今春闘で、自動車や電機など主要企業の集中回答日となった17日、各社は軒並み、労組側の要求通り「定期昇給(定昇)維持」を回答した。

 大手企業の労組にとっては、すでに制度化されている定昇を維持するという「最低限の要求」が満たされた形。今春闘では、これまで「蚊帳の外」だった非正規雇用労働者にも光が当たるはずだったが、成果を得るまでには長い道のりがありそうだ。

 「政権交代で連合と政府の距離は近くなったが、非正規労働者を『いつでも替えがきく存在』と見ている企業の意識が変わらない限り、待遇は変わらない」。首都圏でスーパーを展開する小田急商事の労働組合員の一人で、パート労働者の中河原典子さん(61)は17日朝、そう話した。

 今春闘で連合は、非正規雇用労働者の処遇改善を要求の柱の一つに掲げたが、多くの労組は今も正社員が中心。そんな中、小田急商事の労組は、組合員約3100人のうち、スーパーのレジや売り場などで働くパート従業員が8割以上を占める。牧直樹委員長(46)は「パート従業員の場合、まだ春闘の入り口に立ったばかり」と語る。

 同社労組がパートの組織化を始めたのは2006年。当初は、労組内にも会社側にも「パートを加える必要があるのか」と疑問視する声があった。だが、正社員と同じ仕事をしているのに、パートには忌引休暇や弔慰金がなかった。こうした待遇格差が、正社員とパートの関係をぎくしゃくしたものにしていたという。牧委員長は「職場の雰囲気を改善するためにもパートの組織化が必要だった。正社員、パートの区別なく会社全体を良くすることが労組の役割」と強調する。

 07年春闘からパートについて要求を始め、少しずつ待遇改善を図った。今春闘では、正社員の定昇にあたる年1回の昇給を確実に実施することや、正社員にはある誕生日の有給休暇を認めるよう求めている。

 自動車や食品などの工場に約5000人を派遣している「アウトソーシング」(大阪)では昨年4月に労組が設立されたが、約120人の組合員全員が正社員の内勤スタッフ。派遣労働者は勤務先が全国に散らばっているため、準備が間に合わず、今春闘では派遣に関する要求も見送った。それでも山内渉委員長(48)は「派遣も含めた全社員が安定した暮らしが確保できなければ、会社は成長しない」と派遣労働者の組織化を急ぐつもりだ。

 派遣労働者の声は依然として切実だ。昨年5月に雇い止めされた元派遣労働者の女性(29)はこの日朝、「正社員中心の労組は私たちに何もしてくれなかった。非正規労働者に目が向いたことは一歩前進だが、数多くの派遣切りを許した事実は変わらず、対応が遅すぎた」と話した。

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