こんにちは。VENTURE UNITEDの丸山です。

今朝の日経に日本電産の永守さんのインタビューがありまして、「日本電産、買収53件目 永守流に3つの秘訣」というものなんですが、このなかで、永守さんはこれまでのM&Aで減損はしていないといいつつ
「日本企業による海外のM&A(合併・買収)の88%は失敗している。10%は成功でも失敗でもどちらでもない。成功しているのは2%だけ」との見方を示した。
というものがありました。

私がかれこれ20年近く資本市場というか上場企業とかをウォッチするようになってからでも、日本企業による海外企業へのM&Aはいくつもおこったけど、たしかにそれで成功していて事業が大きく拡大できたっていうのはパッと思いつくものは少ないなぁっていう感じはします。

なんとなく、数年経って巨額の減損を計上して、財務状況が脆弱になって資本増強に迫られたり、責任をとって経営陣が辞任みたいな話とかちらほらと。

もちろん直近だと日本郵政や東芝などなどが巨額の減損をしているのはみなさんご承知のとおりかと。

グローバルに戦っていかなければならない状況で、一歩遅れたら他のライバル企業に大きく水をあけられてしまうからリスクを取る経営をしなければならない時代。

直近で経営が厳しくなって再生手続きなどをしている大手企業はこのパターンが増えているような感覚があって、以前のような財テクなどや放漫経営などではなく、大きな成長を狙ってリスクを取り、その結果としてうまくいかなく、その取ったリスクが足を引っ張るっていうもの。

欧米企業などを見ればより大きなM&Aが頻発していて、なんとなく、世界の大手企業がそうした大振りな経営スタイルで競争をしている時代がここのところ続いている印象はあります。

大手企業も大きく成長しなければならない時代には、安定っていう言葉は死語と化していて、リスクとどう付き合いつつより高い成長を目指すのかっていうことが問われている時代になっていて、そこにはどんな企業でも、結果として厳しい局面を迎えかねないリスクが常に存在していることでもあって、それは即ち、そこで働く人々にとってもそうしたリスクを認識しながらキャリア設計や生活設計をしていく必要があるということだと思います。

そして永守さんがM&Aの秘訣として
・「高値づかみしないことが大切だ」
・PMI(買収後の統合作業)と経営への関与。「買収は目利きと同じ。例えば工場の現場が汚い、社員教育がなっていない、といった会社は管理を見直せばもうかるようになる」
・買収のシナジー(相乗)効果だ。日電産は主力のモーター技術を買収先の技術と組み合わせ、複合部品(モジュール)に仕立てて家電や自動車向けの需要を開拓している。
と3つをあげています。

まー、どれも王道っちゃ王道なんですが、M&Aというのはタイミングの問題や入札制度などになることもあるので、高値掴みになってしまうことも多いのですが、それでも自分たちでその買収価格を正当化できるくらいの何かがあるのか?っていうことが大事だと思うんですよね。

ビビって低い値段で交渉していたら、そもそも買い手にもなれないわけですし。

個人的にはなぜその事業をイマ売る必要があるのか?こそ精査すべきではないのかっていう気がしています。
結局それが売り手にとって財務戦略上のオプションなのか、売り手企業株主の事情だったり、売り手企業側の事情なのかみたいなところでも、どういう価格で買うべきなのかは変わってくるのではないかなと。

2つ目のPMIについてはじわじわと重要性が伝わってきていますが、個人的にはPMIは買い手側の経営陣がどこまで買収した企業の経営に対して積極的に関与できるかなんじゃないかって思ってます。

異質なものどうしが1つの目標に向かうときに大事なことってやっぱり経営者自らがビジョンやらなにやらを直接伝えることであって、担当者がそれなりにやったところで、管理面などでは統合はできるかもしれないですが、それぞれを違う組織をうまく融合して新しい文化を作っていくっていうことができるのは経営者や経営者の資質のある人だけだとは思うんですよね。

そういう意味で、もうだいぶ昔の話になりましたが、私の担当先が上場したの企業に買収された際に、買い手側は当時の主力事業を担当していた役員を、買収企業の社長に据えるという決断をしたことがあって、結果として数年はかかったものの事業成長が実現できるところまでもってきていて素晴らしいなぁって思ったことがありました。

それ以外にも、海外で買収した企業の取締役会に社長自ら2か月に1度は現地で参加するということをされている会社もあったりとか、いろいろな取り組みがあったりします。

そうしたトップや経営陣の積極的な関与が重要なんじゃないかと。

まー、でもPMIって地味で地道で時間がかかるので、あまり話としてはウケないので世の中には出回らないことが多いのでみんな知らないっていうことだとは思うんですよね。

3つ目のシナジーは業態とか業種による気がしていて、むかし「シナジーとお化けはみたことがない」っていう名言を聞いたこともあるのでアレですが、特にインターネットサービスでいえば、2000年代前半はサーバや回線コストなどを集約することや開発や管理体制を効率化することで利益が出る会社もあって、そうした短期的に統合効果が出やすい環境はありました。

しかし、現代においてはクラウドでいろいろなサービスがあって当時に比べて固定費が格段に下がっている時代においては、ことインターネットサービスでシナジーを簡単に追及するのは難しく、むしろM&Aで買った企業なり事業なりを受け入れて収益化する仕組みなどを持っている企業はシナジーが発揮しやすいし、そうじゃない会社はなかなかどうしてっていう感じはあるなと。

そもそもM&Aは経営戦略においては20世紀的な表現を使えばウルトラCな手だとは思うんですよね。

すでにある異質なものをどう受け入れ、それを生かし、発展させていくのか?っていうところは、まったく別の組織・事業を経営していくことになるのと、それを生かすためには時間との戦いっていうところもあったりするわけで、難しいのが当たり前の経営戦略ではあるとは思います。

それを踏まえていまのところ52戦負けなしで挑戦し続ける永守さんはすごいなって思いますし、そうした挑戦を続けなければならないのが現代の企業経営を取り巻く環境であるということだなってしみじみ思ったりします。

私がいまの仕事をしている限りにおいては買い手に回ることはない(本店の方でなんか手伝うとかは別ですが)ですが、それでも買い手にとって、結果としていいディールにならなければ、買い手が減っていき、それは売り手にとってM&Aという選択肢がきわめて限られたものにもなってしまうので、そういう局面になったときには、買い手と売り手の間でうまくバランスをとるようなこともしていかないといかんなって思っていたりするわけです。

では、また。

TOKYO2020まで、あと1185日