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2014年07月29日

カメラ修理 OLYMPUS WIDE-SUPER(オリンパスワイドスーパー)

こんにちは。

きょうは、OLYMPUS WIDE-SUPER です。

本機は、1957(昭和32)年に発売された、レンズシャッター式、レンジファインダー(距離計連動式)カメラです。

WIDE-SUPERの名称は、35mmの広角レンズを組込み、高級型として高度のアマチュア向けに開発されたことからついたそうです。
レンズは、H.Zuiko-W 35mm/F2。
シャッターはSEIKOSHA-MXLで、B・1~1/500秒、M・F・X接点付きです。

シャッター粘り修理等を含めた、総合整備を行ないました。

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カメラ本体から鏡筒を外し、前玉レンズ群などを外したところ。

シャッター制御盤を押さえる、扇型の金具が珍しいです。

シャッターや絞り、ライトバリューリング類をクリーニング、グリスアップします。


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シャッターユニットの、シンクロ接点部分です。赤いレバーで、M、F、Xと切換えられます。

Mは、M級の閃光電球(バルブ)使用時に、FはF級使用時に切換えますが、どちらの電球も最大光量で発光するまでにそれぞれタイムラグがあることから、当時はこのような切換が必要でした。

今はフラッシュ(ストロボ)がほとんどですね。この場合はXにします。

赤いレバー右側に見えるスプリングは、以前にもご紹介した1/500秒用の補助スプリングですね。


RIMG1375

スローガバナも、クリーニングしてグリスアップします。

このあと、粘りのあるシャッター羽根を分解・洗浄しました。


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ファインダーのブライトフレームは、距離計に連動するパララックス補正がついています。

ハーフミラーのコート色により、金色に光って見えます。

ファインダー前面の窓周りは、接着剤が劣化したり汚れがひどかったので、全て外してクリーニングし付け直しました。とてもスッキリしました。


RIMG1389

今回の修理ご依頼品は、ブラックのWIDE-SUPERでした。

なかなか精悍な出で立ちです。 




次回の紹介機種は未定です。お楽しみに。



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当工房では、良いものを長く、愛着を持って大切にされるお客様の気持ちになり、真心をこめて修理致します。

              国産MFカメラ修理専門
              カメラ修理工房 ミノハ


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ブログをご覧の皆様へ

いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。

当ブログでは、お客様からご依頼のあったカメラ修理の様子を中心にご紹介しています。

カメラ修理は、ご自分で分解などなさらず是非プロの修理屋さんにご依頼くださいますよう、お願いいたします。

また、記事の内容や表現等に、工房主の不勉強、無知識による間違いなども多々あるかと思います。

そのようなことがございましたら、どうかご了承いただけますようよろしくお願いいたします。


ありがとうございました(^_^)


工房主


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2010年04月12日

カメラ修理 オリンパス WIDE-S(ワイドスーパー) 其の四(最終回)


こんにちは。

OLYMPUS WIDE-S の続きです。


DSC04596

ファインダー/距離計部分のクリーニングをします。

裏面の可動部も点検・清掃・グリスアップします。



DSC04597

このファインダーは距離計用のミラーが固定されたタイプで、ブライト枠用ルーペレンズ(中央の膨らんだレンズ)の手前で距離計用の補正レンズが左右に動く仕組みです。

普及タイプのファインダーでは補正レンズを省略し、距離計用ミラーを可動させるタイプのものも多いです。

長年の塵や汚れ、カビを取り除くと、ファインダーの視野は見違えるようにスッキリ。

撮影意欲が湧いてきます。



DSC04585

フィルム室などの遮光にはもともと毛糸が使われておりましたが、モルトへ交換という手もあります。

今回はお客様のご希望で、オリジナル通り毛糸を使用して交換しました。

整備が完了、シャッターも機能を回復し無事お客様の手元に戻りました。



続きは次回、紹介機種は未定です。




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2010年04月09日

カメラ修理 オリンパス WIDE-S(ワイドスーパー) 其の三


こんにちは。

OLYMPUS WIDE-S の続きです。



DSC04592

シャッター制御カムを外すと、シャッター機構のメカ部分が見えてきます。

上の方にはガバナが見えます。

「B」の不調は、制御カムに沿って部品が正しく動かないことが原因でした。

部品の調整と点検をします。



DSC04593

高速側のシャッターを選ぶとき、リングが回りにくい症状もあり、調整しています。


続きは次回と致します。




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2010年04月08日

カメラ修理 オリンパス WIDE-S(ワイドスーパー) 其の二

こんにちは。

OLYMPUS WIDE-S の続きです。


DSC04587

トップカバーを外した景色です。

レンジファインダー機独特のレイアウトですね。

ファインダー及び距離計部分が半分近くを占めています。



DSC04589

取り外したファインダー&距離計部分。

左側の丸窓が距離計用の像を取り込みます。

その奥のナナメの板がミラー。

左側の対物レンズと丸窓の間にあるのがブライトフレーム用の枠で、このカメラでは距離計の動きに合わせて可動する、パララックス自動補正機構が付いています。



DSC04590

前玉ユニットを外してみると・・・・・

ご覧のように鏡筒内の固定ねじが3本とも外れた状態でした。

これでは鏡筒がガタつくわけですね。

手前のレンズユニットが押さえになっていただけだったんですね。

古いカメラでは、想像以上のことが起こっていることもよくあります。



DSC04591

シャッター部分です。

上に乗っている切り抜かれたような円盤状の板は、シャッター制御カムと呼ばれるもので、スピードやガバナをコントロールする大切な部品です。

今回は、「B」不調でしたので、このカム板を外して点検しました。



続きは次回と致します。






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2010年04月07日

カメラ修理 オリンパス WIDE-S(ワイドスーパー) 其の一


こんにちは。

今日は、OLYMPUS WIDE-S をご紹介します。


BlogPaint

このカメラは、レンズシャッター式の「オリンパス ワイド(1955年)」の高級型(高度アマチュア用)として開発され、1957(昭和32)年に発売されました。

レンズはH.Zuiko-W 35mm/F2で、35mmの広角レンズ搭載が名前の由来です。




BlogPaint

レンズボード部のデザインも影響していますが、カメラ全幅が短く、コンパクトな印象を受けるカメラです。




c1181760

これはいいなと思ったのは、裏蓋中央に大きくレイアウトされた露出計算盤。

フィルム感度が記された内側の円盤を回してLV値を求めます。

季節や時間による補正値も記入されていて親切。

大きくて見やすく、何より記されているイラストがなんともいい味を出してますよね。




簡単に諸元を。

発   売 :1957(昭和32)年

型   式 :35mm判レンズシャッター距離計連動カメラ

レ ン ズ :H.Zuiko-W 35mm/F2

シャッター :SEIKOSHA-MXL  B,1~1/500秒

ファインダー:採光式ブライトフレーム、パララックス自動補正機構付き

シンクロ  :M・F・X接点

サ イ ズ :128×82×69mm

重   量 :650g

価   格 :¥37,000-(当時)



お客様のカメラは、50年を経過している割にはそれを感じさせない綺麗な外観でしたが、「鏡筒がたつき」、「B(バルブ)不調」など症状の修復と、整備一式を承りました。


続きは次回と致します。




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