『絵のない絵本』
原題:Billedbog uden Billeder
作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
1839年

あの、童話のアンデルセンの作品。

貧しい絵描きに、
月が絵の題材になるような話を、
毎晩話しかける、
という形。

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第◯夜
みたいな形で、33夜まである。

童話的な、幸せなお話ばっかりかと思いきや、
結構諸行無常感漂う話も多い。

月、という、人間から見れば果てしなく長生きな存在が見た出来事は、
簡単に時代を越える。

人類の起源から現在まで、
月の明かりの届く範囲は全てを目撃している、月。
そのスケールの大きさ、
縦横無尽さが面白い。


印象に残ったのは

5フランス国の玉座の上の貧しい男の子
10ひとりのオールドミス
12ポンペイ
16コロンビーナの墓
19ののしられた俳優の末路
24紡ぎ車と少年と時
26煙突のてっぺんに登った小僧
29王様の墓 月は君たちのことを覚えています
31子供と遊ぶ熊

などなど。



『絵のない絵本』
訳:矢崎源九郎
1952年 新潮文庫
ふんわりとした、優しい翻訳。