「室町時代からあるお酒」でも紹介しましたお酒「焼酎」。
大陸からその製法が伝わって、室町時代には日本で造られていたお酒です。
大陸からその製法が伝わって、室町時代には日本で造られていたお酒です。
焼酎は、種類もたくさん存在しますが、じつはその多くが九州で造られています。
九州には、焼酎の消費量、製造量ともに、全国ランキングで上位にランクインする県が集中しています。じつは日本酒の蔵元もたくさんある九州ですが、もともと根付いていたのは焼酎文化のため、やはり歴史ある焼酎蔵が目立ちます。
国税庁が公表している平成30年度の統計データ「都道府県別の免許場数 」によると、「しょうちゅう」の免許場の総数は全国で約850。そのうち、九州の免許場数はなんと300を超えていて、日本全国のじつに1/3以上を九州が占めていることがわかります。なかでも、鹿児島県には100以上の蔵元があり、銘柄数は2,000を超えるといわれています。九州には長きに渡って焼酎を造り続けてきた老舗蔵元も多数あり、焼酎の歴史の深さが感じられます。
本格焼酎はいろいろな産地の豊かな自然の中で生まれた農作物を原料として生まれます。
焼酎の原料といえば、芋焼酎のサツマイモ、麦焼酎の大麦などが思い浮かぶかと思いますが、九州は、焼酎の原料となる芋や大麦の一大生産地、でもあります。
農林水産省が公表している令和2年の統計データ 「令和元年産かんしょの作付面積及び収穫量」によると、サツマイモ(かんしょ)の生産量全国1位は鹿児島県で、日本全体の約35%を占めています。ほかに、宮崎や熊本でも盛んに作られています。
また大麦(二条大麦)も、農林水産省発表の作物統計調査「令和元年産麦類の収穫量」 のデータから、全体の約57%が九州で収穫されていることがわかります。
どちらも、九州の土地で栽培しやすい食物として古くから生産されてきた身近な存在です。それが九州の焼酎文化につながっていったと考えられています。
本格焼酎はいろいろな産地の豊かな自然の中で生まれた農作物を原料として生まれます。
九州の焼酎でも、原料による焼酎の種類と地域の分布で分けられます。
麦焼酎
麦焼酎は、長崎県壱岐を発祥の地とする焼酎です。
精麦した大麦が原料になりますが、大分の麦焼酎が【麦麹+麦】が主流なのに対し、壱岐焼酎は【米麹+麦】でつくるといったように製法はさまざまです。
麦特有の香ばしい香りを楽しむ事ができ、まろやかな甘味があるのが特徴です。最近では樽で長期熟成したものも人気があります。
味の特徴としては、ややあっさりめで麦の香ばしい香りと味わい。クセが少なくサワーのベースとして使用できます。
主な産地は、大分、佐賀、福岡、壱岐
原材料は、大麦、麦麹(米麹が使用されることもあります。)
未発芽大麦を使用し、麦の力だけで発酵させてつくります。ウィスキーも同じ大麦の蒸留酒ですが、樽で長期熟成するため、焼酎は全く異なる味わいになります。
そば焼酎
宮崎県の高千穂地方での生産が盛んなそば焼酎。その歴史は他の本格焼酎と比較すると浅く、1973年頃に宮崎県のメーカーが開発しました。そば特有の香りとほんのりとした甘味があって、飲みやすいのが特徴です。九州の他、信州長野でも造られていますし、そば湯で割る飲み方もあり、メニューに加えるそば屋も増えています。
味の特徴としては、そば特有の香りとすっきりと軽快な味わいです。
主な産地は宮崎県
原材料はそば、米麹。発酵には一般的に米麹などが使用されます。
米焼酎
米焼酎の代名詞となっているのが、薩摩地方と並んで昔から焼酎造りが盛んであった熊本県の球磨盆地で造られる「球磨焼酎」です。重みのある香りと濃厚な味わいが特徴ですが、最近では清酒の吟醸香のようなフルーティな香りと爽やかな風味のものも人気になっています。
味の特徴としては、香り高く米本来の旨味と甘みが感じることができます。口当たりは比較的まろやかで、素材そのものの味わう繊細な料理にも合います。
主な産地は熊本、佐賀、福岡
原材料は米、米麹。
日本酒との違いは、蒸留する点です。日本酒では、脂質やタンパク質を取り除くため、米の表面を30~50%程度削りますが、焼酎は、それらも旨味を引き出す成分として残すため10~15%のみ削ります。
芋焼酎
桜島の火山灰で覆われた水はけのよいシラス台地、そして暖かい気候という最高の条件のもとで育ったさつま芋、黄金千貫(こがねせんがん)が原料として主に使われます。芋特有の芳醇な香りと、まろやかで甘味のある味わいが一番の特徴で、麹や芋の種類を変えた様々な製品がでています。
味の特徴としては、芋独特の芳醇な香りとほんのりとした甘みがあり、クセになる味です。
主な産地は宮崎、鹿児島
芋焼酎の原材料となる芋の品種は40種類以上あります。ポピュラーな黄金千貫(こがねせんがん)の他、安納芋や紅芋など甘みのあるものや、ジョイホワイトなどフリーティーなものまで様々です。ちなみに、米や麦をつかって麹をつくり、芋は二次仕込みの段階で投入します。
黒糖焼酎
鹿児島県の奄美大島諸島のみで造ることを許された焼酎で、特産品である黒糖を原料にしています。黒糖から生まれた独特なまろやかな味わいと、シロップのような甘い香りが特徴です。原料に黒糖を使用する点で、ラム酒と似ていますが、黒糖焼酎は米麹を使用することでその独特の味わいを醸し出します。
かつて世界一の長寿として知られた故・泉重千代さんが毎日飲まれていたことでも有名です。
味の特徴としては、黒糖のやさしい香りとほのかな甘み、すっきりとした味わいです。
主な産地は鹿児島奄美大島
原材料は米麹、サトウキビ。
「日本のラム」とも呼ばれますが、ラムは麹を使用しないため、酒税法上はスピリッツです。黒糖焼酎は米麹を使うことを条件に、鹿児島県奄美諸島だけに製造が許されています。
泡盛
沖縄で昔から造られている本格米焼酎。黒麹菌の米麹だけを原料とし、タイ米を使用するなど、他の地域で造られる米焼酎とは、原料・製法ともに違い、泡盛特有の風味を味わうことができます。三年以上貯蔵したものは古酒(クース)と呼ばれ、そのまろやかな風味、上品な香りは多くの人を魅了します。
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