326d411d.jpg「厭魅」と書いて、「まじもの」と読みます。「まじもののごときつくもの」というのがタイトルの読み。
その音だけでも、なんともまがまがしい響きがあって、ゾクゾクして来ますね。

で、「厭魅(まじもの)」という言葉が、あまりにも自然に作品に溶け込んでいるので、てっきり、こういう言葉があるのだと思っていたのですが、作者の三津田くんに訊いたところ、彼の創作語だそう。うーん、それだけでも、すごい才能だ〜

上半期の本格推理小説における大きな収穫、と呼べそうな作品です。
もともと三津田くんは、ホラーと本格推理の融合を目指した路線で、とても個性的な作風で知られている人なんですが、この作品は、まさに、彼の真骨頂が作品に結実した、という感じ。
民族学的アプローチから、日本の地方に根強く残る「つきもの」信仰と差別の問題をベースに、俗信と因習にとらわれた地で起る、横溝正史ばりの連続殺人を、非常に凝った構成で読ませてくれます。

核となるトリックは、意外に、素直に考えれば誰でも思いつく、というものなんですが、それを読者に、いかに素直に考えさせないか、がテクニック。この物語世界にどっぷりはまるほど、作者によって翻弄される快感を味わえます。
ネタバレになるので、多くは書けませんが、横溝正史っぽいおどろおどろしい連続殺人の推理小説は大好物、という人は必読。民族ホラー、憑くものホラーがお好きな方もぜひ。

奥付が二月なので、今年の本格ミステリシーンのベストテンにはちょっと不利なんですよね。
ぜひ、この作品の存在をお忘れなく>投票される方々(^^)

『厭魅の如き憑くもの』
三津田信三
原書房
ISBN4-562-03983-3
1900円+税