2010年09月20日

コホモロジー

コホモロジーというと何を連想しますか?

私の場合は、ド・ラムの定理 です。


安藤哲哉編 コホモロジー 日本評論社


を読んで膨らみかけたイメージは、まだ曖昧模糊としていて、「雲を手につかんだ!」と叫んでいるおばかな男のようなもやもや感にさいなまれていました。

そんなとき以下の記述を読んでなぜか理解が一気に加速しました。


岩波数学辞典 第4版 [ホモロジー論]の項目


ここに書かれていた、ド・ラムの定理の証明のイメージが自分の中に入ってきました。そうすると、ド・ラムの定理のイメージが自分の中にできあがりました。
これを境に、自分とコホモロジーの間の(心理的)距離が一気に無くなり、急に身近に見えてきたのでした。


そうすると不思議なもので、以前は論理的にはわかるけど心から納得はしてなかった導来関手、スペクトル系列が少し自分のものになってきたかなという状態です。


今は、上記本の136ページにある

エタールコホモロジー<−>ベッチコホモロジー
クリスタルコホモロジー<−>ド・ラムコホモロジー

という類似って本当なのか?を夢想中です。  

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2010年09月06日

ポアンカレ予想

3年ほど前、ペレルマンの証明が知りたくて少し勉強を始めました。

トポロジー、特に高次元ポアンカレ予想については、以下の本が勉強の導入部としてお勧めです。

松本幸夫 4次元のトポロジー[増補版] 日本評論社

数学セミナーリーディング増刊 フィールズ賞物語 スメール


3次元ポアンカレ予想やペレルマン自体の証明の概要を知りたいときに、個人的に参考になったと思うのは次の本です。


G.スピーロ ポアンカレ予想 世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者 早川書房


数学セミナー増刊 解決!ポアンカレ予想

戸田正人 3次元トポロジーの新展開 リッチフローとポアンカレ予想 サイエンス社


でも、これだけでは、3次元(位相|微分可能|PL)多様体自体の知識とイメージを構築するには情報が乏しすぎるので各自で補う必要があります。たとえば、キーワードをいくつか並べると

球面多様体、既約多様体、連結和、JSJ分解、ザイフェルト多様体、ハーケン多様体、双曲多様体、グラフ多様体

など。これらの勉強は2010年8月現在日本語ではこれと言った本が出ていない以上、地道に進めるしかないですね。


補足:ポアンカレ予想自体の解説については、ウィキぺディアもそれなりに解りやすくなっています。   
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2010年09月01日

モース理論

最近、モース理論を再勉強している。

論理を追うのは苦ではないけど、ハンドル体の操作を自分の中でイメージ構築するのにまだ時間がかかっている。
1人乗り浮き輪を立てて、CTスキャン(MRI?)のように下から上に向かって、横方向に”輪切り”で構築していくイメージから少し進んだだけ。

今、読んでいるのは、

松本幸夫 モース理論の基礎 岩波書店


再勉強の理由は、
・ポアンカレ予想の証明をフォローしたい
・モース理論ミニマム(といったもの)を取り出してみたい
と言ったもの。

ここで、ポアンカレ予想について復習。
ポアンカレが1904年に提出したとされ、後の人によって拡張されたトポロジーの分野における超難問の予想だった。

各自然数n≧3に対して、n次元ポアンカレ予想があり、2010年現在ではすべて肯定的に解決され、各種解説本や解説記事はもちろんのこと、一般向けの解説のテレビ番組も(数度再)放送されている。3次元ポアンカレ予想とペレルマンの逸話については、つい最近もニュースになって取り上げられたばかり。

5次元以上、4次元については、h同境定理で証明できるとあるが、5次元以上の場合には、スメールが最初に発見した方法のほうがわかり易い。
3次元については、ペレルマンの証明の解説本を以前何回も時間をかけて読んだ記憶があり、リッチフローを使った大まかな方針とポイントとなる結果が解った段階で証明のフォローを止めた。
(スメール、フリードマン、サーストン、ハミルトン、ペレルマンにフォーカスして、トポロジーの結果を追うと、ポアンカレ予想を含めた一連の歴史と結果の概要がわかってくると思う。トム、ミルナー、ドナルドソンが何をしたかについても結果だけだが知っておくとなおよい)

ここで、モース理論に関する思い出を少し。


数年前に、無限次元モース理論(のさわり)を理解しようとして歯が立たずに挫折したのだが、最近、ふとしたきっかけで無限次元モース理論のイメージが稚拙ながら自分の中に構築できたのでふと関連する本を読んでみるとそのとき解らなかった箇所を超えて最後まで読み通すことができるようになった。その本とは、


深谷賢治 ゲージ理論とトポロジー シュプリンガー・ジャパン


おかげで、ゲージ理論・指数定理も再復習できてよかった。  
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2009年09月08日

モジュライ

モジュライは、現在でも論文ネタとなりそうな対象がごろごろころがっていると思うのですこし時間をかけて解説記事を探そうと思う。

次の本は、2回ほど読んだけどなぜかあまり心(と頭)に響いてこなかった。まだ基礎知識が不足しているのだろう。

モジュライ理論〈1〉
モジュライ理論〈1〉
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モジュライ理論〈2〉
モジュライ理論〈2〉
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モジュライというと、中村郁の解説記事はなかなかの出来だと思うので探してみよう。あとは、もう一度次の本を読んでみよう。

デカルトの精神と代数幾何
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どなたか、粗モジュライと精密モジュライを(圏論をわかっていない人向けに)わかりやすく具体例とともに説明してもらえませんか?  
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2009年09月03日

複素幾何

代数幾何学を少しつっこんでやろうとするとき、必要になったのが微分幾何とくに複素多様体の知識でした。(リーマン面の知識は除く)

コホモロジー、(連接)層、リーマン・ロッホ型定理、GAGA原理のときなどは言うに及ばず、

K3曲面、複素ユニタリ多様体、原始複素シンプレクティック多様体

などなど毎日が理解不可能な概念の連続。1か月ぐらいたっても少しも前進の兆しがまったくと言っていいほど見られず、ブルーな毎日でした。

そこで複素多様体の入門書を探したところ、私の場合は以下のような本がよかったです。

複素幾何
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確かに、(調和積分論+)コンパクト・ケーラー多様体の知識は初期の複素曲面をはじめ複素多様体でまとまった理論として1960年代にはほぼ完成した(と言ってもいい)理論で、”複素代数幾何学”(の解析的理論)としてはほぼ定番の内容です。

21世紀の現在では、20世紀前半における閉リーマン面のような位置づけにあると思われます。
この本を読んで半年ぐらいたってから、再度、代数幾何学の本を読み返すと不思議に理解できていったように思います。


補足:ちなみにこの時、微分可能多様体の復習からはじめました。ホッジ理論の前に、ド・ラームの定理を知ろうとしたら私の場合は、微分形式の基礎理論と(n次元)ストークスの公式の証明が、すんなりとイメージできなかったのです。ストークスの公式の証明のポイントすらすぐに思い浮かびませんでした。
さすがにこれじゃ代数幾何の勉強以前だろうと、しばらくは、アトラス、微分形式とその外微分・積分とにらめっこの日々が続きました。接続、ファイバーバンドル、特性類およびリーマン多様体(の初歩)ぐらいまでを(復習を含めて)やってから代数幾何に戻ったように記憶しています。

最初は、ベクトル場の復習から始めました。ベクトル場の多様な意味を知ったのもこの頃です。あの、”1の分解”(の証明)もやりました。さすがに、位相多様体(位相空間)からは復習はしなかったですが。  
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2009年09月02日

双有理幾何学

2次元代数多様体としてどのようなものがあるかというのは、閉リーマン面の分類理論が出来たのち、自然と湧き起こってくる問題でしょう。

2つの(代数・複素解析)曲面が、”同じ”というのをどう定義するかという根本的問題はここでは触れないことにして、(代数・複素解析)曲面から計算可能な量が定義でき、それによって分類できることを受け入れるものとします。

それの歴史的発展の流れは、各種解説記事など見ていただくことにして、いわゆる小平不変量(−∞、0、1、2の4つのクラス分け)などによる”粗い意味での”分類理論が出来上がったものとして認知されています。

(1)標数0の場合の完備非特異代数曲面の全体
(2)コンパクト複素解析曲面の全体
(3)正標数の完備非特異代数曲面の全体

ただ、不変量による分類は出来たけど、個々の曲面については、その実態は把握しきれていないものもあります。

たとえば、一般型曲面(=小平次元が2の代数曲面)なんてまさしく、その他大勢の代数曲面というイメージでしかありません(もちろん、別の[不変]量を導入して詳細な結論を導き出すことは出来ますが)。


(1)の分類が最初に出来ましたが、厳密性が二の次になったというのは有名な歴史的事実があります。

(2)については、日本人数学者 小平邦彦の偉大なる業績として語り継がれています。(2)の観点から見ないと、(1)は理解不十分となってしまいます。

(3)は(1)のアナロジーで追求できる部分もありますが、標数0でしか成立しない事実が利用できないため、意外と議論が面倒です(ほかに、標数が2、3のときは場合分けが必要なパターンがいくつかある)。


個々の特徴的曲面(線織面、楕円曲面、K3曲面、アーベル曲面など)に関してイメージが出来てくるのと同時に、このような大まかな分類の仕組みが解ってくると、代数幾何学の初歩を切り抜けるのはあと一歩、ということでしょうか。

では、3次元以上はどうなっているかは、20世紀後半に日本人数学者などによって明らかにされていきました。飯高プログラム、森理論という呼び方で呼ばれることもあります。

その物語は別にして、その分類理論は、双有理幾何学という名前の書籍にまとめられています。

双有理幾何学
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2009年08月31日

消滅定理

代数幾何、複素多様体をやると必ずと言っていいほど出くわす事実。

(1)リーマン・ロッホの定理
(2)セールの双対定理
(3)小平消滅定理

このうち、消滅定理は、数式にすると簡単なのですが、表面理解で留まり、なかなか本質イメージがつかみにくいものでした。

そこで解説記事をさがしたところでは、個人的お勧めは次のものです。


日本評論社 数学の楽しみ No.10 現代数学の土壌 消滅定理 (129−139ページ)


これを何度か繰り返し読み、いくつかの本における証明を読み返すと、何とか理解できました。

もし、これら3種の神器がなかなかイメージできないときには、上記記事をはじめいろいろな解説記事を探してみるのも一つのやり方です。
ここまで来ると、代数幾何の初歩卒業まであと一歩です。  
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2009年08月29日

指数定理

リーマン・ロッホの定理の意味するところと証明のからくりがわかってくるとその延長線上に見えてくるのが、指数定理です。

というわけで、私の場合も読んで見ました。


ディラック作用素の指数定理
ディラック作用素の指数定理
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指数定理
指数定理
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境界つき多様体のディラック作用素―Atiyah‐Patodi‐Singerの指数定理
境界つき多様体のディラック作用素―Atiyah‐Patodi‐Singerの指数定理
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読み始めるも、序章以降はほとんど歯がちませんでした。

ファイバーバンドル(ベクトルバンドル)、特性類なんぞを再度勉強し直し、時間をおいて(半年以上経過した後)再度読むと不思議と、序章以降も理解できていきました。

理解のためには直接じたばたも必要ですが、何もしない時間(期間)も必要のようです。  
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2008年06月15日

幾何化予想

サーストンが、3次元トポロジー研究の流れを大きく変えたといわれる幾何化予想。

論理的包含関係でいうと

3次元ポアンカレ予想 ⊆ 幾何化予想

というのがわかってくる。じゃ、幾何化予想ってなんなのだろうといわれると一言でいうのは難しい。

でも最近これじゃないか、というのがありました。それは、

(向き付け可能な)3次元多様体のトポロジーにおいては、”基本群”によって大きく分類できる。
そのうち、3次元ポアンカレ予想とは、”基本群”が自明となる場合の予想だった。


というものです(正確ではない、外しているかもしれませんが)。

局所等質構造が8つに分類できるというのがサーストンの幾何化予想ではないのか、という突っ込みは当然ですが、もっと集約してしまうと、

極大トーラス分解のアトロイダル成分は基本群が有限群でなければ双曲多様体で幾何化できる。基本群が有限群ならば3次元球面で幾何化できる。

という簡単な形にまとめられるのではないかと。


既約と素多様体、連結和分解、トーラス分解、アトロイダル、ハーケン多様体、ザイフェルト多様体、双曲多様体、グラフ多様体などなど、3次元ポアンカレ予想と幾何化予想を勉強する中でいろんなキーワードに出くわし、めまいがしますが、初学者にわかりやすくもっと大胆な言い換えをしてほしいと思ったのでした。


JSJ分解 のJSJって、ヤコ・シャーレン・ヨハンソンの略だったのか。

塩屋・山口の3次元の場合の結果とペレルマンの証明の関係などなど、もっといろんな概念・結果の関係を理解していくなかで、3次元ポアンカレ予想の証明が理解できていくのだと改めて感じた。  
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2008年06月12日

ポアンカレ予想

昨年から気になっていたポアンカレ予想(の証明)ですが、少しずつではありますが様子が見えてきました。

「n次元ポアンカレ予想」(n≧3)自体は既知として、証明が発表されたのは

(1)5次元以上 1961年ごろ S.Smale
(2)4次元   1982年ごろ H.Freedman
(3)3次元   2003年ごろ G.Perelman
   (証明の確認が完了したのは2006年)

となっています。(1)、(2)は発表と確認の時間差がほとんどないのですが、(3)は発表内容自体が概略のため、専門家でも正しいと認識できるまでに3年ほどかかりました。

(1)、(2)は、各次元でもいわゆる”H-同境定理”の成立することの延長線上で解決を見たのですが、(3)だけは、サーストンの”幾何化予想”がひとつのブレークスルーとなって、1980年代に発見された道具である”リッチフロー”というリーマン幾何とそれに伴うある非線形偏微分方程式の解析(と評価)によって、20世紀数学の集大成としての結果として、21世紀になって大輪として花開いた感があります。

(3)は、プレミアム7大問題としても有名で、ついに、未解決問題は残り6個となってしまいました。


確認されたのが2006年というのもあり、岩波数学辞典 第4版を読んでみても、(1)、(2)の様子はある程度わかるのですが、(3)の途中までの状況が未整理のようでいまいちわかりません。そんな中でも、


サーストンをはじめとする著名なトポロジーの歴史とポイントとなる概念や証明の概要を知るには、

現代幾何学の流れ


が、また、ポアンカレ、サーストン、ハミルトン、ペレルマンが何をやり遂げたかということおよびその証明を確認する3年間の流れと、その後の状況については、

ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者


が個人的にはお薦めです。この本には、日本人数学者のことも書かれていて、思わず何度も見入ってしまいました。解決・確認に貢献した日本人数学者の姓として、塩谷、山口があがっていたのも、個人的にはうれしかった。
国籍関係なく、きちんと仕事をしている人を列挙する精神がこの本には見えます。

そういえば、ポアンカレ予想を解決できなかった(=1度は間違った証明を発表し、その後正しい証明を発表できないまま一生を終えた)数学者の名前として、古関さんの名前も出ていましたね。杉村さんか誰かが教えたのかな?これをはじめとして、かなりの数の数学者に原稿を見てもらい、その助言を反映したかがわかります。


3次元ポアンカレ予想は(想定以上に)超難問だったということ、日本人をはじめ多数の数学者の貢献と業績の積み重ねによって解決されたというのを一番知っていたのがペレルマンだったのもあって、ペレルマンはフィールズ賞受賞を辞退したのではないのだろうか、と考えてしまいました。


ただし、ペレルマンの証明自体を知るにはもっと他の本(や記事)がいいと思っています。
誰が見ても、”幾何化予想”と”リッチフロー”というキーポイントを中心に解説すればいいというのはあるため、数学セミナーをはじめ、解説記事が何本か出ていますけど、これからももっとよい本や記事が出てくるでしょう。

素人としての個人的な意見ですが、3次元ポアンカレ予想の解決を解説するにあたっては、サーストン、ハミルトン、ペレルマンの3人に焦点を絞った解説がいいのではないか、と思います。この3人以外の貢献は認めますし、3人以外の仕事で見逃せないものがあることもわかります。

が、サーストンの幾何化予想どんなものであり、それがどのような修正を受け、どのような概念や手法を使って証明されたのか、ハミルトンが解決にどこまで肉薄していたのか、ぺレルマンの3度にわたる論文(概要)のアップロードの意味は、なぜ証明の検証に3年かかったのか、リッチフローおよびその他の微分幾何学の発展、などなど。
どなたか、(私にでも理解でいるように)詳しく解説していただけませんか?


後者の本では、比喩を用いるという、広範な読者に内容を伝えようという努力は認めますし、成功しているところもあると思うのです。が、肝心の定理や証明の主張の正確な記述も必要ではないかと思うのは私だけではないはず。  
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