企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

_法律ドラマ・小説

【映画】『女神の見えざる手(Miss Sloane)』― 天才ロビイストは肉を切らせて骨を断つ

 
先日、北周士先生主催のロビイング研究会に参加させていただき、その席で、風営法改正のロビイングをリードされたことで有名な齋藤貴弘先生とご挨拶をすることができました。

その齋藤先生がお勧めされていたこともあって、封切りまもなく見に行った映画がこちら。




建国の経緯を背景として合衆国憲法修正2条が国民に対し保障する、銃を保有し武装する権利。

これを規制しようとする側に立ち、全米ライフル協会をはじめとする強固な規制反対派と戦う女性天才ロビイスト、エリザベス・スローンの活躍を描くサスペンスムービーです。

ロビー活動は予見すること。
敵の動きを予測し、対策を考えること。

主人公スローン自身が映画冒頭から何度となく唱えるのが、このロビイストとしてのセオリー。銃規制キャンペーンの成功というプロジェクト目標に向かって、このセオリーに冷酷なまでに忠実に、プロとして仕事を遂行していく姿は、ビジネスパーソンであればまず間違いなく感化されてしまうはずです。

脚本は元英国弁護士のジョナサン・ペレラ氏、さらにパブリックアフェアーズ企業のグローバルパークグループがアドバイザーとして監修し、ロビイング業界の実態もリアルに描かれています。

主人公の強烈なキャラクター描写と、「シェイクスピア劇のよう」と評されるテンポの良いセリフ回しの連続。敵がTrump Card=切り札を使った後に自分の切り札を出す、「肉を切らせて骨を断つ」ようなスローンの手法はどこまで通用するのか?132分となかなかの長尺にも関わらず、純粋なエンターテインメントとして最後まで飽きずに楽しめる映画だと思います。


ロビイングなんて自分の住む世界からは縁遠くって・・・という方でも、ちょうど選挙が終わり、憲法改正の是非が論点となる時期が近づいた日本国民としては、コナーズ(元同僚ロビイストであり、敵)とスローン(主人公)のテレビ公開討論シーンで交わされるこのやりとりに、他人事ではない緊張を覚えるのではないでしょうか。



コナーズ:合衆国憲法は、時の試練に耐えた。決して揺らがぬ、完全無欠な権利を保証(劇中翻訳ママ)すべく起草されたものだ。あなたのような人々から国を守るためだ。憲法でケツを拭き、勝手な判断で書き換える。建国の父たちをバカにするつもりか。

スローン:完全無欠なものはない。憲法でさえも。
コナーズ:全購入者の身元確認は権利の侵害だ。“権利を侵してはならない”とある。

スローン:それは最も陳腐で貧弱な反論であって、論点なき者の言い分よ。

コナーズ:これは合衆国憲法だ。

スローン:もっと理性的な議論をすべきなのに—これでは不毛。 “憲法にある”では聖書や占いと同じ。知的レベルではまるで母親のスカートに隠れる臆病な子供と同じ。

 

【本】はじめの1冊! ロックで学ぶリーガルマインド ― ロック・パンクミュージックは法務パーソンにとっての精神安定剤

 
TMI総合法律事務所から独立し、北海道でアンビシャス総合法律事務所を開業されご活躍中の奥山倫行先生が、「ロックが好きな一般の方」に、リーガルマインドを広めようという思惑で書かれた本書。

ですが、「リーガルな仕事に就いているロック好きな方」が読んでも楽しめるのではないかと思ったので、弊ブログを御覧の法務パーソンのみなさまにも、年末年始用のエンタメ本としてご紹介させていただきたいと思います。





実際にロックミュージシャンが遭遇したトラブル、例えば
Guns N' Roses 対 Dr Pepperの「アルバムが予定通り出たら全米国民に1本ずつプレゼント」事件
Johnny Rotten(Sex Pistols) のTV番組 “Bodog Battle Of The Bands” 暴行・セクハラ事件
Jim Morrison(The Doors)のコンサート公然わいせつ事件
COLDPLAY 対Joe Satriani の“Viva La Vida"パクリ疑惑
などをもとに、憲法・民法・刑法・著作権法の入り口部分を紹介します。私もバンドマンでしたのでバンドの歴史系の話は知ってるほうなんですが、よくぞここまで初学者向けの法律論に絡めたなあと感心させられました。それでいて、全17章中わざわざ債務不履行に3章も割いて説明をしているあたりなどは、本当に一般の方にこの本で法律を理解させてあげたい、という情熱をもって書いていらっしゃるんだなぁということも伝わってきます。

しかしよく考えてみると、外タレが外国で遭遇した事件(3章のマイケル・シェンカーを除く)を、日本法で解説・当てはめしているという時点で、だいぶおかしいことに気付きます(笑)。本文中はその点には一切触れられず、淡々と・軽妙に進んでいきます。もちろん、この本に書かれた法律論が実務で役立つといった類の本ではありませんから、そういうところをあげつらってdisるのはお門違い。ここは笑うところ、エンターテインメントです。

挿絵の方もこの本全体に漂う軽妙さ・シュールさと相俟って、いい味がでてます。たとえばこれとか。

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えーと、私ツェッペリンは好きなのでロバート・プラントだって分かりましたけど、なんか違う(笑)。

そしてこれ・・・

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これ、レッチリの章の挿絵なんですけども。
レ、レッチリのはずなんですけど?
こういうのも含めてすごく面白い。好きですね〜。

どうも茶化してばかりいるように聞こえてしまうかもしれないのでちゃんとフォローしておきますと、法律のことを知らない人向けの本といいつつ、締めるところは締めています。一例を挙げますと、本書冒頭に出てくるこの見開き2ページのまとめ「法律が身につく7つの手さばき」には、実務家の心得として大切なことが漏れ無く書かれています。


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特に、「7 ケースにあった解決策を考える」に書かれた解決策の判断基準3つ

)‥観点:法的に見て責任があるか否か
道義的観点:法的に責任はないが、人として対応した方が良いか否か
戦略的観点:法的にには責任が無いし、人としても対応する必要は無いが、それでも評判や名声や今後の関係性を考えると対応をした方が良いか否か

は、企業コンプライアンスを語る際に「レピュテーションリスク」という曖昧な一言で片付けられがちなところ、「道義」と「戦略」に細分化している点キャッチーなフレームワークと思います。早速いただきます。
 

ところで、法律実務家に限って、ロック・パンクミュージック好きな人本当に多いですよね。カタくて小難しい仕事を選んでいる人に限って、ロックやパンクで破壊衝動を発散させながら心のバランスを取ろうとするものなのでしょうか。少なくとも私に関しては、そういった精神安定剤としての機能はあるように思います。バンドでロック・パンクを思い切りやってきた経験のおかげで、多少ストレスのある仕事が降ってきても心の平静がコントロールできるようになったのかもしれません。
 

【本】新・シネマで法学 ― 映画の焦点・法の焦点

 
法曹の活躍や訴訟をテーマにした映画を次々に紹介しながら法律の面白さを説く本・・・なのかと思いきや、趣はそんな予想とは全く異なるアカデミックなもの。

映画が描写する主人公および彼・彼女を取り囲む社会をかいつまんで紹介し、そこから連想される日本の課題を取り上げて、法が現代の日本人の生活・行き方にどのように影響しまたは無力であるのかを語り・問いかける本でした。





憲法の松井茂記先生・刑法の井田良先生・労働法の野田進先生らがこの本でメインの題材として取り上げられてい映画は以下17本。そのテーマとともに転記させていただきます。

 FILM1 『イル・ポスティーノ』
      法,すなわち力を備えた言語の世界
 FILM2 『依頼人』
      法の世界の登場人物
 FILM3 『エリン・ブロコビッチ』
      決着は法廷で?
 FILM4 『リンカーン』
      民主主義は幻想か?
 FILM5 『戦場のメリークリスマス』
      国家による殺人─戦争と平和
 FILM6 『E.T.』
      心のうちにひそむ差別
 FILM7 『アメイジング・グレイス』
      所有するということ
 FILM8 『レオン』
      約束は守るもの?
 FILM9 『ハゲタカ』
      お金に翻弄される人々
 FILM10 『愛,アムール』
      愛する人との約束
 FILM11 『この自由な世界で』
      労働者派遣の法的規制
 FILM12 『最強のふたり』
      社会的排除とのたたかい
 FILM13 『それでもボクはやってない』
      刑事裁判における真実
 FILM14 『デッドマン・ウォーキング』
      刑罰という名の殺人
 FILM15 『ソーシャル・ネットワーク』
      サイバースペースに法はあるか
 FILM16 『チャイナ・シンドローム』
      人は科学技術をコントロールできるか
 FILM17 『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』
      生と死

これ以外にも、それぞれのテーマに関連したサブシネマとして、70超もの映画がちょっとした囲み記事で紹介されています。


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紹介されている映画の多くは私も見たことがあるはずなのに、読めば読むほど悲しいかな「え、そんな映画だったっけ?」と思わされることがしばしば。著者の先生方はしっかりと「人」に焦点を合わせて映画を咀嚼されていらっしゃるのに対し、私はまったくそれができていなかったからだ、ということに読んでいて気付かされます。自分の映画鑑賞力の低さに恥じ入るばかり。

そしてそのことは、自分がビジネスにおいて法律の当てはめをしている中でも「物」「カネ」「情報」に焦点を合わせてばかりで、「人」に焦点をおくのを忘れがちになっていることを示しているんじゃないかという気もしてきました。そう考えると、色々と思い当たるフシがあります。
 

【DVD】ラリー・フリント ― 真実か否かを峻別する責任

 
PLAYBOY誌を超えるエロ・グロ・ナンセンスを旨とする雑誌『HUSTLER』を創刊し、財を築き上げたラリー・フリントの生涯を描く映画。


ラリー・フリント コレクターズ・エディション [DVD]
ウディ・ハレルソン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2009-12-02



表現の自由を世に問う訴訟を繰り返した挙句、高名な宗教家フォルウェル導師が母と近親相姦したことを告白する(当時有名だったカンパリの広告をモジった)パロディ記事が紛争となり、ついには最高裁にまでエスカレートします。

代理人:「この国が何よりも大切にしているものに、自由な論争そして言論の自由があります。本日ここで問われるのは、公共の人物の精神的苦痛を訴える権利と、人々の表現の自由という公共の利益とどちらがより重要かです。」

最高裁:「証拠Aは何を表現しているのです?」

代理人:「ご存じ、カンパリの広告のパロディです。大事なのは、これはフォルウェル師の風刺なのです。師はまさに格好の標的でした。酒の広告に出るわけがない人だからです。いつも説教壇に立ち、聖書を手に至福に満ちた笑顔で説教をしている。」

最高裁:「何が公共の利益なのです?師を笑うのが何かの利益だと?」

代理人:「師を笑うのも公共の利益です。少なくともハスラー誌がフォルウェル師を笑い者にするのはその意味がある。ハスラー誌にはその権利がある。標的の相手は我々の雑誌を敵視した宣伝をしてる。不買運動を展開し、公共の場で我々をアメリカの毒だと言い、さらに公共の場で婚外セックスは不道徳であり、酒は飲むなと言う。ハスラー誌には師を笑うことで、これらの意見に反論する自由はあるのです。尊大不遜な人間を我々のレベルに引き降ろす。確かに我々のレベルは一般より低いですが。でもこれが争点なのです。」

最高裁:「表現の自由ですが、それはとても大切だがすべてではない。立派な人物が公共の任務に就くのも大切だ。あなたの理論では、公共の立場にある者は、自分も母親も近親相関の風刺をされても仕方ないと?だとしたらワシントンは大統領になっただろうか?」

代理人:「ワシントン大統領と言えば、最近200年前の政治風刺漫画を見ました。馬子が大統領の乗ったロバを引いている。その表題が”大統領の尻はロバの尻”です。」

最高裁:「それなら平気だ、ワシントンだって。トイレで母さんと姦通するのとはまるで違う。その間に違いはないと?」

代理人:「ええ、違いません。それは趣味の問題で、法じゃない。あなたもイリノイの裁判で言われている。趣味を法廷で争うのは意味がないと。今回の事件でも、前の陪審員はこれを法の問題ではないとして誹謗の罪は退けた。誰も師の姦通を本気で信じないのですから。」

最高裁:「なぜハスラー誌は母親をダシに?」

代理人:「母親を登場させたのは、はっきり言って茶化しです。」

最高裁:「その公共の意図は?」

代理人:「“レーガンはアホや”という風刺漫画と同じです。違う目で公人を見られる。皮肉はこの国の伝統です。師が精神的損害だけで訴えを起こせるなら、公共の人物はみな起訴を起こせる。相手は風刺漫画でも、トゥナイト・ショーのジョニー・カーソンでもいい。いくら公共の立場でも批判されれば、皆不愉快だ。それを訴えられたら反駁(はんばく)できない。不愉快に基準はない。全ての不愉快な言論を罰することになる。これは我が国の信念です。たとえ不愉快な言論でも、全ての言論は健全な国家の活力です。」

そして、ラリー・フリントは勝訴判決を得ます。

(合衆国憲法)修正第一条は自由な発想を保障するものである。
自由な発言は個人の自由だけでなく真実の追求と社会の活力として重要である。
公共への論争は動機のいかんにかかわらず、修正第一条によって守られる。

一見すると、お決まりの勧善懲悪ハリウッドムービーです。ウディ・ハレルソン&コートニー・ラブという俳優を起用し反対制的・ロックな人生万歳的な印象をことさら強調している点も商業的ですし、もっと穿った見方をすれば、映画界が映画の自由を守るために作った宣伝映画であるかのようにも見えます。

しかしこの映画は、決してラリー・フリントのことを「言論の自由のヒーロー」としては描いていません。裁判所の命令を無視し、弁護士のアドバイスにも従わない、むしろかなりムカつく奴として描かれています。結果だけを見ると、彼がアメリカ国民を代表して言論の自由を勝ち取ったかのようですが、その彼自身の言動には、高邁な思想や強きをくじき弱きを助けるといった正義は微塵もありません。

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そうした冷めた目で彼が勝ち得た判決をもう一度読むと、報道や批評“風”でありさえすれば、事実無根の言論を行っても罪に問われることはないという、恐ろしい判決にも見えてきます。アメリカの司法は、その危険をわかった上で広く言論の自由を認めた、ということなのでしょう。「悪いのはいつも真実をねじ曲げて金儲けに走るメディア」ではない。真実か否かを峻別する責任は、市民ひとりひとりにこそある、と。
 

【本】ニンテンドー・イン・アメリカ ― 最高に痛快な法務ドラマがこんなところにあった

 
成毛眞さんが「まだ読みかけだけど面白い」と評していたのをきっかけに手に取ったこの本に、こんなに素敵な法務ドラマが詰まっていようとは。


ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力
著者:ジェフ・ライアン
販売元:早川書房
(2011-12-22)
販売元:Amazon.co.jp



その物語は、ニンテンドー・アメリカが米国でアーケード版「ドンキーコング」をヒットさせた後、これを家庭用ゲーム機“コレコビジョン”の同梱ソフトとして展開しようと、ハードウェアメーカーのコレコ社と提携話を進めていたところから始まります。

主力製品のコレコビジョンを準備していた頃のコレコに、MCAユニバーサルから投資したいというオファーが寄せられていた。
両社の社長が部屋に入ると、ユニバーサルの社長はとたんに本性を現した。―「ドンキーコング」を同梱したコレコビジョンを出荷したら、コレコを訴えると脅したのだ。「ドンキーコング」は『キングコング』のキャラクターを不法使用しているとユニバーサルは考えていた。1通のテレックス(当時はまだ電子メールはなかった)がコレコにこう通告した―「ドンキーコング」の全所有権を放棄し、すべての販売を中止して、このゴリラで得た利益は1セント残らず渡せ。ユニバーサルは任天堂にも同じテレックスを送った。
コレコはコレコビジョンを発売できなくなったら一大事とばかりに、ユニバーサルに利益の3パーセントを支払うことにあっさり同意した。
勢いを増したユニバーサルは、任天堂だけでなく、任天堂が「ドンキーコング」をライセンス供与した他の6社も正式に訴えた。ユニバーサルは2社を除いてロイヤルティを取っていた。(中略)ユニバーサルは、まだ訴訟が始まってもいないうちに、かなりの利益を得ていた。弁護士の力はたいしたものだ。小さな企業は早々に降伏した―ほとんど合法的な窃盗だ。
だが、任天堂は屈さず、これを法廷に持ち込んだ。ハワード・リンカーン(引用注:ニンテンドー・アメリカの法務)は、ジョン・カービィという辣腕の法廷弁護士を雇って任天堂の弁護を開始する。
ここでカービィはカードを切る。1957年に、ユニバーサルは『キングコング』の映画を最初に製作(引用注:原文ママ)したRKO社を訴えたことがある。ユニバーサルはこの裁判で、1933年に製作されたこの映画が、著作権による保護期間が切れてパブリックドメインに入っていることを証明し、勝訴した。つまり「キングコング」は誰でも自由に使うことができ、したがってユニバーサルはキングコングの「所有者」に1セントも払う必要がないと保証されていた。すなわちキングコングは誰も「所有」できないのだ。カービィは訴訟の略式却下を求めて、認められた。

この後数年に渡る訴訟合戦の末、ニンテンドーアメリカ法務とカービィ弁護士らの活躍によってユニバーサルは完全敗訴に追い込まれ、それどころか、それまでの中小企業から搾取していたライセンス料の返還までを求められることになります。一方、このコレコ起用をめぐるいざこざでケチがついたこともあり、任天堂は自社で家庭用ゲーム機を開発することを決め、1983年7月に「ファミリーコンピュータ」を発売。成功を決定的なものにしていくわけです。

しかし、もっと痛快なのは、この法務ドラマがこれだけでは終わらなかったところ。

ハワード・リンカーンは、NOA(引用注:ニンテンドーオブアメリカ)の社外弁護士を振り出しに、同社の上級副社長兼相談役へと出世していき、最後は会長にまで上りつめた。
カービィは、セガール氏と同じく、任天堂から最大級に報いられた人物だろう。1992年、任天堂は小さなピンクのフワフワしたボールが活躍する人気ゲームシリーズを発売する。そのボールの名前は―「カービィ」だ。

そう、法務パーソンがかたやその企業のトップになり、かたやあのヒット作『星のカービィ』の主人公になったというわけ。

星のカービィ Wii星のカービィ Wii
販売元:任天堂
(2011-10-27)
販売元:Amazon.co.jp


企業の法務パーソンがここまで報われた話はいまだかつて聞いたことがありませんでした。もちろん、彼らの貢献はこの訴訟だけではないと思いますし、訴訟大国アメリカだからといえばそれまでですが、日本においても、“企業の行く末を左右しかねない法的争いに地道な調査と頭脳戦で勝つことの価値”がもっと認められれば、法務パーソンやその予備軍である法科大学院生のモチベーションも上がるというものです。いや、私はそれが例えなくとも、自分のプライドとプロフェッショナルとしての意地にかけて頑張りはしますけどね(笑)。ただ、この本を呼んでいて、そういった法務ならではの価値が理解されるだけのアピールの旨さも必要だよな、と思ったりしました。

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その他にも、任天堂/ニンテンドーアメリカの隆盛の陰に隠されたこんな法務ネタの数々も散りばめられています。
  • 『ドラクエ』は、その人気のあまり学校を休んで買いに行く少年らが増加したため、日本では平日に販売できないよう法律で規制された(P99,これは当時の「政府要請」の間違いと思われる)
  • 『テトリス』のライセンスは世界中で偽物が横行しており、アメリカのゲームメーカー大手アタリ社も偽物を掴まされていた。そんな中、ニンテンドーアメリカの社長は自らソ連に赴いて交渉し、正式ライセンスを取得。このとき、ニンテンドーアメリカに対してゴルバチョフを使った妨害工作まであった(P128)
  • 任天堂とソニーの提携により「任天堂プレイステーション」が発売されるはずが、任天堂が発表後に反故に。それでもソニーが「プレイステーション」の名称を使って単独開発に乗り出したため、任天堂は訴訟を起こした(P192)
  • 手厳しいことで有名な任天堂の法務が、ネット上に散乱するブラウザ用のマリオゲームを規制していないのはなぜか。岩田社長曰く、「当社への愛情から何かをした人々を、犯罪者扱いするのはいかがなものかと思う」(P322)

この本そのものの主題は、サブタイトル「世界を制した驚異の創造力」にもあるように。任天堂がいかに少ない資源で知恵を使ってアメリカを舞台に成功を収めたかというもの。特にその成功の礎となったアーケード版「ドンキーコング」が、実はアメリカで2,000台も売れ残ったアーケードゲーム「レーダースコープ」の筐体を再利用し、そのROMを入れ替えただけで実現できるゲームが何かできないかと入社間もない宮本茂氏が考えぬいて作り、当時6名程度だったNOAの社員総出でROMをハンダ付けし直して出荷したものだったなんていうあたりは、臨場感たっぷりです。私はてっきり日本のファミコンソフトを世界に輸出したものだと思ってましたよ。

その主題とはだいぶ外れた読み方かもしれませんが、法務パーソンの士気向上にはこの上なく効く一冊だと思います。新春一冊目のお正月ボケ解消にも持って来いですね。
 

【DVD】訴訟(CLASS ACTION) ― 弁護士にとっての顧問リスク


ジーン・ハックマンが弁護士役として主演。となると、見終わった後の記憶の中で、彼がトム・クルーズの先輩弁護士を演じていた『ザ・ファーム』とどっちがどっちか分からなくなること必須な映画(笑)。

訴訟


自動車の製造物責任訴訟において、父が被害者側の弁護を、そしてその実娘が加害者である大手自動車メーカー側の弁護をするという、親子愛板挟みシチュエーション。さらに、この案件で手柄を上げることで弁護士事務所の正パートナーの地位を狙っていた娘は、ボス弁が抱えるある秘密との板挟みにもあって・・・(以降ネタバレ自重)という、ソープドラマ的な展開ではあるのですが、

企業法務パーソンにとっては、
  • 人の命を預かる製品に関する企業のリスクマネジメントとはどうあるべきか
  • コンプライアンス経営を目指すにあたって企業と顧問弁護士との日頃の付き合い方はどうあるべきか
について、考えさせられる映画になっています。

そしてそれ以上に、弁護士の先生にとっては、
  • 顧問を務める企業からふいになされる質問に対し、どの程度慎重に対応すべきか
と悩まされることでしょう。

実際に企業の顧問弁護士を務めている先生方にとっては、すっごく後味の悪い映画になってますので、是非心して御覧ください・・・。



【DVD】ジャスティス ― 権力が腐敗したときに私たちがやるべきこと、そして正義の実現に必要なこと

 
いつもはマフィアを演じているアル・パチーノが弁護士役をやっている映画があるのを御存知ですか?

それだけでも見る価値がありますが、正義を追求しているはずの検察が証拠改ざんの疑いで捕まるという今の日本の状況にぴったりなこともあり、今日はこの映画をご紹介します。

ジャスティス [DVD]


アル・パチーノ演じる熱血正義派弁護士アーサー・カークランドが、日頃法廷で対立し、アーサーを含むあらゆる弁護士、そして検事からもその法の運用を問題視されるカタブツ判事のフレミング判事。
ある日、その判事本人が被告となる刑事事件の弁護依頼がアーサーにやってきます。罪状はなんと強姦罪。まわりからは「今こそあのカタブツ判事をブチ込むチャンスだ」とはやし立てられる一方で、「正義はすべての人のために(Jusitice for all)」という弁護士倫理と葛藤するアーサー。一人事実と向き合い悩みながら開廷を迎えた法廷の冒頭陳述で、アーサーが貫ぬいた正義とは・・・。

一応法務ブログなので、明らかに権利侵害なこの映画の動画を貼ることは差し控えておきますが(笑)、Youtubeにはクライマックスのこの法廷の場面がいくつもアップされています。それもそのはず、アル・パチーノはこのクライマックスの約10分の演技だけでこの年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたと言われるほど。(どうしても興味が湧いてしまった方は、この映画の原題“And Justice For All”で検索を。)

DVD映像特典での監督の解説から。
ミスター・パチーノも、この独白に惹かれたんだと思う。この独白は本当によく書けている見事なシーンだ。これはアメリカ映画史上に残る最高の法廷シーンの1つだ。なぜなら・・・この映画が言わんとしていることは全てここで語られている。“正義とは真実の究明だ”

権力が腐敗したときにやるべきこと、それは当の組織を声高に批判することでも、法システムが破壊されたと悲嘆に暮れることでもなく、一人ひとりがひたすら冷静に事実を探求し見つめること。
 
そして正義を実現するために必要なこととは何か。それは正義感あふれる検察官・頭の切れる弁護士・公平な裁判官を任用することでも、ひいては整った法律・法システムを用意することでもなく、まずは一人ひとりが冷静に事実を探求し見つめることを可能にする秩序と静寂の場を担保すること。

この映画に、あらためて法廷(Courts of Justice)という“場”の意味と大切さを考えさせられます。

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【DVD】マイレージ・マイライフ ― みんなの憧れ「アメリカ型解雇自由」のリアル


ジョージ・クルーニー演じる"リストラ宣告人"ビンガムが、年間300日を超える出張生活の中で築いた人生の哲学、それが「バックパックに入らない人生の荷物は背負わない」。そんな彼の目標は、マイレージを貯めて(使うのではなく)ある記録を達成すること。

そのビンガムの仕事と個人的な目標が、優秀な新入社員のビジネス構造改革案によって窮地に立たされ、同時に起こる人々との触れ合いにも惑わされながら、自分の人生哲学を見つめ直していく、そんなお話。DVD化を楽しみにしていたこの映画が8/27に発売されたということで、早速TSUTAYAへ。

マイレージ、マイライフ [DVD]


男性のビジネスパーソンだったら、絶対に楽しめる映画でしょう。特に出張の多い方であれば、旅なれたビンガムの挙動に自分を重ねあわせて観ることが出来て、それだけでも楽しいはず。



ジョージ・クルーニーはオーシャンズ11ぐらいしか記憶に残ってない俳優(失礼)でしたが、これはハマリ役だと思います。会話と演技だけで見せるヒューマンドラマなこの映画は、彼の安定感なしには成り立たなかったかもしれません。

で、私が観たかったのはそのジョージ・クルーニーではなく、アメリカの人材ビジネスとアメリカ型解雇の「実際」。整理解雇が自由にできるアメリカにおいて、従業員相手にクビを告げつつ再就職支援サービスを提供するコンサルタントがどんな風にこのビジネスをしているのか、そして従業員たちが解雇の通知をどう受け止めるのかという点。この映画は、何十人もの解雇通告のシーンを通して、そこが丁寧に描写されているのが良かったです。たとえばこんなシーン。

ビンガム:「あなたは、お子さんから尊敬されたいのですね?」
従業員 :「今日、こうして安定した収入が得られる仕事を失った父親は、もう尊敬されないだろうね。」
ビンガム:「でも、尊敬されていないのは、前からでは?」
従業員 :「・・・失礼な、何だって?」
ビンガム:「レジュメによれば、あなたはフランス料理の学校へ通い優秀な成績を修め、料理人を目指していたようですが、その夢をあきらめてこの会社に就職した。」
従業員 :「そうだ。」
ビンガム:「しかし、いつかは料理人に、とお考えだったのでは。」
従業員 :「・・・」
ビンガム:「あなたのお子さんは、安定した収入を得て帰ってくる父親を尊敬するのでしょうか。そうではなくて、夢を追いかけ続ける父親を尊敬するのでは?」

ただし、これは映画に出てくる解雇通告シーンの中で、ビンガムがコンサルタントとして相手をうまく納得させることができたほぼ唯一の事例。

他のケースでは、取り乱したり、怒って物を投げつけたり、泣き崩れたり、すがったり、挙句の果てには自殺予告をしてみたり・・・と、リアルな従業員の姿が描かれます。整理解雇が合法なアメリカであっても、人格を否定されるかのようなこの行為を人間の感情としては到底受け入れることはできず、そう簡単には済まないということ。だからこそ、ビンガムのようなリストラコンサルタントに職があるわけで。歴史的背景により整理解雇に免疫がない日本でアメリカ型解雇自由が導入されれば、なおさらでしょう。

今ちょうど巷で流行りつつある「解雇解禁」。私も肯定派ではありますが、こういった解雇の現実を想像した上で主張しなければ、と。
 

のりピー事件で裁判所がお蔵入りにしたあの裁判員の映画って、実は図書館で借りられるのね

 
意外や意外、最寄りの図書館でこれを見かけて、借りることができました。

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裁判所も、そこまでは回収の手を回していないということでしょう。きっと、皆さんの街の図書館にも置いてあるはず。


判決。もはやコメディにしか見えず、よって使用自粛は相当。

酒井法子容疑者が主演の広報映画、使用自粛 最高裁(NIKKEINET)
最高裁は7日、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕状が出た酒井法子容疑者が主婦役で主演した裁判員制度の広報用映画「審理」の使用を自粛すると発表した。裁判員制度への関心が高まるなか、イメージ低下を懸念したとみられる。
最高裁によると、DVDの配布・貸し出しを中止し、ホームページでの動画配信も停止。裁判所庁舎内に掲示したポスターは撤去し、今後予定している裁判所の行事での上映も見送る。最高裁は使用自粛の理由について「様々な事情を考慮した」としている。

内容は、電車内のちょっとしたイザコザが殺人事件に発展した事件において、被告人に正当防衛が成立するかが主な争点となる架空の裁判員裁判を題材に、酒井法子演じる主婦の視点から描く60分。判決の内容含めあまり奇をてらわない、とても常識的な作りになってました。

問題の使用自粛の判断については、今回これを借りて見るまでは、「別にいいじゃん、せっかく血税を使って制作したんだし割り切って見せれば」と思ってましたし、実際借りたのも結構真面目に見るつもりで借りたんですけど、

これを広報映画として使用し続けるのはたしかに無理だなと納得。

なぜって、イメージ低下云々の前に、映画自体がのりピーのせいでもう完全にコメディにしか見えなくなっちゃってるんですよ。
映画の設定と役柄上しょうがないんですけれど、のりピーが裁判員として被告人を諭すようなシリアスな台詞を何度もつぶやくたびに、一緒に見ていた妻と二人で腹を抱えて泣き笑いに近い大爆笑。
ドラマの終わりの方で、のりピー自身がこんなことを台詞でつぶやくんですが、
「私も恥ずかしくない生き方をしなくっちゃ。」
2人とも、ここでとどめを刺されましたorz...

こんな酒井法子の黒歴史を公式広報映画として後世に残せるはずもなく、お蔵入りの判断は適切だったことを確認した次第です。

ちなみにですが、広報用映画は公開が停止されたこの『審理』のほかにも

『裁判員〜選ばれ,そして見えてきたもの〜』
s-saibanin

『評議』
s-hyougi

などもあります。フラッシュとwmvでネット配信されていますので、ご興味ある方はリンクからご覧ください。

率直に言って、この2作品の方が脚本も役者の演技も完成度が高く(特に村上弘明主演の『裁判員〜』はオススメ)、公開停止にして相対的にこれらが注目されるようになったのは良かったのではと感じました。ケガの功名とでもいいましょうか。

【DVD】フィラデルフィア―弁護士が弁護士を雇って弁護士事務所と不当解雇を争う物語

 
と言っても、クリームチーズの方ではなくて。
トム・ハンクス主演の法廷映画の方です。

フィラデルフィア


エイズであることがバレて大手法律事務所をクビになった若手弁護士(トム・ハンクス)が、ゲイに偏見を持つ黒人弁護士(デンゼル・ワシントン)と共に法廷で不当解雇を争うというストーリー。

痩せ細って原形をとどめなくなっていくトム・ハンクスの演技だけをとってみても、さすがこの映画で主演男優賞をとっただけのことはあり、一見の価値があります。デンゼル・ワシントンも、他の映画で彼が見せるシリアス一辺倒な感じとはちょっと雰囲気が違う役柄で、親しみがもてます。

陪審員裁判を扱った映画にありがちな過剰な演技を一切使わずに、同性愛に対する差別意識と不当解雇という事件の本質とを裁判の中でうまく切り離して考えさせていく脚本や演出は、法律に覚えがあるはずのこのブログの読者の皆さんであれば一層素晴らしいものに感じられるはず。

ちなみに、日本においても、HIVを理由とした雇用差別を不当とする指針や裁判例があります。この映画を観た後にお読みになると、理解度も高まるのではと思います。

職場におけるエイズ問題に関するガイドライン(平7.2.20 基発第75号 、職発第97号)

HIV感染者解雇事件(東京地裁平成7年3月30日判決)

【本】商社審査部25時―重油の債権回収のために船まで差し押さえちゃうわけですね

 
発刊当時、三井物産の現役審査マンだった高任和夫さんのデビュー作。BUSINESS LAW JOURNAL 2月号の特集でも紹介されてましたね。

「“審査”とは、財務諸表とにらめっこして取引にブレーキをかけるばかりの業務ではなく、時に営業以上に高度なクリエイティビティを求められる業務である。」

審査業務に対するそんな熱い思いが込められた、ビジネス小説です。



審査業務の醍醐味を鮮明に小説化

架空の商社・畿内商事の審査課長である千草が、取引先の信用不安・会社更生の申立に立ち向かう姿を通し、商社審査部というところがどのように情報を集め、営業とともに債権を保全・回収していくのかを描きます。

そして小説の中盤からは、会社更生手続の中で、主たる取引先であり債権者でもある畿内商事に対して過酷な負担を強いてくる裁判所との戦いを通じて、単なる保全・回収を超えたクリエイティビティを発揮し始める主人公の千草。

途中、船に積まれた重油の債権を回収するため、どこかの海を航海する船の行方を探し出し、動産売買先取特権に基づく物上代位を行使すべく船そのものを差し押さえに行くあたりは、やっぱ商社の審査部ならではだなあなんてロマンを感じてみたり、実はこの船の話が後の展開のうまい伏線になっていたり・・・

何度かこのblogでも書いてきたとおり、私は親会社に大手商社をもつ企業に育てられましたので、商社の審査部というところがどんなアグレッシブなことをしているのかは耳にしていたのですが、そうでもない限り、審査マンに対するイメージがこの本で大きく変わるのではないでしょうか。

そして日ごろ「取引審査業務はつまらない」と思っている審査担当の方にも、モチベーションアップのカンフル剤になると思います。

【DVD】34丁目の奇跡―海外出張の多いあなたならきっと持っている、サンタクロースの存在を証明する唯一の証拠

 
クリスマスシーズン真っ盛り。

「クリスマス」と「訴訟」を掛け合わせたら、意外にも愛いっぱいの映画になったという作品をご紹介します。




サンタという“夢”を証明する物証とは

老人ホームに身を寄せるおじいちゃんが、あるきっかけでデパートのサンタクロースを見事に演じ切り、NYの人気者に。

ところがこのおじいちゃんサンタ、デパートの人気上昇に嫉妬したライバルデパートが仕組んだ罠にかかって、勾留されることに。

そして、サンタクロースは実在するか?という、どう考えても証明しようのない“夢”を証明するという訴訟に。

万事休すか・・・というところで、アメリカ人なら誰もが持っている、そして海外出張の多いビジネスパーソンならみんな持っているはずの、ある“モノ”が救ってくれる、というオチ。

こう書くとハラハラドキドキな映画に見えるかもしれませんが、とっても心温まるクリスマス映画です。

【DVD】レインメーカー―米法廷におけるマナーをドジなマット・デイモンを教材に学びましょう

 
「レインメーカー」とは、お金の雨を降らせる弁護士の意。

弁護士数過剰の街といわれるメンフィスを舞台に、マット・デイモン演じる新米弁護士ルーディが、白血病での保険金支払いを渋る大手保険会社側についた大弁護団を相手に、訴訟で立ち向かうドラマ。


原作:ジョン・グリシャム
監督:フランシス・F・コッポラ
主演:マット・デイモン
という超豪華な布陣。

にもかかわらず、浮ついたハリウッド的要素が極力抑えられた、落ち着いた人間ドラマに仕上がっています。

他の法廷ドラマと違うのが、正しい反対尋問の仕方や証拠の提出の仕方を知らない新米弁護士ルーディを、裁判官や相手方弁護士が嗜めるシーンが随所に出てくるところ。

いちいちドジって怒られるちょっと間抜けなルーディことマット・デイモンの弁護士としての成長を通して、アメリカの法廷マナーも学べます。

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【DVD】THE FIRM 法律事務所―インハウスローヤーの葛藤


トム・クルーズ主演、法律事務所を舞台にしたサスペンスムービー。


ハーバードのロースクールをトップクラスで卒業し、破格の待遇で迎え入れてくれたローファームが、実は事務所全体で違法行為に手を染めていた。
気づいたときにはもう遅く、逃げようとも逃げられない罠に嵌められて・・・

といったストーリー。

法律事務所のパートナー全員から違法行為への加担を求められる一方で、その法違反を暴こうとすればクライアントに対する守秘義務違反で弁護士資格を剥奪される・・・という、正義と弁護士法との板挟みに葛藤する弁護士を、トム・クルーズが好演します。

企業犯罪ではないのでシチュエーションはちょっと異なりますが、当blogの中でもコメント欄で異論反論を沢山頂き物議を醸している下記エントリの私の主張「インハウスローヤーは、弁護士倫理との板挟みに苦しむことになる」が表現されている映画でもあります。
インハウスローヤーを雇用することの難しさ


それにしても、『ザ・エージェント』といいこの映画といい、トム・クルーズってスーツを着てビジネスマンを演じさせたら、最高に格好いいですね。

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【DVD】エミリー・ローズ―ホラー映画かと思ったら法廷映画でした


『エミリー・ローズ』という映画をDVDで見ました。


奥さんが「ホラー映画をみたい」というので借りたんですが、これが意外にも法廷ドラマ。しかも本当にあった訴訟をベースにしたものだそうな。

精神的な病で痙攣発作を起こし拒食状態にある大学生を、医学的な治療から遠ざけ見殺しにした罪で、検察は最後を看取った神父を訴えるのですが、神父側は少女が悪魔に取り憑かれていたのであり、その少女自身が“ある事情”から医学的治療を拒絶したと主張します。

裁判のシーンの合間に少女の恐怖体験が描かれていて、これはこれでとってもコワイし(女優のジェニファー・カーペンターの名演が評価されています)、神父が少女に対して行う悪魔祓いの儀式も『エクソシスト』をもっと激しくしたようなものになっていて、ホラー要素も満載なのですが、あくまでも主題は科学(医学)vs宗教という重たいテーマ。

そういえば私の中のNo.2映画であるジョディ・フォスター主演の『コンタクト』も「宇宙に神は存在するか」というテーマでまさに科学vs宗教。知ってて見たわけではないですが、この2項対立テーマが好きみたいです。


※この映画への法的ツッコミどころは以下なんですが、ネタバレ注意

最後の判決と量刑のシーンで、「有罪。でも今日で刑期終わり。」って、そんな判決出せないですよね?米法をご存知の方には是非ご覧いただいて突っ込んでいただきたいところ。

そしてもっと根本的なところで、娘の病状(悪魔憑依)?を見かねたとはいえ、サジを投げて神父に治療を一任した両親が何の罪にも問われず、任された責任を全うし最後に臨終を看取った神父だけが起訴されるのもいかがなものでしょうか?

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アメリカン・ロイヤーの誕生 ジョージタウン・ロー・スクール留学記

阿川尚之/著、中央公論社
価格:693円
評価:★★

日本のロースクールはアメリカのロースクールの猿マネだとか、失敗するとかよく言われますが。

この本を読めばアメリカのロースクールという世界がいかに厳しいものかを十分に思い知ることができます。

MBAとは違い、生半可な気持ちでロースクールへの留学をすることは自殺行為なのだということが身にしみて良く分かります。

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