企業法務マンサバイバル

ビジネス法務に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きる皆様に貢献するブログ。

_ビジ法ケーススタディ

【本】企業法務判例クイックサーチ300 ― 判例から民法改正をオーバービュー


レクシスネクシス・ジャパンのO様よりご恵贈頂きました。ありがとうございます。





見開き2ページ、左側に論点/結論/事実関係/判旨を、右側に事実関係図/意義・射程/レファレンス(参考判例/関連法令の改正動向)をコンパクトにまとめた本。

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類書に『企業法務判例ケーススタディ300』があり、300という件数のみならずコンセプトは非常に似ていて、かなり対抗意識をもって編集されたであろうことが伺えます。かの本が一件あたり6〜8ページ前後を割いて解説しているところを、こちらは「クイックサーチ」の名のもとに、コンパクトさ・読みやすさを優先して全て2ページに割り切ったまとめ方をしているのが一番大きな違いでしょう。そういう意味で、まずは「企業活動において知っておくべきこういう判例があるんだ」というのを認識する初学者向けの本、と言って良さそうです。サーチというよりは「クイックオーバービュー」って感じでしょうか。

しかし、特徴がそれだけだったらちょっとこのブログでは紹介しなかったかも。私が地味にこれはありがたいなと思ったのは、右ページ下のレファレンス欄に、紹介判例と民法改正中間試案とのヒモ付をコメントしてくださっている点です。いや、ほんと1〜2行だけなんですが、時間を掛けて民法改正をフォローすることまでできていない不勉強な私にとっては、こういう整理は大変ありがたいです。

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基本的には民法改正に否定的な私にも、こういった判例の流れを受けて議論がなされていると聞けば、血が通ったもののように見えてくるから不思議です。
 

【ケーススタディ】社有車による通勤途中の交通事故により使用者が負う責任

ケース

宅配運送業者Xの従業員Yは、業務終了後X所有のトラックを運転して帰宅したが、その途中、前方不注意により小学生Zと接触事故を起こした。
Zは大けがをし、治療費として250万円の支出を余儀なくされたため、Zの両親はXおよびYを相手に訴訟提起を検討している。
なおXは、Yが通勤にトラックを利用していること知りながらも黙認していた。


問題

設問(1)
Zとその両親がX・Yに損害賠償請求する際に根拠とする条文を挙げよ。

設問(2)
Zとその両親の請求は認められるか。結論と理由を述べよ。

設問(3)
XがZとその両親に250万円を損害賠償として支払った場合、XはYにその全額を返還請求できるか。

設問(4)
事故の原因として、Zが道路にはみ出して遊んでいたことにもあるという事実が判明した。この場合、XおよびYの賠償責任はどうなるか。


回答

設問(1)
・民法 709条
・民法 715条
・自賠責法 3条

設問(2)
一般不法行為責任の判断ポイントとしては、
仝充造紡山欧発生していること
■戮旅坩戮搬山欧箸隆屬琉果関係
Yの行為に故意または過失の存在
ぃ戮旅坩戮琉稻\
の4点が挙げられる。
 ↓◆↓い砲弔い討狼掴世陵消呂なく、Z側の立証も容易と思われる。
一方についてはYの前方不注意という過失をどのように立証するかの問題が残るが、これについては運行供用者責任の問題として後述する。

次に、使用者責任についての判断ポイントとしては、
。戮防塰々坩拈嫻い認められるか
■悗硲戮忙愆命令関係が存在しているか
Yの行為がXの事業の執行としてなされたか否か
の3点が挙げられる。
,砲弔い討榔森垓〕兌埓嫻い量簑蠅箸靴童綵劼垢襦
また△砲弔い討狼掴世陵消呂ない。
残るについて、社有トラックによる通勤がこれにあたるかどうか議論の余地はあるものの、Xがこれを黙認していたことから、使用者責任は成立すると考える。

最後に、運行供用者責任についてであるが、Xは自賠責法3条にいう「自己のために自動車を運行の用に供する者」にあたるため、同上但書に定める「自己及び運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと」立証できなければ、無過失で不法行為責任を負う。一般不法行為責任の検討で述べたYの前方不注意の過失の有無についての立証責任も、この運行供用者責任でZからXに転嫁されることとなる。
従い、この点につき立証ができなければ、Zおよび両親の損害賠償請求は認められると考える。

設問(3)
全額は請求できないと考えるべきである。
自賠責法4条によっても適用されることが明記されている民法715条3項により、Xは行為者Yに求償することは可能である。しかし、使用者責任とは他人を使用して利益を得るものに応分の危険を負担させる主旨の責任である。XもYを使用することにより利益を得ている以上、Yの責により発生した損害全額を常にYが負担するのでは公平性を欠く。
従い、XがYに請求できる損害賠償額は一定限度に限られる。

設問(4)
被害者であるZにも過失があり、それが損害の発生・拡大の一因となっている場合には、過失相殺が認められる場合がある。
過失相殺において被害者Zの事理弁識能力の有無が検討対象となるが、小学生であれば一般に道路にはみ出して遊んでは危ないということが判断できる程度の事理弁識能力は認められると考える。
従い、XおよびYの賠償責任は過失相殺により減殺される。


要復習ポイント(自分用メモ)

・不法行為成立の4要件
・事理弁識能力
 小学校2年生について交通の危険に関する事理弁識能力有と
 認定された最高裁判例がありました。

(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case24を基に検討)


10月28日から46日間に渡り毎日取り組んだこのビジ法ケーススタディも、ようやく本日をもって全caseを終えることができました。
長かったです・・・。

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【ケーススタディ】納入予定の部品焼失に対する責任

 
ケース

メーカーAと商社Bは20年にわたる取引関係にあったが、契約書はとくに作成していなかった。
AはBからC社製の部品Xを購入したが、納期の3日前、Bの倉庫が隣接する工場からの延焼により被害を受け、調達してあった当該部品Xも焼失してしまった。
Bでは納期までに部品を納入することは不可能とのことであったので、Aは他の商社をあたり、D社製の部品Yを調達した。


問題

設問(1)
Aは債務不履行責任に基づき損害賠償請求をしたが、Bはこれを拒絶している。A・B双方の主張の根拠を上げ、その妥当性を述べよ。

設問(2)
Bに債務不履行責任が成立することを前提として、Aが部品の調達に失敗したことにより客先に製品を納入することができず、当該客先に対し損害賠償をせざるを得なくなった場合、この賠償額をBに請求できるかを検討せよ。


回答

設問(1)
A社の債権を制限種類債権と捉えるか、種類債権と捉えるかにより、責任が異なる。
Bの給付の内容がB倉庫内の部品に限定されていた場合は、制限種類債権と考えられ、Bの債務は履行不能となる。Aは履行不能となったことにつき損害賠償請求をするわけであるが、Bに責任のない第三者の失火による部品の焼失であるので、Bは損害賠償義務を負わないと考える。
これに対し、Bの給付の内容をB倉庫内の部品に限定しない種類債権と捉えれば、他から入手が可能である限りBの債務は履行不能とならず、履行遅滞の問題となる。この場合履行遅滞の損害賠償の算定根拠としては、Aの部品調達コスト、部品Yと部品Xの代金の差額などが考えられる。

設問(2)
Aが客先に支払った損害賠償額は転売利益を含んでおり、特別損害にあたる。
Aが部品Xを用いて客先への製品を製造すること、および部品Xが納入されないことで製造が立ち行かなくなることをBとして予見しまたは予見しえたのであれば、Aはこの特別損害についても損害賠償を請求できると考える。


要復習ポイント(自分用メモ)

・種類債権・・・履行不能
 制限種類債権・・・履行遅滞


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case23を基に検討)


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【ケーススタディ】作業所内での事故に対する損害賠償責任

 
ケース

Xの作業所内で、Xの従業員がクレーン車を使用して物を運んでいたところ、物が落下し、従業員数名が負傷した。


問題

設問(1)
Xは負傷した従業員に対してどのような責任を負うことになるか。

設問(2)
Xが負傷した従業員に対して賠償をした場合、Xは他者に対しどのような請求ができるか。


回答

設問(1)
まず第一に、不法行為責任としての使用者責任と運行供用者責任の成否を検討する必要がある。使用者責任については、クレーン車を操作する従業員の選任・監督に相当の注意をしたこと、または相当の注意をしても損害が生じたことを証明すれば、使用者責任は免責される。運行供用者責任に関しては、クレーン車が自動車にあたるか、Xが運行供用者にあたるか、クレーンの操作が運行にあたるかが問題となる。
次に、債務不履行責任としての安全配慮義務違反の有無を検討する。Xとしての安全管理の不備と損害との因果関係が立証されれば、損害賠償義務を負うこととなる。
最後に、労働基準法上の補償義務について検討する。クレーン車の操作が労働として行われていたものであれば、労働災害としてXの故意・過失・安全配慮義務の有無にかかわらず無過失責任を負うこととなる。

設問(2)
請求の可能性を検討しうる他者としては、クレーンを操作していた従業員、クレーン車の販売業者・製造業者が挙げられる。
クレーンを操作していた従業員に対しては、従業員に故意または過失が認められれば求償が可能である。クレーン車の販売業者に対しては、事故の原因がクレーン車の瑕疵に起因するものであれば、売買契約上の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求が可能と考えられる。製造業者に対しては、製造物責任の追及も検討しうる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・自賠法3条 運行供用者責任


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case22を基に検討)


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【ケーススタディ】OEM製品の欠陥により生じる法的責任

 
ケース

Xは、平成20年1月より、電動ドリルの生産をYに委託し、製品に「Xスーパードリル」という表示を付して販売していた。
商品につけていた保証書には、購入後3年間の製品の無償補修が規定されていたが、それ以外の保証については記述されていなかった。
平成20年12月3日、工務店ZはXからこの商品を購入し従業員に使用させていたが、平成20年2月1日に、建設現場で、工務店Zの従業員Aが、このドリルで鉄板に穴を開けていたところ、突然ドリルの先端の金属が折れ指を負傷した。


問題

設問(1)
Aは、誰に対しどのような責任を追及できるか。

設問(2)
工務店Zは、誰に対しどのような責任を追及できるか。


回答

設問(1)
Aは、XおよびYに対しては製造物責任および不法行為責任を、Zに対しては安全配慮義務違反による債務不履行責任および不法行為責任を追及できる。
本件の場合、Xスーパードリルは製造物にあたり、XとYは製造業者等にあたる。Aが使用した態様はドリルを鉄板の穴あけに使うという通常かつ合理的な使用方法であり、購入後間も無く破損していることから欠陥が認められる可能性がある。これが欠陥と認められ当該欠陥によりAが負傷したのであれば、Aはその製造物の製造業者であるX及びYに製造物責任を追及できる。あわせて、Xに対しては欠陥のある商品の販売、Yに対しては欠陥のある商品の製造という過失により指を負傷したとして、不法行為責任を問うこともできる。
また、使用者であるZに対しては、欠陥のあるドリルを労働者であるAに使用させたことについて、安全配慮を欠く行為と主張し、債務不履行責任および不法行為責任を追及することができる。

設問(2)
Zは、XからXスーパードリルを購入しているので、Xに対し売買契約に基づく債務不履行責任を追求することができる。
また、Yに対し欠陥のある商品を製造したことにつき過失があったとして、不法行為責任を追求することができる。
加えて、Aの負傷により拡大損害が生じていれば、ZはXおよびYに対し製造物責任を追及することも可能である。


要復習ポイント(自分用メモ)

・不法行為責任の追及を忘れないこと。


参考文献

・製造物責任について(P490〜)
 


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case21を基に検討)


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【ケーススタディ】プラントにおける瑕疵に対する契約解除権と損害賠償請求権

 
ケース

化学製品メーカーXは、平成19年12月にプラント製造業者Yに新工場製造ライン建設の見積もりを依頼し、XY間で仕様、納期、契約金額等を合意し、Xは以下概要の注文書をYに発行、第1回の支払いがなされた。

                       平成20年2月1日
Y株式会社御中
                        X株式会社
                        代表取締役A

下記の通り、注文いたします。
             記
1)品名        化学製品製造ライン一式
2)仕様        別添仕様書のとおり
3)契約金額     840,000,000円
4)支払条件     平成20年2月10日 84,000,000
            検収後90日以内 756,000,000
5)納期        平成20年8月末日
6)納期遅延に対する損害賠償
            1週間につき契約金額の0.5%

Yは納期に従い平成20年8月1日にプラントをXの新工場に据付け、試運転を行い機械は正常に稼動したが、仕様書で要求される生産量は達成できなかった。
その後、3ヶ月に渡りプラントを調整するも、仕様書の要求生産量を5%下回る生産量となっている。

Xは、性能未達成を理由に残代金の支払いを拒み、平成20年12月、Xは契約解除と損害賠償を求める通告をYに出した。
Xは今もプラントを稼動させ、製造・販売を継続している。


問題

設問(1)
Xからの契約解除の通告は適法・有効といえるか。

設問(2)
YはXに対し、損害賠償にどの程度応じる義務があるか。


回答

設問(1)
適法・有効とは言えない。
本件請負契約において締結された注文書を見る限り、瑕疵担保責任に関する特約も解除に関する特約も設けられていないため、YはXに対し民法上の責任のみを負うこととなる。
この場合、プラントのような土地工作物については、瑕疵がありそれにより契約目的を達成できない場合であっても、Xは契約解除できない(民法635条但書)。

設問(2)
生産量につき仕様を5%下回った点につき、損害賠償に応じる義務がある。
この金額算定方法としては、
\源採未鯏初仕様の95%と想定したプラントの建設見積もり
 金額との差額
■%を増産するためのプラント改築費用
プラントの設備寿命期間における5%減産分の逸失利益
の3つが主に考えられるが、Yとしては,泙燭廊△了残衒法により交渉を行うべきである。
なお、納期遅延についてのみ注文書において損害賠償額を予定しているが、本事案においては8月1日に据付が完了し、Xによる製造・販売も開始されていることから、納期遅延の損害賠償に応じる義務はないと考える。


要復習ポイント(自分用メモ)

・前職時代にまったく同じようなトラブルに見舞われたことが
 あります・・・発注者側としてですが。
・民法635条但書 土地工作物の解除制限


参考文献

・請負契約 瑕疵担保責任の原則と土地工作物における例外の
 まとめ(P266〜)
 


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case20を基に検討)


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【ケーススタディ】従業員に対する住宅資金融資の回収

 
ケース
 
Xの従業員Yが、12月1日より無断欠勤している。
12月4日、Xは貸金業者による差押通知を受け、同時にYからも連絡があり、多額の借金があり退職したいとの意向を確認した。
XはYに住宅資金を貸し付けておりその残高が500万円である一方、社内預金残高100万円、解雇時点での未払い給与40万円、退職金800万円となっている。住宅資金貸付についてはYの自宅土地建物に抵当権が設定されているほか、Yの妻Aが連帯保証している。
Aによれば、Yは12月1日にXに出社するため家を出たまま連絡が取れていないとのことである。


問題

Xが住宅資金融資を回収するにあたって考慮すべき法律上の規制と、それに抵触しない形での回収策を述べよ。


回答

労働基準法第24条により、未払い給与および退職金については、賃金債権としてYに直接支払う義務を負う。
また、民事執行法152条および政令により、賃金債権はその給付額の4分の1および給与については33万円を超えて差し押さえることができない。
従い、まずは社内預金100万円について、Yの住所地宛て配達証明付き内容証明郵便により相殺通知を送付することにより、住宅資金融資と相殺する。
給与については、銀行振込にYが同意している場合は33万円を振込により支払い、残り7万円は支払いを留保しておく。全額現金払いの場合はYが出社しないことを理由として全額支払いを留保する。
退職金も、Yの請求がない以上、支払いを留保する。なお、支払い請求があった場合は労働基準法第23条により7日以内に支払う義務がある点注意を要する。
このような形でY本人の連絡を文書により回答期限を切るなどして待ち、Yの妻Aにも本人が連絡無い場合抵当権の実行またはAへの請求もあり得る旨伝え牽制しつつ、Y本人の意思を引き出すことにより、退職金債権と住宅資金融資残額との相殺を図るべきである。


要復習ポイント(自分用)

・民事執行法152条 差押禁止債権
 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の
 4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計
 費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める
 額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
 1.(略)
 2.給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの
性質を有する給与に係る債権
2退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、
その給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはなら
ない。

・民事執行施行令第2条
2賞与及びその性質を有する給与に係る債権に係る
 法第152条第1項の政令で定める額は、33万円とする。


参考文献

・Amazonから届いたばかりでまだ詳細まで読んでないんですが、
 早速民事執行法が出てきたので。



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case38を基に検討)


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【ケーススタディ】保全命令対象物の引き揚げ

 
ケース

大規模スーパーを営むXは、業績不振により平成20年12月6日に会社更生法の適用を申請し、同日、以下の通り裁判所の保全命令が発令された。

1.申立会社は、平成20年12月6日以前の原因に基づいて生じた一切の債権債務(従業員との雇用関係から生じたものを除く)を弁済してはならない。
2.申立会社は、店舗内にある商品・設備その他一切の財産について、所有権譲渡、担保権の設定、その他一切の処分行為をしてはならない。
(以下略)

Yは、Xと下記のような取引関係にあった。
。戮自社所有の在庫商品をXの店舗内に納入し、Xが自社の
 従業員を使用して、商品を販売する。
売上は日々Xに納めた上、毎月末に当月の売上金合計を集計し、
 そこから一定割合の手数料を差し引いて翌月20日にXからYに
 支払われる。

Yは上記保全命令により、平成20年12月6日以前の売上からYに支払われるべき金員の支払いが行われなくなると考え、損害拡大防止のため、X店舗内の商品の返還を要請することを検討している。


問題

設問(1)
Xが保全命令を理由にYの返還請求を拒んだところ、Yが「当社に所有権がある商品を返してもらえないのはおかしい」と主張している。
この場合、Xとしては、どのように反論をすべきか。

設問(2)
Yとして商品引き揚げを断行する際留意すべき点を挙げよ。

設問(3)
XとYが直接取引関係になく、中間業者Zが介在していた場合、Xとしては、Yの商品返還請求をとどまらせるために、どのような観点からの説得を行うべきか。


回答

設問(1)
保全命令において、「店舗内にある商品」の「一切の処分」が禁じられていることから、Yに所有権がある商品に対しても保全命令の効力が及ぶことを主張する。

設問(2)
Xの許可なく商品引き揚げを行うことは、住居不法侵入および窃盗等の犯罪となることから、Xより商品返還についての同意を書面で取り付けておくことが必要である。
なお、Xの同意があった場合でも、会社更生手続の中で詐害行為として取消を受ける可能性がある点注意を要する。

設問(3)
Yに商品返還をすることは、Yにとってメリットがないことを理解させる。
具体的には、YのZに対する売買代金債権は保全命令とは法的になんら関係がなく、Zに引き続き請求できるものであることを説明する。
加えて、保全命令を無視してYが商品を引き揚げれば、XがZに対し弁済する原資を生む商品がなくなるため、Zへの弁済がより困難となり、ひいてはZのYに対する弁済も困難になることを説明する。


要復習ポイント(自分用メモ)

・保全命令の文言を良く読み、対象物を特定することが大事。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case37を基に検討)


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【ケーススタディ】自動車売買における所有権留保の法的性質/処分禁止の仮処分の効果

 
ケース

信販会社甲は、自動車販売会社乙が望んだ場合、その顧客が甲のローンを利用できる加盟店契約(立替払い委託契約)を結んだ。
契約の内容は、乙から自動車を購入した顧客との間で甲がその顧客に代わり自動車代金を乙に支払い、顧客は甲に対してその立替金に手数料を加算した額を分割して支払うものである。
この立替払い委託契約には、甲が顧客に対する債権を保全できるよう、顧客が購入した自動車の所有権を留保する旨の特約をが定められている。

顧客丙が甲のローンを利用し、乙から自動車を購入した。契約に基づき、自動車の所有権は甲に留保されていたが、所有登録名義は丙とされた。
今回丙が甲に対する分割金の支払いを遅延したため、甲は自動車の処分禁止の仮処分の手続きをとり、その登録がなされた。ところがその直後、丙から第三者丁に自動車が転売されたということで、所有登録名義が丁に変更されたとして、所有登録名簿が丁に移転された。


問題

甲の担当者として、丙に対して自動車の返還請求を行うための法律上の検討を行い、丁を説得する法的理論を整理せよ(手続き上の問題点を除く)


回答

甲が設定した所有権留保と、転得者である丁への所有権の移転のどちらが優先するかが法律上問題となる。
甲は、丙との契約において、自動車に対し所有権留保特約を定め、分割金の支払金を遅延している立場であり、甲と丙との関係においては本件自動車は特約により甲に所有権が帰属しているといってよい。一方、丁も丙から本件自動車の所有権移転の登録を受けている。
自動車の所有権帰属については、所有登録制度が設けられており、即時取得よりも登録制度が優先される。従い、このような場合登録を先に備えた方が優先することとなる。
しかし、丁の所有権移転の登録は、甲が自動車の処分禁止の仮処分の登録を行った後に行われている。このことから、丁は甲に対抗できないというべきである。


要復習ポイント(自分用メモ)

・自動車の所有登録制度について。
 例えば本問のような所有権留保特約をつけて自動車を販売する
 場合、所有登録名義は購入者にしてしまうのが実務?


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case25を基に検討)


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【ケーススタディ】賃貸ビルでの失火責任

 
ケース

A所有の賃貸ビルにおいて、賃借人Bが火災を発生させ、Bの賃借部分、共用部分、賃借人Cの賃借部分まで延焼が拡大した。
このため、Cは動産に被害を受け、賃借部分で営業していた店舗を休止する事態となった。


問題


設問(1)
Aは、失火したBに対し、どのような責任を追及できるか。

設問(2)
Aは、Bとの賃貸借契約を解除できるか。できるとすればどのような法律構成によるか。

設問(3)
延焼被害を受けたCは、Bに対してどのような責任を追及できるか。

設問(4)
延焼被害を受けたCは、Aに対してどのような責任を追及できるか。


回答


設問(1)
貸室については、債務不履行責任を追及できる。
Bは、Aに対し、賃借した物件を善良なる管理者の注意をもって管理し、契約終了時に返還する義務がある。過失により火事を発生させた点において、Bはこの義務を果たしておらず、返還義務の履行も不能となる結果を招いた。この点につき、損害賠償を請求できる。
共用部に発生させた被害については、不法行為責任を問うことができる。
過失によってAに損害を与えた点、不法行為責任が発生するが、本件は失火であり、失火責任法に基づきBに重過失が認められなければ責任は追及できない。

設問(2)
賃貸借契約は解除できる。
火災により、賃貸借契約の目的物である貸室について、原状回復も不可能な程度に損壊しているのであれば、債務の本旨に従った履行が不可能であることを原因として契約解除は可能と考える。

設問(3)
不法行為責任を追及できる。
ただし、本件は失火であり、失火責任法に基づきBに重過失が認められなければ責任は追及できない。

設問(4)
債務不履行責任および土地工作物責任を追及できる。
Aは賃貸人として、貸室を使用できるよう提供し、かつ本件のような火災が生じた際も通常求められる範囲内において使用に耐えうる延焼防止・消火設備を用意すべき責任を負う。Cは、延焼被害の原因がこの様な賃貸人としての債務を果たしていないことにあるとして、Aに対し責任を追及することが可能と考える。
また、土地工作物の設置または保存の瑕疵により被害を受けた場合であって、その占有者が事故発生防止措置をとっていたときは、その工作物の所有者が無過失責任を負う。Cとしては、この土地工作物責任に基づきAに対し損害賠償請求を行うことも考えられる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・ビジ法1級って失火責任法好きですね。
・土地工作物責任も2回目。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case19を基に検討)


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【ケーススタディ】会社施設を一般開放する際の管理運営責任

 
ケース
 
自社工場の総務課から、次のような意見照会がきた。
法務担当として回答を検討せよ。


問題

設問(1)
夏休み期間中、工場のプールを地域住民に無料開放している。
ここで死亡事故が発生した場合、どのような責任を負うか。
管理における注意点はあるか。

設問(2)
工場のグラウンドを草野球チームに貸したところ、グラウンド外に飛んだ打球が歩行者にあたってケガをした。このような場合、工場に責任は発生するか。
管理における注意点はあるか。

設問(3)
工場に勤める剣道有段者が、体育館を利用して無料剣道教室を開きたいといっている。工場主催で開催をした場合、練習中の参加者のケガについて、どのような点に注意して運営すればよいか。


回答

設問(1)
無償ということで、有償の場合ほどの注意義務は発生しないと考えてよいが、施設の利用を認める者として、A工場には事故が生じないよう通常払うべき安全配慮義務を利用者に対して負う。
具体的には、施設の点検を行い、施設内における溺死・転倒等の危険を防止するための注意表示を掲示し、監視員をつけることが望ましい。

設問(2)
A工場が歩行者に対して負う責任として、土地工作物責任がある。グラウンドにフェンスがなかったり、高さが低い等の事実があれば、瑕疵と認められ、所有者として無過失責任を負うこととなる。
管理における注意点としては、このような瑕疵を修補しておくとともに、利用者から「グラウンド利用に際し第三者に損害を与えた場合、自己の責任と負担によりこれを解決し、A工場に損害、迷惑をかけません。」という主旨の一筆を確保しておくべきである。

設問(3)
無償ということで、有償の場合ほどの注意義務は発生しないと考えてよいが、A工場および講師である従業員には事故が生じないよう、通常払うべき安全配慮義務を利用者に対して負う。ここにおいて事故が発生した場合には、A工場は、債務不履行責任及び講師たる従業員の使用者責任を負う可能性がある。
運営における注意点としては、講師経験のある従業員を選任する、参加者の人数を限定し目を配れるようにする、練習時間を制限する等の安全配慮の徹底が望まれる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・土地工作物責任(民法717条)


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case18を基に検討)


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【ケーススタディ】火災発生時の調査項目

 
ケース

Xは、隣接するYから発生した火災の延焼で、工場が被害を受けた。Xの被害はXの所有物だけにとどまらず、Aから賃借していた高額の機械にも及んだ。さらにXが貯蔵していた石油に引火し、隣接するZにも被害が及んだ。幸い人身事故は発生しなかった。
Xは、保険会社Mに「自社工場に付保した火災保険(保険期間1年)は、Xの工場建物、設備、資材一式が対象となるものである」と主張した。
一方Mは「工場建物、設備、Xの所有資材については支払いの対象だが、賃借機械は契約時に申告されておらず、保険の対象には含まれない」と主張している。
Xはかつて保険会社Lに工場の火災保険を付保していたが、5年前に損害保険代理店Nを通じてMに切り替えている。その際、Nからは賃借物の取り扱いについては説明はなかった。その後、毎年同一条件で保険契約を更新しているものの、賃借物に関する契約書は作成していない。


問題

Xの法務担当として、Xの置かれた立場を分析するために、どんな事項について調査すべきか。


回答

・Yの失火について、失火責任法上の不法行為責任を負う重過失が
 認められるか。
・Aから賃借した機械に関する賃貸借契約において、危険負担特約
 がなかったか。
・Aから賃借した機械の時価および再調達価格。
・Aから賃借した機械の付保状況。
・Zへの延焼を招いたX保管の石油の保管態様について、過失が
 なかったか。
・Mの保険契約について、賃借機械に関する契約締結時の告知義務
 の有無、およびその内容。
・Nから賃借物の付保に関する説明がなかったことを明らかにする
 書面等の有無。


要復習ポイント(自分用メモ)

・失火責任法。なんだか懐かしい響き。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case17を基に検討)


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【ケーススタディ】抵当権・譲渡担保権・相殺の優劣/親子会社間の保証

 
ケース

銀行Xは、平成15年4月1日付けで、平成19年3月31日を最終返済期日とする10億円の金銭消費貸借契約をAと締結した。
Xは、この担保としてA本社の土地建物(以下本社物件という)に10億円の第一順位抵当権の設定をうけ、またAの筆頭株主であるBより極度額30億円の連帯保証金を取得した。
BのAに対する出資比率は37%で、Bの取締役2名がAの取締役を兼任しており、うち1名は代表取締役に就いている。

その後Aは、リストラの一環として、平成18年4月1日より月額賃料500万円、敷金6,000万円で本社物件をCに賃貸し、AのBの社屋を借り受けた。ところが、このようなリストラの甲斐なく業績は悪化し、また平成18年頃から高利金融に手を出していたことがBに発覚、Bが支援を打ち切ったため、平成18年12月末日に第1回手形不渡、平成19年1月に破産手続開始決定を受け、破産管財人Yが選任された。

Aは高利金融のZに対し、平成18年7月ごろCに対する将来の賃料債権を担保として譲渡しており、第1回手形不渡発生後、AよりCに対して内容証明郵便により賃料債権をZに譲渡した旨の債権譲渡通知が配達されていた。
CはAの破産手続開始決定後も本社物件を使用し続けているが、賃料は敷金の返還請求権と相殺すると主張し、支払いを留保している。
Xは、残債権5億円に対し、本物件の売却見積もり価格が2億円程度であるため、競売の申立は見合わせている。


問題

設問(1)
X銀行の立場から
)楴卻件にかかる賃料債権について、いかなる権利行使が可能か。
賃料債権を担保として譲り受けたZ社に対して、どのような主張
 が可能か。
H紳从銚△鬚發辰督体岨拱Гさ遡海料蟷Δ鮗臘イ垢襭辰紡个靴
 どのような主張が可能か。

設問(2)
破産管財人Yは、Zの債権譲渡担保に対し、いかなる対抗手段を取りうるか。

設問(3)
Cの賃料支払い留保に対し、破産管財人Yはどのように争うことができるか。

設問(4)
X銀行がBから保証を取得する際に留意すべき事項は何か。


回答

設問(1)
…馘権に基づき、物上代位によりCに対して賃料の支払いを求めることができる。
■擇脇碓貂銚△砲弔譲渡担保の対抗要件を先に具備しているが、民法304条の「払渡または引渡前」には債権譲渡は含まれないと主張し、抵当権に基づく物上代位の差押はZの譲渡担保権に対抗できると考える。
I澡睚峇埓禅畍△鰐榲物の返還時に発生することから、賃料債権を差し押さえることにより、Cが賃貸人であるAに対して有している敷金返還請求権による相殺には対抗されない。

設問(2)
Zに対し、破産法72条に基づき、Aによる債権譲渡担保権の設定とその通知について否認権を行使することにより、Zに対抗できる。

設問(3)
Cの相殺の主張に対し、Yとしては、相殺適状にないことをもって対抗する。破産手続開始決定後に敷金返還請求権が権利として発生してはじめて、Cはこれを自働債権とする相殺が可能となると考えるべきである。

設問(4)
Bの取締役会による承認を得させ、その取締役会の議事録を確認することが必要である。
Bの取締役2名がAの取締役を兼任し、うち1名は代表を務めており第三者のために会社と取引を行う間接取引として無効を主張されるおそれがあること、およびBのAに対する保証が多額の借財に該当し、取締役会の決議が必要であることが考えられるからである。


要復習ポイント(自分用メモ)

・抵当権に基づく物上代位は債権譲渡担保より優先
・敷金返還請求権は目的物の返還時に権利発生
・破産法の否認権
・子会社の取引に関する親会社としての取締役会決議の有無確認


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case36を基に検討)


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【ケーススタディ】債権回収手段としての他契約履行拒絶

 
ケース

平成20年11月30日、XはYに対し、内装工事を3,400万円で発注した。
請負代金の支払期日は平成21年5月末日と定められ、Yはこの工事(第1工事)を4月までに完成させ、Xに引き渡した。
さらに、Yは追加で別の内装工事(第2工事)を5,500万円でXに発注し、こちらは7月10日までに引き渡すこととなっていた。
ところがYは、第1工事の代金支払期日の1週間前になって、「5月末日に払うことはできない。とりあえず3分の1を払うので、残りは8月〜10月の間に3分割して払う。」と提案してきた。
Yはこの提案を固辞したが、Xも譲らず、支払期日の5日前の5月26日に第2工事を一時中止し、第1工事の代金支払いをXに求めた。
ところがXはなおも分割弁済案を撤回しないため、Yは5月28日に第2工事の履行意思がないことを伝え、いつでも再開できる範囲で工事を撤収した。
そこでXは、Yに対し、第2工事の請負契約を解除することを伝え、第2工事をZに発注した。


問題

設問(1)
請負代金債権の時効期間は何年か。

設問(2)
Xは、Zに発注しなおさざるを得なくなった結果、
・Yの中途工事解体
・新たな図面作成
・Zへの発注代金
合計7,300万円の損害賠償をYに対して請求した。
Yはこれを支払わなければならないか。


回答

設問(1)
3年(民法170条)

設問(2)
支払う必要はない。
Xが第2工事を中止した理由は、Yが負う第1工事の代金支払い債務が不履行になっているためであるが、これは第2工事についてXが同時履行の抗弁を主張できる原因とならないのが原則である。
しかし、第1工事と同様Xが先履行義務を負い、さらに請負代金額も増加している第2工事について、第1工事の不履行の状況から再び不履行となる可能性が高いにも関わらず、Xに一方的に先履行を求めるのは公平に欠けるものであり、Xにはいわゆる不安の抗弁を認めるべきである。
Xは第1工事を期日どおり完了しており、また第2工事の中断についてもいつでも再開できる形で中止しつつYに協議を呼びかけており、信義則上も問題無く、Yが主張する損害賠償について帰責性は認められないと考える。


要復習ポイント(自分用メモ)

・請負代金債権の時効期間は3年
・不安の抗弁


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case35を基に検討)


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【ケーススタディ】個人保証・不動産担保がある場合の緊急時債権回収

 
ケース

Xが取引しているA社について「営業不振で資金繰りに窮している。メインバンクのY地銀が手を引き、Z信金と取引するようになった。」との噂が聞こえてきている。
平成20年2月7日現在のXとAの取引状況は以下の通り。
1)債権残高
  2,700万円(売掛債権850万円/受取手形債権1,850万円)
2)個別契約
  Aからは2月出荷分として300万円の注文があり受注済み。
3)担保
  。措卍控擇咾修良磴慮朕擁歉據粉間及び限度額の定め無)
  ■舛猟蟯預金500万円に対する質権設定、預金証書
  Aの不動産に、順位4番極度額2,000万円の根抵当権設定
   登記。先順位は取引銀行2行と商社1社の根抵当権で極度
   額3億円
4)その他
  。愍ι覆蓮■舛惱于戮垢訃豺腓硲舛了愎淦茲膨樵する場合
   がある。
  ■舛箸蓮■惱蠶蠅稜簀禊靄楫戚鷭颪砲茲蠏戚鵑靴討り、
   3),慮朕擁歉擇呂修侶戚鷭颪悗力⊇陲砲茲襪發痢
  最近XはAより毎月150万円程度の商品を購入している。


問題

A社長より2月9日付け手形350万円のジャンプ要請が入った。手形ジャンプに応じ取引を継続したところ、Aの仕入先の一部が取引を打ち切り始め、Aの資金繰りが一層悪化、Aの常務でXに行為的なB氏から「一週間後に手形が不渡りになる」との情報がもたらされた。
法的に許される範囲で、どのような債権回収方法があるか。


回答

1)担保の再評価と回収不能債権の見積もり
3種類の担保のうち、Aの不動産の現在価値を試算した上で、質権設定している定期預金債権とあわせXのAに対する債権のうち回収不能となる見込み額を見積もる。
AおよびAの父の個人保証については、金融機関等にも同様の保証を差し入れていることは間違いなく、回収見込み額の試算に組み入れるべきでない。
2)売買契約の解除
個別売買契約及び売買基本契約の合意解除を行う。
3)商品回収の交渉
Xの商品がA及びAの指図先にあれば、Aの承諾および指図先の承諾を得た上でいち早く回収する。
4)代物弁済の交渉
現金はないことが予想されるので、他の在庫商品等による代物弁済に応じられないかを交渉する。
5)相殺
XはAより毎月150万円の商品を購入していることから、相殺適状にある債権債務を相殺すべく、Aに対し配達証明付き内容証明郵便で相殺通知を送付する。
商品の必要性にもよるが、Aからの商品購入の代金債務を増やすことで相殺額を増やすことも検討する。
6)仮差押・仮処分の申立
状況によりAの財産散逸を防止すべく、Aの財産および在庫商品に対し仮差押及び仮処分を申し立てる。



要復習ポイント(自分用メモ)

・特になし。ケース設定細かい割に論点が少ないですね・・・


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case34を基に検討)


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【ケーススタディ】中古トラックの故障に伴う損害賠償請求と支払拒絶

 
ケース

Aは自動車の販売会社である。
Aは、運送会社Bに対し新車登録から1年半経過した中古トラックを1年前に販売したが、このたびそのトラックの修理依頼を受け、サービスセンターで修理をさせることにした。故障の内容ははっきりせず、Bいわくエンジンに不具合があるとのことであった。
仕事にすぐ使用するとのことで、エンジンを洗浄し調整を行う応急措置で対応し、BのX課長もエンジンをかけて問題ないと判断したようですぐ受け取って帰った。
ところが一週間後、X課長から電話があり、「運送途中でエンジンが再度トラブルを起こし、荷物が運べない。生鮮食料品なので損害が出たら弁償してもらう」と通告してきた。


問題

設問(1)
エンジンのトラブルにより、Bは運送期限を守ることができず、荷主から1,000万円の損害賠償請求を受けたため、Bはその全額をAに請求してきた。Aとしてはどう反論すべきか。

設問(2)
Bはトラックの代金を3年分割で購入しており、残り2,000万円のうち1,000万円をこの損害賠償と相殺する旨通告してきたが、Aはこれに応じなければならないか。

設問(3)
Bは損害賠償に応じないなら残額2,000万円の支払いを停止する旨申し入れてきた。A社としてどのように反論すべきか。

設問(4)
Bがクレジット会社を利用して分割払いをし、Aはクレジット会社から代金全額をすでに受領している。設問(3)のケースのようにBが支払いの停止を主張した際、クレジット会社の社員としてはどのように反論するか。


回答

設問(1)
まず、中古トラック売買契約の瑕疵担保責任について整理する。
販売後1年間は特にトラブルがなかったことから、当該エンジンの故障は隠れた瑕疵と考えることができる。Bは瑕疵の存在を知ってから6箇月以内であればAに対し損害賠償または解除を請求できる。
今回Bは損害賠償を請求しており、その範囲が運送契約が履行できなかったことによる損害を含むかどうかが争点となっている。売買契約の瑕疵担保責任の範囲は条文上明らかではないが、判例上は原則として買主が瑕疵を知らなかったために被った損害(信頼利益)、通常は修理費用相当額の損害賠償に限られ、瑕疵があったためにすでに契約のできていた運送が履行できず利益を得ることができなかったことについての損害(履行利益)までは請求できないとされる。これをもって、Bに反論すべきである。
次に、中古トラック修理サービス契約における債務不履行責任について整理する。
債務不履行による損害賠償の範囲には、信頼利益だけでなく履行利益として債務者が予見しうる特別損害も賠償の対象となりうる。今回、この予見可能性については運送会社で使用するトラックであること、仕事で用いていることを聞いていること等から、予見可能性はあったと言えなくもない。
一方、A社は、Bから指定された限られた時間内でできる修理を施し、しかもBの責任者の確認を経て修理したトラックを引渡している。この修理サービス契約の履行においては、Aの故意または過失はなかったと考えられ、このことから債務不履行責任はそもそも存在しないことを主張すべきである。

設問(2)
上記(1)検討の結果、Bの損害賠償請求を認めるのであれば、相殺適状にはあるため相殺に応じることとなるが、受け入れないスタンスであれば応じずに請求をすべきである。

設問(3)
Bの主張が瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求であれば、これを有効と受け入れた場合には代金請求権と同時履行の関係に立つため、Aはそれ以上の代金の支払いを請求することはできない。
一方、Bの主張が債務不履行責任に基づく損害賠償請求であれば、これを有効と受け入れた場合であっても同時履行の関係に立たない。従い、Bが相殺をしない以上あくまでBは履行遅滞を発生させていることになる。従い、Aとしては相当期間をおいて履行を催促し、それでも払わなければ契約解除および損害賠償請求を行うこととなる。

設問(4)
クレジット会社の社員としては、Bに対して支払いを請求しうる。
中古トラックは自動車の売買であり指定商品である。割賦販売法30条の4に定める抗弁権の接続により、Bに瑕疵担保責任上の損害賠償請求権が認められればそれとの同時履行を主張し、販売会社Aに対し抗弁を出すことも検討する必要があるが、本件中古トラック売買は購入者Bが商人であり付属的商行為となるため、同条4項2号により適用はされないためである。


要復習ポイント(自分用メモ)

・今更ながら信頼利益・履行利益・通常損害・特別損害の関係が
 はっきり語れない。特に履行利益と特別損害の関係が?
・請求原因の違いによる同時履行の抗弁可否
 ―瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求→抗弁可(民法576条)
 ―債務不履行責任に基づく損害賠償請求→抗弁不可
・割賦販売法30条の4 抗弁権の接続 は全く知らず。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case16を基に検討)


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【ケーススタディ】量産品のティーカップ/工芸品の茶器に対する不良クレーム対応

 
ケース

Yは、高級食器や美術的工芸品を販売する専門店を経営している。
顧客Aより、Yに対し「ティーカップの把手が突然取れた。1年しかもたないのは不良品である。新しいカップに替えて欲しい。」とのクレームがあった。Aには1年前にYの店舗で英国製のティーカップとソーサーのセット一組を15,000円で販売していることが分かっている。
また同日顧客Bから「まだ一度も使用していない茶器にヒビが入っていた。最初からあったヒビだと思うので返品したい。代金を返して欲しい。」とのクレームがあった。Bには2日前に志野焼の茶器1点を30万円で販売している。


問題

設問(1)
Aの請求の法的根拠について評価し、どのような現実的対応をとるべきか述べよ。

設問(2)
Bの請求の法的根拠について評価し、どのような現実的対応をとるべきか述べよ。


回答

設問(1)
Aに販売した英国製カップとソーサーのセットは不特定物である。不特定物の売買契約においては、引き渡した時点で商品に明らかな欠陥がありそれを引き渡したことにYの責めに帰すべき事由がある場合には、不完全履行として債務不履行責任を負うことになる。債務不履行責任が認められれば、Aが請求する代替品への交換も完全履行請求権の一つとして認められうる。
1年経過してからこのような欠陥を主張してきている点は多少の悪質性を感じるが、債務不履行責任の消滅時効は10年間であり、法的には責任が発生しうる。
具体的な対応としては、債務不履行の不存在の立証責任がYにあることもあり、Aに引き渡したカップが元々欠陥商品であったのか否かを明らかにする。カップをAから預かるなどして使用状況を調査するほか、カップに構造上の欠陥はなかったか、同じロットで生産されたカップで同様の事象が発生していないか等調査の上で、欠陥が無いと証明できることが確認できるかどうかを確認し、その結果をもってAの要求に応じるか否かを検討する。

設問(2)
Bに販売した志野焼の茶器は特定物である。特定物の売買契約においては、瑕疵があった場合には無過失で瑕疵担保責任を負うことになる。瑕疵担保責任が認められれば、法定の損害賠償請求権として代金の返還請求も認められうる。請求の時期としても、瑕疵担保責任は特約の無い限り1年間であるので問題ない。
具体的な対応としては、瑕疵の不存在の立証責任は本来Bにあるものの、茶器をBから預かるなどしてこれを調査し、梱包・運送にあたり問題はなかったか、引渡し時において明らかに目視で確認できるヒビはなかったのか販売員に確認するなどの調査を行い、その結果をもってBの要求に応じるか否かを検討する。


要復習ポイント(自分用メモ)

・不特定物の欠陥は瑕疵担保責任ではなく、債務不履行責任と
 して対応


参考文献

・売買契約における売主の担保責任―債務不履行責任と瑕疵担保
 責任の比較(P121〜152)。



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case15を基に検討)


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【ケーススタディ】食中毒クレームへの対応と法的責任

 
ケース

Yが経営するレストランで、家族3人で食事をしたXから翌朝
「昨夜のレストランの食事が原因で家族が食中毒にかかった。妻は入院している。」
と連絡が入った。
レストラン部門からは、
「これから出向いてお見舞いをしつつ、詳しい事情を聞こうと考えているが、対応において法的に留意すべきことはあるか。」
「今後、損害賠償請求等どのような展開が予測されるか。」
との問い合わせがあった。


問題

設問(1)
法的見地から、レストラン部門が顧客Xに会って確認すべき事項は何か。

設問(2)
Xに最初に接触する際、どのように接し、Yの法的責任についてどのような見解をもって言及すべきか。

設問(3)
Xとその家族以外に検査すべき対象、確認すべき事実と相手方を述べよ。

設問(4)
食中毒の原因がYのレストランの食事にあった場合、XはYに対し損害賠償請求をなしうるが、その法的根拠を3つ挙げよ。

設問(5)
Xらが法的に賠償請求しうる損害の項目を列挙せよ。


回答

設問(1)
・食事をしてから発症にいたる経緯
・診断内容(診断書)
・嘔吐物の提供可否
・現在の病状
・当日の他の食事内容
・既往症、アレルギー等の有無
・通院/入院の見込み日数
・発症者の職業

設問(2)
病状についてお見舞いし、レストランの食事に原因があったのであればお詫びをしたい旨、断定的にならないように気をつけつつまずは謝意を述べる。そして、レストランの食事に原因があったのかどうかを調査中であること、調査結果については専門家等も起用し真摯に検討し改めて報告する旨申し伝える。
敵対的なムードをなるべく解消し、むしろ相手方から詳しい経緯や周辺情報を提供してもらえるような関係作りに配慮し、相手の発言を記録しておく。
Yの法的責任については、事実関係を明らかにし食中毒の原因物質がレストランの食事にあったと判明したときは、補償その他損害賠償について改めてご相談させていただきたい旨にとどめ、否定も肯定もしないようにしておく。

設問(3)
・レストラン内の食材、器具の検査
・調理師、配膳人の検査
・主治医へのヒアリング
・保健所へのヒアリング

設問(4)
・債務不履行責任(民法415条)
・製造物責任(製造物責任法)
・不法行為責任(民法709条)

設問(5)
・通院費
・入院費
・入院雑費
・交通費
・休業損害
・慰謝料


要復習ポイント(自分用メモ)

・所轄保健所への類似事例ヒアリングは思いつかなかった。
・料理でも製造物責任が追求できる。
・入院雑費 裁判上は1,300円〜1,500円の確定金額で請求できる。
・休業損害は学校に通学する者については請求できない。
・後遺障害が残れば、逸失利益や後遺障害慰謝料請求の可能性も
 ある。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case14を基に検討)


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【ケーススタディ】模倣製品への法的対応

 
ケース

Aは、PCとソフトウェアの開発・製造・販売を行っている。
AのPCは独自のデザインが人気で、販売も好調である。また、プレインストールされているソフトウェアも使い勝手がよいと、このPCの競争力を生んでいる。


問題

設問(1)
Aのパソコンのデザインを真似たPCがBより販売された。
Aの法務担当として、どのようなアクションをAの経営者に提案すべきか。

設問(2)
Aのソフトウェアが違法コピーされ、Cから違法コピーソフトウェアが販売された。
Aの法務担当として、どのようなアクションをAの経営者に提案すべきか。

設問(3)
Aの代表取締役は、DからAのパソコンに使用されている技術の一部がDの特許を侵害するとの警告書を受領した。
Aの法務担当として、どのような手順で対応すべきか。


回答

設問(1)
意匠権を設定登録していれば、これに基づく製造・販売の差止めおよび損害賠償をBに対し請求すべきである。
意匠権を設定登録していなければ、商品形態の模倣(不競法2条1項3号)として、不正競争防止法に基づき同様の請求を行う。
Bがこれらに応じないようであれば、販売差し止めの仮処分を申し立て、訴訟提起も辞さない意思を示す。

設問(2)
著作権法に基づく著作権侵害として、コピー・販売の差止めおよび損害賠償を請求すべきである。
Cがこれに応じないようであれば、訴訟販売差止めの仮処分を申し立て、訴訟提起も辞さない意思を示す。

設問(3)
Dが主張する特許侵害の内容について、Dの特許の内容を調査するとともに、具体的にAのPCのどの技術がDの特許を侵害しているのかを確認した上で、弁理士等に依頼し特許侵害の有無について法的な検討を行う。
特許侵害のおそれがあると判断した場合には、当該技術を使用せずに新しい技術を開発して製造するか、Dからライセンスを受けて製造を継続するか、第三者から同様の技術のライセンスを受けるかを比較検討する。
なお、Dの特許出願よりも先にAのPCが開発、販売されていたことを証明できる場合は、先使用権の抗弁を行うことも検討したい。


要復習ポイント(自分用メモ)

・不正競争防止法 商品形態の模倣
・先使用権の抗弁


参考文献

・商品形態の模倣について(P61〜72)



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case43を基に検討)


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【ケーススタディ】取引先の信用不安に対する対応方針決定プロセス

 
ケース

Xは、部品製造販売会社Yより部品を買い入れて小型機械を製造するメーカーである。
XはYから舞い月末締め翌月末全額手形払いの条件で部品を買い入れ、一方Yに対しても納入3ヵ月後振込決済を条件として製品を販売している。
そうした中、A銀行からYのXに対する売掛債権について1,000万円を限度とする仮差押通知が送達された。社長いわく、A銀行に追加担保を求められて交渉中になされたもので心外であり、営業に支障はないとのこと。
なお、仮差押決定受理時におけるXのYに対する未収金残高は600万円であった。
Xの小型機械製造にあたっては、Yの部品が不可欠である。


問題

設問(1)
Xとして、Yとの取引を継続すべきか否かを決定する判断材料として確認すべき事項は何か。

設問(2)
Xの対応選択肢を述べ、その判断にあたり考慮すべき事項を説明せよ。


回答

設問(1)
第一に、Y以外の部品調達先確保の可能性を確認することが必要である。
Yから買い入れている部品がXの機械製造に欠かせないものとなっていることから、Yとの取引が解消されても製造が継続できる代替品調達先を確保できなければ、Yとの取引を継続しないという選択肢は事実上選択できなくなる。
第二に、YのAに対する債務、およびYの財務状況を確認することが必要である。
A銀行が仮差押を実行するにいたったということは、YのAに対する債務について履行遅滞または履行不能となっている可能性が高く、さらにその他資産状況から任意弁済の可能性すらなくなっている可能性すらある。A銀行に対しどのような債務を負っているのか、履行状況その他財務状況を、調査機関による調査や社長、財務担当役員へのヒアリングによって確認すべきである。
第三に、XのYに対する債権債務を確認する。Yからの未収金もあることから、相殺適状にある債権債務の金額を確認しておく。

設問(2)
代替品調達先が無い場合は、Yに対する支援を検討する必要がある。
Yの財務状況を確認の上、A銀行に対する債務の代位弁済、運転資金の融資、新株引受等により、Yの営業を継続させXへの部品供給を確実にしておく。
代替品調達先が確保できる場合は、Yの財務状況により取引停止を検討する。相殺後の残債権額に応じ追加の担保権の設定交渉を行い、Yがこれに非協力的な場合には、仮差押を検討する。


要復習ポイント(自分用メモ)

・参考答案では、選択肢検討にあたり代替品調達先の確保は最優先
 事項とされていないが、自分の答案の方が自然かなと思う。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case33を基に検討)


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【ケーススタディ】動産売買における未払代金回収の手段

 
ケース

AはBに家庭用品1,000万円分を販売したが、代金未払いのままBは破産手続開始決定を受け、破産管財人Yが選任された。
Aの営業担当Xは、Bの代表取締役Pから、販売した家庭用品のほぼ全数が展示されたまま100店舗ほどに分散保管されているとの情報を得た。またPは、他の債権者Zが、破産手続開始決定直前に、Pの承諾を得て展示品の一部を代物弁済として持ち去っていることについても、詳細な説明は拒みながらも認めている。


問題

設問(1)
Xとして、実務上なにをすべきか、考えられる事項を答えよ。

設問(2)
法的整理手続きが開始していなかった場合に、実務上なにをすべきか、(1)と同様に答えよ。

設問(3)
Bが個人事業主の場合などで、破産後の就職による給与収入等により破産手続開始決定後に新たに財産を取得している場合、Aはこの財産から任意弁済を受けられるか。


回答

設問(1)
・書証等の確認
A商品販売時の契約書、納品書、受領書等伝票類が存在しているかどうかを確認する。
・B社資産状況の確認
B社の負債総額や現有資産を確認し、回収可能性を検討する。
・B社に対する債務の確認
相殺による回収可能性を検討するため、AのBに対する債務の有無を確認する。
・破産管財人との交渉
Yに対し、展示されている商品およびZに代物弁済として引き渡した商品について、書証等を用い動産売買の先取特権が成立する旨を主張し、保全の必要性を理解させる。
可能であれば、Yの承諾の上展示商品の引き上げを実施させてもらう。その際、破産管財人に対しては、破産後に売却し換価するよりもAにこれを返還し破産財団を縮小した方がメリットがあることを主張する。

設問(2)
・商品回収の交渉
売買契約の合意解除を行い、Bの承諾を得た上で、いち早く商品を回収する。
・代物弁済の交渉
現金はないことが予想されるので、他の在庫商品等による代物弁済に応じられないかを交渉する。
・担保権の設定交渉
Bと交渉し、他のB在庫商品について動産譲渡担保を設定させAによる占有を認めさせる交渉を行う。
・詐害行為取消権の行使
ZへのA商品の引き渡しについて、Zに対し詐害行為取消権に基づくBへの返還請求を行う。
・仮差押・仮処分の申立
特にBが協力的でない場合は、Bの財産散逸を防止すべく、Bの財産および在庫商品に対し仮差押及び仮処分を申し立てる。

設問(3)
任意弁済を受けることが可能である。
破産手続開始決定後の新得財産は、破産者が自由に処分できる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・破産管財人に保全の必要性を理解させ、破産管財人による換価
 処分が破産財団にデメリットを与える点を理解させる。
・他社商品に対する動産譲渡担保権の設定+占有までは検討でき
 ず。
・破産手続開始決定後の新得財産による任意弁済は可。


参考文献

・取引先の在庫商品から債権を回収する際のセオリー/書式
 (P199〜202)



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case32を基に検討)


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【ケーススタディ】有価証券(手形・株券)盗難時の対応

 
ケース

甲の従業員Xが出社すると、会社の金庫が荒らされ、
・取引先Aから担保として預かっていたA名義の上場株券
・取引先Bが振り出した約束手形
が盗まれていた。
Xは直ちに警察に盗難届けを提出し、株券については、C証券に株券の銘柄・記番号・名義人等を伝え、持ち込まれても売却に応じないよう依頼した。


問題

設問(1)
盗まれた約束手形について、甲として取るべき行動を述べよ。

設問(2)
数日後、盗まれた株券が第三者によりC証券の支店に持ち込まれ、証券取引所を通じて売却された。
当該株券は、C証券が売方、D証券が買方となって取引が行われ、C証券がD証券から受け戻し(事故のない株券と差し替え)、C証券が保管している。
甲はC証券に対し、いかなる請求ができるか。Cからの反論とあわせて述べよ。


回答

設問(1)
まず取引先Bに連絡し、取引銀行に対し事故届けをしてもらうよう要請する。これにより、取引銀行が当該手形の支払いを拒絶することが期待できる。
同時に、裁判所に対し公示催告を申立て、除権決定を取得する。これにより、除権決定以後に手形を善意で取得した者に対しても対抗できる。

設問(2)
甲としては、まず第一に所有権に基づく株券返還請求を行うべきである。
これに対しCからは、Dに売却した時点でDが株券を善意取得している旨反論してくる可能性がある。(会社法131条)
続いて、株券の売却に応じないよう依頼したにもかかわらず売却したことについて、債務不履行に基づく損害賠償請求を行うことが考えられる。
これ対しCからは、売却に応じない依頼を承諾していないことによる債務不存在を主張される可能性がある。
3番目の手段として、株券が持ち込まれた際に真の権利者であるか事故情報を調査せずに応じたことにつき、証券会社としての注意義務を果たしていないことについて、不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが考えられる。
これに対しCとしては、株券の占有者は適法な所持人と推定される(会社法131条)。このことから、そのような高度な注意義務・調査義務はない旨反論される可能性がある。


要復習ポイント(自分用メモ)

・公示催告申立→除権決定
・会社法131条(権利の推定等)
 1.株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を
   適法に有するものと推定する。
 2.株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式について
   の権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過
   失があるときは、この限りでない。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case13を基に検討)


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【ケーススタディ】継続的取引の打ち切り/契約締結上の過失

 
ケース

Xは、Aから商品Qを長年にわたり仕入れていたが、今回Bから大量に仕入れる場合には3%ほど有利な価格で、かつ納期も短縮する提案があり、Bと契約を締結したいと思っている。
Aとの契約は、期間1年の継続的供給契約であり、更新する場合はどちからかの会社が1ヶ月前に更新の申し入れをし他方が承諾することによって更新されることとなっていたが、実際は更新の申し入れも契約書の書き換えもないまま取引が継続していた。


問題

設問(1)
XはAとの契約を打ち切ることはできるか。できるとすればどのような点に留意すべきか。

設問(2)
Bと契約することを前提に条件交渉にはいってしばらくして、Aより「契約を打ち切られては企業存亡に関わる。条件を見直したい。」と再検討依頼の申し出があった。役員からも「Aとは付き合いも長く融通を利かせてもらった過去もあり、継続したほうがよいのでは。」との意見があった。
このような状況のもとで、XがAと契約を継続するとどのような問題が発生するか。


回答

設問(1)
契約を打ち切ることはできる。
ただし、ここ数年更新の申し入れがないまま契約が継続されていた点について、この状態を「1年間の継続供給契約について、1ヶ月前までに双方意思表示がなければ引き続き1年間継続する」という合意と考え、更新された契約期間満了の1ヶ月前までに更新しない旨の意思表示をAにしておく。
また、この申し入れと契約終了の合意については、後々Aから契約が継続履行を要求されるおそれもあるので、継続的供給契約を終了した旨の合意文書を取り交わすことが望ましい。

設問(2)
契約締結上の過失に基づく損害賠償を請求されるおそれがある。
BはいまだXとは契約締結にいたっていないが、契約締結を前提とした交渉に入ってしばらく経っているという状況から、Xとの取引開始を前提としたなんらかの準備行為に入っている可能性がある。XがBに対しこのような準備行為に入るにいたるような信頼を与えていたことが認められた場合、発生した損害について賠償義務を負う可能性がある。


要復習ポイント(自分用メモ)

・“事実上契約が継続している状態”についての法的言及が足りな
 かった。


参考文献

・上記設問(2)は、厳密には、「契約締結上の過失の一部」では
 なく、その一部である「契約準備段階における信義則上の注意義
 務」に基づく損害賠償請求である(P24〜27)。



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case12を基に検討)


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【ケーススタディ】課長職社員による越権行為

 
ケース

甲は不動産開発・レジャーランド経営を行う会社である。
平成20年11月20日、乙の社長が甲を訪れ、要旨下記内容の契約書を示し、直ちに土地を買い取れと請求してきた。

契約要旨
・売主 乙/買主 甲
・売買物件 土地600
・売買代金 3億円
・引渡 契約日より6ヵ月後
・支払条件 引渡時一括現金
・契約日 平成20年5月1日

甲にはその契約の記録がなかったが、調査の結果甲の不動産開発担当課長Aが代表取締役印を不正使用して契約書を偽造したことが判明した。
乙とは、平成19年11月頃に甲の担当課長Bが別件で商談したことがあったが、B課長の上司である部長の賛成が得られず、取引が不成立になった経緯がある。
なお、甲の社内規定では、3,000万円以下は課長権限、1億円以下は部長、それを越えれば役員または社長決裁であった。このことを乙が知っていたかは不明である。契約交渉は一般的に担当課長が行っている。

現時点で、次の事項が調査で判明している。
1)土地は登記簿上丙の所有名義であり、乙は丙より所有権移転の
  仮登記をうけており、乙は丙に1億2,000万支払済みと主張して
  いる。
2)契約書の代表取締役印は真正なものだが、Aが他の書類に紛れ
  こませ不正に使用した。印章を管理する総務課ではこれに気づ
  かなかった。
3)乙の社長も担当者も、甲とはAとしか会っておらず、Aもまた
  他の者と会わせなかった。
4)契約調印の1ヶ月前より、Aはまだ正式に契約できる状況に無
  いので待って欲しいと要請したが、乙の強い要望で調印された。


問題

設問(1)
乙が甲の法的責任を追及する場合、その方法として可能性があるものを3つ挙げ、各々その理論的根拠を示せ。

設問(2)
乙の上記請求に対し、甲はどのように抗弁すべきか。


回答

設問(1)
。舛鷲堝飴些発担当の課長であり、代表者の代理権限を持つと信じるに足る役職であって、表見代理は成立すると考えることができる(民法110条)。
代表取締役の印は真正なものであり、契約は有効に成立している以上、甲には契約を履行する責任があるといえる。
Aの行為が不法行為であったとしても、不法行為により実際に発生している損害について、甲に使用者責任を追求できる(民法715条)。

設問(2)
”集代理成立の主張に対しては、
・高額な土地取引にも関わらず、課長のみを相手に取引を行って
 いたこと
・平成19年11月頃に行われた取引の過程から、課長権限では決裁
 ができないことを知りえていたこと
・4月ごろに、Aより「正式に契約できる状況にない」と告げら
 れていた際に、正式な契約にあたって必要となる手続きについ
 て確認をする機会があったにもかかわらず、これを行っていな
 いこと
これらをもって、乙が代理権の存在を確認しておらず、「代理人
の権限があると信ずべき正当な理由」(民法110条)がないものと
して抗弁できる。
契約成立の主張に対しては、代表権のないAが代表取締役の印
を不正に使用したに過ぎず、代表取締役としての契約締結の意思
はなかったことを示すことで、契約不成立として抗弁できる。
使用者責任の追及に対しては、乙がAとの契約交渉の際、甲の
代表取締役等と交渉をせず、またAの代理権の有無についても委
任状をとるなどの具体的な確認行為もせずに望んでいることから、
越権行為について悪意または重過失があった可能性をもって抗弁
できる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・民法110条「代理人の権限があると信ずべき正当な理由」
・社員の不法行為→使用者責任→選任・監督につき相当の注意を
 なしたことの証明(法文上)or悪意・重過失の証明(判例上)


参考文献

・民法110条「代理人の権限があると信ずべき正当な理由」は
 単に「善意・無過失」とは置き換えられない。(P196〜205)


・715条と110条の要件効果の比較。どっちかといえば715条の
 ほうが立証しやすい。(P459〜465)



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case5を基に検討)


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【ケーススタディ】国際合弁契約にあたっての事前検討

 
ケース

Aは、大型商業車を製造販売する大手自動車メーカーである。
今回、生産拠点を日本からX国に移すことを検討する過程で、現在X国で小型商業車の組立・販売を行っているBに資本参加し、X国におけるAの大型商業車の製造販売拠点にしたいと考えている。


問題

設問(1)
契約関係の法的枠組みを検討する際に重要な事実関係が一部欠落している。
法務担当者としてビジネス担当者に何を尋ねるべきか。またその事実は契約の枠組みにどのような影響を及ぼすか。

設問(2)
上記事実関係を前提として契約の法的枠組みを検討していく場合、日本及びC国で各々関係する法律・規則について重要な順に3つずつ列挙せよ。

設問(3)
AとしてBに資本参加する際のデューデリジェンスにおいて特に監査すべき項目を5つ挙げよ。


回答

設問(1)
企図する出資割合が不明である。
過半数をとり経営権を掌握するのか、業務・資本提携レベルの少数株主にとどまるのかにより、他の株主と締結する合弁契約の内容が異なり、株主としての拒否権、保証等協力義務の是非を判断する基準が変わることとなる。

設問(2)
・日本側
 1)外為法
 2)独占禁止法
 3)貿易保険法
・X国側
 1)外為法
 2)会社法
 3)知的財産法

設問(3)
1)大型商業車製造・販売に係る許認可の有無とその内容
2)係争事件の有無とその内容
3)主要な仕入れ・販売に係る契約の内容
4)主要な金融機関との資金供給契約の内容及び工場・営業所
  等の土地・建物に関する担保設定状況の確認
5)労働組合の有無と労働関係義務


要復習ポイント(自分用メモ)

・貿易保険法ですか・・・


参考文献

・リーガルデューデリジェンスの概要と各論について


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case48を基に検討)


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【ケーススタディ】インターネット販売事業において留意すべき法令

 
ケース

Aは、自動車販売事業を行っている。拡販のため、3ヵ月後からインターネット上で一般顧客向けに自動車販売ビジネスを開業すべく、計画を進めている。


問題

Aの法務担当として、以下の点について結論と理由を答えよ。

設問(1)
Aは、ウェブページの中に顧客との契約条件を記載し、その条件で顧客を拘束することを予定している。日本法のもとでこのような方法は法的に有効か。

設問(2)
Aは、ウェブページ上の顧客との契約条件の中で、クーリングオフ制度について規定する必要はあるか。

設問(3)
Aは、乗用車Xを、通常の自動車販売業者に対する卸価格を150万円に設定し、他方自社のウェブページでは同じ150万円で小売販売する予定である。法的な問題点を挙げよ。

設問(4)
Aは、乗用車Xを購入した顧客の中から、抽選で5人に市場価格30万円相当のパソコンを景品でプレゼントする販売促進策を企画した。法的な問題点がないか検討せよ。


回答

設問(1)
有効である。
このような契約形態は附合契約と言われるが、契約条件があらかじめ明示されており、その内容を顧客に確認させた上で同意させるものであれば問題は無い。
なお、消費者契約法により、重要事項について虚偽の記載をしていた場合には消費者に取消権が認められているほか、消費者に一方的に不利な契約条件は無効となるため、このような不当な説明・契約内容としないよう注意が必要である(同法8条乃至10条)。
また、電子契約法により、インターネット取引においては、顧客の申し込みの操作が誤操作であったときでも、錯誤による無効が認められるため、消費者の意思を確認する画面を設ける等の措置を講じておく必要がある(同法3条)。

設問(2)
不要である。
インターネットを用いた通信販売については、クーリングオフを規定する特定商取引法の規制対象外である。

設問(3)
独占禁止法上の指定3項(価格差別)または指定4項(取引条件の差別的取扱い)に該当する恐れがある。
Aのウェブサイト直売価格と販売店への卸価格を同額に設定すると、販売店のマージンを乗せる分、乗用車Xを購入しようとする消費者にとってはAのウェブサイトから購入するほうが安くなることから、このような価格設定は不公正な取引方法と判断される可能性が高い。

設問(4)
景品表示法上問題となる。
Aが行う販促は、購入者のみを対象としていることからクローズド懸賞に該当し、この場合取引価額が5,000円以上の場合、10万円が上限とされる。本ケースでは乗用車Xの価格が150万円であることから、懸賞額の上限は10万円となり、30万円のパソコンはこれを上回るため問題となる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・電子契約法=電子消費者契約及び電子承諾通知に関する
 民法の特例に関する法律
・独禁法の指定項がすぐ出てこない。
・景表法のクローズド懸賞規制の理解が曖昧。


参考サイト

景品規制の概要―公正取引委員会


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case42を基に検討)


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【ケーススタディ】債権譲渡の競合時における第三債務者としての対応

 
ケース

AのS支店は、Bからイベント用販促品300万円分を購入した。

この代金支払日の10:00に、BからA本店宛て「弊社が貴社に対して有する一切の債権は乙に譲渡する。」旨の内容証明郵便が到達した。
A本店の経理担当者甲は速やかにBとの取引状況を調査したが、14:00になって漸くS支店での取引の存在を認識、一方でS支店では11:00に送金手続きを終えて15:00にはBの丙銀行口座に入金記帳は完了していた。

さらに16:00ごろには、A本店にBより「弊社が貴社に対して有するイベント用販促品の売掛代金債権は丁に譲渡する。」旨の内容証明郵便が到達した。


問題

設問(1)
乙の請求に対し、甲はどう対応すべきか。

設問(2)
丁の請求に対し、甲はどう対応すべきか。

設問(3)
代金支払日が到来しておらず、銀行送金手続きも取られていなかった場合、甲としては誰に支払うべきか。

設問(4)
(3)の場合、甲は弁済供託することができるか。


回答

設問(1)
支払いを拒否すべきである。
債権譲渡通知を10:00に受けているとは言え、事前に通知もない債権の譲渡について本店と支店との間の調査に数時間要することはあり、またそもそもBによる債権譲渡通知においても譲渡債権が十分に特定されていないという問題点とあわせ、AによるBへの支払いには過失は認められない。
従い、11:00に行われたAのBに対する振込みは債権の準占有者たるBへの善意無過失による弁済として有効であり、支払いは拒否できるものと考える(民法478条)。

設問(2)
支払いを拒否すべきである。
債権譲渡通知は乙宛てと丁宛てそれぞれ同日に到達しているが、丁宛ては後に到達しており、乙に劣後する。

設問(3)
Bに支払うべきである。
丁に対する支払いは、(2)で検討したとおり乙に劣後していることから行うべきではない。一方乙への支払いについても、(1)で指摘したとおり譲渡債権が十分に特定されていないことから、行うべきではない。

設問(4)
弁済供託はできない。
債権譲渡の競合はしているものの、到達日時も判明し優劣も確定していることから、弁済供託の原因としての債権者不確知にはあたらない。


要復習ポイント(自分用メモ)

・弁済供託における債権者不確知


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case31を基に検討)


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【ケーススタディ】支払停止時の相殺を使った回収

 
ケース

Xの取引先Aが不渡手形を出した。XはAとの間で販売と買入れを双方行っている関係にある。
XのYに対する債権は5,000万円で、来月末日を支払期日とするA単名手形を受領している。
Aに対する債務は3,800万円で、今月末日1,600万円、翌月末日1,200万円、翌々月末日1,000万円の支払期日が到来する。


問題

設問(1)
Xはその債務合計3,800万円について、相殺を理由に支払いを拒否できるか。

設問(2)
今すぐ相殺できるか。XとAとの契約上の特約により結論は異なるか。

設問(3)
Xの債務について、Aの債権者や税務署から差押・仮差押・債権譲渡・転付命令などがあったとき、Xの相殺できる地位はどうなるか。

設問(4)
Xの営業責任者が、「相殺後の不足分1,200万円については、Aから商品を買え。買えなければ強引にでも勝手に取って来い。買いの支払い分と相殺してしまえ。」と言っているが、問題はないか。

設問(5)
Xの経理責任者が、「Bが1,200万以上の債務をAに負っているようだ。ちょうどBに支払う分が今月2,000万円あるので、うち1,200万円分について当社のAに対する債権をBに受け取ってもらってはどうか。Bは譲り受けた債権とAに対する債務を相殺すれば、代金受領と同じことだ。」と言っているが、問題はないか。

設問(6)
設問(4)(5)について、法的倒産手続きに入った場合はどうか。


回答

設問(1)
できない。XのAに対する債権5,000万円の履行期は来月末日であり、相殺適状にない。

設問(2)
特約が無い状態では相殺適状になく、今すぐ相殺はできないが、信用不安等を理由とする期限の利益喪失条項を設けることにより、相殺することはできる。

設問(3)
何ら影響はない。ただし、Xが受動債権につき差押等のあった後に自働債権を取得していた場合は、Xが相殺することはできない。

設問(4)
商品を購入することにより相殺額を同等にする手段は有効であるが、その手法はAから了解を得た上で行うべきであり、強引にまたは勝手に行った場合は不法行為となり相殺はできない。

設問(5)
Bが債権をXから譲受け、その対等額をAと相殺することは可能である。

設問(6)
破産法、民事再生法、会社更生法において、支払停止があった後に債権を取得した当時、支払いの停止があったことを知っていたときには、その債権債務を相殺の対象とできない旨規定されている。
従い、本ケースでAが法的倒産手続きに入った場合には、(4)においてXはAとの債権債務を相殺できなくなり、(5)においてはBはAとの債権債務を相殺できなくなる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・相殺適状となる前に、受動債権に対し差押や債権譲渡に基づく
 通知が行われたとしても、自働債権者にとって将来相殺できる
 という期待がある以上、相殺を持って差押債権者・債権の譲受
 人に対抗できる(判例)。
・破産法71条および72条、会社更生法49条、民事再生法93条に
 より、支払停止があった後に債権を取得した当時、支払いの停
 止があったことを知っていたときには、その債権債務を相殺の
 対象とできない。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case30を基に検討)


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【ケーススタディ】抵当権に基づく明渡請求と賃借権の優劣

 
ケース

Xは、競売の開始決定がなされている隣地のAビルを取得し、自社所有のBビル(一部賃貸中)と合わせて再開発を検討している。
Aビルの登記簿及びテナントの状況、Bビルの賃貸状況は以下のとおりである。

Aビルの登記簿記載事項
平成18年10月25日抵当権設定登記
平成19年5月25日競売開始決定に基づく差押の登記

・賃貸人Y1
 Aビル 平成18年7月1日から3年間の賃貸借契約
 入居していない
・賃貸人Y2
 Aビル 平成18年7月1日から3年間の賃貸借契約
 入居中
・賃貸人Y3
 Aビル 平成19年4月1日から3年間の賃貸借契約
 入居していない
・賃貸人Y4
 Aビル 平成19年4月1日から3年間の賃貸借契約
 入居中
・賃貸人Y5
 Bビル 賃貸人甲からXの承諾を受けて転貸
 ただしXと甲は賃貸借契約を合意解除している。
・賃貸人Y6
 Bビル 賃貸人乙からXの承諾を受けて転貸
 乙は事実上倒産し6箇月家賃を滞納しているため、
 Xは乙との賃貸借契約を解除


問題

Xが抵当権の実行手続きにより平成19年11月15日にAビルを競落し、買受人となった。
XはA・Bビルの入居者に退去を直ちに請求し再開発を進めたいが、この場合に、それぞれのテナントY1〜Y6との賃貸借契約の効力がどうなるか、否定される場合は法律及び判例に照らし、直ちに明渡請求ができるかどうか答えよ。


回答

・Y1
抵当権設定登記前に賃貸借契約を締結している。しかし、入居をしていないことから建物の引渡しを受けていないものとして賃貸借の対抗要件を備えていないこととなる(借地借家法第31条)。
従い、Xは明渡請求することができる。

・Y2
抵当権設定登記前に賃貸借契約を締結し、かつ入居をしている。建物の引渡しを受けたものとして賃貸借の対抗要件を備えていることとなる。
従い、Xは明渡請求できない。

・Y3
抵当権設定登記後の賃貸借契約であり、かつ入居もしておらず、対抗要件を備えていない。
従い、Xは明渡請求することができる。

・Y4
抵当権設定登記後の賃貸借契約であるが、入居しているため、詐害行為と認められない限り、Xの買受のときから6箇月間は明け渡しの猶予が認められる。
従い、Xは6箇月間は明渡請求できない。

・Y5
Xと甲との賃貸借契約は合意解除されているが、賃貸人の同意ある転貸の場合はこの場合においても原則として転借人の賃貸権は消滅しないというのが判例の立場である。
従い、Xは明渡請求できない。

・Y6
賃借人の債務不履行を理由とする解除により賃貸借が終了した場合には、転貸借契約についても、賃貸人が転借人に対して退去を請求した際に転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了するというのが判例の立場である。
従い、Xは明渡請求できる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・借地借家法31条・・・建物賃貸借の対抗要件=建物の引渡し
・転貸借に関する判例
 …詑濘佑瞭碓佞△訶沼澆両豺腓蓮転借人に不信な行為がある
  等の特段の事情で元の賃貸借契約を合意解除した場合を除き、
  元の賃貸借契約が解除されても転貸借契約は解除されない。
  (最判昭38年2月21日ほか)
 賃借人の債務不履行を理由とする解除により賃貸借が終了し
  た場合には、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求し
  たときに転貸人の転借人に対する債務の履行不能により転貸
  借契約が終了する。
  (最判平9年2月25日)


参考文献

・適法な転貸がなされた場合の法律関係と判例について
 (P211〜214)



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case11を基に検討)


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【ケーススタディ】マンション住戸売買契約の瑕疵担保責任とアフターサービスの法的性質

 
ケース

Xは、マンションの住戸A・Bを従業員の社宅として分譲業者Yより購入、所有しているが、平成20年11月下旬に両物件の内装や設備に不具合(壁紙の亀裂、給湯管からの水漏れ、暖房の不良)が発見されたので、Yに対し修繕を要求しようとしている。

A物件は新築分譲物件として分譲業者Yから購入し、平成20年3月31日に引渡しを受けたもの。

XとYの売買契約には、以下の条項がある。
第12条(瑕疵担保責任)
売主は本物件の隠れた瑕疵については、引渡しの日から2年間担保の責任を負います。ただし、引渡し後の買主の責に帰すべき事由により、または天災地変その他不可抗力により生じた瑕疵については売主は担保の責を負いません。

第13条(アフターサービス)
本物件のアフターサービスについては、売主は別に定める「アフターサービス規程」に基づき行います。

アフターサービス規程概要
引渡しの日から内装は2年・設備は5年に限り、一定の内容の不良や破損・変形について無償で補修

またB物件は分譲業者Yの供給物件ではあるが、平成17年9月30日に引渡しを受け使用していたZから平成20年3月31日に取得したもので、Y−Z間の契約はY−X間の契約と同様である。Y−X間の売買契約には同様の瑕疵担保条項はあるものの、アフターサービス規程はなく、
第1条(契約の目的)
売主は本物件を現状有姿のまま売り渡し買主はこれを買受ける
との規定があるのみである。


問題

宅地建物取引業法、品確法の適用は考慮しないものとし、以下の設問に答えよ。

設問(1)
瑕疵担保責任とアフターサービスについて、それぞれの法的意味と効果を説明した上で、XはA物件についてYにどのような請求ができるか述べよ。

設問(2)
XはA物件について早期に補修をしてもらえばよいと考えて、Yに申し出てアフターサービスとして直ちに補修を受けたが、後日当該箇所の漏水で家具等に損害が発生していることが判明した。この場合XはYに損害賠償を求めることはできるか。

設問(3)
Xは、B物件についてYに瑕疵担保責任やアフターサービスその他何らかの請求をすることができるか。

設問(4)
B物件の不具合について、XとZそれぞれの立場ではどのような法的主張・見解が考えられるか。

設問(5)
仮に、X−Z間の契約に瑕疵担保責任を負わない旨の特約を設けていた場合それは有効か。またZが不具合を認識した上で、このような特約を設けていた場合、Xとしてはどのような主張をすることになるか。


回答

設問(1)
売買契約における瑕疵担保責任とは、売買物件について通常満たすべき性能・品質について、買主が購入時に気づかないような隠れた瑕疵について売主としてその損害賠償の責任を負うものである。
一方、アフターサービスは、一定の条件のもとに無償で補修に応じるという準委任契約の一種であり、売買物件として満たすべき性能・品質とは紐づかない役務の提供である。
A物件について発生している壁紙の亀裂、給湯管からの水漏れ、暖房の不良はいずれも隠れた瑕疵といえ、瑕疵担保の期間内でもあることから、XはYに対し損害の賠償を求めることができる。

設問(2)
XはYに損害賠償を求めることはできる。
瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権とアフターサービス契約に基づく契約上の補修請求権とは異なるものであり、アフターサービス契約において物件の瑕疵の補修を対象外としていない限り、両方を請求することも可能と考えてよい。

設問(3)
XはB物件についてYと直接の契約関係にない。従い、Yには瑕疵担保責任もアフターサービスの責任もなく、Xはこれらを請求をすることはできないが、法的にはXがYに不法行為責任に基づき損害賠償を行う可能性は検討できる。

設問(4)
Xの立場では、B物件の不具合は瑕疵であり、瑕疵担保条項に基づいて損害賠償に応じるよう主張するものと考える。
Zの立場では、契約に規定されているとおり現状有姿での引渡しである以上、B物件に生じている不具合が瑕疵であっても責任はなく、またアフターサービスの規定もないことから、損害賠償・補修に応じる義務はないと主張するものと考える。

設問(5)
瑕疵担保責任を負わない旨の規定も有効である。ただし、Zが不具合を認識していた場合は、このような特約があっても瑕疵担保責任を負うこととなる(民法572条)。


要復習ポイント(自分用メモ)

・瑕疵担保責任には損害賠償請求権・契約解除権あれども、
 瑕疵修補請求権は明文上なし。
・民法572条 悪意の売主の瑕疵担保責任の条文がすぐ出ず。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case10を基に検討)


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