2007年04月17日

将棋界の今後 その8「日本将棋連盟理事会の構造的特徴」

ここで傍目から見た日本将棋連盟についてちょっと書いてみる。

まず、この法人はわりと役割分担がはっきりしているように見える。まず、A級棋士(プロ棋士のトップに君臨する10人。その上にいる名人はA級棋士とはいわないのかな?)やそれに準ずるタイトルホルダー。彼らの役割は最高の頭脳が作り出す最高の棋譜を提供することである。佐藤棋聖のように意外な戦法を色々試してみる棋士もいれば、羽生王将のように棋士の盲点を付くつかみどころのない将棋を得意とする棋士もいる。彼らは一面的ではない将棋の考え方を提示している。

A級棋士の下に属する棋士たちはもちろんA級まで登りつめることだが、ベイスターズの工藤のようにピークを過ぎてなお若手と対等に頑張っている棋士も存在する。彼らは新しい戦法を生み出したり、「二歩」や「待った」で話題を提供したり、その存在意義はさまざまである。ただ、若手棋士はもちろんまずはA級を目指しているはずだ。ここに属している中堅には、A級とB級の狭間にありながら運営にも当たって頑張っている森下卓九段などもいる。

引退棋士、およびそれに準ずる棋士は組織の維持、運営、普及などに注力している。また、弟子を取ってその育成に当たっている棋士も少なくないようだ。

連盟の運営は理事会によって主導され、構成メンバーの理事は選挙で選出されているが、必然的に理事組織は比較的時間に余裕があるピークを過ぎた高齢の棋士が中心となる。現在の理事のメンバーは最も若い森下九段で40歳という状態である。彼らは基本的に古い価値観の人間なので、今の時代に適応したハンドリングはなかなか難しいのではないかと思う。しかし、一方で若手は若手で連盟の運営よりも自分の将棋の研鑽に一生懸命なのだろう。

結果として、トッププロ(A級)、若手、女流といったメンバーの意見は反映され難い体制となっているようだ。

強さこそ全て、というスタンスを保つのであれば理事組織はA級棋士で構成されていても不思議ではないし、A、B1、B2、C1、C2で手持ちの票数を変えても不思議ではないのだが、そこら辺が平等なのがまた面白い。

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コンピュータ対竜王
これまでの将棋界
今の将棋界
ソフト優位後の将棋界
将棋というゲームの変質
プロ棋士の価値
パラダイムシフト
日本将棋連盟理事会の構造的特徴←今ココ
活路はコミュニケーション要素か?

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