花の色は うつりにけりな いたづらに
   わが身世にふる ながめせしまに

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伝説の美女で、六歌仙、三十六歌仙の一人、小野小町の詠んだ歌です。

栄え咲き誇った桜の花が、むなしく色あせてしまう姿に我が身を重ね、年をとるにつれて衰えゆく「無常な時間に敗れゆく美」を詠い上げた歌で、百人一首と新古今集の撰者、藤原定家は、この歌を「幽玄様」、「言葉で表している意味を越えて感じられる情緒、イメージの広がり」がある歌と評しています。
この歌のもつ滅びの美学、「無常観」といったものが日本的な美学にぴったり合っているのかもしれません。

さて。
前回は素材としてのコーヒー豆の鮮度についてのお話でしたが、今回は抽出したあとの「飲み物としてのコーヒー」の鮮度のお話をしたいと思います。

コーヒー豆の「鮮度」の観点から言えば「炒り立て」がお薦めなのですが、香味の観点から言えば、焙煎からある程度経って落ち着いた味を好む方もいるように、飲む方の感性によって分かれるところです。

ですが、間違いなく言えるのは「“淹れ立て”のコーヒーは美味しい!」 ということです。
極端な話をすれば、名水百選に選ばれるような水で淹れれば、インスタントコーヒーもおいしくいただけます。

そして飲み物としてのコーヒーの味の差が現れるのは「10分後」 と言われています。
熱湯でハンドドリップできちんと淹れたコーヒーは、カップに注いだ時点で65℃くらいになっています。
そして、10分ほど経つと温度はだいぶ下がってきます。
それは、コーヒーのさまざまな味わいを舌で十分に愉しむのに適温状態と言えます。

「10分」をただただ何もせずに待ち続けるのは長く感じますが、読書に没頭したり、愉しく会話に興じていたりすると、10分はあっという間です。

このタイミングで飲んでもおいしいコーヒーを淹れなさい。
それが、私が通ったカフェの学校の教えでした。

そして、飲み物としてコーヒーの“賞味期限”は、「30分」 と言われています。
淹れ立てからコーヒーは酸化が進み始め、30分ほど経つと“酸っぱく”感じるようになってきてしまうためです。


最近はコーヒーも都度一杯ずつ淹れる器械が主流になってきているので、以前ほどではないと思いますが、セルフサーヴィスなどで見かける一度に大量に淹れたものをいつでも飲めるように置いている場合は、その保温の仕方が大切です。

好ましいのは魔法瓶に移し替えての保存。 
次善策として湯煎。
ウォーマーに置きっぱなしは、つねにコーヒーを加熱し続ける事になるのでお薦めしません。 


なお、ユウではアイスコーヒーも作り置きはせずに、オーダーをいただいてから都度淹れています。
ドリップ方法は「オンザロック」と呼ばれる方法。
冷えたグラスに氷を敷き詰め、そこにコーヒーを直接ドリップして創ります。

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ユウでは、アイスコーヒーもホットと同じく、アラビカ種100%のブレンドを使用しています。
淹れ立てはもちろん、時間が経って室温近くになってもすっきりした味わいが持続します。

ですので、ユウではアイスコーヒーでもホットコーヒーと同じく、少々のお時間を頂戴致します。
ご了承くださいませ。