>>PENTAX Sシリーズ

2020年07月28日

カメラ修理 ASAHI PENTAX SP(アサヒペンタックスSP)の総合整備

こんにちは。


今日は ASAHI PENTAX SP です。

SPは、1964(昭和39)年の発売。
SPとは、スポットマチックの略ですね。

先代のSVから大きく進化し、絞り込み測光のスポットマチック露出計を搭載。
レンズマウント脇のスイッチを入れると、レンズが絞り込まれてメーター指針が動きます。
指針を定点に合わせると適正露出。
自動絞り込みのSuper-Takumarレンズと組み合わせることで、シャッターを切ると絞りは開放に戻ります。

外観もスタイリッシュに変化し、その後の一眼レフのお手本となった感じですね。
この9年後には、開放測光の決定版、SPFが発売となります。


シャッター幕交換を含めた、総合整備を行いました。
その一部をご紹介します。

3C39D056-DA0D-44E1-9A48-7B37B6A9645D

92B61543-13EE-48C9-8D08-DEBC0501D3A7

一通り分解を進め、シャッター幕交換の為にミラーボックスまで降ろします。


1D502C10-7379-4CE1-94D5-C1CD9194051D

古い幕を外し、金具を利用して新しいシャッター幕を製作します。
 
SVでは、リボンまでシャッター幕と一体でしたが、SPは一般的なリボンを使用していますね。

シャッター幕の張り替えは神経を使う作業ですが、丁寧に要領良く進めれば、決して難しい作業ではありません。


20D43CE5-084E-407B-86E0-6F7C28F531FB

張り替えて、小気味の良いシャッター音が聞こえると、嬉しくなります。


717C9E99-22BC-45D2-8137-ADD4DC894CD7

当時のペンタックス系のウイークポイントのひとつ。

プリズムとスクリーンの接合部でボロボロに劣化したモルトが、ファインダーの内部を汚してしまいます。


0E76F6B4-FF1F-4354-8318-9420CB997921

クリーニングしてモルト張替え。

これまでの垢を落として、気持ちの良いファインダーに生まれ変わりました。


B9D02DF8-BD1E-4D78-87DC-3BCAE9420F69

半世紀前のカメラとは思えません。

見掛けることが少ないブラックのSPですが、精悍で格好イイですね!




次回機種は未定です。お楽しみに!

*********************************************

当工房では、良いものを長く、愛着を持って大切にされるお客様の気持ちになり、真心をこめて修理致します。

              国産MFカメラ修理専門
              カメラ修理工房 ミノハ


*********************************************


ブログをご覧の皆様へ

いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。

当ブログでは、お客様からご依頼のあったカメラ修理の様子を中心にご紹介しています。

カメラ修理は、ご自分で分解などなさらず是非プロの修理屋さんにご依頼くださいますよう、お願いいたします。

また、記事の内容や表現等に、工房主の不勉強、無知識による間違いなども多々あるかと思います。

そのようなことがございましたら、どうかご了承いただけますようよろしくお願いいたします。


ありがとうございました(^_^)

 

camera_repair_minoha at 22:55|PermalinkComments(0)

2014年09月29日

カメラ修理 ASAHI PENTAX SV(アサヒペンタックスSV)

こんにちは。

きょうは、ASAHI PENTAX SV です。

SVは1962(昭和37)年の発売。私と同い年です(汗)

S3にセルフタイマーを取付けたモデルとして登場しました。

巻戻しノブ下にタイマーダイヤルが装備されています。

正面の「V」はドイツ語「voraufwerk(読みがわかりません)」の頭文字だそうで。

本機種から、フィルムカウンターが自動復元式になりました。



シャッター幕交換、プリズム交換を含む、総合整備一式を行ないました。

RIMG1743

幕が経年で硬化、幕速が出ず、ミラーが戻らない状態でした。

おや?先幕の金具がオリジナルではありませんね。

今回の交換で、オリジナルに戻しておきました。


RIMG1744

とりあえずは幕交換から始めます。

手前のふたつは交換用に製作した新しいシャッター幕です。


RIMG1745

手前は外した先幕。しなやかなシャッター幕も経年でこのように変形、硬化してしまいます。


RIMG1750

こちらはスローガバナの内部。見た目は結構きれいですね。

しかし全て分解して清掃、注油します。


RIMG1751

こちらはラチェットギヤ。動きがぎこちない、といいますか、きちんとラチェット機能を果たしていません。


RIMG1754

ギヤ内部と、コマの汚れが原因でした。見えないところもきちんと整備しないといけません。


RIMG1755

フィルムガイドレールに腐食が見られたので、磨きをかけました。

ただ、あまり磨きすぎてもいけません。フランジバックが狂ってしまいますから。


RIMG1756

中も外も磨かれて、美しくなったSVです。




次回の紹介機種は未定です。お楽しみに。



*********************************************

当工房では、良いものを長く、愛着を持って大切にされるお客様の気持ちになり、真心をこめて修理致します。

              国産MFカメラ修理専門
              カメラ修理工房 ミノハ


*********************************************


ブログをご覧の皆様へ

いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。

当ブログでは、お客様からご依頼のあったカメラ修理の様子を中心にご紹介しています。

カメラ修理は、ご自分で分解などなさらず是非プロの修理屋さんにご依頼くださいますよう、お願いいたします。

また、記事の内容や表現等に、工房主の不勉強、無知識による間違いなども多々あるかと思います。

そのようなことがございましたら、どうかご了承いただけますようよろしくお願いいたします。


ありがとうございました(^_^)


工房主


camera_repair_minoha at 16:26|PermalinkComments(0)

2013年12月18日

カメラ修理 ASAHI PENTAX SV(アサヒペンタックスSV)

こんにちは。

前回、2~3週に一度は更新を・・・とか書いておきながら、2ヶ月も過ぎてしまいました(汗)

それほどムチャクチャ忙しかった訳ではないのですが、時間が過ぎるのが早いというか、ついつい後回しになってしまい・・・

いつの間にか巷はクリスマス気分でいっぱいですね。「もう幾つ寝ると・・・」の唄も聞こえてきます。



さて、今日は、ASAHI PENTAX SV です。

この時代の機種にはあえて「ASAHI」と付けるようにしています。旭光学(Asahi Optical Co.)、「AOCO」マークも懐かしいですね。これらは1979(昭和54)年発売のMEスーパーから使われなくなってしまいました。

SVは、修理教室時代に卒業試験として幕交換をした、懐かしい機種でもあります。

1962(昭和37)年の発売、前年のS3(完全自動絞り機構搭載)にセルフタイマーを取り付け、フィルムカウンターを自動復元式とした機種です。



シャッター幕交換を含めた、総合整備一式を行ないました。

幕交換のため、前板、及びミラーボックスを外します。

RIMG0269

ミラーボックスの下にあるSVのスローガバナ、なかなか機構がシンプルです。

バラして整備します。



RIMG0271

上の丸まった幕は外した古い先幕。劣化しひび割れをおこしていました。

下は新しく切り出した幕で、幕端の金具は丁寧に外したものを再利用します。



RIMG0272

金具が付き、先幕/後幕が揃いました。

幕の取り付け自体はそれほど難しい事ではないのですが、私の場合、はじめる前に気合を入れます(笑)

結構、集中力が必要なのです。



RIMG0274

きれいに張れたかな?ミラーボックスを取り付けてチェック。

どうしても金具が垂直にならなかったり、幕が凸凹してしまったり、納得できずに張り直すこともあります。

今回もうまく行きました!



RIMG0275

カメラ底部のリンク機構などは、機械式カメラの隠れた魅力のひとつ。

シンプルだけどカッコイイです。



RIMG0282

SVは、マウント周りのエプロン部分が直線的で、よりクラシカルな雰囲気を醸し出しています。

露出計こそ付いていませんが、まだまだ現役で頑張れそうです。






次回も、幕交換記事の予定です。お楽しみに。



*********************************************

当工房では、良いものを長く、愛着を持って大切にされるお客様の気持ちになり、真心をこめて修理致します。

              国産MFカメラ修理専門
              カメラ修理工房 ミノハ


*********************************************


ブログをご覧の皆様へ

いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。

当ブログでは、お客様からご依頼のあったカメラ修理の様子を中心にご紹介しています。

カメラ修理は、ご自分で分解などなさらず是非プロの修理屋さんにご依頼くださいますよう、お願いいたします。

また、記事の内容や表現等に、工房主の不勉強、無知識による間違いなども多々あるかと思います。

そのようなことがございましたら、どうかご了承いただけますようよろしくお願いいたします。


ありがとうございました(^_^)


工房主


camera_repair_minoha at 22:01|PermalinkComments(2)

2011年08月24日

カメラ修理 アサヒペンタックスES

こんにちは。

きょうは、ASAHI PENTAX ES です。

ESは何度目かのご紹介となります。

ペンタックスSシリーズの一員で、SP(スポットマチック)のE(エレクトロ)版という名称です。

RIMG0155


発売は1971(昭和46)年、電子シャッターを搭載した、世界初の開放測光・絞り優先式EE一眼レフです。

レンズマウント:M42

シャッター:機械(電子)式布幕横走り B・1~1/1000秒(マニュアル時1/60~1/1000秒)

露出:CdSによるTTL平均測光 マニュアル/絞り優先EE

電源:4G13(4SR44)

価格:85,000円(50ミリF1.4付、当時)



お客様からのご依頼は、プリズム交換と全般整備一式でした。


RIMG0156

トップカバーを外したところ。

シャッターダイヤル周りにアナログ然とした電気基板が見えます。



RIMG0157

RIMG0158

プリズムを降ろすと、ご覧のようにパンくずのようなスポンジ片が散乱します。

各部丁寧にクリーニング。



RIMG0160

露出メーターごとプリズム枠を外し、分解・クリーニングします。



RIMG0163

この周りのクリーニング方法はSシリーズ共通で、面倒ですが丁寧に行ないます。

手を抜くと、組んだ後に泣くことになりますから・・・・・



RIMG0179

RIMG0180

左が、蒸着面が腐食したプリズム。黒い帯が視野を横切っています。

右は交換用の中古良品プリズム。

最近、腐食の無い良品中古を探すのも、ちょっと難しくなってきたように思います。



RIMG0181

クリーンアップしたら再組み立て。

適正露出調整、シャッタースピード点検・調整を行ないます。

幸いこの機体は今のところ電子回路に不調はなく、調整でほぼ元の性能に復元できました。

Sシリーズでよく起こる、ミラーアップ対策も施しておきます。



RIMG0182

美しくよみがえったES。

これからも活躍してほしいです。



次回機種は未定です。お楽しみに。







*********************************************

当工房では、良いものを長く、愛着を持って大切にされるお客様の気持ちになり、真心をこめて修理致します。

              国産MFカメラ修理専門
              カメラ修理工房 ミノハ


*********************************************


ブログをご覧の皆様へ

いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。

当ブログでは、カメラ修理の様子を中心にご紹介しています。

これは、皆様に代わって内部の構造などをご紹介するという趣旨でありまして、カメラの分解をお勧めしているわけではございません

また、当ブログの記事を参考に分解等された場合の不具合等につきましては、一切責任を負いかねますのであらかじめご了承お願いいたします。

カメラの修理は、是非プロの修理屋さんにご依頼くださいますよう、よろしくお願いいたします。

ありがとうございました(^_^)


工房主





camera_repair_minoha at 11:01|PermalinkComments(0)

2011年02月21日

カメラ修理 アサヒペンタックスSPF(後)

こんにちは。


さて ASAHI PENTAX SPF の続きです。

DSCN0944

DSCN0950

例により・・・です。

メーター、スクリーン、枠、コンデンサと、それぞれ念入りにクリーニング。



DSCN0945

ミラーボックスを外します。

見るからに整備のし甲斐がありそうですね。



DSCN0948

外したスローガバナ。

こいつも整備しますが、何だか金色の部品が、「肉食魚」系、または「恐竜の頭」に見えてきました・・・・・疲れているのかなぁ。



DSCN0949

シャッター幕も白カビに覆われていましたが、なんとか目立たない程度にクリーニングできました。



DSCN0951

整備済みのミラーボックス。

綺麗になったでしょ。



DSCN0969

各部の整備により甦ったSPFです。

スローシャッターでミラーアップのまま戻らない症状は、幾つもの要因が重なって起こっていました。

今回も、大変勉強になりました(^_^)




DSCN0967

ありがとうございました。





次回機種は未定です。お楽しみに。








*********************************************

当工房では、良いものを長く、愛着を持って大切にされるお客様の気持ちになり、真心をこめて修理致します。

              国産MFカメラ修理専門
              カメラ修理工房 ミノハ


*********************************************

ブログをご覧の皆様へ

いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。

当ブログでは、カメラ修理の様子を中心にご紹介しています。

これは、皆様に代わって内部の構造などをご紹介するという趣旨でありまして、カメラの分解をお勧めしているわけではございません

また、当ブログの記事を参考に分解等された場合の不具合等につきましては、一切責任を負いかねますのであらかじめご了承お願いいたします。

カメラの修理は、是非プロの修理屋さんにご依頼くださいますよう、よろしくお願いいたします。

ありがとうございました(^_^)


工房主


camera_repair_minoha at 11:58|PermalinkComments(0)