ワインは基本的にはブドウの果汁だけで発酵して造られます。
ですが、「ブドウを特徴づける“酸”」などでも紹介しましたように、ワイン造りにおいて“酸”や“糖”の添加が許されている産地もあります。

それ以外にも、いくつか、ワインに添加されているものがあります。
そのひとつが「ビタミンC」です。

ビタミンC

ワインのラベルに「酸化防止剤(ビタミンC)」と表記があることがあります。
正式名でL-アスコルビン酸と書かれていたりもします。

これは、食品の製造過程もしくは加工や保存の目的で使用される食品添加物のうち、酸化防止剤としてビタミンCが加えられていることを示しています。

ビタミンCは、酸化防止剤や酸味料として緑茶などにもよく使用されています。

食品の酸化を防止する用途で使用される物質には、ビタミンC(L-アスコルビン酸)やビタミンE(α-トコフェロール)などがあります。
つまり、ワインに含まれるビタミンCは、風味などのために加えられるものではなく、品質を保持するためのものに添加されています。

ワインにビタミンCを加えることにより、風味の劣化や雑菌の繁殖の予防が期待できます。
ただし、ビタミンCのみではワインの酸化を防止する効果が不十分とされる場合は、同じく酸化防止剤として認められている「亜硫酸」とともに添加する必要があります。

ビタミンCは健康にいいイメージの代表格のビタミンで、実際、コラーゲンの生成に欠かせないほか、強力な抗酸化作用を持つ栄養素です。
十分な摂取により老化を予防し、血管の健康維持などに役立つといわれています。

本来、ワインにはビタミンCは全く含まれていません

健康的な生活を続けるために、飲食するものの安全性を重要視する方が増えています。
そのため、ワインの雑菌の増殖や酸化による品質劣化を予防する効果が期待できる酸化防止剤として、ビタミンCを使うワイナリーもあります。

また、ビタミンCは、発酵中に発生するアセトアルデヒドによる風味の変化を抑えることも期待して使用されます。

ワインのラベルに「ビタミンCを含む」と表記のある場合は、ワインをおいしく安全に楽しむために、酸化防止剤として利用している、と読み取れます。


【補 足】

亜硫酸塩につきましては「“ビオディナミワイン”と“ビオワイン” “ビオディナミワイン”って?」で触れていますので、参照ください。