私の母親は広島県人でして、だから私にとって“お好み焼き”といえば広島スタイルのお好み焼きです。

広島お好み焼き

広島スタイルのお好み焼きは、水で溶いた小麦粉を薄くのばして、そこに具材を乗せて、その後ひっくり返して蒸し焼きにする、いわゆる“乗せ焼き”です。

広島スタイルのお好み焼きが生まれたのは戦後のこと。
アメリカから支援物資として配給された少量の小麦粉を有効活用する方法として考案されました。
当時の広島は鉄を扱う工場が多く、比較的鉄板を手に入れやすい環境でした。
当初は多めの水で溶き、ねぎやキャベツ、もやしなどを焼いて食べていたそうです。


だから
というわけではありませんが、カフェ・ユーの“食”のメニューには“そば粉で作ったクレープ”があります。

コンプレート

そもそものきっかけは、表参道のギャラリーの最初のケイタリングカフェのアーティストのお知り合いに蕎麦粉を扱う会社の方がいらした、ことです。

でも、後から考えてみると、幼少から親しんでいた広島スタイルのお好み焼きの影響が全くないとは言えないように思います。


“そば粉のクレープ”は通称“ガレット” と呼ばれます。
これはフランス語で、“galette”とは「薄く丸いもの」という意味です。 正確には“Galette de blé noir”が“そば粉のクレープ”を意味します。
Blé(ブレ)” は「粒」や「実」のこと。(お金の意味もあります) “Noir (ノワール)” は「黒い」。
そして“blé noir” で 「そばの実」となります。 

そばの実

 
そんな“そば粉のクレープ:ガレット”の発祥の地はフランス・ブルターニュ。

ブルターニュ

 大西洋に突き出た形のブルターニュ地方は、海に囲まれ、温暖で夏も涼しく冬は穏やかな気候。
ブルターニュは“ブリテン”、つまりイギリスの主たる部分を象っている“ブリテン島”が語源で、ブリテン島からローマ兵に追われたケルト民族が移り住んだ場所と言われ、神秘的なケルトの伝説や石器時代の遺跡が残る地域です。

ブルターニュ地方は日照時間が少なく、雨が多く、土地が痩せている、と小麦の育成には不向きな土壌です。ここに中国原産の“ソバ”がイスラム諸国を経由して十字軍によってもたらされ、ブルターニュの地に植えられると、充分に育つ作物として認められ、盛んに植えられるようになり、人々の貴重な栄養源となりました。
ブルターニュ女公であったアンヌ・ド・ブルターニュがソバ栽培を無税として奨励したことも、この地方で盛んに育てられた理由のひとつと言われています。
 

もともと、ソバはヨーロッパ中でおかゆのようにして食べられていたそうです。
ある時、太陽で熱せられている平らな岩の上にソバ粉で作ったおかゆをこぼしてしまったらそれが熱々の岩で焼けて固まり、食べてみたら美味しかった!!というのがガレットの始まりと言われています。
その後フランス国王ルイ13世の妻、アンヌ王妃がブルターニュを訪れた際にガレットを食べてとても気に入り宮廷料理に取り入れられたことでフランス全土に広まるようになりました。


そんな“ソバ”は、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の予防や、美容にも効果があり、ダイエットもできる身近なスーパーフードです。

”そば”にはルチンという成分が含まれ、血液をサラサラにし毛細血管を強くする、血圧を低下させる作用があり、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの生活習慣病に大変効果的だと言われています。
またルチンは体内へのビタミンCの吸収率を高めます。これも“美肌効果”の重要な働きのひとつです。

また、豊富なビタミンや食物繊維が含まれていて、さらにはそばに含まれるたんぱく質は米や小麦粉に比べ量も質も優れており、アミノ酸価は米、小麦粉など穀類のなかでは一番アミノ酸がバランスよく含まれています。
さらに、“そば”は炭水化物の一種ですが、血糖値を上げにくい低GI食品で、炭水化物の中では摂取しても太りにくいものとされています。
そしてそばに含まれるビタミンB群は脂肪・糖質の代謝をよくする働きがあるため、ダイエット効率をアップしてくれます。その中でも、脳神経のはたらきを助け、皮膚の健康を保ち、二日酔いを予防する効果も期待できるビタミンB群の一つであるナイアシンが豊富に含まれます。
ダイエット時は過度な食事制限などで肌つやを落してしまう人も多いのですが、“そば”は血管年齢を若くし、肌つやをあげつつダイエットにもなる、うれしい美容健康作用を持つ食材なのです。


そんなステキな食材“そば”を使ったメニュー“ガレット”。
カフェ・ユーではいくつかのラインナップをご用意しております。

タルタル