「自民党さんも大変だなあ」という鳩山由紀夫首相の発言が先週、政界でちょっとした話題になった。この発言の経緯を振り返ってみたい。

 平沼赳夫元経済産業相や与謝野馨元財務相らによる新党「たちあがれ日本」が10日に旗揚げした。新党は「打倒民主党」を掲げているが、新党参画のために自民党を離党した与謝野氏らの行動は、自民党にもある程度のダメージを与えた。その1週間前の4月3日、与謝野氏が自民党離党届を提出した際、鳩山由紀夫首相は次のようにコメントした。

 「自民党さんも大変だなあと思いますが、これはそれぞれの政治家が政党活動をするというのは、それは一人一人の信念の話ですから、私、今の立場からコメントすることはありません」

 「自民党さんは」ではなく、「自民党さんも」と言っているあたりは、やはり「政治とカネ」の問題や米軍普天間飛行場移設問題で揺れる「鳩山内閣も民主党も」大変だという意味が込められているようで、意味深長ではある。ただ、ここでは、鳩山首相が発言の中で、「自民党」と呼び捨てにせず、「自民党さん」と言っている点に注目したい。

 さかのぼって、3月15日に実弟である鳩山邦夫元総務相が自民党を離党した際にも、鳩山首相はこんなふうに感想を述べた。

 「自民党さんも、いろいろとご苦労されているなあと…そのような思いはあります。(中略)自民党さんがこういう状況になるということは、これは民主主義の中でどのように考えていけばよいかと…」

 鳩山邦夫氏と与謝野氏の離党という自民党にとっての重大局面にあたって、鳩山首相は自民党を「さん」付けで呼んだ。これに対して、自民党内からは、「自民党を馬鹿(ばか)にしていることの表れ」という批判の声も上がったし、「余裕たっぷりのコメントだけど、首相の方こそそんな余裕をみせている場合なのか」と反論の声も出た。

 たしかに、「自民党さんも大変だなあ」という言葉は、他人を馬鹿にしたような感じに聞こえなくもない。自民党をからかっているようでもある。言われた自民党の方が不愉快な気分になるのも分かる。

 そこで、鳩山首相がこれまで自民党のことを何と呼んできたかを調べてみた。すると、鳩山首相はかなりの頻度で「自民党さん」と呼んでいたことが分かった。自民党を批判するときだけではなく、普通に呼びかけるようなときにも、よく「自民党さん」という言葉遣いをしている。

 そうしてみると、鳩山首相は自民党に敬意を表して「さん」を付けているのか。これも「友愛」精神の表れなのだろうか。それとも、単に言葉遣いがていねいなだけなのか。

 「自民党さん」と呼ばれた自民党議員たちが、「からかわれた」と感じてしまったのは、やはり自民党側に「追い詰められている」という気持ちがあったからこそであり、だから首相発言が癪(しゃく)に障(さわ)ったのだろう。逆に鳩山首相の方はどういうつもりでこう言ったのか。自民党に対してわざと当てつけで言ったのではないとすれば、鳩山首相という人は、こういう言い方をしたら相手がこう思うだろうということについて、無頓着な人なのかもしれない。(五嶋清)

◇…先週の永田町語録…◇

(5日)

 ▽ブラックボックス

 鳩山由紀夫首相 政権を取る前と取ってからの現実。政権の中にいて、政府の状況が今まではブラックボックスであったものの中が見えてきた。(参院選マニフェストをめぐり記者団に)

 ▽魔法の接着剤

 自見庄三郎国民新党幹事長 政権は魔法の接着剤。意見はいろいろあるが、小異を捨てて大同に。そう簡単にばらけないと思っている(新党結成に向けた動きが連立政権に与える影響について記者会見で)

(6日)

 ▽父親譲り

 亀井静香郵政改革担当相 街頭演説のように人の心理をくすぐるところはうまい。おやじ譲りだ。でも中身はないわな。(自民党の小泉進次郎衆院議員の委員会質疑について記者会見で)

 ▽ポスト欲しさ?

 谷川秀善自民党参院幹事長 執行部を入れ替えたって、1カ月ほどしたらまたいろんな話が出てくる。「執行部刷新」と言ってる人は結局、役職が欲しいだけだから。(党内の執行部刷新要求に関し記者会見で)

(7日)

 ▽指揮官なき船団

 鳩山由紀夫首相 政治が先頭に立ってビジョンを示さなければならなかった。指揮官がいなければ、国家公務員の船団は何をしていいか分からない。(自公政権下の政治と官僚の関係について国家公務員合同初任研修の開講式訓示で)

 ▽影が薄い

 谷川秀善自民党参院幹事長 影の薄い「影の内閣」だと言われている。そうではないように、しっかり取り組まないといけない。(自民党が発足させた政権力委員会について参院議員総会で)

(8日)

 ▽軸は守る

 鳩山由紀夫首相 国民の意思をしっかりと承りながら検討することが大事ではないか。軸は守る必要があろうかと思いますが。(参院選に向けたマニフェスト見直しについて記者団に)

 ▽われわれ元気

 藤井孝男元運輸相 どうぞおっしゃってください。元気なわれわれ、失うものはない。一向にわたしどもは気にしておりません。(新党に参加するメンバー5人が高齢だとの指摘に対して記者団に)

(9日)

 ▽互いの協力で

 鳩山由紀夫首相 お互いの協力の中で難しい問題があっても解決していこうとか、いろいろ議論したい。(訪米時の胡錦濤中国国家主席との会談について記者団に)

 ▽自民党が補完

 渡辺喜美みんなの党代表 みんなの党案を自民党がパクッた。(みんなの党は)自民党の補完勢力にはならないが、自民党がわれわれの補完をしてくれるというなら大変結構だ。(自民党との公務員制度改革法案共同提出について記者会見で)

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