“Enjoy Home”の時間を利用して、ご自宅にいる時間でいろいろと挑戦を試みる方もいらっしゃるかと思います。
「ハンドドリップコーヒーをやってみよう」という方のための3回講座。
一回目は「ドリッパー選び」
2回目は「器具とカップを温める」でした。
今回のお伝えするのは・・・

と、本題に入る前に・・・。

淀川長治

また、お会いしましたね。淀川長治です。
今日紹介する映画は「男はつらいよ 寅次郎夢枕」。
ご存じ「男はつらいよ」のシリーズ第十作ですねぇ。
今回の映画でマドンナを務めるのは八千草薫さん。
この映画はシリーズで初めて恋敵が登場して、挙句には寅さん、マドンナからプロポーズされるんですねぇ。
寅さんにプロポーズする時の八千草さんの仕草・・・もう素敵ですね。愛らしいですね。
それでは、のちほどまたお会いしましょう。


さて、この映画の中で八千草薫さんが亀戸公園の橋の欄干で恥ずかしがる仕草、まさに「“の”の字を書く」とはこれか!という仕草です。

男はつらいよ

前振りが長くなりました。
そうです。
「ペーパードリップ」をおいしく淹れる、3回目のお話は「お湯を注ぐ」です。
よく「小さな“の”字を描くように」と言われるアレです。

それではご紹介してまいります。
器具を温めた後からの工程の説明となります。

DSCN1516
写真は1杯のコーヒーを淹れる時の様子です(器具温め前)。
なのになぜかカップが2つありますね。
これはのちほど、ご説明いたします。


まずは、ドリッパーにペーパーフィルターをセットします。
底と側面を折ったペーパーフィルターをドリッパーに軽く抑えつけるようにしてセットします。
あらかじめ湯通ししているので、張り付くようにセットできます。ペーパーフィルターとドリッパーは必ず形やサイズの合うものを使い、隙間なくセットします。

次に、ペーパーフィルターにコーヒー粉を入れます。
粉を入れたら、ドリッパーを軽く振り、粉の表面を平らに均します。
こうすることで、全体にムラなくお湯を注ぐことができます。
※入れるコーヒー粉の量の目安は下に記します。 

さていよいよ、ドリッパーにお湯を注ぎますが、最初はコーヒー粉を蒸らします。 
この“蒸らし”はおいしいコーヒーを淹れるために必ずやっておきたい工程です。
以前の記事で紅茶の“ゴールデンドロップ”についてご紹介したことがありますが、紅茶やハーブティーなどの浸し出すティー系は“最後の一滴”がゴールデンドロップであるのに対して、コーヒーは“最初の1滴”がゴールデンドロップになります。
ですので、本抽出前にコーヒー粉からお湯にコーヒーのエキスが出やすい状態を作っておくのはとても大切なのです。

“蒸らし”ではコーヒー粉の上に、粉全体に均一にお湯を含ませるように、少量のお湯をそっと乗せるように注ぎます。注ぐお湯の量は20ccほどです。その状態で20秒ほど待つ・・・と一般的に言われますが、お湯が染み込んだコーヒー粉の表面に小さな穴がポツポツ見えたら“蒸らし”は十分に行えた証拠です。

この工程で気をつけたいことは2つ
ひとつは、サーバーにお湯がいっぱい落ないことです。
ポタポタとお湯が数滴落ちてる程度、究極の理想はお湯がまったくおちないことです。
もうひとつは、ドリッパーにお湯を当てないこと。
この理由は、抽出のところで詳しく触れます。

さぁいよいよ、お湯を注いでコーヒーを抽出します。 

ここでクイズです。
コーヒー粉にお湯を注いだら、お湯はコーヒー粉の中でどのように広がると思いますか?






正解は、次のようになります。

1回目ドリップ 
注がれた地点からほぼ半球状に広がります。
ですので、コーヒー粉から効率よく抽出するためには、ドリッパーの中心とドリッパーの縁の真ん中を中心とし、半径がちょうどドリッパーの中心と縁に接するようなお湯の量を注ぐといいことがわかります。 
またコーヒーはお湯を注いだ直後が一番濃く抽出されます。そしてその濃さはコーヒー粉がお湯に浸っている時間が長ければ長いほど濃くなります。

以上のことを意識してお湯を注ぐと、お湯はできるだけ細く(少なく)維持しつつ、最初はコーヒー粉の中心に注ぎ、ドリッパーの中でお湯の量が増えて上に上がってくることでドリッパーの中心と縁との中間位置が段々外に広がっていくに従って、お湯の注ぐ位置も外側にズレていきます。
そうすると、あたかも小さな「の」の字を描くように、お湯の軌跡が描かれます。

この時、氣をつけて欲しいのは、ドリッパーに直接お湯がかからないようにするということです。
コーヒーはお湯をコーヒー粉を通してサーバーに落とすことで抽出しています。ドリッパーに直接お湯が当たるということは、コーヒー粉を通らずにドリッパーに沿ってただのお湯がサーバーに落ちることになります。これはサーバーに落ちたコーヒーをお湯で薄めているのと変わりません。
これは“蒸らし”のときも同じことが言えます。

ドリッパーの上から1/4または1/3の位置までお湯が上がってきたら、一度お湯を注ぐのを止めます。
できるだけお湯を細く(少なく)注ぐので、1杯分のコーヒーが抽出されるまでには何度かお湯を注ぐことが必要です。
では、2度目にお湯を注ぐときに移ります。

コーヒーを淹れたところ
お湯の位置が段々と下がっていくと、コーヒー粉の壁ができています。
2度目以降、お湯を注ぐときは、ドリッパーの中心位置とこのコーヒー粉の壁との中間にお湯を注いでいきます。

2回目ドリップ
2度目以降の抽出では、コーヒー粉でできた壁もフィルターの役割を果たします。
コーヒー粉の壁はコーヒーのアク、つまり雑味のもととなる成分がサーバーに落ちるのを防いでくれます。
お湯が下まで下がりきってから2度目のお湯を注ぐと、せっかくできたコーヒー粉の壁を壊してしまうことになります。ですので、まだお湯が下がりきらない状態で再び注ぎます。そして、コーヒー粉の壁の高さを超えないところで止めます。この動作をサーバーに落ちたコーヒーが淹れたい量の目盛に到達するまで繰り返します。

目盛に到達した時にドリッパー内にまだお湯が残っている時は、ドリッパーをお湯ごと外します。
この受け皿として、近くに空のカップを私は置いています。


コーヒーはお湯を中心で小さく「の」の字を描くように注ぐ、の意味が分かりましたでしょうか?


それではみなさん、おいしいコーヒー、飲んでくださいね
そしてお店でもまたお会いしましょう
さよなら、さよなら、さよなら 

淀川長治



【余談】
カップ一杯分(約150cc)あたり、10~12gが適量です。
使うコーヒーの種類や焙煎度はご自分のお好みでよいですが、豆から挽く場合は「中細挽き」がオススメです。お店で頼むときは「ペーパードリップ用」とオーダーしても大丈夫です。
 
コーヒー使用量のめやすは以下のとおりです。
1杯分:10~12g
2杯分:20g前後
3杯分:25~30g前後
4杯分:35~40g前後


【余談2】
以前の記事「“酸っぱい”コーヒー」 でもご紹介しましたように、コーヒーは脂肪酸を含んでいるという特徴があります。ですので、ドリップした直後に、ドリッパーとサーバーをお湯でサッと洗い流すことで、器具への脂肪の付着とそれによる酸化を防ぐことができます。そして1日の終わりに食器洗い洗剤で洗い流すとより香り高く味わい深いコーヒー生活が味わえます。
(コーヒーを淹れたドリッパーとサーバーは、お肉を焼いたフライパンと同じと思ってください。)