財産開示手続をご存じでしょうか?

昨年4月1日に、民法改正と同時に民事執行法も改正をされ、その中で財産開示手続も見直しをされました。

この見直しは、金融事故を引き起こした後も、頑張って人生を立て直そうとする債務者にとって、大きな悪影響を与えそうなのです。

財産開示手続の見直しが効果的であり過ぎて、対応が極めて難しくなってしまい、債権者の強制執行(差押)が、容易に、効果的に、なってしまう可能性が高いように思われます。



財産開示手続とは、債権回収の最後の手段である強制執行についての、準備をするための制度になります。

日本においては、裁判に勝って債務名義を得ても、強制執行をする債務者の財産・資産は、債権者が自らその所在を調べなければなりません。

しかし、多くの債務者が、資産を隠匿したり不開示することで、債権者が財産・資産を把握するのは簡単ではありません。

せっかく、債務名義を持っていても、強制執行によりその効力が発揮できないというのが大きな問題となっていました。

そこで、この様な問題を解決すべく、裁判上の手続きにおいて、債務者に自らの財産・資産の状況を開示させるための制度が財産開示手続になります。



民法改正前後にも、このテーマに簡単に触れました。

しかし、その時は、脅威に感じながらも、具体的な動きが判らなかったので、注意喚起程度で終わらせていたのです。

そして、昨年4月1日の民法改正から10ヶ月程が経過し、おおよその全体像が具体的に確認できるようになってきましたので、再度、この重要なテーマについて掘り下げてみたいと思います。


平成15年に、財産開示手続が制度化されました。

当初こそ、その内容に不安になりましたが、過料で30万円というペナルティーにより、ほぼ、効果的な活用がなされていないのが現実だといえるでしょう。

それが、昨年4月1日に、民事執行法の改正に伴い、財産開示手続も大きく見直しされ、なんと罰金50万円以下もしくは懲役6か月以下と、ペナルティーが極端に強化されたわけです。

以前は、過料されるかも分からない30万円を用意して、財産開示手続をやり過ごそうという債務者が多かったのですが、このペナルティーの内容では難しくなりました。

『無い袖は振れない』を前提に、金融事故後の人生を確保しようと考えていた債務者も、この内容では、根本的に見直す必要があるのかもしれません。

多くの金融事故後の債務者が、この改正された財産開示手続の影響の大きさを実感されていないでしょうから、具体的に検証し、対策を考えてみたいと思います。



まず、金融事故を引き起こした債務者の多くは、既に、無い袖は振れない状況になっているということです。

たしかに、何らかの形で財産・資産を保持されているかもしれませんが、その存在の具体性を債権者は知りません。

債権回収をしようとしても、その対象となる債務者の財産・資産が、債権者の眼には映りませんから、対象とすべき価値ある資産はほとんど残っていないというのが現実なのです。

この現実を前提に、最初のポイントとして、強化された罰則の実施について考えてみます。

手続の場に不出頭(欠席)だったり、虚偽の情報を開示したり不開示だった場合、本当に厳しいペナルティーが科せられるのかということです。

今までは、行政罰の30万円以下の過料であったものが、罰金50万円以下もしくは懲役6か月以下という刑事罰に強化されたのですから、その効果は大きなものだと思われます。

しかし、刑事罰ということは、告訴によりますから、いったい誰が告訴するかという問題が発生します。

当然、不出頭であれば、その事実は明白ですから、債権者などが告訴をするのは容易でしょうが、裁判所は改正前においても30万円の過料を科すことに前向きではなかったようです。

そして、債務者は、財産開示手続において、現状の財産・資産について、その正確な事実を堂々と開示すればいいのです。

本当に、現実点では、無い袖は振れない状況なのですから、開示することに何の問題もありません。

さらに、虚偽の情報を開示したり不開示だった場合といいますが、誰が根拠をもって告訴できるのでしょうか。

虚偽や不開示を証明するということは、正しい状況を知っているという前提になりますから、それならば既に強制執行をしているだろうということなのです。

したがって、現実的に告訴するというのは簡単ではないということになります。

また、懲役についても、再犯でもない限りなかなか対象にはならないようですから、堂々と開示することに躊躇する必要はないでしょう。


次のポイントは、過去の資産も、財産開示手続の対象になるのかということです。

破産などの手続きの場合、過去の2年程の資産についても管財人にチェックをされます。

同じ様に、財産開示手続においても、過去の資産までも追及されるのであれば、保全した資産についても知られることになり、無い袖は振れない状況ではなくなってしまう恐れがあります。

ということは、資産を予防的に保全する手続きを、根本的に見直さなければならなくなるのですが、この点については、財産以下時手続きを申し立てられた段階での財産・資産が対象であり、幸いなことに過去の資産は対象にならないようです。

債権者側の弁護士が、売掛金などの経緯を追求しようとしても、過去分については、追及が難しいというのが現実の様です。


次のポイントは、誰が申立をしてくるのかということになります。

改正前は、確定判決のある債権者や一般先取特権者に限られていました。

しかし、改正により、仮執行宣言付き判決や公正証書,支払督促によっても債務名義があれば、申立てができる様になりました。

したがって、申し立てをされる可能性が、随分と広がったということになります。



以上が、今回の改正についての大きなポイントとなります。

将来のために、温存している財産や資産が、丸裸にされそうですが、今回の改正はそんな生易しいものではありませんでした。

債務者は、自ら、資産などについて全ての真実を開示するとは考えにくいのが現実でしょう。

この現実について、債権者がしっかり対応できるように、新たな手続きが用意されました。

一定の手続きにより、債務者の主だった財産・資産が何処にあるのか調べられるようになったのです。

それが、『第3者からの情報取得手続き』になりますので、次回、具体的にご紹介したいと思います。




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