こんにちは。VENTURE UNITEDの丸山です。

先日「売る人がいないと買えない。買う人がいないと売れない。」ということを書いた中で株式について
共益権の価値と自益権の価値がそれぞれどのくらいあるのか?
ってなことを書きました。

これ、実際にいくら?っていうことを計算することは難しいのですが、実際上場する株式において感覚的につかむことはできるので、それをちらっと書いてみようかと。

世界にはいろいろな株式が上場されているのはご存知でしょうか。

フルスペックな通常の株式とともに、
・議決権が少な目なもの
・議決権がないもの
・議決権がなくて配当が高いもの
っていうのがパッとすぐに浮かぶものでもあったりします。

フルスペックな株式とそれぞれの株式における株価やパフォーマンスの差に着目すれば
議決権についての価値を市場はどのように評価しているのかがわかるのではないかっていう気がするっていう仮説です。

■議決権が少な目なもの

まず、議決権が少な目なものとしてはご存知バークシャー・ハサウェイ(っていうかバークシャー・ハサウェイのウェブサイトを初めて見たけど、これはビビる。。。)

バークシャー・ハサウェイにはA種株式とB種株式があり、どちらも上場されているのですが、Wikiを引用すると
バークシャー・ハサウェイはA種株式とB種株式を発行している。B種株式の発行価格はA種株式の1500分の1である。B種株式はA種株式の議決権の10000分の1の議決権が与えられている。
となっています。

つまり、A種に対してB種の株価が1/1500よりも上か下かを見てみたり、その値動きに差があるのかを見てみるといいんじゃないかと。

で、直近(23日)の終値はといいますと
A種株式(BKR.a):251,800.00USD
B種株式(BKR.b):167.22USD
となってまして、AとBの間には、1/1505.8という値段の差(があって、この日に限っていえば議決権が少ない株式が当初の発行の値よりもやや安い(0.39%の差)っていうことになるかなと。

ちなみに、ロイターでAとBの株価のパフォーマンスを比較するとこんな図になりました。
バークシャー

ほぼほぼ同じような値動きになるのですが、取引参加者が多いはずのB種の方がときどき低いパフォーマンスになるっていう感じです。

バークシャー・ハサウェイに関しては株主総会へ出席することが1つのお祭りになっているくらいなので、やはりその参加権ともなる議決権の有無っていうものがやや高値で取引される(=議決権があった方が価値が高い)ということもわかるなと。


■議決権がないもの

次に、フルスペックと議決権のない株式との比較です。
これは、ご存知Googleを中心としたAlphabetがあげられます。

Alphabet(≒Google)といえば、上場時に黄金株としてB種を温存したまま上場したことで知られますが、それが2014年4月にA種を分割する形(っていうか無償割当かな。正確には。たぶん)で議決権のないC種株式を発行しました。

このあたりのいきさつはMaketHackのこの記事を読んでもらえればと思いますが、議決権のある株式(A種)と議決権のない株式(C種)の双方が上場している企業として時価総額が巨大で取引量が多いとなれば、市場の価格発見機能を考えると、A種とC種の差がAlphabetの議決権の価値をなんとなく図れることにもなるんじゃなかろうかと。
(っていっても、そもそもB種があるから、A種自体がかなり制限された議決権ではあるので、本当の議決権の価値ってなんぞやっていうこともある気がするんですが、まー、その議論はおいておいて)

ちなみに、ここを読むと
GOOGとGOOGLは別銘柄なので株価が別々に動くこともあるかもしれないが、Googleの場合はそのような事態が起こっても問題ないような措置が採られている。議決権のないGOOG株が議決権のあるGOOGL株の価格に追随しない場合、GOOG株の保有者に対してGoogleが補償すると約束しているのだ。このような取り決めがあるために、2種類の株価はほとんど同じ価格で動き続けている。
ってなことも書いてあるのであくまでも参考って感じではありますが。。。

で、直近(23日)の終値はといいますと
A種株式(GOOGL):986.09USD
C種株式(GOOG):965.59USD
となってまして、AとCの差は20.5USDで約2.1%の株価の差があります。

バークシャー・ハサウェイの理論上の差との開きが0.39%だったことを考えると議決権なしの方がより大きい株価の差になっているなぁっていますが、上述した取り決めがなかったときにはどんな値動きになったのかっていうところが気になるところです。

そして株価のパフォーマンスの比較をY!において行いましたのがこちら
GoogとGOOGL


2年間で見るとA種が若干C種を上回るパフォーマンスを上げているっていうことになるようです。
(っていってもほぼ同じ値動きですが。。。)


■議決権がなくて配当が高いもの

ということで、ここまでは米国市場に上場している超巨大企業(世界の時価総額ランキング2位と6位)の株式をもとに議決権の価値を見てきましたが、種類株式の少ない日本においても1つ事例がありまして。おーいお茶の伊藤園

缶入り煎茶を売り出してお茶を淹れるものから買うものにして大きな市場を作っていたというエピソードは非常にベンチャー的だなぁって思っていて個人的には注目している会社の1つではあるのですが、その伊藤園は2007年9月から伊藤園第1種優先株式(25935.T)を東証1部に上場しています。

普通株式(2593.T)も東証1部に上場していますが、日本では珍しく種類株式も上場している会社です。

この伊藤園第1種優先株式は同社のサイトにもありますが、議決権はなく
優先配当
普通配当額×125%(最低15円)
未払い分は累積
っとなっていて、株主優待は普通株式と同様についてきます。

つまり配当が多くて、議決権がない株式であると。また、
一定の事象により当社が普通株式を対価として、1:1の比率で優先株式を取得することがあります。
ともあるので、取得請求権(株主が普通株式に変えてくれっていう権利)はないですが、取得条項(会社側が普通株式に変えるよっていう権利)によって普通株式と1:1で転換される可能性はあるわけです。

なので、それぞれの株価を見れば議決権と配当収益の価値っていうものがわかってくるんじゃないかとって思うわけですが。。。

6月26日の終値といいますと
普通株式(2593.T):4,225円
第1種優先株式(25935.T):2,206円
となってまして、これまでのバークシャー・ハサウェイやAlphabetの例はなんだったんだっていう感じの差になってますが、議決権がある普通株式に対して配当が1.25倍となって議決権のない第1種優先株式の株価に47.8%もの差があるということになっています。

ちなみに直近の配当額は
普通株式(2593.T):40円/株
第1種優先株式(25935.T):50円/株
となっていて配当還元方式で株価算定すると第1種優先株式の方が高くなるんじゃないかっていう気がするのですが、それこそ議決権の価値をどう織り込むかでそこも変わってくるので堂々巡りをしてしまうのでアレですが。。。

それにしても、なんでこんなに差が出てしまうのだろうか。っていう。

そしてY!でそれぞれの株価のパフォーマンスを比較してみたのですが、10年チャートだと厳密にちゃんと比較はできないのですがほぼ優先株式の開始時期からの比較ということで。
伊藤園比較

これを見るとやや離れることはあっても2015年くらいまでは比較的その株価変動の差は大きくなかったのですが、2015年ごろを境として大きく差が開いて、その差は開く一方ということがわかります。(何があったんだろうか。。。)

インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを重視するのか?っていう投資家心理もあるように思いますし、参加者が多くて上値が終えている状況であればキャピタルゲインを狙いに行くっていうのもわからんでもないんですが、ここまで差が開くとはっていう感じはあります。

ざっくり配当利回りを比較すると
普通株式(2593.T):0.95%
第1種優先株式(25935.T):2.27%
となるので、この超低金利時代においては非常に大きな差になっているなぁと思いますし、なんとなく教科書的にはこの差は説明できないんじゃないかなっていう気がするんですよね。逆にこういうことが行動ファイナンスにおける非合理的な行動になるんですかね。非常に謎なんですよね。

この期間において自己株式の取得は2017年に第1種優先株式に対して1%ちょっとを取得しているので、普通株式ではなく第1種優先株式の株価を押し上げる効果はあっても、逆に差が開く理由にはならないよなぁっていう。(2015年以降のIRのリリースとか見てもそんなに差がつくとは思えないのですが)
それぞれの株主構成にも大きな変更を見出すことはできないしなぁっていう。。。(見落としあったらすみません。。)

まー、ただ、これをうけて仮説を立てるとするならば、Alphabetは
GOOGとGOOGLは別銘柄なので株価が別々に動くこともあるかもしれないが、Googleの場合はそのような事態が起こっても問題ないような措置が採られている。議決権のないGOOG株が議決権のあるGOOGL株の価格に追随しない場合、GOOG株の保有者に対してGoogleが補償すると約束しているのだ。このような取り決めがあるために、2種類の株価はほとんど同じ価格で動き続けている。
っていう約束がなければその株価には大きな差が生じる可能性があるということを伊藤園のケースは示唆しているんだろうか。

そして、議決権の価値というのは配当の受益権25%強化した程度では埋まらないものであるということなんだろうか。しかもここ2年ちょっとの間にその価値についての認識が非常に強くなったとかそういうことなんだろうか。。

ひとまず新たな金融システムの構築という壮大な実験というかいろいろな試みがなされていますが、株式に内在する権利の持つそれぞれの本質的な価値とは?っていうことを知っておくことが、そうした新たな金融のシステムが築かれるかどうか?築かれたときにどういう影響が出るのかを理解するうえでは欠かせないものだと個人的には思っています。

こうした事例は古いものではソニーのトラッキングストックがあり、最近では上場させてないですがトヨタの第1回AA型種類株式(PDF)があったりしますので、ときどき出てくるという感じですが。

こうした事例を知っておくことで、未上場企業における種類株式の活用を通じた資金調達における種類株式の設計などにも生かせることもあると思ったりするので、こうした事例は引き続き注視していこうと考えています。

では、また。

※プロ筋の方や事情通の方でいろいろご存知の方は後学のためにこっそりいろいろと教えてもらえると嬉しいです。