2017年07月08日

青天井

 暑い日が続きますね。ここに住んだことのある人はすぐに思い浮かぶと思いますが,仙台の梅雨と言えば晴れずに霧の様な雨が延々と続いて非常に寒いと言うのが定番でした。私が若い頃の記憶もほとんどこういう感じで,基本的に”梅雨は長袖”でした。しかしながら最近は寒くないことが多くなり,雨が降ると”蒸し暑い”と感じるようになっています。今年の梅雨はと言えば,雨も少なく晴れ間が多く,しかも湿気も少なくて”すっきりとした暑さ”。今日もそんな暑さです。眩しさに耐えつつ空を見上げると,どこまでも青空が突き抜けています。青空を指して「青天井」といいますが,まさに青天井。
 実は新しくなったお店の天井も”青”です。初めは天井と壁は真っ白な塗り壁にしようと考えていました。余計な装飾や半端なデザインを施さずに,シンプルにシンプルに。白を極めるのは簡単なようでとても難しく,質感だけが左右します。コーヒーにおいてもそんな物造りをしていきたいという思いを白壁に込めようと。ただ自分もやはり普通の人間ですから,お店を作っていく過程で色々と変わることもたくさんあります。以前のお店では焙煎室の壁をピンク色に塗っていましたので,新店舗でも焙煎機の周りはきれいなピンク色にしたいと思ったり。天井の色についても塗るギリギリのタイミングで青に決まりました。白壁が終わって,天井の段取りをしている最中に。細かいことはさておき,単純に空みたいできれいだな…というのが主な理由です。埋め込んであるエアコンや照明用のレールなどは白だったのですが,そのままで青天井と合わせたら雲の様でもあり,なんかいい感じに。元々空をぼーっと見上げているのが好きなのでちょうど良かったです。白を極めるという発想も自分自身をより高めたいという気持ちの表れですが,以前の自分であれば天井に青を使うことはなかったと思うので,これはこれでなにか一つ自分が上がったのかも知れませんね。
 大学生の時,橋梁工学の研究室に所属しておりました。そこに後藤さんと言う,超優秀な先輩がおりました。単に頭がいいというだけではなくて,発想の出所が非常にユニークで。食堂のカレーをどうしたら一番楽しく食べられるか?のために毎日あれこれ食べ合わせを試してみたりするような人で,きっと私と波長が合う方だったのだと思います。ある時,研究室内の壁と天井を塗り替えることになりました。みんなで荷物を外に出して,壁の塗料を剥がして。いよいよどんな色にするかを相談している時に,後藤さんが「天井を空色にしよう」と言いました。空色と聞いて,いわゆる空色一色の天井を想像していましたが,塗りあがっていくと白と灰色のペンキが登場しました。後藤さんは筆をとると,それで天井に雲を描き始めました。しかも漫画の様な雲ではなくて,灰色で影ついたリアルな雲を。出来上がりはとてもきれいなものになり,毎日とても気持ちよく過ごしました。震災後に研究棟そのものが建て替えになったので,今はもう見ることはできませんが。お店の青い天井を見上げると,時々ふと空の天井と後藤さんを思い出します。
 青天井という言葉には,もう一つ意味があります。辞書によると「物の値段や取引相場が天井知らずに長期間上がり続ける状態」だそうです。コーヒーの価格も開店当初と比べると倍からそれ以上になっていて,下がる気配はいっこうにありません。こちらの方は青天井にならないことを願うばかりです。


cafederyuban at 14:32コメント(0)季節 | 徒然日記 

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”Ryuban” って?
「Ryuban」というのは,私の幼い頃のあだ名。杜の都仙台でコーヒー店を営む現在は,その店名として使っています。いつかこの名前がおいしいコーヒーの代名詞になれば・・・と思いつつ。
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