分たちの後輩を苦しめるということを理解していないのだろうか。「質の低下」が叫ばれる中で、法律の能力以外のこういう行動を露呈させてしまっていったら、将来、大変なことになるような気がする。

会社組織で社会人3年目までに最も求められる能力は、“ある種の理不尽さに対する辛抱強さ”だと思います。

ロースクールを出ていても、弁護士資格を持っていても、その能力は容赦なく求められます。「私には専門性があるんだから、そんな辛抱はご免ですよ。」という方は、会社組織では働かない方がいいでしょうね。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年2月第4週

 
デート商法、信販も責任 名高裁判決 既払い金返還命じる(中日新聞)

異性に好意を抱かせて高額商品を契約させるデート商法の被害に遭った三重県の男性(28)が、クレジット契約を結んだ信販会社に対して既に支払った106万円などの返還を求めた訴訟の控訴審判決があり、名古屋高裁は「契約は公序良俗に反し無効」として、会社側に既払い金の返還を命じるとともに原告には未払いのクレジットを拒否できる権利があるとした。
判決理由で、岡光民雄裁判長は「女性販売員との交際が実現するような錯覚を抱かせ、契約する不公正な方法の取引で契約は無効」と認定した。その上で、信販会社が販売業者の不相当な販売行為を知っているのに漫然と契約を行ったとして「販売業者の不法行為を助長し、不法行為責任を負う」と結論づけた。

地味に凄い高裁判決。

信販会社の不法行為責任を認めたのもすごいですが、前段でそもそもの売買契約を公序良俗で無効と認定しているところがもっとすごい。

そのうち、クラブとかホストクラブに対して、本気で付き合えると思わせ通わせて酒を飲ますのは公序良俗違反、とか主張する人が出だしたりして。


有期労働契約の在り方議論スタート 厚労省が初会合(NIKKEI NET)

パートや契約社員、派遣労働者など有期労働者全体のルールづくりを目指す。2010年夏をめどに報告書をまとめ、法改正を含む制度改正に着手する。

2010年って・・・、どちらの未来ですか?


Google とアメリカ作家組合、アメリカ出版協会会員社との和解について(社団法人日本書籍出版協会)

権利者の選択肢:
和解に参加する:
何らの通知も行わなければ自動的に和解参加となる
参加を拒否する:
2009 年5 月5 日までに通知することが必要。参加を拒否することによって、Google や参加図書館への新たな訴訟提起や抗議を行うことはできるが、過去のデジタル化に対する解決金(1 作品あたり60 ドル)を受け取ることはできなくなる。また、参加を拒否したとしても、Google が書籍のスキャンやスニペット表示を行わないという保証はない(Google は当初、「フェアユース」であると主張していた)。
異議申し立てを行う:
2009 年5 月5 日までに、和解条件についてアメリカの裁判所に対して異議を申し立てることは可能。ただし、裁判所に異議を却下された場合は現条件での和解参加となる。
和解に参加した後に表示使用から除外する:
2009 年5 月5 日までに通知を行わず、和解に参加するが、その後、絶版・市販中止の書籍を表示使用から除外することを求める。
和解に参加した後、特定の書籍を削除する:
2009 年5 月5 日までに通知を行わず、和解に参加するが、2011 年4 月5 日までに特定の書籍をGoogle のデータベースから(ほぼ)完全に削除することを求める。

今回のclass actionによってGoogleに認められる権利と著作権者がとりうる選択肢が、最も分かりやすく整理されている文書だと思います。


Court karate chops Seyfarth Shaw over Billy Blanks malpractice suit(Above the Law)

In 1999, he filed a $10 million suit against his agent, because his agent wasn't licensed to be an agent. And he hired Seyfarth Shaw to represent him. The case did not go well, and Blanks kick-boxed a malpractice suit Seyfarth's way.

日本人がなぜかみんな大好きなビリー隊長。
本国では仕事をミスした自分の弁護士とも戦っていらっしゃいます(笑)。


「到底承服することができません」と断言するJASRACには自浄作用がないのか?(GIGAZINE)

このような稚拙な反論を行い、自分たちの利益しか考えず、社会参加を無視して、己のエゴに満ちた主張だけをなおも繰り返すようであれば、JASRACに未来はないでしょう。

はい。自浄作用も未来も、どちらも無いと思います。

2/14に取り上げた際にも述べました
が、JASRACがこの処分に対応するためには、全曲報告という当たり前のコストを民放メディアが負担する必要があり、それをしないで済ませようとしてきた民放メディアの怠慢がJASRACをのさばらせたと言ってよいと思います。

広告収入も落ち目な中で、追い討ちを掛けるようなJASRACに対するこの処分。そろそろ息の根が止まる放送局も出だすかもしれません。

【本】ゼロから会社をつくる方法―M1世代の知ったかぶりな法律知識を正す教科書

 
先日紹介した『「R25」のつくりかた』によれば、今のM1世代(20〜34歳の男性)は情報を集めることに貪欲な一方、本当は知らないことも人前ではついつい知ったかぶりをしがちで、後であわてて隠れて調べたり勉強する世代なのだそうです。

そんなプライド高き(?)知ったかM1世代にうってつけなのがこの本『ゼロから会社をつくる方法』。



会社に関する法律知識をまんべんなく抑えたい若手社員に

公認会計士、税理士、司法書士、社会保険労務士、弁護士という5大士業に従事している先生方が、「会社を起こす」というシチュエーションを題材に、会社にまつわる法律知識を分かりやすく解説してくれます。

あなたに会社を作る気がさらさらなくても、社会人として知っておくべき法律知識が一気に整理できるという点で、類書がありそうでない良書です。

教えて下さるのは、見るからにお優しそうなこの5人の先生方(SophiaNetHPより)。
s-sophia


「自分の専門分野について分担して自分のパートだけを書きました」というスタンスではなく、それぞれの専門分野の知識とノウハウを「寄ってたかって」1冊の本に集めようとしているところがミソで、

・法人とは何か
・定款はどうやって作るのか
・就業規則に何を定めるのか
・決算書をつくることがなぜ必要&重要なのか

といった、「会社の作り方」本に必ず書いてあるありきたりの知識にとどまらず、

・法人税の支払い義務
・源泉所得税の徴収義務
・消費税の支払い義務
・給与と退職金の違い
・社会保険の加入義務と手続き
・契約とはなにか
・ビジネスに関する法律(消費者契約法、特商法、
 景表法、PL法、商標法etc)の遵守義務

などなど、幅広い範囲の知識が200ページあまりの薄さにギュッと詰め込まれています。
しかも、法律に素人な経営コンサルタントとは違い、士業従事者だけあってその説明には法的な確かさも備わっているというのが頼もしいですね。

さらにさらに心憎いのは、細かすぎる不要な知識はバッサリと切り落としながらも、会社を起こして3年目ぐらいまでは十分に見通した視野で解説してくれているところ。
本当に起業しようとしている方にも、まさに転ばぬ先の杖になるでしょう。

法務部門に配属された2年目社員なんかですと、いっちょまえに定款や就業規則の知識をひけらかしてみたりするわけですが、税法のことや社会保険法のこととなるとちゃんと説明できなかったり。
そんな知ったかぶりなM1社員に、「お前、現場の皆さんに間違った知識を教える前に、最低これ位は読んでからにしろよ」と教科書代わりにプレゼントしてあげたりすると、かっこいい上司・先輩になれるかも。

まあ、かくいう私も、この本で会社の税金について知らなかったことをたくさん学ばせていただいた「知ったかM1社員」なわけですが。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年2月第3週

 
債権の時効、統一検討 法務省、人身被害の賠償は延長(NIKKEI NET)

法務省は消滅時効のバラツキを改め、3年などに統一する方向だ。

いつまでも覚えられなかった短期消滅時効の期間を覚える手間が減るので助かります(笑)。

10年・5年⇒3年のように短くなるものに注目が集まりがちですが、実務的には2年・1年⇒3年に延びるものの方が影響があるかもしれません。
たとえば残業手当や有給なんかの労働債権とか、手形の請求権とか。


Facebook reverts to old terms, promises to craft new TOS with user input(The Industry Standard)

Facebookが利用規約を変えたことについて、消費者問題を扱うwebサイトとして有名なThe Consumeristが“Facebook's New Terms Of Service: "We Can Do Anything We Want With Your Content. Forever.”(意訳:新しい規約によれば、あなたの記事に関する情報コントロール権は永久にFacebookにあるんだとさ)と指摘したことでweb上で大騒ぎになったのに対し、Facebook側が利用規約の見直しを表明することに。

この問題は興味深い点があるので、別エントリを後で上げさせてもらおうと思います。


特定商取引法違反事業者に対する行政処分について(経済産業省)

経済産業省は、いわゆる出会い系サイト等役務提供の通信販売業者である株式会社クロノスに対し、特定商取引法第14条第1項の規定に基づき、同社の通信販売に係る電子メール広告をする場合は、事前にその相手方となる者から請求又は承諾を得るよう業務の改善を指示しました。

そろそろ取り締まり開始かな、と思ってました。
今後、いわゆる出会い系以外に行政処分がいつでるかも興味深いところです。


「管理監督者問題」再考(人事労務をめぐる日々雑感)

最近、散見される指導事案を見るに、担当官が日本マクドナルド事件東京地裁平20.1.28判決を金科玉条の如く扱い、これに反するものは全て過去にさかのぼって残業代を支払えと「口頭ベース」で指導を行う動きがみられます。

以前エントリにも書いたとおり、そうなると思ってましたよ・・・。

【通達】多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について―こりゃ本気で「名ばかり管理職」を取り締まるつもりですね、な通達のポイントまとめ
管理監督者に関する新たな通達が出ました−厚生労働省がプレッシャーをかけてきた


フランチャイズ契約と独占禁止法(:::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉::::)

セブンイレブンの本部が、傘下加盟店に対して優越的な地位を利用し、弁当などの売れ残りを減らすための値引き販売(見切り販売)を不当に制限していた疑いが。

記者会見ではセブンイレブン側が
「値引き販売をすると、結果的に加盟店の利益が下がるので、そうしないよう提案をしていた」と説明し、優越的地位の濫用にはあたらないとの認識を示した
そうですが、それって「優越的地位の濫用はしてないけど、利益が下がらないように店舗経営者と組んで価格カルテルはしてました」みたいな回答になってません?大丈夫なんでしょうか代理人弁護士のこの発言は・・・

ちなみに、セブンイレブンのフランチャイズ契約では、加盟店オーナーが仕入先と売買契約を結んで自らの責任と計算で商品を仕入れています。
しかしその代金は、セブンイレブンに一旦“上納”した売上から、セブンイレブンが“代行”して支払い、しかも、加盟店には領収書も発行されないため、個別の商品をいくらで仕入れることができたのか、それがいつ仕入先に支払われたのかを知ることができないというシステムになっています。

去年7月にこの領収書不発行の違法性について最高裁判決が出たところに、加えて今回のこの問題。セブンイレブンも大変ですね。。。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年2月第2週

 
JASRACに公取委が排除命令へ、新規参入を阻害(YOMIURI ONLINE)

関係者によると、JASRACの管理する楽曲数が圧倒的に多く、包括契約では一定額を支払えば、その楽曲を好きなだけ使えるため、放送局側にとって別の業者と新たな契約を結ぶことはコスト増につながる。公取委は契約形態が新規参入を阻害していると指摘。JASRACに、こうした状態の解消を命じる方針だ。

取引費用(トランザクション・コスト)の問題を解消するテクノロジーはいくらでもあるこの世の中で、JASRACをのさばらせていたのは民放メディアの怠慢とも言えます。

民放崩壊とともに、JASRACが崩壊していくのも自明でしたが、これで追い討ちがかかった格好になります。


Salary Reductions for Exempt Employees(California Labor & Employment Law Blog)

For example, an employer might consider reducing exempt employees' salaries by 20% in exchange for giving the employees Fridays off. California’s Department of Labor Standards Enforcement takes the position that this type of salary reduction violates the salary basis test and destroys exempt status (meaning that meal and rest breaks and daily/weekly overtime rules would apply to the affected employees). The DLSE reasons that exempt employees are paid for the value of their work, not for the number of hours or days they work, and it is generally up to the exempt employee to determine the number of hours to work to accomplish his or her job duties.

日本では工場労働者に対し一時休業やワークシェアリングを適用し始めましたが、アメリカではすでにホワイトカラーにもこれが進んでいます。3月決算期を境に、日本でもホワイトカラーを対象に休業やワークシェアを口実にした賃金カットが導入されていくと思います。

しかし、裁量労働制が適用される労働者については、上記カリフォルニア州法の考え方と同様、日本の労働基準法上も労働時間をカットしたからと言って当然に給与をカットするわけにはいかないはず。

新たな労働問題となりそうです。


監査報酬を巡るバトル(Grande's Journal)

四半期がレビューだろうが監査だろうが、
あんまり大差はないという印象。
決算短信はナシにして、四半期報告書だけに。
で、60日開示にすればいいんじゃないかと。

あと、内部統制がレビューですむなら、
相当ラクになると思ってるんですが、いかが?

同感です。情報開示は必要ですが、必要以上の情報開示は必要ありません。


時代の終わり(社労士見聞録)

1月15日、大阪高裁で配転に関する判決が出た。NTTグループのリストラ計画に基づき、遠隔地への配転を命じられた社員が起こした裁判であるが,結果は会社の配転命令を違法とするものだった。理由は,業務上の必要性が乏しく,遠隔地勤務による肉体的,経済的負担は社員らの不利益であるからというものである。
もはや、就業規則で、業務の都合により何々することができるなどと定めておけば、何でもできた時代は終わった、ということになる。

終身雇用神話崩壊を背景にした一つの象徴的判決だと思います。そもそも、こんな労働契約が今まで当たり前のように許されていたのが不思議です。

コスト圧縮の要請で、各企業においてローパフォーマーの雇用をカットする動きも加速すると思いますが、配転でプレッシャーをかけようと検討されている人事ご担当はご注意頂いたほうがいいかもです。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年2月第1週

 
人材紹介会社が求職を断るのは違法っぽいですよ?(Kousyoublog)

職業安定法上は「求職の申込みはすべて受理しなければならない」訳ですが、人材紹介会社の段階でノーと言う時の合理的理由ってなんだろう〜と思ったり思わなかったり。
求人側の担当者をしていても、なんだか、この有料職業紹介事業者関連(派遣事業者とか含む)っていろいろ法的な対応の未熟さを感じるんですよねー。

弊ブログの見解が雇用主の見解を代表するものでないことをお断りした上で、所属する有料職業紹介事業者においてそのコンプライアンスを預かる私としては、会社としての法的対応の未熟さがあれば私自身の不徳の致すところとお詫びせざるを得ません。

ただ、ご指摘の求職の申し込みを断ることの違法性については、求人者に対して雇用条件に適合する求職者を紹介する努力義務もあるので、受理した後雇用条件に適合しないことを理由に求人者への推薦を見送るのは、必ずしも違法ではないとも考えられるかと。

参考:
職業安定法 第五条の七
公共職業安定所及び職業紹介事業者は、求職者に対しては、その能力に適合する職業を紹介し、求人者に対しては、その雇用条件に適合する求職者を紹介するように努めなければならない。


gender:性同一性障害者の逸失利益は男性基準?女性基準?(Matimulog)

男性と女性との賃金水準の違いをそのまま逸失利益の算定に反映させている現状が、そもそもおかしい。

性同一性障害の方の転職のお手伝いをすることもありますが、労働法制を考える上でも、性別差別の問題は根強い問題です。


実務の手足を縛った村上ファンド一審判決 二審でようやく「インサイダー範囲」が適正に(弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く)

「重要事実にあたるかどうかは、企業の計画や対外交渉などの状況を総合的に検討し、個別具体的に判断すべきであり、投資家の判断に影響を及ぼす程度の相応の実現可能性が必要である」

グレーゾーンをまったく許さない厳しすぎる原審の基準を緩めた判決に。


お留守番(居眠り記)

同期から聞いたところによると、新61期でインハウスになったのは、50〜60人ぐらいいるのでは、という話で、

この方々が企業から評価されなければ、ただでさえ奥手な一般企業は有資格者の雇用にチャレンジしなくなるでしょう。まさに、インハウスローヤー文化が日本に根付くかどうかの試金石です。


副業と労働時間の通算(人事労務をめぐる日々雑感)

仮にある日、4時間の操業短縮がなされ、A社での実労が4時間であったとします。同日、副業として、B社で5時間のアルバイトを行った場合、当日の労働時間および割増賃金をどのように考えるべきでしょうか。

せっかく兼業・副業が認められても、1日8時間の法定労働時間は守らねばならず、超過分の割増賃金支払い義務は、その労働日において8時間を越えたときに就労している事業所が負担します(労働基準法第38条)。

つまり、A社で4時間働いた後、B社で5時間働いた場合は、B社が1時間分の割増賃金支払い義務を負うことになります。早い時間に働かせたもん勝ち、って感じになっちゃうわけです。しかも、A社とB社が労働時間をお互いに連絡しあわなければならず、非現実的でもあります。

ワークシェアや兼業・副業を振興していく上では、この労基法38条はもう少し納得感のあるルールにしなければなりませんね。

参考:
労働基準法第38条
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年1月第5週

 
短答:論文=1:8へ(水とシャンパン)

新司法試験の採点基準がドラスティックに変化。
短答試験はもはや本試験たる論文試験の受験資格を得るための足切り試験でしかなくなったということかと。


一般企業だって、テニュア制を採用できないわけではない(la_causette

「正社員として入社した以上、よほどのことがない限り解雇しない」ということが前提としてあるからこそ、従業員は、その後の労働者としての商品価値がそれほど高まらないポジションに配属が決まってもそれを甘受することができるとも言いうるので、楠さんのご提案の如き制度を採用してしまった場合は、重要ではあるが日の当たらないポジションに有能な人材を置くことが難しくなる危険は十分にありそうな気がします。

ちょっと異論を挟ませていただくと、新卒社員から配属先の選択の自由を奪うことの対価は、なにも「終身雇用を保証する」という手段だけでなく、「高額の給与を与える」という手段もあると思います。

配属先選択の自由を奪うこととバランスする妥当な給与水準はいくらなのか。私の感覚では、[月給50万・賞与なし・3年契約]で入社してもらい、合格ラインと認められれば、4年目から[月給30〜40万・賞与あり・終身雇用契約]に移行するとか、そんな感じであれば成立しそうな気がしますけれど。


日本デジタル家電「ロクラク?」事件逆転判決(知財高裁)(::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉::::)
ロクラク2事件控訴審判決全文(JAPAN LAW EXPRESS)

技術の飛躍的進展に伴い,新たな商品開発やサービスが創生され,より利便性の高い製品が需用者の間に普及し,家電製品としての地位を確立していく過程を辿ることは技術革新の歴史を振り返れば明らかなところである。本件サービスにおいても,利用者における適法な私的利用のための環境条件等の提供を図るものであるから,かかるサービスを利用する者が増大・累積したからといって本来適法な行為が違法に転化する余地はなく,もとよりこれにより被控訴人らの正当な利益が侵害されるものでもない。

放送局側も、もうダビング10とか認めちゃったんですから、放送の複製行為に対する著作権侵害の主張はある程度諦めてはいかがでしょう。

ロクラクみたいなことをやられるのがいやなら、(私的使用の)複製も不可能なように放送技術で対抗すべきです。衛星放送やケーブルテレビの様に、顧客管理して有料課金でスクランブルをかけて放送するとか、ビデオオンデマンド方式のサービスとして提供するとか。まあ、それをやったら誰も放送を見てくれなくなる(個人が金を払うほどの価値は実は今の放送には無い)、ということがうすうすわかっているからできないわけで。

誰もが簡単に視聴・複製できるからこそテレビ放送が普及し、そのことによってテレビ局は膨大な広告収入が得られているとも言え、それ相応の“痛み”は常につきまとうということなのでしょう。


ベンチャーの法務部立ち上げスタッフって死ねるよなー(Kousyoublog

とりあえず法務ざっくりなんでも実務経験を積みたかったらベンチャー企業で最初の法務担当者になると良いんじゃないかなと思ったりします。契約書、知財、商法会社法周りからコンプラや場合によっては訴訟や警察対応までなんでも経験出来ますよ。その代わり早く帰れない日が続くかもしれませんが・・・

ベンチャーの法務担当求人は結構見かけますが、指摘の通り超ハードワークが要求され、かつ給与も安く、しかし弁護士なみの知識と豊富な実務経験を求めている、という無茶な求人が多いんですよね(笑)。そんな人いませんって・・・。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年1月第4週

 
法人登記簿、代表者住所を原則非公開に(司法書士内藤卓のLEAGALBLOG)

登記住所には住んでいない代表者も多いので、実際に役に立っていたかと言うと疑問はありますが、代表者という存在の責任が軽くなるような印象は受けますね。


金融庁審議会SG「社外取締役制度の義務化、独立性強化」の本気度
社外取締役を取締役会議長に(司法書士内藤卓のLEAGALBLOG)

社外取締役設置を義務化し、取締役会の議長を務めさせるなど活用すれば企業の透明性は高まるのではないか、という仮説だと思いますが、この仮説が正しいかをよくよく検証する必要があると思います。

私の実感では、その仮説は正しくないと思います。
経営のプロ人材がそれほどいない中で、そのうち、弁護士や会計士が社外取締役請負ビジネスをはじめるようになったりして、経営の非効率化だけでなくかえって不透明化も起こるのでは、と懸念します。


正社員はなぜ保護されるのか(池田信夫blog)
解雇規制という「間違った正義」(Zopeジャンキー日記)

私も上記エントリの意見同様、正規と非正規のねじれがこのまま放置されるはずもなく、正規雇用の解雇規制も緩めざるを得なくなると考えています。

関連エントリ:
整理解雇の議論から生まれる、解雇権濫用法理の新たな潮流
【本】解雇規制の法と経済―緩和されていく解雇法規制から身を守る唯一の方法とは
【本】解雇法制を考える―コーポレートガバナンスの変化が解雇規制を緩和するという「痛み」を生んだという必然について


いまさら出てきた「ワークシェアリング」論 7年間ぶりの“復活”に感じる違和感(弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く)

日本で本格的に「ワークシェアリング」を導入するためには、先述した通り、正社員の既得権にメスを入れなければならない。そのためには、「同一価値労働、同一賃金」という考え方をまず普及させる必要がある。そして、その前提には、「同一価値」を判断するための「職務評価システム」が不可欠となる。職務評価システムがあってこそ、「同一価値労働、同一賃金」が成立するのであり、職務評価なきワークシェアリングは、ただの「正社員の賃下げ」になるだけである。

厚生労働省の幹部クラスも、正月明けからワークシェアリングを口にしているとその筋の人脈から聞いています。
行政がそんな「お墨付き」を与えてしまっては、各企業がワークシェアリングを口実にした正社員の賃下げを容赦なく行うのは火を見るより明らかなのですが。

私は解雇規制の緩和には同意しても、ワークシェアリングを振りかざした賃下げには同意できません。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年1月第3週


非正規雇用問題(大竹文雄のブログ)

問題は、正社員中心主義の雇用保障が、非正規労働への需要を増やしていくという日本社会の仕組みにあります。正社員を保護すればするほど、訓練を積んだ正社員を使わなくてもやっていけるような技術体系や雇用体系を取り入れることを企業に促進させるのです。

日本には、正規社員(正社員)/非正規社員(契約社員・派遣社員・パート・アルバイト)という“身分”で仕事をシェアするという前近代的風潮、間違ったワークシェアリング観が根強く残っており、そこが解消されない限り非正規雇用問題も解決しない、ということをおっしゃっているのだと理解しました。

確かに、そういう側面は否定できないと思います。


[企業法務][知財]営業秘密侵害罪の対象拡大(案)に思うこと(企業法務戦士の雑感)

過剰な警戒心による萎縮効果が健全な経済活動を妨げないように、という価値判断に基づく刑事罰の“謙抑的姿勢”は、当時からそれなりに評価されていたはずなのに、あっという間に民事的規律と変わらないレベルにまで網が広がってしまったことに、ある種の危惧を感じているのは筆者だけだろうか?

私も半年前のエントリで、退職者による営業秘密漏洩の厳罰化について危惧している旨を述べましたが、再びの安易な保護範囲拡大といった風情です。
【本】不正競争防止法―退職者の秘密保持義務がいつのまにか厳罰化されてた・・・ (企業法務マンサバイバル)

企業の意識として、個人情報保護には力を注いでいるものの、営業秘密については特にその秘密管理性の向上努力が足りないと思います。

不正利用者に対する処罰を厳罰化するならば、企業における営業秘密の管理・保護努力を高めさせる施策も同時に導入すべきと思います。


ケータイ持たせても事業場外みなしが可能か?(EU労働法政策雑記帳)

営業担当に“事業場外労働のみなし労働時間制”を適用し、時間外手当を支払っていない会社はたくさんあります。
一方で、営業担当に携帯電話を持たせていない会社はほとんどないでしょう。いまどき。

このような「ケータイを持たせた営業パーソン」については、労働省通達昭和63.1.1基発第1号にいう「無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合」にあたるため、みなし労働時間制の適用は認められないとされていることは、ご存知でしょうか?

その知識を踏まえて上記記事を読んでいただけると、なかなか興味深い問題であることがわかります。

今般の不景気で、ワークシェアリングや在宅勤務導入が加速的に広まりそうな予感もしています。そうなったときにはこの“事業場外労働のみなし労働時間制”の適用要件が問題となってくる場面も一気に増えてきます。各社人事・法務担当の方はきちんと研究されておかれたほうが良いかもしれません。

参考サイト:
事業場外労働のみなし労働時間制(福島労働局)

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年1月第2週

 
取締役会決議に賛成した取締役(おおすぎBlog)

旧商法との比較が分かりやすく参考になります。
そして、言われてみればそうですね&なるほどなあと思ったのがこちら。
本題から離れますが、会社法はあちこちに推定規定を置いています。これは、会社法に関する訴訟では、多くの場合には、証拠のほとんどが会社の内部にあり、原告が立証の困難に苦しむことに鑑みて、原告が一定の事実を主張・立証すれば被告側に反対の証明を行わせることによって、バランスを取る(裁判所に有益な証拠が提出されるような仕組みを作る)ことを意図しています(たぶん)。


アトリウム社の利益相反取引と取締役の法的責任(ビジネス法務の部屋)
社長の借金20億円を会社が肩代わり!?上場企業で起きた前代見聞の「社内融資」(弁護士・永沢徹 M&A時代の読解力)

上場企業が代表取締役に20億円を融資したというお話。
取締役会自体に経営判断能力が欠けていれば、企業の内部統制は簡単に踏みにじられる好例とでもいいましょうか。
多数決取れば何でも良いってモノでもないですよね。


民法(債権法)改正と労働契約−ちょっとびっくり。(夜明け前の独り言)

雇用契約、労働契約は、労働法の中核概念です。労働法立法の在り方としては、いくら民法で法務省の所掌分野とはいえ、労働法学者や労使のヒアリング、労働法全体の整合性を検討すべきではないでしょうか。

民法上の雇用契約と労働契約法上の労働契約の関係を見直す旨の言及について、水口先生が懸念を述べられています。
確かにと思う反面、法務局参与となられた内田先生が事務局長を務められていることもあり(内田先生は労働法分野もお詳しいと認識しております)、出てくる結論に対しては私はそれほど心配していないのですが。


厚労相、製造業派遣の禁止も(EU労働法政策雑記帳)

hamachan先生は、ニュースステーションやめざましテレビにも出演されるなど、今週は大忙しでいらっしゃいましたね。


槇原敬之VS松本零士事件判決文が公表されました(駒沢公園行政書士事務所日記)

松本側森濱田松本事務所vs槇原側内藤篤先生の戦いだったんですね。
著作権侵害は認められなかったものの、槇原側が請求した精神的損害の賠償と弁護士費用の支払いが認められたわけですが、
原告が,本件被告直接発言の放送によって被った精神的損害を慰謝するには,本件テレビ番組5及び7それぞれにつき,100万円が相当と解する。
なお,諸般の事情にかんがみれば,弁護士費用としては,金20万円を相当とする。
この精神的損害の根拠となった“本件テレビ番組5及び7”の槇原側の発言というのが
「どこかで見て記憶していたのかも知れない」
「見たか聞いたか何かの記憶があったので,あったらしいので,それを使ったのかもしれません」
という主旨のもの。
この発言にいたる途中経緯を含めての評価にせよ、この程度の発言が200万払わされる結果につながるんだ、という学びの材料として。


遅ればせながら、おめでとうございます。(会社法であそぼ)

「大企業は潰れないのだから、可哀そうな人を助けろ。」という情緒的な考え方は、前提自体が間違っていて、
  小さくなったパイを、働く者の中で、どう分けるか
という話を抜きに派遣切りの問題は語れないはずです。
ワークシェアリングが、検討されながら、なかなか実現できないのも、この問題が
   資本家vs労働者
のイデオロギー対決ではなく
   労働者vs労働者
の利害調整だからだろうと思います。

同感です。
それにしても、最近になって思いついたように厚生労働省関係者の口から次々飛び出してくる「ワークシェアリング」導入論。今までそんなこと一言も言ってこなかったくせに・・・。
日本のお役人様は外国の発想を半歩遅れて輸入することしかできないのでしょうか。なんだか孫さんの「タイムマシン経営」ならぬ「タイムマシン行政」になっている気がします。


20:50追記:

松本vs槇原訴訟の原告/被告を取り違えて記載していたので修正。
コメントで指摘いただきました。失礼いたしました。

今週のビジネス法務的ニュース・ネタまとめ 2009年1月第1週

 
今週のコレイチは、なんといってもこのニュース。

西村博之氏、2ちゃんねるを企業に譲渡(CNETJapan)

すでにMatimulogや日々是好日でも触れられているように、ほとんどの2ちゃんねる訴訟がこれで事実上無きものとされると思われるわけで。
[話題]西村博之氏、2ちゃんねるを企業に譲渡(日々是好日)
2chの譲渡(Matimulog)

Matimulogでも言及されているように、訴訟引受(民事訴訟法第50条)を申し立てて巻き込むことも不可能ではないのでしょう。しかし、やろうとするとこれは結構面倒です。私も過去同様の経験がありますが、国内での譲渡だったにもかかわらず戦意喪失したぐらい。海外まで追いかける人がいるかというと・・・。

譲渡先会社が、ひろゆき氏が会社設立代行会社を使って作ったペーパーカンパニーであり、まさに訴訟対策なのではという仮説を検証している方までいらっしゃいました。
「2ch が海外企業に譲渡」を詳しく調べてみた。(iemotoBLOG)

これが法的に立証できれば、いわゆる第二会社への対抗策同様、法人格否認の法理なんかを駆使するという手もあるかもしれません。この追求もまた根気がいるわけですが・・・。

さて、ひろゆき氏の勝ち逃げ、いや負け逃げとなるか?


「他社より安くします」チラシのホントの理由(Cahier de Siliqua_alta)


そもそもお店が安売りをするのは、そうすることによって他社からシェアを奪うことができるからです。ところが、安売りをしても他社が即座に追随してくるのであれば、奪うことのできるシェアの量はたかがしれています。そのため、各社はそもそも安売りを行うインセンティブを失ってしまいます。安売りが完全になくなってしまうことはないにしても、抜け駆けのベネフィットが減る分、値下げ幅や回数は減少してしまうことでしょう。

ただ単に競合の価格調査のためかと思ってましたが、価格を高値で保つためのカルテルの手段としてアメリカで考案されたものだったとは。


労働時間規制は何のためにあるのか(EU労働法政策雑記帳)

終戦直後に労働基準法が制定されるとき、1日8時間という規制は健康確保ではなく余暇の確保のためのものとされ、それゆえ36協定で無制限に労働時間を延長できることになってしまった。労働側が余暇よりも割賃による収入を選好するのであれば、それをとどめる仕組みはない。

さりげなーく労働基準法は改正されました。平成22年4月施行です。
労働基準法が改正されます(厚生労働省)


倒産を経験したヤツがその惨状を語るスレ(肉汁が溢れ出ています)


帝国データバンクの「危ない会社はここでわかる」の超リアル版って感じで、非常に勉強になります。




“大首切り時代”非情リストラ70社リスト(Livedoorニュース/ゲンダイネット)


単発のリストラ・派遣切り報道は毎日のように目にしてきましたが、これだけまとめてリストアップされていると壮観ですね。
弊社の“危ない取引先リスト”作りに活用させていただきます。


所有欲のパラドックス(404 Blog Not Found)


我々はどうすれば所有欲から解放されるのか。
皮肉なことであるが、そのために最もよい方法は、「使えきれないほど与えてしまう」ことだと考えている。

「モノの所有」=「豊かさ」でなくなるにつれ、所有権の概念も変わっていくのでしょう。


補欠監査役の「補欠」の意味(2)(司法書士内藤卓のLEAGALBLOG)

そういえば去年、私が株主になっている会社で、監査役の死亡を原因として補欠監査役が登用された事案をはじめて見ました。


弘文堂近刊情報(水とシャンパン)

江頭先生の『商取引法』第5版が、1月下旬に発売されます。
この本は、私が前職時代電気通信事業法というマイナーで参考文献が少ない法律と格闘していたころに救いの手を差し伸べてくれた本です。
まだAmazonでも予約はできないようですね。

【web】企業法務弁護士ブログのリンク集

 
法務パーソンのブログリンク集に続き、企業法務に携わられている弁護士ブログのリンク集を作ってみました。

拝読している弁護士先生のblogはたくさんありますが、企業法務の視点が薄いものは省いています。

ビジネス法務の部屋

会社法であそぼ

とも弁護士の備忘録

::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉::::

甘党弁護士の辛口せんいち話

企業法務のツボ 活字フェチ弁護士の臨床的視点

リーガル・リズム(週間法務)

気まぐれノート(仮題)

日々是好日

坂元英峰のシェルターブログ

戦う企業法務弁護士 RETURN

BENLI

Attorney@Penn Law

暁弁護士の中国日記

【web】企業法務パーソンブログのリンク集

 
私が拝読している企業法務パーソンのブログを集めてみました。

企業法務戦士の雑感

法務の国のろじゃあ

dtk's blog

ひまわりてんびんへの道

よっちゃんの企業法務あれやこれや

TOEIC300点台からのロースクール留学

風にころがる企業ホーマー

法務だけど理系女子の綴るblog

企業法務部で働く司法書士日記

片隅日記

金融コンプライアンス・オフィサーの視点−金融と企業法務・コンプライアンス−

船場ではたらく法務のblog

さすらいの法務マンぶらぶら日記

「知」的ユウレイ屋敷

KSTK

現場法務の部屋


以下は残念ながら更新が止まっているブログ。
いつの日か復活される日をお待ちしております。

企業法務についてあれこれの雑記

ふぉーりん・あとにーの憂鬱

法務マン・法学徒随想

戦う法務マン〜企業法務実務の部屋

LLM留学日誌〜留学2年目NYLife

読書ときどきごはん。たまに企業法務。

企業法務あれこれ


12/30追記:
「知」的ユウレイ屋敷さんとKSTKさんを追加。
このお二人は企業法務に携わられているのかプロフィールからは微妙なのですが、紹介しないのは惜しいブログなので。

1/2追記:
現場法務の部屋さんが更新されていましたので修正。
大変失礼いたしました。m(_ _)m

【雑誌】BUSINESS LAW JOURNAL No.11 2月号―これさえあればうちのblog必要ないかも?いやいやそんなこと言わずに今後とも見てやってください。

 
今回のBLJの特集は、「使える本しか買いたくない!法務のためのブックガイド2009」。


・契約法務/ライセンス/M&A・・・といった業務別分類
・金融/ITベンダ/ネットビジネス・・・といった業界別分類
の2軸に分け、それぞれの分野に強みを持つ企業の法務責任者・担当者の皆さんが、実際にその企業の法務部で利用されている本を紹介してくださっています。

その総数、250冊超。
小生blogでもだいぶビジネス法務系の本を紹介してきているつもりでしたが、まだまだ甘いですね。

その中でも、2人以上の方に推薦されていた本が以下の8冊。










『英米法辞典』は前職でよく使ってましたし、『エンターテインメントビジネスの法律実務』『ビジネス著作権法』は以前当blogでもご紹介しましたね。
【本】エンターテインメントビジネスの法律実務−類書の無いすばらしき著作権ビジネス指南書
【本】ビジネス著作権法−著作権“侵害”の実際を学ぶならこれ

それ以外は失礼ながらパッとしない本だなーと思ってしまったのですが、実務家が口を揃えて役に立つと薦めるからには、きっと特別な何かがあるのでしょう。興味津々です。

ところで、「企業法務戦士の雑感」のFJneoさんも突っ込んでいらっしゃいましたが、この特集のトビラに書かれていたこの一言に、私もピクっと反応してしまいました。

ただし、FJneoさんとはちょっと違う意味で。
限りある図書費で購入した本当に使える本を、法務担当者や実務家が教えます。」

図書費などこれっぽっちも出してくれず、自分で買った本を会社に持ち込まざるを得ない現状の私。

「限りある図書費」でも会社が出してくれるだけマシだと思いますよ・・・。


12/23追記:
よくよくリストを吟味していたら、2人以上が紹介している本が6冊ではなく8冊だったので訂正しました。
BLJの編集者さん、リストチェックよろしくお願いします。

ビジネス実務法務検定試験1級を受けてきました

 
初めて受けました。ビジ法1級@昭和女子大。
以下感想と反省備忘録です。


共通問題1:
個人情報漏洩対応/反社会的勢力からの取引強要への対処/取締役の内部統制システム構築責任

共通問題2:
土地工作物の請負契約における瑕疵担保責任

選択問題1:
同業他社との懇談会実施と独占禁止法の適用

選択問題2:
個人を対象にした販売における消費者契約、特定商取引法、割賦販売法、景表法等の適用

選択問題3:
特許法の独占的通常実施権/職務発明

選択問題4:
根抵当権・賃借権・債権譲渡登記の優劣/民事再生手続と賃借権・敷金返還請求権


選択は2と4を回答しました。
自己採点では、
共通問題1 85%
―ほぼそつなく回答。
共通問題2 70%
―(3)が時間切れ。もったいない。
選択問題2 70%
―(3)の契約書に盛り込むべき事項のうち特に重要と思われる
 3つの絞込みについて、出題意図が読み取れてない恐れあり、
選択問題4 55%
―根抵当権と債権譲渡登記の優劣の検討と敷金返還請求の回答が
 イマイチ。
という感じ。

最大の反省点は時間配分。模試を受けなかったことも祟って、久しぶりに答案を手書きするのにあんなに時間がかかるとは思わず、トータル4時間が短く感じられました。配布される下書き用紙は答案を下書きするのでなく、構成とキーワードを下書きするものだということを、今回で学びました。
そして出るとは思ってある程度ヤマは張っていた債権保全の分野も、まだまだ実務経験含め勉強が足りないなと。
以上は来年の課題です。

選択問題4の不出来が足を引っ張る可能性大ですが、新設された「準1級」の合格水準は確保したとは思います。
しかし、合格発表は来年3月末という超未来www。まさに忘れたころにやってくる感じですね。

それにしても、私が回答しなかった選択問題含め、いずれも良く考えられた良問だったと思います。

1級は受験者がまだ1,000人足らずしかいないマイナー試験ですが、こういう良問を出題していれば、そのうち実業界での評判も高まるのではないでしょうか。

メジャーにならなくても、せめてこの試験が無くならないことを願います。。。


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【本】人事・労務専門家のための税務知識―退職・転職時の税法知識のポイント3つ


人事労務は、税金とも無縁ではありません。

毎年の恒例行事の年末調整だけじゃなく、従業員の退職時の住民税の特別徴収や通勤手当、ストックオプション…と、結構知らなきゃいけない税務があります。

転職を支援する人材ビジネス業に携わる者としても、このあたりの税法知識について転職者希望者から問い合わせを受けたりするので、無縁ではありません。

そのあたりの、人事・人材業界パーソンとして知っておくべき税務知識がコンパクトにまとまっている本がこちら。


以下退職・転職絡みでよく話題になる代表的なポイントについてご紹介します。


住民税

たとえば退職する社員の住民税の特別徴収。

3月末に退職する社員がいたとすると、3月分給与から住民税を5月分までの3ヶ月分まとめて徴収することになります。私も転職のときはそうでした。

退職する社員がこのことを知らなかったりすると、振り込まれるはずの給与からごっそり抜かれることになるので、「人事はなんで教えてくれなかったんだ」とクレームを受けるかも。

実は、転職先が決まっている場合には、事前に「給与所得者異動届」を提出すれば、
・3月分までを現職で
・4月以降分を転職先で
分けて支払うことができたりもします。
お金が一気に控除されず、社員としては大変助かります。

人事のプロとしては、退職する社員だからこそ、こんなキメ細やかなフォローをしてあげたいものですね。


通勤手当

遠いところから通うこととなる幹部クラスを受け入れるにあたっては、各社「非課税となる合理的な運賃等の額」に該当するかで通勤手当の支給範囲が決まっていたりするので、これが問題になったりすることも。

意外にも
・新幹線の特急料金・・・非課税
・グリーン料金・・・課税
だったりします。

大手企業の通勤手当規則であれば、このあたりをきっちり踏まえた規定になっていると思いますが、中小企業では気をつけたいところです。


ストックオプション

税制的には一時期大揉めに揉めたストックオプション。

結局、\農適格ストックオプションと∪農非適格ストックオプションに分類した上で、
 銚⇒行使時
 = 非課税/譲渡時=譲渡所得で課税
◆銚⇒行使時
 = 雑所得で課税/譲渡時=譲渡所得で課税
されることになっています。

税制適格ストックオプションとなるためには細かい条件が設定されています。興味ある方はこちらでご確認ください。
新ストックオプション税制とインセンティブプラン―あずさ監査法人


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今から六法を買う方への注意とアドバイス―ポケット六法にはアレがない…

 
今年六法を買おうと思うと、色々迷うと思います。
各出版社が、変化をつけてきていますので。


模範六法はデザインが大幅に変更・サイズが二分化

判例付き六法のお奨めは文句なく『模範六法』です。


今年からデザインが大幅に変わりました。かなり垢抜けちゃったので、今までのビジュアルで探していると、本屋で見つかりませんw。

見つけた後、今までなかったコンパクト版の『模範小六法』が隣に置いてあるのを見て、さらに迷うことになると思いますwww。


まあ、判例付き六法を買うんでしたら潔く大型版を買うべきだと思いますけど。。。


携帯用六法購入時は要注意です

悩ましいのは、判例無しの携帯用六法でしょう。

私はレイアウトに慣れ親しんでいるということもあって、今年もすでに何の迷いもなくポケット六法を買ってしまったのですが、


2ちゃんねるのビジ法1級スレッドで「ポケット六法には商標法がない」というコメント見て唖然。確かに入ってないんですわ、商標法が。実務では模範六法を見てたので、今まで気づきませんでした。

代わりにお奨めされていたのが、今年大幅リニューアルされた岩波の携帯版。
去年までは『コンパクト六法』という名前でしたが、今年から『岩波基本六法』という名前になってます。


特許法,著作権法も今年から抄録から全録に変更されている、完全実務家志向の携帯六法です。ビジ法1級をはじめ、六法持込み可の試験用にも安心です。

携帯用六法はこっちがスタンダードになりそうですね。


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最近何かと話題のマルチ販売事業者U社の思い出

 
三菱東京UFJ銀行が「ずさん融資」として金融庁に報告した「問題先」として名前が挙がっていることでちょっと話題になっているU社。

今日は、民主党のネクストキャビネットに名を連ねる議員がU社の監査役を勤め、さらに党としてパー券を購入させていたことが、ニュースに取り上げられています。
民主・増子議員、問題マルチの監査役 党のパー券も仲介

U社といえば、丁度彼らが業務停止命令を喰らう数ヶ月前に取引先として審査した際、特商法違反のおそれを理由に私が取引NGを出したところ、お断りのアポで営業の責任者がコップに入っていた水をぶっ掛けられるという思い出が(本当に営業の方にはご迷惑をお掛けしました)。

50万〜70万するインターネット端末という怪しげな商品、そして違法性満点の契約書や販売方法だけでも推して知るべしなんですが、会社としての態度もそんな具合でしたから、この1件で取引NGの判断については自信が持てました。

最近は本店住所を移した上で、登記住所ではない営業所を本店のように表示して活動しているようです。この住所を頻繁に変えるというのも違法マルチの特徴ですね。

それにしても、前田議員のときも言いましたが、マスコミは相変わらず「マルチ叩き」に見せかけた「民主党叩き」にご執心です。

そんな昔のことをほじくり返している暇があったら、まだ知られていない現在進行形の違法マルチを調査して取り上げて欲しいものです。その方がよっぽど国民のためになります。

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前田議員とマルチ商法と特定商取引法


面白い写真を一枚。

今、マルチ商法からの献金騒ぎで話題の前田議員。
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この人のこの本、今年の2月に弊blogでもご紹介してました。
【本】次代を担うネットワークビジネス−たぶんこの著者反消費者庁派

この人がMLM(マルチレベルマーケティング)業界の族議員だということは、政治に素人の私でもこの本読んだだけで容易に気づけたわけですが、やっぱ政局になると相手を貶めるためにこういうネタで揺すりをかけるわけですね。

マスコミも簡単にそれに乗っかって騒ぎだすわけで・・・。
前田議員は本まで出して明確にMLMを擁護していたんですから、そんなに問題視するなら政治家の政局に乗せられるんじゃなくて、もうちょっとタイムリーにとりあげて調査し、報道して欲しいものです。それがマスコミの本来の仕事だと思いますが。

それから、前田議員を庇うつもりはまったくないですが、日本では特定商取引法により、適切な方法で行うMLMはあくまで合法な販売方法として認められてます。

MLM・マルチ商法を叩くのであれば、前田議員を叩く前に、この特定商取引法のあり方を議論すべきと思います。

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グループ会社間での法務サービスに関する弁護士法72条の適用


先日のエントリに続き、弁護士法72条の話をもう一つ。

親会社の法務部が、子会社で発生する契約の契約書レビューをしたり、法的相談を受ける・・・

持ち株会社も合法化された現在では、当たり前のように発生していることだと思いますが、厳密にいうと、別法人に法務サービスを提供しているわけなので、弁護士法72条に抵触する可能性があります。

この問題について、2003年の内閣府法曹制度検討会で、法務省から「グループ企業間の法律事務の取扱いと弁護士法第72条の関係について(PDFファイル)」と題する文書が出されているのをご存知でしょうか。

法務省としては、グループ会社に対する法務サービスも、報酬を得る目的がない(人件費も請求しない)ことを前提としていること、及び“事件性がなければ違法とならない”という事件性必要説に立っていることを表明した上で、個別具体的ケースごとに
 1)契約法務&交渉 
   →事件性なし
 2)法律相談
   →具体的な紛争を背景にしていれば事件性あり
    (具体的な紛争が背景でなければ事件性なし)
 3)株式・社債関係事務
   →一般的に事件性なし
 4)株主総会関係事務
   →一般的に事件性なし
 5)訴訟管理関係事務
   →事件性あり
と整理しています。

子会社からのサポート依頼の頻度と必要性が最も高い1)の契約法務サポートが基本的にOKという見解ですので、まずはほっと一安心というところ。

2)などは境界線に微妙な部分はありそうですが、上述の1)、そして3)〜5)に対する見解と合わせ読めば、全体としては無報酬であり、かつ訴訟レベルの紛争補助でもない限り、グループ会社に対し法務サービスを提供しても問題ないと考えてよいと思います。

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【本】弁護士法72条の正体―「非弁行為」に怯える隣接士業・法務担当者への応援歌


弁護士以外の者が法律事務を取り扱う事を禁止する弁護士法72条。

この条文の適用をめぐる裁判例47例と、実際の送致・起訴事例を整理し、
弁護士法72条は、それに違反する人たちをむやみやたらにひっ捕まえてしまうような乱暴な法律ではない。72条に違反していたとしても法律を適用するかどうかの判断は非常に慎重だ
と、過剰な恐れを抱く必要は無いことを主張する本。


弁護士法自体を解説する本が『弁護士法概説』『条解弁護士法』ぐらいしか見当たらず、そのどちらにも問題の72条について満足のいく解説はありませんでした。

そんな中で、隣接士業者や法務担当者の興味の的である弁護士法72条にこれだけフォーカスした本も珍しく、書店で見かけて思わず即買い。

以前在籍した会社はBtoBメインだったので、せいぜい親会社が子会社に法務サービスを提供することが弁護士法72条に違反するかしないか、という問題だけでした(これはこれで結構リアルに重たい問題だったりしますが・・・)。

一方で、今在籍する会社はバリバリのBtoC、しかも企業と求職者の間に立つビジネスですので、両者間の法的紛争に立ち会ってしまう場面もしばしば。

 企業が内定通知
    ↓
 求職者が退職交渉開始
    ↓
 企業が内定を取り消し
    ↓
 紛争に突入

といったシーンは幾度と無く繰り返され、その度に両者から交渉代理人的な役割を期待されます。まさにこの弁護士法72条に抵触しかねないなーと思われる事態に日々直面しているのです。

そしてその度に、この72条の前に萎縮して、顧客に対して親身になったサービスの提供ができなくなっている面があるのは否定できません。

この72条の適用につき、最高裁判例では
具体的行為が法律事務の取扱いであるか、その周旋であるかにかかわりなく、弁護士でない者が、報酬を得る目的でかかる行為を業とした場合に同条本文に違反することとなる
と幅広い適用の可能性を示唆しつつも、その前段で
私利を図ってみだりに他人の法律事件に介入する事を反復するような行為を取り締まれば足りるのであって、同条は、たまたま縁故者が紛争解決に関与するとか、知人の為行為で弁護士を紹介するとか、社会生活上当然の相互扶助的協力をもって目すべき行為までも取締りの対象とするものではない
と、何でもかんでも取り締まろうという立法主旨ではないことが判示されています。

加えて、弁護士法違反の実際の取締りの実態(平成18年)についても、
・警察による送致件数 21件
・検察による起訴件数 33件
と非常に少ないというのが実態だそう(弁護士法全体で上記件数なので、72条違反はさらに少ない)。

著者は、このような検挙実態・裁判例から、マスコミ報道や一般で言われるほど恐い法律ではないことを主張します。

著者自身が隣接士業(行政書士)の立場であり、「72条をできるだけ限定的に解釈したい」というインセンティブが働くのも無理はなく、その分は割り引いて読まなければいけないと思いますが、示談交渉に手を貸して暴利をむさぼる整理屋のようなことをしない限り、法務担当者として日常行っている業務が非弁行為として罰せられる可能性はあまりないのかもしれません

補足:
現状の弁護士法72条の射程を規定している最高裁判例はこちら。この判決において、それまでの弁護士法72条の解釈について判例変更がなされているのも興味深いところです。

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ビジネス実務法務検定に「準1級」が誕生してた


知ってました?
ビジネス実務法務検定に、「準1級」ができるって。

ビジネス実務法務検定試験新制度について(商工会議所HP掲載pdfへのリンク)

これが結構親切な制度で、英検と違い、準1級という新しい試験ができるのではなく、1級不合格者の得点上位者を『準1級』として認定するんだそうです。つまり、1級試験の次点救済策って感じなわけです。

2008年度からということなんで、今年の12月試験からですね。
去年受けて落ちた人カワイソス。

あわせて、“合格者称号付与制度”なるものも誕生することが、同リリースに書かれています。
1級: 商工会議所認定 ビジネス法務エグゼクティブ
2級: 商工会議所認定 ビジネス法務エキスパート
3級: 商工会議所認定 ビジネス法務リーダー
と名刺に刷ったり名乗ったりしてよいそうです。

・・・

名乗っていいと言われても、2級レベルではさすがに「エキスパート」は名乗れないでしょ(笑)。3級の「リーダー」も無しだな。

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あのLexisNexisが、法務パーソン向けの月刊誌を創刊


『ビジネス法務』とか、『会社法務A2Z』とか、“法務部向け”の雑誌はいままでにもあったわけですが、この雑誌は立ち位置がちょっと違うのです。


それは、“部”というよりも“個人”を購買ターゲットにした雑誌であるというところ。

法務パーソンとして現在お勤めの方々による、法務という職種につきまとう“キャリアパスの広がりの狭さ”についての対談が載っていたり、35歳以下の法務パーソン3人に、転職をどう考えているかというインタビュー記事が載っていたり。

こんなリアルに悩ましい記事が載っていては、会社の予算で買って法務部内の本棚に並べてはおけないはず(笑)。

それはさておき、私が一番興味深くフムフムした記事は、「ミクシィ法務グループの2年間」という記事。
2006年にグループリーダーとしてミクシィに入社された岡本さんが、法務グループの立ち上げ、社内からの契約書レビュー/法務相談フローの整備、法務の人事評価制度策定について、かなり具体的なところまで時系列で明かしてくださっています。

現場からの契約書レビュー/法務相談の受付の仕方は、各社悩まれているところだと思います。ミクシィでは、eメールでの受付に限界を感じ、イントラ窓口からの受付→担当者割り振り→進捗ステータス管理→過去事例の検索までできる専用のシステムを社内の技術者さんが組んで運用されているそうです。しかも1日で作ったとか(凄)。
画面のスクリーンショットも一部公開してくださっていて、これは是非見習わせていただきたいなと。

人事評価については、こんなことをおっしゃっています。
法務においては何より事実関係を確認することが重要です。そのためには国語力が前提となります。法務は数多くの相談を受けるので事務処理能力がなければなりません。また、他部署から相談を受け付けた時点で問題が整理されているとはかぎりませんし、取りうる選択肢が複数あることもありますので、そういった場合の分析力・判断力を要求します。
案件によっては複数の部署がかかわりますので調整力が求められます。結論に納得してもらうためには論理性を持った説得力が必要です(後略)。

このあとに続く後略部分ではその他必要とされる専門能力についても述べられていましたが、引用部分については、私が採用面接時に見ている求める能力とほとんど同じ。
これらを人事評価の項目に落とし込むことで、評価される側のメンバーに対しても、「仕事上大切にすべきことは何か」が明確にメッセージされることにもなります。これは素晴らしいこと。

そのほかさすがLexisNexisだなーと思ったのが、巻頭言に会社法の大家、神田秀樹先生のお言葉があったり、「会社法であそぼ」でも有名な葉玉さんの論文が掲載されていたりと、大御所もきちんとブッキングされている点。
これまでに出版されている法務系雑誌に対して、格の違いを打ち出そうとしている姿勢が伝わってきます。

法務系ブロガーでは、葉玉さん以外ではisologueの磯崎さんも出てらっしゃいました。ろじゃあさんやFJneo1994さんあたりに声がかかる日も近いのでは?

こんなに内容盛りだくさん(目次へのリンクはこちら)の雑誌が、ほんとに月刊でつづけられるのか?購買層があまりにもニッチ過ぎないか?と余計な心配もしてしまいますが、私はしばらく買わせていただこうかと思います。

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【本】対行政の企業法務戦略−お役所との法的ケンカ作法指南


法律書には間違いないんですが、こんなにケンカ腰な法律書も珍しい(笑)。


著者の阿部泰隆氏は、中央大学にお勤めの教授。
最近は弁護士としての活動も活発化され、神戸市との行政訴訟に多く関わっているとのこと。

帯にはこう書いてあります。
taigyousei





「行政の理不尽」「法的理論武装を伝授」て・・・www
シリアスなでかでかとした明朝体で、いきなりケンカ腰(笑)。

その“理論武装”の骨格は、
1)行政手続法を守らずに行われることの多い行政指導の
  手続きの不備をつく
2)各種情報公開法を駆使し、有利な証拠を収集する
3)改正された行政事件訴訟法、特に仮の救済制度(仮処
  分・仮差止等)を活用する
というもの。

著者が主張されているように、通常の民事・刑事訴訟と行政訴訟とはかなり作法が違うため、この作法に通じた行政訴訟の経験がある弁護士を選ぶことが重要になるんだなと。

ところで、なぜこんな本を買うにいたったかというと、人材ビジネスが意外なほど厚生労働省からの規制・指導に縛られているから。これは今の会社に入社するまで分かりませんでした。

私の場合、前職も通信・放送という総務省の規制にガチガチに縛られているところで、よっぽど規制ビジネスに縁があるのかなと思ってしまうほど。

そういう規制ガチガチビジネスにたずさわる法務担当者には、類書がないという点で貴重な本だと思います。

それにしても、この本の中には各所に神戸市行政に対する批判がたくさんでてきます。

バファリンの半分はやさしさでできているそうですが、著者がこの本を書いたモチベーションの半分は、神戸市に対する相当な恨みつらみでできているようにお見受けしました・・・

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【本】ITビジネス法務最前線

森濱田松本という一線の渉外事務所の弁護士が、ITビジネスに関する法的ポイントを地味ながら硬派にまとめた良書。

表紙の装丁も中身の構成もボリュームも、久保利先生が監修されていた『著作権ビジネス最前線』に近いノリ。

・サイバーモール
・インターネットオークション
・アフィリエイトプログラム
・コミュニティサービス
・コンテンツビジネス
・電気通信サービス
・ソフトウェア
このような、今ITを使って行われている主なビジネスの法的問題・法規制について、網羅性高く解説しています。

その中でも私がフムフムだったのは、電子商取引における意思表示(契約)の成立タイミング←今更(笑)。

いわゆる「到達主義」か「発信主義」かというあの問題ですが、
・意思表示成立の原則
 →到達主義 (民法97条)
・承諾の意思表示の成立における例外
 →発信主義 (民法526条)
・電子承諾通知における例外
 →到達主義 (電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律4条)
恥ずかしながら、“電子承諾通知が民法の原則の例外の例外である到達主義をとる”という関係性について、アタマの中できちんと整理できていませんでした。

網羅性が高い分、中身の深さは犠牲になっている感は否めませんが、それでも主要な判例はしっかり引用されていて、その法的見解には信頼感があります。

法務パーソンとして、ITビジネスの立ち上げにあたってのリスクを営業にアドバイスする初期段階にあっては、十分な内容と思います。

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