あらゆる動きは、人間のからだの中に内包されている。
遠くにイノシシや猿を見たとする。
すると、人はその動体との距離、動きの軌跡、速度、強弱、大小
など、すべてを一瞬のうちに把握し、こちらを襲って来ないか
否か、またこちらへ向かって来たときの、身の安全確保など、
あらゆる判断をするそうである。
それはまた、非常に微細なものをも感知し、さらに、その質感、
肌触りといったものも感じているようだ。
触覚。
これもまた内包されているのかも知れない。
「内臓を裏返せば皮膚」。
このように、絶えず螺旋状に捻りながら、からだは日々回転して
止まないものなのかも知れない。
まるで、危険な回転ドアーのように。
いきなり道路に飛び出してきた猫を、目で追う。
こういうものが、私は動きだと思っていて、舞踊上必要なものとして
とりいれてきています。
舞台で動き回り、手足をばたつかせ、さんざん暴れ回っても、
それは、ほんの数秒ですでにすべて読み取られてしまっている
ものなのです。
従い、その後は、ただ激しさの度合いとか、迫力、悲痛さ、滑稽さなど
を、ある種演技として観客に振舞うこととなっていきます。
身動きがとれない。
そうした状態のほうが、より多彩な動きを孕んでいるし、またそう見えます。
まず、赤ちゃんの動きから勉強する。
暴れ回ることが踊りと思っておられる方にはレッスンその1として勧めておきます。
動きとは相対的なもので、五分ジッと動かなかった人が、スッと小指を立てれば、
それは非常に大きな動きなのです。
踊りの話はこのへんでやめときますが、動く物、動物とはよく言ったものだな、
と関心します。死ぬまで、脳みそはじめ、内臓から筋肉まで動き回り、おそらく、
バラバラで同時に統一された状態を保ちながら暴れ回っているのですから。
そいつらを司っているもの。
それは神の径、神経だ。
と、そんなふうに思っています。
なにやら遠い将来、何億年か先ですが、人間の姿は最終的には、神経だけの
アメーバ状のものとなり宇宙空間を彷徨っているそうです。
神経のオブジェですね。
神経は電気でもありますから、神経人間、電気人間です。
喫茶「深海鮫」にて
貰い物ですが、立派なマホガニー調の書斎机をドーンと置き決め、
まずは、山の緑を眺めています。
さっそく、コーヒーも入れた。
木目などを眺め、
木の肌に触れていると、
「もうええわ、すべて終わりにしてぇなぁ。」
ふと、そんな気持になった。
「木になって、このままじっと眠ってたい」
机と寝起きして、四日めです。
陽がかげり、夜が来る頃、木はその存在感を、
まるで生きもののように際立たせてきます。
EKUTU。
とりあえず、そう呼ぼうかな、と、思います。
彼氏?彼女?・・・・。
「なにやってんだ。オイ、EKUTU」、とか。
今朝、この机をテーブルに、「ああ、喫茶店。」
「ここは喫茶店だぁ。」
きっさてん。
田舎にいると、最も恋しいもののひとつです。
一坪に満たないですが、「深海鮫」と名付けました。
名前は、部屋に貼ってあるポストカードの写真から。
私はいま、花咲山という山の麓に住んでいて、ほんの近く、
百メートルくらい先に熊が出ます。
年に数度ですが、登校する子供達は皆、熊除けの鈴をつけてます。
チリン、チリン、チリン。 チリン、チリン、チリン。
チリン、チリン、チリーーン、ガッシャ。
朝だ。
熊の出る時期にはいりました。
かねてより、恐々ですが絶対に見たいと思っております。
朝、「深海鮫」にて、ザ、モーニング・エスプレッソでもすすり、
出没を待ちます。
まずは、山の緑を眺めています。
さっそく、コーヒーも入れた。
木目などを眺め、
木の肌に触れていると、
「もうええわ、すべて終わりにしてぇなぁ。」
ふと、そんな気持になった。
「木になって、このままじっと眠ってたい」
机と寝起きして、四日めです。
陽がかげり、夜が来る頃、木はその存在感を、
まるで生きもののように際立たせてきます。
EKUTU。
とりあえず、そう呼ぼうかな、と、思います。
彼氏?彼女?・・・・。
「なにやってんだ。オイ、EKUTU」、とか。
今朝、この机をテーブルに、「ああ、喫茶店。」
「ここは喫茶店だぁ。」
きっさてん。
田舎にいると、最も恋しいもののひとつです。
一坪に満たないですが、「深海鮫」と名付けました。
名前は、部屋に貼ってあるポストカードの写真から。
私はいま、花咲山という山の麓に住んでいて、ほんの近く、
百メートルくらい先に熊が出ます。
年に数度ですが、登校する子供達は皆、熊除けの鈴をつけてます。
チリン、チリン、チリン。 チリン、チリン、チリン。
チリン、チリン、チリーーン、ガッシャ。
朝だ。
熊の出る時期にはいりました。
かねてより、恐々ですが絶対に見たいと思っております。
朝、「深海鮫」にて、ザ、モーニング・エスプレッソでもすすり、
出没を待ちます。
鼻血を落としながら
折口信夫は、寝る時、座敷にしめ縄を張って寝たという。
神を降臨させるという理由から、らしい。
たとえば、こんな書き出しで始まる。
日本民族の量り知れない大昔、
日本人が、
国家組織をもって定住せない頃、
或いは其以前に、
われわれの祖先が多分はまだ此国に住まなかった頃から、
私の話は、語り出される。
いやあ、まいった。
たった、この数行で、私などはもう、やられっちゃうのです。
言葉に持っていかれてしまう。
吸い込まれる。
なにか麻薬を盛られたみたいに・・・・・・・。
韻というのであろう、
言葉による音楽。
なにか、壮大な交響詩の静かな導入部に聞こえます。
ちなみに、上記は、折口信夫全集、第二巻
古代研究、盆踊りの研究 二、の書き出しである。
ことほど左様に、折口信夫の書き言葉は、
全編、霊糸のようなもので覆いつくされている。
かって、私の尊敬する考古学者で、
様々な示唆を享受している
田中 基氏が、
小樽に遊びに来られた折に、
言われたことがあります。
「山田さん、文学やりてぇ奴は、
皆、折口を、一回は真似したいんじゃねぇの」。
「俺もそうだけどさ。でも、ヤツはあまりにも凄すぎて、
皆、尻尾巻いて逃げちゃうんだよなぁ。」
「とにかく、太刀打ちできねぇわけよ。」
「折口の、血で真っ黒になった原稿用紙みたけど、
いやもう、まいったね。」
「ほら、ヤツは、コカイン吸って、なんかこう、魂ふり
みたいにして、古代人のところへ降りていこうとした
わけでしょ。」
「そうじゃなくとも、小さい頃から、並外れた文学的
才能あって、ガキの頃から和歌みてぇの作ってたわけで・・・・。」
「それがコカインで、もっと頭ぶっ飛ばそうってんだから・・・・・、
真っ赤な鼻血、たらたら出しっぱなしでさ、・・・・
とにかく、原稿用紙、真っ黒。読めたもんじゃねぇっすよ。」
折口先生には、ものを悲しむ権利がある。
三島由紀夫が以前、どこかで書いてました。
また、こうも言ってましたね。
我々凡人は、たわいの無いことを言って、馬鹿笑いを
してれば、それでいいのだ、と。
折口信夫の、「肉体日記」。「身体抄」。
かようなものがあれば、是非とも触れたい。
と、思います。 ハイ。
神を降臨させるという理由から、らしい。
たとえば、こんな書き出しで始まる。
日本民族の量り知れない大昔、
日本人が、
国家組織をもって定住せない頃、
或いは其以前に、
われわれの祖先が多分はまだ此国に住まなかった頃から、
私の話は、語り出される。
いやあ、まいった。
たった、この数行で、私などはもう、やられっちゃうのです。
言葉に持っていかれてしまう。
吸い込まれる。
なにか麻薬を盛られたみたいに・・・・・・・。
韻というのであろう、
言葉による音楽。
なにか、壮大な交響詩の静かな導入部に聞こえます。
ちなみに、上記は、折口信夫全集、第二巻
古代研究、盆踊りの研究 二、の書き出しである。
ことほど左様に、折口信夫の書き言葉は、
全編、霊糸のようなもので覆いつくされている。
かって、私の尊敬する考古学者で、
様々な示唆を享受している
田中 基氏が、
小樽に遊びに来られた折に、
言われたことがあります。
「山田さん、文学やりてぇ奴は、
皆、折口を、一回は真似したいんじゃねぇの」。
「俺もそうだけどさ。でも、ヤツはあまりにも凄すぎて、
皆、尻尾巻いて逃げちゃうんだよなぁ。」
「とにかく、太刀打ちできねぇわけよ。」
「折口の、血で真っ黒になった原稿用紙みたけど、
いやもう、まいったね。」
「ほら、ヤツは、コカイン吸って、なんかこう、魂ふり
みたいにして、古代人のところへ降りていこうとした
わけでしょ。」
「そうじゃなくとも、小さい頃から、並外れた文学的
才能あって、ガキの頃から和歌みてぇの作ってたわけで・・・・。」
「それがコカインで、もっと頭ぶっ飛ばそうってんだから・・・・・、
真っ赤な鼻血、たらたら出しっぱなしでさ、・・・・
とにかく、原稿用紙、真っ黒。読めたもんじゃねぇっすよ。」
折口先生には、ものを悲しむ権利がある。
三島由紀夫が以前、どこかで書いてました。
また、こうも言ってましたね。
我々凡人は、たわいの無いことを言って、馬鹿笑いを
してれば、それでいいのだ、と。
折口信夫の、「肉体日記」。「身体抄」。
かようなものがあれば、是非とも触れたい。
と、思います。 ハイ。