お店をまだ始める前のこと。
今も取引をしていただいている中国茶販売の方が企画された「中国茶畑を巡るツアー」に参加し、中国は福建省武夷山に行った時のことです。
武夷山の空港でせっかくだからコーヒーを飲んでみようと思い、喫茶スペースでコーヒーをたのもうとしたところ、上海などの大都市とは違い、英語併記がない中国語オンリーのメニューでした。
ですが、そこは漢字文化圏ですので、脳トレ氣分でメニューを愉しめました。
たとえば「哥伦比亚」 。
「か・・・だ・・・ひ・・・」・・・!「コロンビア?!」。
コーヒーという前提があるので推測がしやすかったのですが、それでも頭を使いました。

「藍山」は・・・・「ブルーマウンテン!」
というように、表音だけでなく表意もあり、でした。
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「ブルーマウンテン」といえば、コーヒーの中でも「キング」の称号を与えられる高級豆。
名前の由来は、カリブ海の青が反射して山肌が青くなっているエリアで採取される豆、なのだとか。
ジャマイカ政府が定める正真正銘の「ブルーマウンテンエリア」はとても狭い範囲で標高が800~1200mと高い場所に位置します。
それ以外のも「ハイマウンテン」や、ジャマイカの「ブルーマウンテン豆」をハイチに植樹して取られる本家ブルーマウンテンに匹敵する良質の豆などがありますが、「ブルーマウンテン」とは本来別物です。

コーヒー豆の味を決める要素は「酸味・甘味・コク」 ですが、ブルーマウンテン豆はその味わいのバランスが秀逸なことで評価の高い豆です。



よく、「コーヒーは酸っぱい」というのを聞きますが、コーヒーの酸味はまるでレモンをかじったような爽やかな酸味がします。
これと「酸化したコーヒー」の酸っぱ味とが混同される場合があります。

ナタネやダイズ、ゴマなどの搾油作物には及びませんが、コーヒー豆は植物としては比較的多くの脂質を含んでおり 、その含量は生豆中の約10〜16%にのぼります。
これがコーヒーのコーヒーたる所以の味の特徴を与えていて、たとえば高圧蒸気で抽出するエスプレッソでは脂質が溶け込んだ琥珀色の膜(クレマと言います)を形成します。 

エスプレッソ

ですので、中国茶やインド紅茶などの茶類やハーブティーのような乾燥素材とは違って、コーヒーはどちらかというとお肉やオリーヴオイルのような生鮮食料に近い素材です。

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焙煎という加熱処理をしているので、そのようなイメージを持ちづらいかもしれませんが、コーヒー豆に含まれる脂肪酸が酸化によって劣化しないように配慮がとても必要な素材なのです。

またコーヒー豆自体の取り扱いもさることながら、抽出器具の手入れも欠かせません。

コーヒーを淹れる度にべったりと油膜が付く、
なんてことはありませんが、それでも使用後に手入れをせずに放置をしておくと、器具に付着した脂肪酸が劣化し、次に抽出するコーヒーに含まれることになります。


□ コーヒーを飲むと眠れなくなる。
□ コーヒーを飲むとお腹や胃が痛くなったり、気分が悪くなる。 

こういった症状は、実はコーヒー本来の味による症状ではなく、酸化劣化した豆、もしくは杜撰な管理をされた抽出器具で淹れたコーヒーのためによる場合がほとんどです。

よく、「コーヒーにはカフェインが含まれているので、夜に飲むと眠れなくなる」と言われますが、酸化した油で揚げたものを食べたときに、胸やけをおこすなど、体がダメージを受けるのと同じように、不眠の原因も、コーヒーの酸化や劣化によるものです。

カフェインには、覚醒作用と精神安定剤の両方の効果があり、よいコーヒーは爽やかな目覚めばかりではなく、安眠効果もあります。


今回このお話をしたのは、皆さんにコーヒーのことを「正しく識って」いただき、「賢く選んで」欲しいからです。