「駐留が運用面や政治的に安定した形で続けられるよう日本政府の協力に期待する」

 米国防長官、ロバート・ゲーツは29日、国防総省で行われた外相、岡田克也との会談で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題でこう述べた。

 記者団への日本側の説明ではなぜか抜け落ちていたが、国防総省は報道発表でこの発言を明らかにした。地元自治体の了解がないまま交渉しようとする日本側への不信感の表れと言えそうだ。

 岡田は会談終了間際、「次は6月にお会いしたいですね」と語りかけた。ゲーツは国際会議出席のためシンガポールを訪れる。岡田は「帰途にぜひ日本に寄ってください」と述べた。

 普天間移設問題を「5月末までに決着させる」との首相、鳩山由紀夫の決意を伝えた岡田だが、キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)に移設する現行案の実現を求める米側との協議が難航必至であることは十分承知している。ゲーツ訪日を招請した裏には、それまでに決着を図りたいとの思いが込められていた。

 岡田はこの日、カナダの首都オタワに隣接するガティノーにある会員制高級ゴルフ施設の会議室で国務長官、ヒラリー・クリントンとも会談した。25分の会談時間で普天間問題でのやりとりは5分程度で、突っ込んだやりとりはなかった。

 会談はG8外相会合の主催者であるカナダ外相から「夕食会が始まるので早くきてほしい」とのメモが入り終了した。

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 「日本政府が現行案以外の移設先を提示するなら、地元の反対でまず実現不可能だろう。そうなれば普天間飛行場を継続使用するしかない」

 3月中旬、国防総省関係者は親しい日本政府関係者に電話でこう語り、現状では普天間飛行場を使用し続けざるを得ないとの認識を伝えた。

 この発言に呼応するかのように米海兵隊総司令官、ジェームズ・コンウェーは17日、普天間継続使用の可能性に初めて言及した。24日には日本を含む東アジアの米軍を統括する太平洋軍司令官、ロバート・ウィラードが上院軍事委員会で、現行案履行に期待感を示した。

 軍高官の発言で共通するのは、部隊の一体的運用の重要性だ。海兵隊にとっては迅速性はもとより航空、地上、補給部隊の連携を担保する訓練場所が近接することが重要なのだ。

 在沖縄米海兵隊中将、テリー・ロブリングは1月、米紙ワシントン・ポストでこう指摘した。

 「ヘリコプター基地がグアムや日本本土に移転する場合を野球に例えるなら、米西海岸で練習した内野守備陣と東海岸で練習した外野守備陣が、試合当日に初めて顔を合わせて敵チームと試合をするようなものだ」

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 訪米に先立って岡田は26日、外務省飯倉公館で駐日米大使、ジョン・ルースにヘリコプター部隊の分散移転案を説明した。説明を聞き終えたルースがぽつりとつぶやいた。

 「本当に抑止力は維持できるのですか?」

 ルースの本質的な問いかけに岡田は「十分運用は可能です」と答えるのがやっとだった。

 官房長官、平野博文も30日の記者会見では「海兵隊が沖縄にいることは、わが国の安全保障、抑止力を含め現時点では必要だ。安全保障の問題を度外視して議論は成り立たない」と述べた。

 しかし、平野らの検討作業は沖縄の負担軽減に重きが置かれ、海兵隊の持つ抑止力の議論が軽視されている。地元自治体との協議、米側との交渉の行方など5月末に向けた展望は見えないが、鳩山周辺は楽観的だ。

 「首脳同士が腹を割って話せば必ず決着する」

 鳩山は4月12、13両日にワシントンで開催される世界核安全保障サミットに合わせて、米大統領、バラク・オバマとの首脳会談を模索している。もっとも会談が実現しても短時間となる見通しだ。

 米国務次官補、カート・キャンベルは3月5日、訪米した自民党の平沢勝栄、山本一太に厳しい表情で語った。

 「日本政府が『5月末まで』と言っているから話し合いの要望があれば聞く耳は持つが、5月を過ぎても解決できなかったら日米関係に影響が出るだろう」(敬称略)

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