企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

リスクマネージャー

リスクが脅威なのではなく、リスクによって発生するクライシスが脅威なのである

 
企業のリスクマネジメントにおいて、「リスク」とは、ステークホルダーに対して約束している企業価値を損なう可能性をもつ事象のこと。
あくまで可能性であって、今現在は現実のダメージとして発生していない状態にある事象をいいます。

これに対して、現実のダメージとして発生しており、実際に企業価値を減少させている事象を、「クライシス」といいます。

この定義の違いを曖昧にしたまま、つまりリスクという言葉にクライシスを含めたまま議論をしてしまうと、リスクコミュニケーションはうまくいきません。

いまだクライシスになっていないリスクをすべて脅威と捉えてしまうと、すべて回避・排除・処理しなければならないことになります。それでは現場の業務がすべてストップすることになり、企業経営は成り立ち得ないからです。

クライシスが発生した際の影響度と事後処理の方法をしっかりと想定した上で、クライシスの発生源たるリスクについて
・受容・許容できるもの
・費用をかけて回避・排除・処理する必要があるもの
の境界を、冷静な視点で判断することが大事。

この厳しい景況感の中で、リスクマネージャーにはまさにその冷静さと選球眼が問われていると実感しています。

【本】JIS Q 2001:2001 リスクマネジメントシステム構築のための指針―この2つの図がリスクマネジメントのすべてを表現する

 
リスクマネジメントの基本規格であるJISQ2001の定義を確認しておきたい方は、基本書として一応持っておいたほうがいいんでしょう、この本は。

JIS Q 2001:2001 リスクマネジメントシステム構築のための指針


しかし、amazonで発注して家に届いたときのびっくり加減は今でも覚えています。

「薄!! そこそこ値は張るのに、薄!!」

あくまでもJISQ2001規格の定義書なので、感動とかフムフムとかはないのですが、

この本に納められているこの2つの図は、JISQ2001という規格の考え方のすべてを、つまりリスクマネジメントの全てを表現しているんじゃないでしょうか。

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リスクマネジメントについて迷ったとき、私はこの2つの図に立ち返ることにしています。

さすがに、基本書だけのことはあるなと。

【本】実践リスクマネジメント―「頼れるリスクマネージャー」であるための虎の巻

 
リスクマネージャーを拝命してから、何はともあれ「頼りになりそう」な1冊はどれか、と探して見つけたのがこれ。

実践 リスクマネジメント―事例に学ぶ企業リスクのすべて



電話帳のような厚みが生む安心感

A4サイズと大きめ、そして580ページを超えるぶ厚さ。
ちょっとした電話帳サイズで、見ただけで何でも載ってて頼りになりそうな安心感を醸し出してます。

といってもただ情報量が多いだけでなく、リスク分野のコンサルティングを専門に行う企業の著書だけあって、図表を多用し、リスクマネジメントのフレームワーク・リスクに関するデータをキレイに分かりやすく整理してくれているところが特徴。

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第1編はリスクマネジメントの考え方
第2編はリスクの種類別各論
第3編は各社リスクマネジメント取組みの実際
こんな3編構成になっていて、特に第2編の各論部分には420ページあまりが割かれており、ここがメインのコンテンツになっています。
火災・盗難といった財物リスクにはじまり、リコール・苦情対応・株主代表訴訟といった法務リスク、環境リスク、情報セキュリティリスク・・・と、およそ思いつくほとんどのリスクについて章立てされて網羅的に整理されています。

第1篇のリスクマネジメントの基本的考え方の部分も、他のリスマネ本よりもすっきりコンパクトにまとまっている印象。
?リスクの発見・確認
?リスクの分析・評価
?リスクの処理
?結果の検証
というリスクマネジメントの基本フレームワークの解説が特に分かりやすく、自社のリスクマネジメント戦略を考える上でのベースにさせてもらっていました。

リスクマネジメントについて困った時に、この本を紐解けば何かしらの解決の糸口やアイデアの種が入っている「虎の巻」ともいうべき、そんな安心感を与えてくれる本だと思います。

人事異動―サバイバルなコンプライアンス・法務マネージャーへ


人事異動の季節。

これまでの業務に加えて、リスクマネジメント全般・グループ会社を含む内部統制の統括を仰せつかることになりました。

自分が預かる部署名もそれっぽいものに変わり、仕事が増えた分、メンバーも少し増えました。

私個人としては、「この3年間取り組んできた人材ビジネスに関する法律論をより掘り下げるような仕事ができるポジションが良い」という希望を出していて、正直リスクマネジメントやグループ内部統制を任されるとは予想しておらず、最近の業務量の多さに加えてまた仕事が増えるのか・・・新しいメンバーにきちんと目を配ることができるだろうか・・・と不安感を覚えたのですが、

3年前に自分が書いたエントリを振り返って、「ああ、なるべくしてなってるな」と。

サバイバルの意味(企業法務マンサバイバル)

「企業に雇われているから法務の仕事ができる」という弱い立場でありながら、特に契約法務面では有資格者である弁護士とも伍していかねばならず、さらに、戦略法務・予防法務的観点からは自分の雇い主である経営者が嫌がる本音ベースの提言も(時と場合によっては嫌われるのを覚悟で)しなければならない。

法曹人口増加の中で、単なる契約代書屋的法務マンでは生き残れないという危機感から「企業法務マンサバイバル」とブログ名を変え、転職し、手探りで自分のキャリアを探してきたこの3年間。

今回の人事異動は、直近に抱いていた私のイメージとは違うものではありましたが、リスクマネジメント・内部統制というまさに戦略法務・予防法務的な視点で経営者と直接向き合うポジションを担うことこそ、コンプライアンス・法務部門のマネージャーの職責である、というメッセージなんだなあと。

自らも本音ベースの提言を経営者に行い、かつ有効に機能する内部統制の体制を維持・発展させていくという、より緊張感のあるサバイバル度の高いステージを与えられ任せてもらえたと受け止めて、気を引き締めて邁進していきたいと思います。
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