from U_U to YOU

ガレリア カフェ ユー オーナー なおきがカフェで使っている素材や知り得た情報などについて徒然と綴るブログです。

カテゴリ: うちで淹れよう

“ビール”の特徴
といえば、みなさん、何を思い浮かべますか?

そのひとつは、“きめ細やかな白い泡”ではないでしょうか?

ビールの泡

アルコール飲料は、酵母が糖質を摂取してアルコールと二酸化炭素に代謝する性質を用いて醸造されます。
この二酸化炭素が溶け込んだアルコール飲料は、スパークリングワインや発泡性日本酒などでも見られます。
けれども、クリーミーな泡の状態をいつまでも保つのはビールの泡の大きな特徴です。

なぜ、ビールは白い泡が形成されるのでしょう?
ビールの白い泡の正体は、麦芽に含まれている「たんぱく質」と、ホップに含まれる苦味成分の「イソフムロン」などが、二酸化炭素と結びついたものです。
二酸化炭素の周りにたんぱく質やイソフムロンが集まって膜を作るおかげで、ビールの泡はなかなか消えずに形成され続けます。
そして、ビールを苦く感じるのも、苦味成分が泡の周りに集まっているからなんだそうです

ビールの泡の形成は注ぎ方によって変わります。
泡は口に触れた時の口当たりだけでなく、ビールの苦味にも寄与するので、泡の作り方に影響するビールの注ぎ方よってビールの味が変わる、と言ってもあながち過言ではありません。


ビールの泡は、ほかのお酒にはないビールのトレードマークともいえる要素です。
クリーミーでモコっとした白い泡は、口当たりを良くするだけでなく、ビールの美味しさを視覚に訴えかける効果も持っています。
泡のないビールの味わいがお好きな方もいらっしゃいますが、やはり、ビールならではの泡の味わいも愉しみのひとつではないでしょうか?


業務用のビールサーバーでは、液体と泡とを別々に注ぐことができます。
では瓶ビールや缶ビールではどうでしょう?
実は、瓶ビール、缶ビールでも泡々ビールを愉しむことができます。
が、ちょっとしたコツがあります。


“Enjoy Home”の時間を利用して、“家飲み”を愉しまれている方もいらっしゃるかと思います。
そこで、カフェ・ユーの瓶ビールの注ぎ方をご紹介致します。

まず、グラスです。
日本のビールに多いのはピルスナータイプです。
ラガーの醍醐味でもある「喉ごし」を存分に愉しむためには、縦長ですっきりとしたデザインのストレートタンブラータイプのグラスがおすすめです。縦長だと、飲む時に顎が上がるので、喉ごし感をより愉しむことができます。
直径は細いほうが、少ないビールの量で厚みのある泡を作ることができるのでよいのでは?と思います。

では、いよいよ“泡々ビールの注ぎ方”です。

Step1 グラスを冷やす
グラスとビールとの温度差が広いと泡ばかりになってしまうので、グラスとビールの温度差はできるかぎり少ないほうがよいです。またグラスの内側を布で拭くと、目に見えないほどのケバが付着し、これがビールを注ぐ時に大きな泡がたつ原因となります。
オススメは、グラスに氷を入れて撹拌してグラスを冷やし、氷を捨てる、です。
グラスの中の少量の水は拭き取りません
このリンス動作によってグラスが水の膜でコーティングされて滑らかになります
また氷でリンスすることで、冷えたビールの爽快感をたっぷりと味わうことができます。

Step2 まず泡を作る
瓶ビール、缶ビールをグラスに注ぐときは、最初に泡を作り、その下にビールの液体を注ぐ、という順番になります。
グラスを立てたままビールをグラスの1/3くらいまで勢いよく注ぎ泡を作ります。

泡を作る

この状態で一度注ぐのを止め、荒い泡が消え、きめ細やかな泡だけになるまで待ちます。
勢いよくビールを注ぐことによって、香り成分が揮発して活性化し、ふわっとした香りがグラスの周りに漂う効果もあります。

Step3 液体ビールを注ぐ
泡が落ち着いてきたらビールの炭酸を逃さないよう、グラスを傾けてそっと注いでいきます

注ぐ

グラスの側面を伝ってビールが泡の下に入っていくように、ビールの注ぎ口をグラスに付けます
また注がれるビールが、グラスに沿ってらせん状になるように、グラスに対して、注ぎ方向を斜めにします。らせん状にビールが入っていくことで、注がれるビールの勢いを抑え、結果、注ぐことによって泡が形成されるのを抑えることができます。

【Step4 グラスを立てていく】
泡がグラスの縁に近づいたら、ゆっくりとグラスを立てながら、泡がこぼれないまでビールを注ぎます
丁寧に注いでいくと、グラスのふちから1~1.5センチ盛り上がったふわっとした泡を作ることができます。


ビールの液体と泡の黄金比率は「7:3」と言われています。
この比率こそ、飲んだ時の爽快感と泡のクリーミーさのバランスが良いとされていますが、さて、みなさんはどう感じますでしょう?
みなさんそれぞれの好みの黄金比率を探ってみるのも愉しいですね♪

さぁ、みなさんもご自宅でクリーミーな泡の乗ったビールを召し上がってみてください♪

前回の記事「鍋でご飯を炊こう」の記事をご覧になられた方はお気付きになっているかもしれませんね。

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そう。
カフェ・ユーのご飯は“白いだけじゃない”のです。
実は、カフェ・ユーのご飯は“雑穀米”なのです。

玄米の記事のところでも紹介しましたが、「健康食」と言われる玄米は消化にエネルギーが必要なため、本当に健康な方にオススメの穀物で、消化力が弱っている方には却って負担になる可能性もあります。


健康やダイエットに良いということで人気となっているもうひとつが“雑穀米”です。
雑穀米
雑穀米”は、白米の他に、玄米やあわ、ひえ、きびをはじめ、はと麦や押し麦、黒米など、数種類の雑穀を混ぜたものを言います。混ぜる雑穀の数に応じて『◯◯穀米』と◯◯に数字を入れて呼ばれるのが通例で、カフェ・ユーは“十六穀米”です。

雑穀には、ミネラルやビタミン、食物繊維が豊富に含まれているので、いつもの白米に混ぜるだけで、さまざまな栄養素を摂取することができます。
しかも、玄米と違って“白米だけと同じように簡単に炊くことができる”のが魅力です。 


雑穀米は、“健康に良い”ということと、“ダイエットにも良い”と謳われています。誤解を恐れずに言えば、雑穀米は必ずしも“低カロリー”では決してありません
白米は、150gで約252kcalであるのに対して、雑穀米は、150gで約232kcal。多少は低いものの、それほど大きな違いはありません。(ちなみに玄米も150gで約248kcalとほぼ変わりません。)

雑穀米に関しては、カロリー低減というよりは、栄養補給を目的として摂取する効果が高いと言えます。

ただし、雑穀米は食物繊維が豊富なため、食べるお米の量が減ったり、便通が良くなったりという効果が体感でき、結果、ダイエットにつながることはありえます。
なので、緩やかな『炭水化物抜き(というより抑え)ダイエット』には最適だと思います。

また雑穀米のGI値(血糖上昇指数)は、白米よりも低くなります。ですので、白米を雑穀米に変えれば、食後の血糖値の急上昇防止につながりますので、白米のみよりも太りにくいと言うことはできると思います。


実際に私たちが食生活に取り入れてみて実感しているのは、摂取するご飯の量が少なくて満足度がある、ということです。さらにいろんな味がするので、白米のみよりもおいしいと感じます。


外出の機会が減って、カロリー減少機会にお困りの方、この機会に「雑穀生活」取り入れてみませんか?

“Enjoy Home”の時間を利用して、ご自宅にいる時間でいろいろと挑戦を試みる方もいらっしゃるかと思います。
今回は「鍋でご飯を炊いてみよう」と思っていらっしゃる方へ、お届けいたします。


私たちは自宅でも今では鍋でご飯を炊いています。
きっかけは「東日本大震災」。
節電が叫ばれていた時期であり、また「電気がない場合」の備えとして、という理由です。
ちょうど電気炊飯器が壊れたこともあって、脱“壊れてしまう電化製品”としても、鍋に踏み切りました。

そして、お店でも移転を機に「ご飯メニュー」を取り入れ、鍋でご飯を炊いています。
私たちが使用している鍋は「ル・クルーゼ」です。

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使わなくっても、飾っているだけでハッピー気分になる「ル・クルーゼ」。
色・カタチ・艶がもうなんとも♪


すぐれた熱伝導。ずっしりとした鋳物に、計算されたドーム型のフタ。
そして、独自のスチームコントロール機能。
素材の雑味は逃しながら、旨みと栄養をしっかり閉じこめるから、
美味しくて、からだに嬉しい料理が失敗なく作れます。
しかも毎日使っても、100年でも持ちこたえる丈夫さ。
ル・クルーゼは、鋳物ホーロー鍋のパイオニアであり、到達点。
世代を超えて受け継がれる鍋、それが、百年鍋と呼ばれる理由です。(ル・クルーゼのホームページより)


そして、野菜から出てくる旨みを含んだ水分を蒸発させずに、やんわりと素材に熱を加えることができるのです。
ご飯も、ツヤツヤ、ホカホカに炊き上がり、香りがとっても甘いのです。


ということで、今回は「ル・クルーゼを使ったご飯の炊き方」に特化してお伝え致します。

ル・クルーゼのサイズとお米の量の目安は以下のとおりです。
 φ16cm鍋:米1合
 φ18cm鍋:米1.5合
 φ20cm鍋:米2合
 φ22cm鍋:米3合

お米の下準備は電子ジャーと変わりません。水の分量比も同じです。
ル・クルーゼに米と分量の水を入れ、ふたをして中火にかけます。
沸騰したら弱火にして10~13分炊きます。

・・・と言っても、ふたが厚く重いル・クルーゼは沸騰しているかどうかわかりにくい。
ですので、蒸気が出てきたり、「そろそろかなぁ~」と思ったら、ちょっとふたを開けて確認します。
何度も炊いていると、だいたいの時間間隔がわかるようになってきます。

弱火で10~13分炊いたら、ふたを取らずに火からおろし、10分ほどおいて蒸らしてから、ふたを開け、空気を含ませるようにさっくりと混ぜます。
これが通常の炊き方です。


お店では、カレーと合わせたりするので、蒸らし工程にひと工夫しています。

弱火で10~13分炊いたら、ふたを取らずに火からおろし・・・までは同じです。
そこから5分ほどおいて蒸らしたらふたを開けて、空気を含ませるようにさっくりと混ぜ、ふたを開けた状態で3分おきます。

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こうすることで、少し水分が揮発するので、カレーなどと合わせるのに適したお米の状態になります。

電子ジャーと違って、炊いている間は目を離し過ぎることができません。
もちろん、予約タイマーや再加熱ということもできません。
でも、思ったよりも簡単で、時間としても炊き始めてから30分も掛かりません。

みなさんもぜひ、お鍋ご飯を愉しんでみてください♪ 

“Enjoy Home”の時間を利用して、ご自宅にいる時間でいろいろと挑戦を試みる方もいらっしゃるかと思います。
「ハンドドリップコーヒーをやってみよう」という方のための3回講座。
一回目は「ドリッパー選び
2回目は「器具とカップを温める」でした。
今回のお伝えするのは・・・

と、本題に入る前に・・・。

淀川長治

また、お会いしましたね。淀川長治です。
今日紹介する映画は「男はつらいよ 寅次郎夢枕」。
ご存じ「男はつらいよ」のシリーズ第十作ですねぇ。
今回の映画でマドンナを務めるのは八千草薫さん。
この映画はシリーズで初めて恋敵が登場して、挙句には寅さん、マドンナからプロポーズされるんですねぇ。
寅さんにプロポーズする時の八千草さんの仕草・・・もう素敵ですね。愛らしいですね。
それでは、のちほどまたお会いしましょう。


さて、この映画の中で八千草薫さんが亀戸公園の橋の欄干で恥ずかしがる仕草、まさに「“の”の字を書く」とはこれか!という仕草です。

男はつらいよ

前振りが長くなりました。
そうです。
ペーパードリップ」をおいしく淹れる、3回目のお話は「お湯を注ぐ」です。
よく「小さな“の”字を描くように」と言われるアレです。

それではご紹介してまいります。
器具を温めた後からの工程の説明となります。

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写真は1杯のコーヒーを淹れる時の様子です(器具温め前)。
なのになぜかカップが2つありますね。
これはのちほど、ご説明いたします。


まずは、ドリッパーにペーパーフィルターをセットします。
底と側面を折ったペーパーフィルターをドリッパーに軽く抑えつけるようにしてセットします。
あらかじめ湯通ししているので、張り付くようにセットできます。ペーパーフィルターとドリッパーは必ず形やサイズの合うものを使い、隙間なくセットします。

次に、ペーパーフィルターにコーヒー粉を入れます
粉を入れたら、ドリッパーを軽く振り、粉の表面を平らに均します。
こうすることで、全体にムラなくお湯を注ぐことができます。
※入れるコーヒー粉の量の目安は下に記します。 

さていよいよ、ドリッパーにお湯を注ぎますが、最初はコーヒー粉を蒸らします。 
この“蒸らし”はおいしいコーヒーを淹れるために必ずやっておきたい工程です。
以前の記事で紅茶の“ゴールデンドロップ”についてご紹介したことがありますが、紅茶やハーブティーなどの浸し出すティー系は“最後の一滴”がゴールデンドロップであるのに対して、コーヒーは“最初の1滴”がゴールデンドロップになります。
ですので、本抽出前にコーヒー粉からお湯にコーヒーのエキスが出やすい状態を作っておくのはとても大切なのです。

“蒸らし”ではコーヒー粉の上に、粉全体に均一にお湯を含ませるように、少量のお湯をそっと乗せるように注ぎます。注ぐお湯の量は20ccほどです。その状態で20秒ほど待つ・・・と一般的に言われますが、お湯が染み込んだコーヒー粉の表面に小さな穴がポツポツ見えたら“蒸らし”は十分に行えた証拠です。

この工程で気をつけたいことは2つ
ひとつは、サーバーにお湯がいっぱい落ないことです。
ポタポタとお湯が数滴落ちてる程度、究極の理想はお湯がまったくおちないことです。
もうひとつは、ドリッパーにお湯を当てないこと。
この理由は、抽出のところで詳しく触れます。

さぁいよいよ、お湯を注いでコーヒーを抽出します。 

ここでクイズです。
コーヒー粉にお湯を注いだら、お湯はコーヒー粉の中でどのように広がると思いますか?






正解は、次のようになります。

1回目ドリップ 
注がれた地点からほぼ半球状に広がります。
ですので、コーヒー粉から効率よく抽出するためには、ドリッパーの中心とドリッパーの縁の真ん中を中心とし、半径がちょうどドリッパーの中心と縁に接するようなお湯の量を注ぐといいことがわかります。 
またコーヒーはお湯を注いだ直後が一番濃く抽出されます。そしてその濃さはコーヒー粉がお湯に浸っている時間が長ければ長いほど濃くなります。

以上のことを意識してお湯を注ぐと、お湯はできるだけ細く(少なく)維持しつつ、最初はコーヒー粉の中心に注ぎ、ドリッパーの中でお湯の量が増えて上に上がってくることでドリッパーの中心と縁との中間位置が段々外に広がっていくに従って、お湯の注ぐ位置も外側にズレていきます。
そうすると、あたかも小さな「の」の字を描くように、お湯の軌跡が描かれます。

この時、氣をつけて欲しいのは、ドリッパーに直接お湯がかからないようにするということです。
コーヒーはお湯をコーヒー粉を通してサーバーに落とすことで抽出しています。ドリッパーに直接お湯が当たるということは、コーヒー粉を通らずにドリッパーに沿ってただのお湯がサーバーに落ちることになります。これはサーバーに落ちたコーヒーをお湯で薄めているのと変わりません。
これは“蒸らし”のときも同じことが言えます

ドリッパーの上から1/4または1/3の位置までお湯が上がってきたら、一度お湯を注ぐのを止めます。
できるだけお湯を細く(少なく)注ぐので、1杯分のコーヒーが抽出されるまでには何度かお湯を注ぐことが必要です。
では、2度目にお湯を注ぐときに移ります。

コーヒーを淹れたところ
お湯の位置が段々と下がっていくと、コーヒー粉の壁ができています。
2度目以降、お湯を注ぐときは、ドリッパーの中心位置とこのコーヒー粉の壁との中間にお湯を注いでいきます。

2回目ドリップ
2度目以降の抽出では、コーヒー粉でできた壁もフィルターの役割を果たします
コーヒー粉の壁はコーヒーのアク、つまり雑味のもととなる成分がサーバーに落ちるのを防いでくれます。
お湯が下まで下がりきってから2度目のお湯を注ぐと、せっかくできたコーヒー粉の壁を壊してしまうことになります。ですので、まだお湯が下がりきらない状態で再び注ぎます。そして、コーヒー粉の壁の高さを超えないところで止めます。この動作をサーバーに落ちたコーヒーが淹れたい量の目盛に到達するまで繰り返します。

目盛に到達した時にドリッパー内にまだお湯が残っている時は、ドリッパーをお湯ごと外します。
この受け皿として、近くに空のカップを私は置いています。


コーヒーはお湯を中心で小さく「の」の字を描くように注ぐ、の意味が分かりましたでしょうか?


それではみなさん、おいしいコーヒー、飲んでくださいね
そしてお店でもまたお会いしましょう
さよなら、さよなら、さよなら 

淀川長治



【余談】
カップ一杯分(約150cc)あたり、10~12gが適量です。
使うコーヒーの種類や焙煎度はご自分のお好みでよいですが、豆から挽く場合は「中細挽き」がオススメです。お店で頼むときは「ペーパードリップ用」とオーダーしても大丈夫です。
 
コーヒー使用量のめやすは以下のとおりです。
1杯分:10~12g
2杯分:20g前後
3杯分:25~30g前後
4杯分:35~40g前後


【余談2】
以前の記事「“酸っぱい”コーヒー」 でもご紹介しましたように、コーヒーは脂肪酸を含んでいるという特徴があります。ですので、ドリップした直後に、ドリッパーとサーバーをお湯でサッと洗い流すことで、器具への脂肪の付着とそれによる酸化を防ぐことができます。そして1日の終わりに食器洗い洗剤で洗い流すとより香り高く味わい深いコーヒー生活が味わえます。
(コーヒーを淹れたドリッパーとサーバーは、お肉を焼いたフライパンと同じと思ってください。) 

“Enjoy Home”の時間を利用して、ご自宅にいる時間でいろいろと挑戦を試みる方もいらっしゃるかと思います。
「ハンドドリップコーヒーをやってみよう」という方のための3回講座。
初回の前回は「ドリッパー選び」でした。
今回のお伝えするのは・・・

その前に少し雑談を。
(イメージは私が大好きな講談師、神田 伯山風に致しとうございます。)

神田伯山

日本の歴史でその名を知らぬ者はいないと思われる有名武将「豊臣秀吉」。
立身出世の代名詞としても名高い武将であります。
その秀吉がまだ木下藤吉郎という、信長の草履取りの時代のお話でございます。

ある雪の夜のこと。
主君信長が女部屋からの帰りに下駄を履くと、温かくなっておりました。
信長は怒り、藤吉郎に向かって
「おまえは腰掛けていたな、不届者め」
と藤吉郎を杖で打ちましたが、藤吉郎は頑として
「腰掛けてはおりません」
と言い張ります。
信長が
「温かくなっていたのが何よりの証拠だ」
と言い放ちますと、藤吉郎は
「寒夜なので、御足が冷えていらっしゃるだろうと思い、背中に入れて温めておりました」
と答えます。
しかし、信長がその言葉を信じず、
「その証拠は何だ」
と尋ねます。
藤吉郎が衣服を脱ぎましたところ、背中に下駄の鼻緒の跡がくっきりとついていおりました。
さすがの信長もこれには感心。すぐさま藤吉郎を草履取りの頭としたのだそうでございます。

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秀吉が信長に気に入られる理由はいろいろ語られておりますが、これも有名な逸話のひとつ。
“懐”とする説が広く支持されていますが、「名将言行録」では「背に入れて温めた」となっています。 


ペーパードリップ」をおいしく淹れる、2回目のお話は「器具を温める」です。
温め方は、ドリッパーとサーバー、そしてコーヒーを注ぐカップを用意し、コーヒーを抽出するのと同じように、お湯をドリッパーに注ぎ、サーバーに溜まったお湯をカップに注ぎます。

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どんなお湯が理想的かは以前紹介しました記事(おいしい水)をご参照ください。
注ぐときは、一度沸騰したお湯の入ったポット(ケトル、やかん)を手に持って、沸騰の振動がいったん静まった状態で注ぎます。
この状態で、ポットの中のお湯の温度は95℃くらいになっています。
そのお湯を、ドリッパー、サーバーを通して、カップに注ぐと、カップに注がれた湯温は60℃くらいになります。

このコーヒー抽出の前動作は、器具およびカップを清浄にする効果はもちろんですが、「温める」という効果がとても大切だから行います。 

人が「快い」と感じるドリンクの温度は、体温±25℃です。
ホットドリンクなら62~70℃、アイスドリンクなら5~12℃となります。
ですので、コーヒーがカップに注がれた時点で温度が60℃以下にならないように、あらかじめ、器具およびカップを温めておきます。


さらに味には大きく分けて4種類の原味(塩味・甘み・酸味・苦み)がありますが、その味は、温度によって感じ方が変わります

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溶けたアイスクリームを食べると、ものすごく甘く感じた、という経験をお持ちではないですか?
甘みは、体温に近い温度の時にもっとも強く感じ、体温から離れるにしたがって感じ方は弱くなるという性質を持っています。

酸味は、温度によって変化を受けにくい味覚です。ただ、他の要素が強くなったり弱くなったりすることで感じ方が変わることがあります。

苦み塩味は、温度が高いほどマイルドに感じ、低くなるにつれて強く感じるという性質を持っています。

コーヒーの味の決め手は「酸味」と「苦味」です。
コーヒーの温度が65~70℃くらいの時、苦味はマイルドに感じ、甘みは控えめになります。そして対比効果で酸味が旨みとして感じられます。

器具とカップを温めておくことで、抽出するコーヒーの温度を60℃よりも高い状態に保つことができることで、淹れたコーヒーの味を美味しく感じるようにすることができるのです。

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