金融事故をおこした経営者は、債権者からの債権回収に怯えます。

手元に残した資産が、全て債権者に知られてしまい、強制執行されてしまうのではと不安になってしまいます。

そんな時、私は、『大丈夫ですよ、誰が、どうやって、貴方の資産の存在を知ることが出来るのですか・・・』とお話をして、安心をしてもらっていました。

ところが、昨年の民事執行法の改正により、第3者からの情報開示手続きという制度が用意をされて、これらの貴重な資産が債権者に知られてしまうかもしれないのです。



第3者からの情報開示手続とは、裁判所が、銀行などの第3者に命じて、債務者の財産・資産情報を提供させる制度のことです。

昨年4月1日の民事執行法改正による財産開示手続をより効果的にするために用意された制度だといえます。

たとえ、財産開示手続をされても、債務者が自ら正直に財産・資産について開示するとは限らないために、債権者の申立てによって、債務者が資産を保持している情報を把握している関係者に、裁判所がその財産・資産の開示を明示する制度になります。

簡単に当たり前の様に表現をしましたが、我々の立場からすれば、極めて恐ろしい制度だといえるでしょう。

無い袖は振れないを根拠に、資産の予防的な保全状況を確保し、事業や社会的弱者を守るというのが我々の基本的な取り組みスキームになります。

ところが、この第3者からの情報取得手続により、資産の予防的な保全が確保できなくなるかもしれないのですから、これは大変な問題だといえます。

本当に、第3者からの情報取得手続きがどの程度影響があるのか、具体的に掘り下げて確認をしていきたいと思います。



まず、第3者からの情報取得手続の対象となる資産についてです。

これについては、全ての資産が対象となるわけではなく、不動産・預金口座・給与債権・上場株式・国債などが対象となるだけです。

何故か、重要な強制執行対象の資産である生命保険が、この対象となっていないのは驚きます。(有難いことです・・・。)


不動産については、未だ実施されておらず、本年6月15日までに開始予定となっています。

手続の着手については、財産開示手続を経ることが条件となっております。

情報取得先は、不動産謄本を管理している法務局であり、所在地や家屋番号を開示してもらうことにより、強制執行が容易になります。


預金口座については、財産開示手続は必要ではなく、いきなり第3者からの情報取得手続に着手することが可能になります。

情報取得先は、銀行や信金信組が対象となり、強制執行に必要な支店名・口座種類・口座番号・額などが開示されます。

今までも、文書送付嘱託や弁護士会照会により手続きとしては可能でしたが、実効性が伴わなかったため、これで効果を得る確実性が得られたということになります。


給与債権については、財産開示手続を経ることが、着手の条件となっております。

情報取得先は、市区町村,日本年金機構,公務員共済組合などになり、勤務先の有無,勤務先の氏名・名称,勤務先の住所などが開示されます。

給与債権の情報取得については、養育費などの扶養義務に係る請求権や人の生命もしくは身体の障害による損害賠償請求権が対象になります。

貸金や売掛金といった債権を回収するためには、勤務先の情報提供を求めることは出来ませんので、一安心といえるのでしょうか。


上場株式・国債についても、口座管理会社である証券会社などから、強制執行に必要な上場株式の有無,銘柄,数量,額などの情報が開示されます。


この第3者からの情報取得手続については、強制執行が開始できない場合や、功を奏しなかった場合に取り組めるという条件があります。

今まで、何ら債権回収の手続きを踏んでいなかったり、強制執行の努力をしていなかった場合などは、着手できないこととなっています。

また、これらの情報取得については、申立て債権者に開示されるのは当然のことですが、時を置いて債務者にも通知がなされますので、債権者は情報開示後にスムーズに強制執行する必要があるということになります。



財産開示手続と第3者からの情報取得手続について整理し考えてきました。

整理すればするほど、強制執行に効果的な制度だといえるでしょう。

したがって、強制執行をされる可能性のある債務者は、しっかりと知識を持って対応をしていく必要があります。

ただ、これで、資産の予防的保全が無意味になるわけではありません。

無い袖は振れないという考え方が、効果を得られないわけでもないことが、ご理解いただけると思います。

財産開示手続は、現在の財産・資産が対象であり、過去は対象に成りにくいというのが現実なのです。

したがって、早い段階で、しっかりと事業や社会的弱者を守るための資産の予防的保全を実施すればいいのです。

さらに、これらの手続きには債務名義が必要なのですから、裁判などの手続きをされた段階で、無い袖は振れない状況を再確認することも忘れないでください。

無い袖は振れないという原則を守れば、この民法改正は、対応が可能だということになるのでしょう。




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