bf72caf5.jpg昨年『厭魅の如く忌むもの』で本格通を唸らせ、注目作家となった三津田信三さん。
ここには書いてますが、彼とは、業界でももっとも古い友人で、お互いに二十代の頃からの知り合い。でも二十年経っても、三津田くんは若いよなあ……もう少しわたしも若返ろう(笑)

友人の作品なので言葉多く褒めるのもなんか照れますが、いやはや、本作は、「今度こそ本格ミステリ大賞候補は固い」と、まだ七月だけどあえて書いてしまいます!
まじものの時も、絶対に候補にはなるだろうと期待してたんですけどね、まあ、それはそれ。本作は前作よりも、より幅広く支持される完成度を持った本格作品です。

まじもの、は、本格ミステリ大賞の予選選考の時、どうも作品の主旨を誤解されたのではないか、という感じが、選評からしたのですが、本作はそうした誤解のしようがない、王道の「首無し殺人」。
純粋に好みだけから言えば、わたしは前作(厭魅、のあとでもう一作出ているので、正確には前々作ですが、原書房の書き下ろしとしては前作にあたるので)のシンプルさが好きなんですが、本作は同じようなおどろおどろしい設定と大時代的背景を持っていながら、対照的に、凝りに凝った複雑な構造を持たせています。
余計なこと書くとネタバレになりそうなので歯がゆいのですが、トリックとはどう「見せる」ものなのか、叙述とはどう「仕掛ける」ものなのか、そのあたりは、本作がまさにお手本になると思います。

随所にちりばめられた、横溝正史作品へのオマージュも読みどころ。
とにかく、本格おたく(笑)の面目躍如の、堂々たる、本格推理傑作。

三津田信三
原 書房
ISBN978-4-562-04071-1
1900円+税