西上1

 交友録27人目は、文芸評論家の西上心太さん!
 って、どれが西上さんでしょう(^^;
 揃いのユニフォームは、逢坂剛さん(通称・剛爺)の古稀記念軟式野球試合の時の特製だそうです。
 写っているのはみんな業界の方々。なので「ブログに載せていいですか?」って訊いてません(笑)
 イヤだと言われてももう載せちゃった〜
 
 西上さんは、右から二人目、堂々たる体格でまるで監督のような風情の、眼鏡の紳士でございます。(ほんとはもっとたくさんの人が写っていて、逢坂さんも真ん中にいらしたんですが、この大会にはなんと、あの江夏豊さんがゲストしていらしていたとのことで、江夏さんがそのお近くに写っていらっしゃいました。今回、江夏さんに写真掲載の許可をとりつけておりませんので、トリミングさせていただきました。残念!)

 
 西上さんとも、ほんとに長いおつき合いになりました。初めてお話ししたのは銀座の文壇バーだったかな。たぶん16〜17年は前のことです。
 それから文庫の解説をしていただいたり、歌舞伎をご一緒したり、推理作家協会のお仕事もご一緒させていただいたりと、親しくしていただいてます。
 とにかく多趣味、博識な方で、特に伝統芸能とスポーツにはほんとにお強い!

 そんな西上さんにも10の質問させていただきましたー。

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Q1. 文芸評論をされるようになったきっかけを教えてください。
 
A1. 大学卒業後に、ワセダミステリクラブ時代の仲間と月一回、読書会という名の飲み会をやっていて、ミステリ採点表やエッセイを掲載したファンジンを作ってました。メンバーは柿沼瑛子、大津波悦子、新保博久、香山二三郎、三橋暁(編集長)たち。後にクラブ員以外で穂井田直美さんも参加するようになった。他の人たちは「ミステリマガジン」や「本の雑誌」などですでに書き始めていたので、そんな縁でぽちぽちと依頼が来るようになりました。最初に原稿料をいただいたのは、自由国民社の「世界の推理小説総解説」の増補版と「世界の冒険小説総解説」に書いた原稿だったかな。雑誌は「ミステリマガジン」のエッセイでしたか。初めての文庫解説は西村京太郎さんの『南紀殺人ルート』。本名で書いてます。

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Q2. 大学でもミステリ倶楽部でいらしたんですね。ミステリ好きになったのは何歳くらいの頃?

A2. 親に買ってもらった子供向けの文学全集で、ご多分に漏れずルパンやホームズを読んでだから、十歳前後でしょうか。それからポプラ社のルパンに手を出しました。それが一段落すると、いきなり新潮文庫でホームズにいっちゃった。六年生くらいですか。だから山中峯太郎訳のホームズを読んでいない。あと、子供の時に乱歩の少年探偵団を読まなかったことを、いまだに後悔しています。中学に入って、クイーンの『Xの悲劇』で頭をぶん殴られて、それからは創元推理文庫にお世話になりまして、ミステリー街道まっしぐら。

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Q3. 西上さんはとても多趣味でいらっしゃいますよね。特にスポーツ観戦がお好きと訊いてます。どんなスポーツが好きですか?
 
A3. 昔は、野球でした。歩いて五分のところに東京球場があったから。十歳頃から東京オリオンズのファンクラブの年間会員になってた。会費五百円でホームの試合すべて見られるという。当時、少年マガジンとかが五十円の時代にしても、すごい安いよね。
 いまは、NFLですね。ネットの有料会員になってシーズンが始まると毎週生中継にかじりついています。原則あちらの日曜日午後一時キックオフだから、日本は月曜日の夜中の二時とか三時(サマータイムで変わる)に起きてね。ノートパソコンも起動して、ファンサイトの仲間とチャットしながら。応援するチームは、グリーンベイ・パッカーズ!
 2007年にグリーンベイに行って、ランボー・フィールドで試合を見たのがいい思い出。もう一度行きたいなあ。
 あ、ラグビーも好きですね。ようするに相手にコンタクトするスポーツが好きなんです。サッカーはどうでもいい(笑)。

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Q4. 日本推理作家協会では会報を作る担当をされていらっしゃいますが、苦労する点はどんなことでしょう。
 
A4. 協会賞の授賞式や乱歩賞授賞式の時、選考委員の講評とか受賞者のスピーチとかをまとめないといけないのが、けっこう大変。特に協会賞ね。受賞者が六人の時は財政も厳しかったが、こちらも厳しかった。
 あとは誤植です。自分で書いた原稿をチェックする人がいないからなあ。前任者の山前譲さんのような慎重さを持たないといけないと、常に自戒しております。

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Q5. その推理作家協会では囲碁の同好会が話題ですね。ちょっとした囲碁ブーム? 西上さんも囲碁がお好きだとか。
 
A5. 高校の時、将棋同好会だったのですが、同じ部屋を囲碁同好会と分けあって隔日で活動していました。将棋に飽きると、囲碁でもやってみるかということで入門書を読んで覚えました。それからは実戦もやらず、ずっと弱いままだったのですが、協会で同好会を立ち上げるというので、あれこれ本を買い込んで読んでたら少しは強くなりました。

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Q6. 文庫解説を書かれる時に、心がけていらっしゃることってありますか?
 
A6. 落語でいう枕の部分。すっと、作品の内容に入っていけるようなネタが見つかるとあとは楽ですね。それと解説を書く作品を読むときは、狎こΠ譴離侫.鶚瓩砲覆辰燭弔發蠅如△修虜酩覆量ノ呂鯣見して、それを読者に伝えられるようにしています。

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Q7. これから作家デビューを目指す方に、アドバイスするとしたらどんなこと?
 
A7. 岡嶋二人さんは、好きな作家の本の冒頭部分を、原稿用紙に書き写したそうですね。書き出しの工夫、改行、会話など、手を動かしてみると、漫然と自分の作品だけを書いている人と、差がついてくるのではないでしょうか。
 新人賞の予選委員をやっていると、この人はプロ作家の本を読んだことがあるのだろうかと、疑問を覚える人が大勢います。やはり好きな作家の本、自分が書きたいジャンルの本を読むことはどうしたって必要でしょう。
 でも人の本なんかほとんど読まなくても、すごいの書いてデビューする人もいるからなあ。まあなにごとにも例外があるということで。
 作家の心構えや技術論として、岡嶋二人『おかしな二人』、日本推理作家協会編『ミステリーの書き方』、大沢在昌『売れる作家の全技術』あたりは必読書でしょう。
 あと山形方面の方は、評論家の池上冬樹さんがやっている《小説家になろう講座》に出て参加してみたらいかが。プロ作家を何人も輩出させています。
 それといろいろな人が言っていることですが、作家になりたいと思うんじゃなくて、小説が書きたいという気持ちを持ち続けないとダメでしょう。

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Q8. 西上さんはご自宅の地域のお祭りに参加されてますね。お祭りのことについてお話を聞かせてください。
 
A8. 素盞雄神社の天王祭です。六月の始めに斎行されます。祭マニアにはけっこう有名らしいですが、一般的にはあまり知られていないかも。御神輿が四天棒ではなくて二天棒なのが最大の特徴。神輿マニアでもあそこの神輿は危ないから行くなとかいわれているそうです。ちょうどGW前後からいろいろと用事ができてきて役員は大変。この原稿書いている今日の夜にも会合が……。

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Q9. 無人島に三冊持って行くとしたら、どの本にします?
 
A9. 『新古今和歌集』 
 二千首近い歌が収録されていて、その背後に同じ数だけの世界があり、互いに連関する別の風景も浮かび上がるだろうし、ずっと飽きることがないと思う。
 『ボートの三人男』所ローム・K・ジェローム
 なんとなく思い浮かんだのですが、あえて理屈をつければ、極限状態で暢気な本を読むのも一興かと。
 『あっと驚く三手詰』森信雄
 詰将棋の本です。マニアックですみません。盤駒がなくても解けますが、三手といっても短編ミステリーを読むような、意外性があって楽しめます。一度解いてもしばらくすると答えを忘れちゃうから、何度でも楽しめます。作者はプロ棋士。『聖の青春』の故・村山聖九段のお師匠さん。神吉宏充七段『カンキの双玉詰将棋傑作選』もいいな。
 ミステリーが一冊もないじゃん。

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Q10. 最後の晩餐には何を食べたい?
 
A10. 朝ご飯なら豆腐と油揚の味噌汁(小口切りネギトッピング)に梅干し、納豆、ご飯だけど晩餐ねえ……。
 ごく平凡なご馳走ということで、すき焼きかなあ。

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 ありがとうございました!!!

 無人島に持っていく本、4冊目はミステリーにしましょう(笑)
 それにしても、ワセダミステリクラブの同窓生メンバー、すごいですね。今現在業界で活躍されていらっしゃる方がずらずら。濃い同好会だったんだろうなー。

 文庫解説を書かれる時「その作品のいちばんのファンになった気持ちで」というのは、作者としては本当に嬉しいことです。
 もちろん辛口の評論や、耳に痛い批評も作家が成長する上では必要なのですが、文庫解説というのは書店で本を購入していただく時の「道しるべ」の役割を持っています。そこに必要なのは、まだ読んでいない人にその作品の魅力を教えてくれる「愛」。
 なんでもかんでも褒めてくれ、と言っているのではなく、魅力を探してください、ということですね。そんな愛が、西上さんの解説にはいつも溢れています。

 またこれからも、西上さんに解説をお願いすることがあると思います。書店さんでお手にとっていただいた時に、そんな「評論家の愛」も感じていただけたら(^^)

 このインタビューにお誘いした時、最初に送っていただいたのはお子さんの写真でした(^^) さすがにお子さんの写真を公開しちゃうのはまずいかも、と差し替えていただいたのですが、そのくらい、奥様とお子さんを大切にしていらっしゃる、素敵なパパでもあります(^^)
 優しいお父さんの目線、での文芸評論も、今の時代にはとても必要なものじゃないかな、とも思います。ぜひ、そうした評論、解説も読ませてくださいねー。