ロールパン文庫の伝言板

家庭文庫「ロールパン文庫」のブログです。 ホームページ http://www.rorupanbunko.com/

作品紹介

学研『あしながおじさん』出版のおしらせ

このたび学研から「10歳までに読みたい世界名作シリーズ第15巻『あしながおじさん』」が出版されました。



あしながおじさん (10歳までに読みたい世界名作)
ジーン ウェブスター 作
小松原宏子 編訳

学研教育出版
2015-08-18



子どものときから大好きだったおはなしを担当させていただけて幸せです。

しかも、改めて原書をひもとくと、新しい発見がたくさんありました。

①「訪問委員のプリチャードさん」は、女性だった!

ジルーシャ(ジュディー)の作文を見いだし、「あしながおじさん」との出会いのきっかけを作ってくれる「訪問委員のプリチャードさん」。この方は、作品中では名前しかでてきませんが、物語上たいへん重要な役割を果たしています。孤児院の理事の前で『ゆううつな水曜日』の作文を読み上げたのはこの人。そして、ジルーシャが大学に入るまでの準備をすべて整え、大学に入ってからもドレスを見立ててくれたり、なにくれとなく面倒をみてくれるのです。

ロールパンは、子どもの時に読みながら、「あしながおじさん」の正体はこの人ではないかと思ったりしました。ジルーシャのことを本当に大切に思っていますし、完全に男性だと思っていたからです。ところが、このたび原文で読み返してみたら、なんと
Miss Pritchardと書いてあるではありませんか!
CIMG8292












自分はどうして男性だと思いこんでいたのか…?
と、あわてて子どもの時に読んだ本をめくってみたら、そこには、はっきりと、
「プリチャードのおじさん」と。。。
CIMG8291













原書の手に入りにくかった当時、子ども向けに編訳した人は、きっと日本語訳だけ読んでアレンジしたのでしょう。なにしろdressを「着物」と訳している時代ですから。

当時の苦労がしのばれますが、同時に先日のアーサー・ビナードさんのゲストスピーカー講義も思い出しました。
ビナードさんは、日本語を英語に翻訳するときに、性別がわからなくて困る、という話をしていました。
英語だとMrやMrs、あるいはheかsheかを見ればわかるんですけどね。

「鈴木さん」や「佐藤さん」も、それだけでは男か女かわからない…こんなところにも日本語を外国語にするときのむずかしさがあるんですね…。ビナードさんは日本のおはなしに出てくるサンマやネコを英語でheにすべきかsheにすべきかでたいへん困ったそうです。

逆に、英語から日本語にするときは、単数と複数をあらわすのに苦労します。一匹でないことをわからせなければいけない時も「犬たち」とか、っていうのヘンですものね。本や鉛筆ならなおさらです。そういうときは複数形って便利だな、と思うこともあります。(でも、「犬」や「鉛筆」を英語にするときは単数か複数かわからなくて悩むんでしょう、きっと)

ちなみに、Miss Pritchard, who is on our visiting committeeは、今回は「地区委員のプリチャード嬢」と訳しました。万一男性の挿絵がはいったらいけないと思ったからですそれに、めちゃくちゃ文字数がタイトだったので、「さん」より「嬢」のほうが一文字節約できるし(笑)。

結局この人物はイラストには出てきませんでしたが、ゲラに「←女性?」という編集部からのコメントが書きこんでありました。この方もきっとロールパン同様に、「委員のプリチャードさん」は男性、というイメージを持っていたのでしょうね。



②タイトルにもなっているdaddy-longlegsは、「アシナガグモ」ではなかった!

日本語では『あしながおじさん』というタイトルがあまりにも定着しているのでわかりにくいですが、原題は

Daddy-Long-Legs

です。これは、daddy-longlegsという足の長いクモの名前をもじったもので、孤児院で初めて見かけた「あしながおじさん」の影がひょろながくてクモのようだったのと、daddy(パパ)ということばをかけた、絶妙なニックネームなのです。
つまり、親の顔を知らずに育ったジルーシャ(ジュディー)は、見知らぬ庇護者に向かって、クモのあだなをつけたと言いながら、実はその人を「パパ」と呼ぶよろこびをひそかに味わっていたのです。

ところが、日本ではおそらく最初の訳が『あしながおじさん』だったからでしょう、残念ながら手紙でもすべて「おじさま」「おじさん」と呼びかける訳になってしまっています。

そして、daddy-longlegsというクモだから、作中にも登場するこのクモを「アシナガグモ」と訳しています。

ところが、いったいどんなクモかと検索してみたら、「アシナガグモ」と
daddy-longlegsでは、ちがう種類のクモが出て来るではありませんか。

結局、ネットで見つけた「日本蜘蛛学会」に電話して伺いましたところ、京都女子大学の中田兼介先生が丁寧に教えてくださいました。中田先生、ありがとうございました。

daddy-longlegsというのは、日本名では「ザトウムシ」なのだそうです

たしかに「ザトウムシ」では、物語が成り立ちませんね。
しかたがないからロールパンも「アシナガグモ」で足並みをそろえました。


でも、もし自分が初訳で出すなら、「おじさん」でなくて「パパ」にするのに。


。。。。と思ったりもするのですが…


『あしながおじさん』というタイトルでなかったら、日本でここまで読まれたかどうかわかりません。




翻訳はやっぱり奥が深いです








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学研『若草物語』出版のおしらせ

このたび学研から「10歳までに読みたい世界名作シリーズ第5巻『若草物語』」が出版されました。

ロールパンが編訳を担当させていただきました。



若草物語 (10歳までに読みたい世界名作)
ルイザ・メイ オルコット 作
小松原宏子 編訳

学研教育出版
2014-10-14



クリスマスで始まり、クリスマスで終わる『若草物語』。
この時期どうぞお楽しみください。プレゼントにもぜひ



ちなみに、シリーズの第1巻は村岡恵理ちゃん編訳『赤毛のアン』、


赤毛のアン (10歳までに読みたい世界名作)
ルーシー・モード モンゴメリ 作
村岡花子 訳
村岡恵理 編

学研教育出版
2014-06-24



第6巻は芦辺拓先生編訳の『名探偵シャーロック・ホームズ』です。


名探偵シャーロック・ホームズ (10歳までに読みたい世界名作)
コナン・ドイル 作
芦辺拓  編訳

学研教育出版
2014-10-14




2巻『トム・ソーヤ―の冒険』は那須田淳さん、3巻『オズのまほうつかい』は立原えりかさん、4巻『ガリバー旅行記』は芝田勝茂さんの編訳です。

錚々たる方々と同じシリーズでお仕事させていただくことができてほんとうに光栄です。



名作の編訳というのは初めての経験でしたが、翻訳と創作のあいだのような、楽しくて勉強になるお仕事でした。

10歳までといわず、10歳より大きい方もぜひいちどお手にとってご覧ください。
86歳になろうとしている老母は「これ、わたしにちょうどいい!」と言っています
29歳のシュガーロールも「読みやすかった~」と


子どももおとなも、これを機会に完訳版や原書をひもといていただけたら幸いです。







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存夢銀行

2009年に台湾で翻訳刊行されたロールパンの著書『いい夢ひとつおあずかり』。


手元に一冊しかなくて、どうしてもあと三冊欲しかったものを、高山あつひこさん(あつこさん)の台湾在住の妹さん、なおこさんが手に入れてくださいました。

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覚えたての慣れない中国語で、苦労して本屋さんに注文してくださったのだそうです。



台湾から、なおこさんといっしょに海を越えて来てくれた三冊の中国語版。
あつこさんの手を経て、今日ロールパンのもとに届きました。


三人の娘たちに、たいせつに持っていてもらおうと思います。


なおこさん、あつこさん、ほんとうにありがとうございます☆








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