企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

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統計・確率では導けない「法的に正しい判断」を、AIでどう実現するか?ーSymbolic AIとDeontic Logic

近年、契約書レビューやリスク分析に“AI”を導入する企業が増えています。

しかし、その多くは統計的手法(機械学習・深層学習)を用いて「過去の膨大な契約文書からパターンを学習し、危険ワードをハイライトする」「確率的にリスクを推定する」という仕組みが中心です。もちろんこれは有用ではあるものの、法務実務には「確率50%だからセーフ」などという曖昧さが許容されない領域も多々存在します。

そこで注目されるのが、Symbolic AI(記号的AI) と Deontic Logic(デオンティック・ロジック) の組み合わせです。これらは「確率」ではなく「ルール」と「義務・禁止・許可」の概念をベースに、“法的に正しい判断” を機械に実装するアプローチといえます。

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統計的AIの限界―「確率」に頼れない法務の世界


統計的AIは、大量のデータを学習して「類似事例が何%の確率でリスクを伴う」など、確率論的に予測する手法です。たとえばメールのスパム判定などはこれで十分機能し、「95%の確率でスパム」と推定されれば実用上はほぼ問題ありません。

しかし法務の現場では、「60%の確率で安全そうだから契約条件を満たしていることにしよう」とはならないのが実情です。義務や禁止事項が明示されている場合、確率ではなく“ルールを守る・守らない”が問われる からです。

契約書に「秘密保持義務を負う」と書かれていれば、たとえ確率が低くても違反は違反。そこに統計上の“グレー”を挟む余地は少ないといえます。

この問題を解決するのが、Symbolic AIとDeontic Logicです。

Symbolic AIとDeontic Logicを組み合わせスマートコントラクトの壁―0/1の条件分岐を超える


Symbolic AI は、ルール(規則)を明示的にプログラムとして書き込む手法です。たとえば交通ルールをAIに実装するとき、「赤信号では進んではならない(禁止)」「青信号では進んでもよい(許可)」「緊急車両が来たら道を譲らなければならない(義務)」のように、人間が定義した“正しいルール” をそのまま組み込みます。

Deontic Logic(デオンティック・ロジック)は、こうした「義務」「禁止」「許可」といった規範的概念を論理式で扱う体系です。契約や法令に書かれている「〜しなければならない」「〜してはならない」を、コンピュータでも理解可能な形に落とし込めるため、単なるYes/Noの条件分岐を超えた“規範的ルール” を機械に扱わせることができます。

ブロックチェーンの普及に伴い実用化が期待されてきたスマートコントラクトは、「ある条件が満たされたら自動的に契約を実行する」という仕組みです。これは金融決済などシンプルな分岐条件の自動化には向いています。しかし、多段階の例外処理や「裁判所からの命令があれば義務を優先する」「会社の取締役会が合意すれば途中解約を認める」など、現実の契約が内包するグレーゾーンは扱いづらいという欠点がありました。

Symbolic AIとDeontic Logicの組み合わせなら、「特定の条件下ではこの禁止を一時的に解除する」「両当事者が別の義務を優先する」など、多数の例外が論理的に衝突する場面でも、優先順位や例外規定 をあらかじめルールとして設定し、機械に解釈させることが可能になります。

いわば「0/1の単純な条件分岐を超える」「確率ではなくルールベースで、複数の選択肢から法的に正しいものを導き出す」方向へ拡張できるのです。

企業法務へのメリット―例外と優先順位をさばくAI


企業法務では、NDAのように「基本は禁止だが権限者が認める場合は例外処理を許可」「法令遵守のためには別の義務が優先」など、二重三重のルールが込み入った契約や社内規程が当たり前です。学校の宿題の例に例えるなら、「毎日やるのが義務、ただし病気の場合は期限を延長してよい」のように、その時々の優先順位に応じた、柔軟な運用が求められます。

Symbolic AIとDeontic Logicを使えば、「禁止を破るほどの例外要件が生じた場合に許可が発動し、さらにその許可は別の義務より優先される」というマルチステップの推論を機械に行わせられる可能性が出てきます。これによって「法的に正しい」かつ「企業内規程とも整合性がある」判断を自動サポートできるようになります。

統計・確率ベースのAIは、大量のデータを迅速に分析する強力な武器ですが、法務の現場では「確率的に半分OK」では済まされない状況が多々あります。

Symbolic AI と Deontic Logic を駆使し、0/1の条件分岐や確率論を超えた「義務・禁止・許可」「例外や優先順位の多層的関係」を機械に理解させる取り組みアプローチは、スマートコントラクトの限界を補完し、企業法務における複雑な契約書や社内ルールの矛盾を解消しうると考えます。
 

2030年の企業法務と「AIエージェント」

商事法務のNBL 2025年1月1日号に、新春座談会「AI時代の法務—人に焦点を当てて」が収録されています。

三菱商事インハウスローヤーの鈴木卓先生からの「AIによって企業法務はどう変わるか?」「非専門家がAIを使って法的検討や判断をできるようになる『法務の民主化』は起こるのか?」をテーマにした問いの数々に、AI契約レビューサービス4社の代表がそれぞれ意見をぶつけ合う、全22ページのボリュームたっぷりな座談会です。

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AIリーガルテックの直接の競合同士ということもあってか、全体としてはおとなしめの・常識的な発言が多いかなという印象ですが、個人的には、MNTSQ代表の板谷隆平先生の発言が飛び抜けてキレキレで、共感を覚えるポイントが多々ありました。

企業はなぜ内部に法務部門を置くのか


その板谷先生の発言の中でも、私が特に注目したのが以下のやり取りです。

鈴木 2030年というと遠い未来のように感じますが、もう5年後になります。では、5年後どうなっているでしょうか?
板谷 私は(中略)、会社全体をエージェントが動き回って、真に法務が審査する案件を探してくる世界が来ると思っています。つまり、AIというのは標準化する技術ですので、やはり標準から離れるには人間の介入が必要になると思うのですけれども、標準とは異なるリスク、あるいはビジネス的にユニークネスがある案件をエージェントが探し出してきて、法務に手渡しするという世界が来ると思っています。

企業が法務部を設置する意味・価値というのは、突き詰めれば「リソース有限な経営者に代わって、能動的に社内外の法的リスク情報を集め、優先度を判断しながら一定のリスクは自動的に処理し、重大なリスクは直ちに報告し経営判断を仰ぐ」体制ができる点にあると考えます。この点はおそらく皆さん異論はないでしょう。

これに対し、外部の法律事務所のみに頼っている体制の限界は、"社内の法的リスク情報"についてはどうしても外部からは能動的にアクセスできない・察知しにくい、という点にあるでしょう。時折話題になる法務アウトソーシング論の限界も同様にここにあります。

こうした背景を踏まえると、経営者の“代理”としてリスク情報を逃さず拾い上げる仕組みは企業内部になくてはならないわけです。そして、板谷先生が指摘するように、普通は見逃してしまうような社内の法的リスク情報を漏れなく集め分析する役割は、人間よりもAIエージェントの方が優れているだろう、と思うのです。

会社全体をエージェントが動き回って、真に法務が審査する案件を探してくる世界


具体的な事例で考えてみましょう。

たとえば、取引先J社の重要幹部N氏に気に入られることを目的として、自社社員W氏をN氏との酒の席に同席させ、性接待に供するテレビ局があったとします。

「社員を接待に同席させる義務を負う」と真正面から記載された取引先J社との契約書のレビューが法務部門に依頼されたり、事業部から「うちの社員Nを接待に同席させて、Nさんににちょっと色目を使わせるぐらいは問題ないですかねー」といった法務相談があったりすれば、異常事態に事前に気づけて助かりますが・・・普通に考えて、そんな依頼や相談が法務部にもたらされるはずがありません(笑)。

むしろ、被害社員からのSOSすら組織的に隠蔽されるのが残念ながら世の常。そんなことはあってはならないと、いくら法務研修で啓蒙し、組織を浄化しようとしたところで、そうした情報が漏れなく能動的に報告されることは期待できないでしょう。

でも例えば、

・当社はJ社に制作コンテンツ(≒売上高)の多くを依存している
・J社の重要幹部N氏をキーマン条項に定める契約書が複数件結ばれている
・N氏との会合を目的に当社幹部Aが高級ホテルのスイートルームを借りた領収書付経理伝票がある
・スイートルーム予約日の翌日、W氏から上司Bに対し相談を持ちかけたチャット履歴がある
・その直後、W氏が病欠・長期休暇に入った
・W氏の病欠・休暇理由の明確な記録が人事データベースに存在しない

このような状況と情報をタイムリーに察知・俯瞰・分析し、取引先J社N氏と社員W氏間で何らかの重大なトラブルが発生し、それを事業部や人事部が隠蔽しているのではないかというアラートを、法務・コンプライアンス責任者に発してくれる法務AIエージェントがあったらどうだろう、ということです。

現在でも一部の企業では、社内インフラ上のキーワード解析や支出データクロス集計などが進んできています。2030年という時点を考えれば、社内のさまざまなシステムが連携し、AIエージェントが違和感のある異常値や文脈を捉えてアラートを出すことは、技術的にそれほど遠くない未来だと言えるでしょう。

2030年法務AIエージェントは実用レベルに達するか――根拠と懸念


座談会は、「AIの普及によって人(特に社内弁護士)の価値やチャンスはむしろ高まる」という楽観的な結論で締め括られています。

しかし私は、以下の点から、2030年時点で、テキストベースの業務に終始していた法務業務の多くの部分がAIエージェントに代替されているシナリオは十分あり得ると思っています。

1.自然言語処理(NLP)の加速度的進歩:
現在の生成系AIの台頭によって、長文のレビューや文脈理解が既に実務レベルに達しつつある。

2.ビッグデータ分析とクラウド環境の成熟:
従来は膨大なデータを一括で処理することがコスト的にも技術的にも困難だったが、クラウド技術の普及により、社内の複数データソースを一カ所に集めて解析する体制が整いつつある。

3.部門横断のデータ連携ニーズの高まり:
経理・人事・営業・法務といった縦割りからの脱却が多くの企業で課題となり、そこをAIが橋渡しする動きはDX(デジタル・トランスフォーメーション)の流れのひとつ。

もちろん、データの取り扱いやプライバシー保護のルールをどこまで整備するか、またシステム導入コストや人的リソースの再配置といった現実的課題も並行して生じます。AIエージェントがあまりに企業内のあらゆる情報にアクセスすることは、社員の監視強化という負の側面にもつながりかねません。

しかし、「経営者を代理して法的リスクを収集・処理する」のが法務部の存在意義であることを考えると、経営者の立場からはそうした困難を乗り越えてでもAIエージェントに(文字通り)代替させようとするのが自然では、という思いを強くしているところです。

次回予告 契約法務の領域は自然言語から逃れられないのか?


座談会の中では、AIエージェントによる代替が難しそうな法務領域はどこか?という文脈で、このようなやりとりもありました。

鈴木 『Legal Operationsの実践』の座談会の中で、LINE Yahoo!の齋藤国雄さんが「自然言語は時代遅れなのかと思っていた」という場面がありました。(380ページ)。そう思っていたけれども、生成AIが出てきて、読解力がもう一度脚光を浴びると思うようになった、つまり、ある程度のボリュームの文章をきちんと読み解く力が重要になる、ということをおっしゃっていて、その時は、難しいことをおっしゃるなと思っていたのですけれども、つまりは、そういうことなのかもしれないと思うんです。 AIは答えてくれるけれども、やはり言葉をしっかり読んで理解して、それをまた自分の言葉で伝えることというのが、結局また大事になってくるのではないかという気がしています。
板谷 そうですね。少なくとも契約法務の領域は、言語からは決して逃れられないでしょうね。スマートコントラクトなどと言われていますけれども、必ず自然言語を処理する部分は残るとは思います。

私も数年前まではそう思っていたのですが、この契約法務における自然言語依存問題を解決しうるアイデアがあることを最近知り、考え直すに至っています。

この点についてはまた次回に。

法務&知財系ライトニングトーク2017 <リーガルテック祭>を開催しました

 
法務&知財系ライトニングトーク2017 <リーガルテック祭>が無事終了。ご参加者のみなさま、そして@kataxさんはじめクックパッドのみなさま、@shibaken_law先生、お忙しい中お集まり&ご協力をいただいただき、本当にありがとうございました。


LTの企画担当として、今回、いつもの「法務・知財のことならなんでも話したいことどうぞ」をやめて、LTしていただくテーマをある程度絞り込んでみるというTRYをしてみました。その効果として、エンジニア・官公庁勤務・フリーランスの方など、参加者の方の顔ぶれ・ご所属がいつもよりさらにバラエティに富んだものとなりました。

一方で、テーマにエッジを立てた分各LTの内容があまりにも個別性高くマニアックになってしまうおそれもあったことから、網羅性が担保できるよう、基調講演的なLTを設けるというTRYも。こちらは、日本でいち早くリーガルテックを事業として実践されている弁護士ドットコムクラウドサイン事業責任者の橘先生と、弁理士で株式会社Toreru代表の宮崎先生にお願いをしました。

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弁護士ドットコム橘先生

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株式会社Toreru宮崎先生

5分ずつという短い時間ながらきっちりとリーガルテックの全体像・日本の現在地・基本的な効用を実践者としての実感値を交えてお話いただいたことで、イベント全体にいい流れを作っていただけたと思います。本当にありがとうございました。


GitHub/支援型・代替型AI/2of3マルチシグ/とりあえず聞いてみる・やってみる/デザイン思考とカスタマー志向/グラフ構造分析/モジュール化とオープン化によるフェアネス担保/自動化≠利益化/エンジニアが法務を担う/紛争を発生させないことで利益を生み出す法務/すべての課題は国会に通じる/電子化の4つの場面(交付・署名・申請・保存)・・・LTを聞いてないとなんのこっちゃかもしれませんが、私が司会の片手間に刺激を受けてメモしたフレーズ・キーワードだけでもこんなにあり、5分のそれぞれのLTがいつも以上に短く・早く感じました。

リーガルテックが産業としてくるかこないかはさておいても、何より感じたのは、法務パーソンに語学力が求められてきたようにテック力が当たり前に求められるようになるのはまず間違いないな、ということでしょうか。脅威でもあり、楽しみでもあります。
 

当日の様子はtwitterのハッシュタグ #LegalTechLT からご覧いただけます。ご参加者のご感想もお聞きしたいですし、こちらをご覧いただきリーガルテックに興味をもったという方もぜひ私までお声かけください。またこういったイベントも随時開いていきたいと思っていますので、その際はどうぞご参加とご協力をお願いいたします。
 

リーガルテックと10年後の法務・知財業務

 
このエントリでは、10/5開催予定のリーガルテックLTに向けた準備と論点整理も兼ねて、法務・知財業務の人から機械への業務代替可能性や、企業法務・知財パーソンが今後力を入れていくべき領域について、考えてみたいと思います。

「人ならではの仕事」を特徴付ける3つの要素


リーガルテックの未来に関する論考をいくつか読んでみた中で、人ならではの機械には代替されにくい仕事とは何か、人と機械のすみわけについて、ビジネス法務2017年7月号の特集「リーガルテックの最前線」に掲載された野村総研上田恵陶奈さんの記事(P12-16)が分かりやすく参考になりましたので、一部を紹介させていただきます。

(オックスフォード大と野村総研の)共同研究では、AIは一部の職業を代替できる可能性があるが、代替できない職業もあるという結果になった。では、AIが技術的に自動化しにくい、苦手とする特徴とは何か。要約すると、「創造性」「ソーシャル・インテリジェンス」「非定型」という特徴がある場合である(下記【図表1】)。逆に言えば、「創造性が必要ない」「ソーシャル・インテリジェンスを必要としない」「定型」の特徴を持つ職業は、AIなどで代替できる可能性が高い。

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McKinseyの調査によれば、現時点のテクノロジーを前提とした場合、全職業では約半分の業務が自動化可能であるけれども、弁護士については23%の業務のみが代替可能とされる。Deloiteは、今後20年で弁護士事務所人員の39%が代替可能と予想している。代替できる範囲に違いはあるが、いずれも2つの点で共通している。すなわち、法律事務所の業務はAIによって自動化される可能性があることと、代替できる範囲は半分未満にとどまり人による業務と共存することである。

野村総研の上田さんは、記事全編にわたり、法律業務の多くは(プロフェッショナル集団である法律事務所であっても)テクノロジーによって代替されていくが人に残る領域はあり、機械と仕事を奪い合うのでなくテクノロジーをうまく使いこなす側にまわることで、人ならではの3つの特徴を生かした高付加価値業務にシフトを進めるべきだ、と述べています。

ではその高付加価値業務とは何か、代替されない業務とは何かを具体的に見極めて、将来求められるであろう経験・スキルを今から戦略的に身につけていきたいところです。

法務・知財の業務別代替難易度


そこで私は、法務・知財の求人広告に記載されている業務をリストアップし、それらを先に紹介した「創造性/ソーシャルインテリジェンス/非定型」の3つの切り口で、私の独断によるテクノロジー代替難易度をランク付けしてみました。特に、Aが2つ以上ついたものは代替可能性はかなり低い(できたとしてもシンギュラリティ以降)だろうということで二重丸を、Aが1つついたものも今後10年は代替困難だろうということで一重丸を、それぞれつけています。

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こうやって眺めてみると、現時点で「C」ランクを付けざるを得ない業務は、実はすでになんらかの形(法律特許事務所・サービサー・請負事業者への委託、派遣社員の活用、システム化)で代替・アウトソースがはじまっている領域であることがわかります。これらの業務が人の手から離れ、ますます機械化されていくであろうことについては、それほど異論はなさそうです。

一方、議論が分かれるのは「B」ランクの業務でしょう。特に、現状の法務・知財パーソンのメイン業務である契約書・特許出願書類等の法律文書作成業務は、業務時間に占めているボリュームが多いだけに、本当に代替されてしまうのかは興味深いところです。この点、当然に案件によって創造性がアウトプットの差を生んだり、非定型で複雑な処理が一部混入していることで機械化がかえって非効率になったり、ということはあるでしょう。しかし、そういった特殊なものを取り除いた大部分が機械で自動化可能ならば、これらの業務も早晩テクノロジーに代替されていくのだと思われます。

そうなると、がぜん「A」ランクが付く業務に注目が集まってきます。法的リスクを早期に発見・切り分けしこれを乗り越えていくための法律・知財相談、人間の感情が交わるからこそ機械だけでは手には負えない訴訟・トラブル・危機管理、そして近年法務の領域拡大エリアとして注目を集める法そのものを動かしていく渉外・公共政策・・・、いずれも、法的トレーニングを積んだ基礎があった上での総合芸術的な業務分野です(水野祐先生が提唱される「リーガルデザイン」の目指すところと多くが重なります)が、この辺の業務の経験を今から積極的に取りに行き、自分の血肉としていく行動力が求められます。

テクノロジーで生まれる余力でシフトチェンジ


法曹人口の拡大による契約書業務の低価格化に危機感を感じこのブログを始めた12年前、契約書作成半自動化サービス「契助」がリリースされてアメリカでもLegalZoomやRocketLawyerといったテック系企業が勃興しはじめた4〜5年前、そして日本でもAIを用いたリーガルテックサービスが矢継ぎ早にリリースされはじめた現在。ゆっくりとしかし確実に業務自動化の足音は近づいてきています。

約10年後の2030年、B〜Cランク業務の多くがテクノロジーによって代替される(かもしれない)未来に備え、自分から積極的にテクノロジーを手懐けてCランク業務を省力化し、生まれた余力でクラッチを切っていち早くAランク業務へシフトチェンジしていく。そんな戦略が理想的です。
 

ビジネス法務 2017年 07 月号 [雑誌]
中央経済社グループパブリッシング
2017-05-20


 

法務&知財系ライトニングトーク2017 <リーガルテック祭> へのご応募ありがとうございました


10月5日開催、「法務&知財系ライトニングトーク2017 <リーガルテック祭>」 へのご応募ありがとうございました。受付開始から数日で定員の2倍を超え補欠繰り上がり待ちの方も出るなど、このテーマに対する関心の高まりを改めて感じました。

イベントページにも追記させていただきましたとおり、基調LTには、弁護士ドットコム「クラウドサイン」事業責任者 橘大地先生と、株式会社Toreruの代表取締役 宮崎起史先生をお招きします。橘先生には日本のリーガルテックの全体像について、宮崎先生には人工知能が変える知財の将来について、それぞれお話していただくことになっています。

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※橘先生・宮崎先生のご経歴・ご活躍については、以下記事を参照
▼1年半で6,000社が導入!「PMF」を実現した、新規サービスの開発・拡大プロセスを公開
https://seleck.cc/959
▼書類作成の9割以上自動化、作業量従来比1/10に。商標登録AI「Toreru」
http://startuptimes.jp/2017/08/07/62452/

また、一般応募枠で参加いただける企業や法律事務所の方々にも、(私からは公開を控えますが)リーガルテックを活用される会社様や、この分野で著名な先生がいらっしゃいます。どうぞお楽しみに。LT参加の方でテーマをご提出いただけてない方、イベントページでの表示が「(未定)」になっておりますので、こちらのご提出もお待ちしております!

最後に、残念ながら補欠となってしまったみなさま、法律系イベントのキャンセル率は低めなので、申し訳ないのですが繰り上がりは期待薄でご参加いただけない可能性が高いと思います。。。どの程度お伝えできるかはわかりませんが、可能な限りハッシュタグ #LegalTechLT でtwitter実況を試みたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

法務&知財系ライトニングトーク2017 <リーガルテック祭>  8/29からLTer受付開始


来たる2017年10月5日(木)、 ブログ「企業法務について」の @katax さんと、法務&知財系ライトニングトーク(LT)イベントの開催を企画しています。

今回は、いつもと違った新しい試みとして、LTのテーマをあらかじめ設定してみたいと考えています。
そのテーマはずばり「リーガルテック」

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クラウド・ビッグデータ・AI・ブロックチェーンといったテクノロジーが次々と法律業務にも応用されつつある現状を踏まえ、
・実務に業務にどう取り入れていくか?(具体的アイデアでも期待・想像でもOK)
・あの会社のリーガルテックサービスを実際に使ったことあります!(感想・レビュー)
・あなたが予想するリーガルテックの落とし穴・リスク
・人間が活躍できる非代替領域はどこになるのか?
・リーガルテック時代の法務・知財パーソンの今後のキャリアは?
・行政サービス・法律はどう変わっていくか?
など、リーガルテックに関連したテーマで5分間のLTをご披露いただければと思います。なお、基調講演(LT)として、実際にリーガルテックを推進されている事業者・専門家の方々にお話をいただくことも検討しています。

リーガルテックに対する「期待」や「不安」はさまざまあると思いますが、企業の中で法務・知財として今も活躍する皆さんがテックを使いこなし、より生産性や付加価値の高い業務に取り組む前向きな未来について、ピザとビールを片手に気軽に意見交換・想像できるような場にできればと考えています。

そこで、現在企業に在籍されている法務・知財パーソンの方々から、LTerを12名程度優先枠として先行受付させていただきたいと思います。応募方法について、あす8月29日(火)7:00ごろから9月3日(日)ごろまでをいったんの優先申込み期間として、本記事内に応募フォームへのリンクを掲載いたします。予定を変更し、8/29から企業在籍LTer枠12/士業その他LTer枠6/聴講枠をそれぞれ先着順で受付を開始しました。

ご興味を持ってくださった方は、お手数ですがご応募いただければ幸いです。


▼法務&知財系ライトニングトーク2017 <リーガルテック祭>(connpass)
https://connpass.com/event/65612/



ビジネス法務 2017年 07 月号 [雑誌]
中央経済社グループパブリッシング
2017-05-20








FinTechの法律 2017-2018 (日経FinTech選書)
森・濱田松本法律事務所 増島雅和
日経BP社
2017-07-21


 
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