どんな業界にもブームがありますが、珈琲界にもやはりブームがあり、最近は収穫したばかりの豆、つまり『ニュークロップ』を使うことが流行です。

収穫したばかりの豆のいいところは、やっぱり味が教科書通りに出ることです。(この豆はナッツ、ワイン、青リンゴ、メープル等のフレーバーがするとティスティング結果に書かれていれば適切に焙煎すればそんな味が出ます。)

その反対に古い豆には全く魅力がないのかといわれると、そんなわけではないことに気付かされました。

教科書に載ってない味がするんですよね。

まさに流行りとは全く逆の方向を向いた考え方で生み出された未知の世界の味。

ニュークロップを生産者が甘味を出したり、色んなフレーバーを出そうとして、土を改良するのとはまったく違う、収穫後の工夫。

珈琲屋の工夫というのかな。

多くの豆の種類を買って、倉庫で寝かせて、何十年後かに飲めるものだけ商品にする。時の洗礼を受けた豆。

先日、銀座にあるカフェランブルという店に行ってきたのですが、そこでは30年も前に収穫されたものをオールド珈琲として出しています。オールド珈琲の草分け的な店です。

私が飲んだ珈琲はルワンダのキブという豆なんですが、普通はナッツ、メープル、カラメルのような甘い香りがします。

しかし、カフェランブルの豆はそれとは全く違うレーズンのような香りと、バターのような滑らかな舌触りがするんですね。なんのこっちゃかもしれませんが。とにかく違う。同じ産地の豆とは到底思えない。

試しに抽出の仕方から味の違いが出るのかと思い、古くない豆(マンデリンスマトラタイガー)を飲んでみたのですが、それはちゃんと私の知った教科書にのった味がしました。

これがオールド珈琲かと比較飲みしながら納得しました。

珈琲関連の雑誌や書籍を買うと、ニュークロップが良いとばかり書いてありますが、それを鵜呑みにするのではなく、一度オールド珈琲を飲んでみてからそう言っても遅くはないのかなと思いました。

流行には左右されない、時の洗礼を受けた味。

珈琲好きなら一度行ってみるべし。

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