2004年07月09日

大学院入試問題に挑戦

予定を変更して、今日は問題をやってもらいます。


京都大学大学院理学研究科(数学・数理解析専攻)の平成15年度大学院入試問題からです。


「実数列{a(n)} が
  lim(n^2(a(n+1)-a(n)))=1 (n->∞)
を満たすとき、{a(n)} は収束することを示せ.」


この解答は、深夜にでもします。

ヒントは、{a(n)} があの単調数列の収束条件を満たすことを示せばいいはずです。
(もちろん、このヒントをあてにせず、自分で考えてもいいです)

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2004年07月08日

実数の基本

以前ちらっと触れたのですが今日は少し詳しく。

今回の記事は、数セミの以下の記事を元に私流に組み立てました。

1980年8月号 ”実数の基本定理”

実数といえば、微積分のみならず解析学全般の基本事項。
今日は普段省みないことを簡単におさらいしてみます。


有理数(m/n:既約分数)を既知とすれば、それから実数は以下の性質を持つものとして一意に定まります。

(1)代数構造
   加減乗除(0でわることを除く)ができるいわゆる可換体の構造を持っています。

(2)順序構造
   全順序関係<を有し、かつ不等式の両辺に正の数をかけても不等号の向きは変わらないなど、代数構造との関連性もあります。

(3)位相構造
   これはいわゆる”実数の連続性”のことです。

(1)、(2)の性質は有理数も持っていますが、(3)は実数のみ持っている性質です。

以下では、(1)、(2)は省略して(3)の解説を少し。

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2004年07月07日

さっそく古典的問題

さっそく微積分というか極限の古典的問題をやってみます。

ただし、以下の定理は認めるものとします。

定理(単調数列の収束)
{a(n)} が単調増加でかつ上に有界ならば収束する。(極限値が存在する)
({a(n)}が単調減少でかつ下に有界ならば収束する。(極限値が存在する))

ここで、

数列{a(n)}が単調増加とは、a(i)≦a(i+1) (i≧1)であることを言う。

数列{a(n)}が単調減少とは、a(i)≧a(i+1) (i≧1)であることを言う。

数列{a(n)}が上に有界とは、ある数Mがあってa(n)≦M (n≧1)であることを言う。

数列{a(n)}が下に有界とは、ある数Mがあってa(n)≧M (n≧1)であることを言う。

(問題)
「2つの正の数a , b を取り、数列{a(n)},{b(n)}を帰納的に次のように定義する。

a(1)=a , b(1)=b
a(n+1)=(a(n)+b(n))/2, b(n+1)=(a(n)b(n))^(1/2)

このとき、数列{a(n)},{b(n)}は共通の極限値に収束することを証明せよ。」



解答は夕方ごろに更新します。

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2004年07月06日

微積分のサイト

微積分を扱った日本語のサイトはあるようでないです(一部の分野だけだったらありますが)。

不等式や実数、極限、連続、微分・積分を扱っているサイトとして次のものを見つけました。

微分積分いい気分

微積分の基本事項を扱うのは、労力および時間がかかるわりには難しいと思うのです。見せ方や検索のし易さも考えると。

このブログで扱う内容を若干変更して、応用例中心にしようかと考えています(最初は基本事項を中心に考えていたのですが、それだけ触れるのに時間と労力がかかりすぎ、かつ面白いところに行くまでに時間がかかるので......)

例えていうなら、立ち振る舞いなどの作法は厳しいが、肝心のお茶やお菓子はおあずけのままの茶道のようになるのは自分の本意ではないので。
たまにも、お茶やお菓子も飲み食いしたいので(苦笑)。  続きを読む
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はさみうちの原理

今日は、はさみうちの原理を詳しく。

{a(n)},{b(n)},{c(n)}を3つの実数列とし、各n≧1に対して、

 a(n)≦b(n)≦c(n)

が成り立つものとします。

”もし、この3つの数列がすべて収束し、その極限値をそれぞれ A,B,C とおくと A≦B≦C が成り立ちます。

さらに、A=C ならば、当然 A=B=C ですべての極限値は一致します。”

この主張を「はさみうちの原理」と言います。  続きを読む
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2004年07月05日

微積分開始

今日から微積分を始めます。

と言ってもいきなりやると筋肉痛や骨折をするばかりか、嫌いになったりするので、今週はその前準備です(何のこっちゃ)。

今日はとりあえず「数学的帰納法」の復習から。

(標準形)
「正の整数 n(≧k)に対する命題P(n)があって
 (1) P(k) が成り立つ
 (2) P(n) が成り立つと仮定するとP(n+1)が成り立つ
 ならば、すべてのn≧kに対してP(n)が成り立つ」

あとは具体的な練習問題をいくつか自分でやってみてください(問題は自分で探して!)。
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