山魔の如き嗤うもの

読者からのメールで、ブックレビューをぜんぜんやってないことに気づきました(^^;
さぼり過ぎて、昨年読んだ分はほとんど、もう仕舞ってしまった……すみません。
選択に深い意味はありませんが、読了本で未整理の山から適当にとって、また少しずつレビューしますね。

なお、今回から、mixiのブックレビューにも同じ内容のものを載せてあります。
この不況下、一冊でも本が売れますように、微力ながらお手伝いを……

さて、三津田くん(友人なので)の作品、特にこのシリーズに共通している最大の特徴は、本格の骨格が非常に骨太でありながら繊細、かつ、端正であること、そして物語が横溝ばりのどろどろとした因習や恐怖物語と密接に結びついているにもかかわらず、全体から受ける印象がさらりとしていて、読後感が重くない、ということでしょう。

つまりは、無駄がない。謎の提示にもその解き明かしかたにも、読み手をイライラさせる無駄な遠回りや意味のない目くらましがなく、すべてが必要最小限に抑制されていて、しかも物足りなさのない、過不足のない配分になっています。これはもう、才能、としか言い様がない。

書かれている中身は濃いし、アイテムとして使われる民族学的要素はけっこう難解で、歴史的な考察も深いんですが、それらが嫌味にも邪魔にもなっていないで、しかも読後の満足感からすると不思議なほど、分量がスリム。ある意味、コストパフォーマンスがおそろしくいい作品群、と言ってもいいかも。

好みはいろいろとわかれると思いますが、完成度はここまでの三作中一番だと思います。わたし個人は、一作目が大好きですが。

それにしても、原書房のこのシリーズの装幀もいつもながら素晴らしい。作品の質の高さ、ユニークさが、装幀のセンスの良さと見事にマッチングしていています。この本は借りて読んだのではつまらない。読後もこの装幀をしばらく飾って楽しみたい。


出版社: 原書房 (2008/4/21)
ISBN-10: 456204151X
ISBN-13: 978-4562041510
発売日: 2008/4/21