尾久 守侑って、読めない

詩を書いています。 第一詩集「国境とJK」(思潮社)絶賛発売中! http://amzn.asia/2gfT7A7

こんなことを告白してしまうと、いつもすべての物事を斜に構えて見ているこじらせ男子のくせに、ふーん、意外なところもあるんだね、とお姉さん的目線で言われてしまう気がするのですが、ぼくは実は結構カラオケが好きです。

カラオケ、というのはもう説明する必要もないことかもしれませんが、稀にカラオケのないアマゾンの奥地の部族民として21歳まで過ごしたものの、広い世界に学びたいと一念発起して日本の地を踏んだ青年が原宿のネットカフェからこのブログをみている可能性があるので一応説明しておきますが、カラオケはすでに世に出回っているミュージックの伴奏だけのこと、またはその再生装置、またはその再生装置が設置された施設で伴奏に合わせて歌を歌うことを意味しています。

現代日本に住む皆さんのうち、少なくともぼくと同い年くらいの人は、高校生のころは毎日行ってたけど、大学に入ってからだんだん行かなくなって、いまは何かの打ち上げとかの時くらいにしか行かないかな〜

みたいな感想を持たれる方がいるのではないでしょうか。

ぼくは大学生になるまでカラオケ店という施設に入ったことは一度もありませんでした。

というのも今まで何度も申し上げている通り、ぼくの出身高校は大変校則が厳しく、久我山四悪 1)といって、学校帰りに繁華街に立ち寄ってカラオケをするなどという行為は、女子と並んで歩くことの次くらいに重罪で、テスト最終日などのいかにも高校生が繁華街に繰り出しそうなタイミングには、かならず渋谷駅や下北沢駅、吉祥寺駅といった拠点の駅には先に先生たちが待ち構えており、油断してそういった繁華街に繰り出した生徒は先生に捕まって、その後の姿をみた人は誰もいませんでした。

そのようにリスキーな行為であれば、ぼくのようにそもそもカラオケなどはせずにチャイムと共に帰宅してマドンナ古文という本で受験勉強でもするか、せいぜい人目を忍んで浜田山駅とか新代田駅とかそういう微妙な駅のまわりで輪投げでもして遊んでいればいいのに、友人たちはそのリスクをおかして果敢に下北沢のカラオケボックスを攻めたり、井の頭公園でデート行為という恐ろしい行動に及んだりしていました。

しかし、一方でそういった友人たちが羨ましくもあり、自分も大学受験に成功した暁には、下北沢のカラオケボックスを攻めたり、井の頭公園でデート行為をするぞ!と強く思っておりました。

ところが自分は東京の大学ではなく、横浜の端の端の端の端の端の端の端の端の端の端の端にある大学校に進学したので、下北沢のカラオケボックスを攻めたり、井の頭公園でデート行為をすることは当然できず、金沢文庫駅という駅の近くの「モコモコ」という謎のカラオケボックスを攻めたり、新杉田駅という駅のフードコートでデート行為に及ぶなどしていました。

まあただ、念願叶ってカラオケをすることはできたわけですが、これがもう楽しかった。

まず、自分の歌をまわりのみんなが聴いているという状況が、もしかして俺って歌手?ミュージックステーション?というような気分を盛り立て、マイクもアーティスト風に持つようになるなど、激しく自己愛が刺激されました。

そして意外と自分の好きな歌を歌うのって楽しいということに気がつき、高校生のころひたすら聴いていた曲を毎日のようにカラオケ店で歌いまくるようになりました。

ところが、少しして、まわりの視線が少しおかしいことにも気づきました。

友人が歌っているときは、楽しそうにタンバリンを叩いたり、掛け声のようなものをかけたりして楽しそうな笑顔を振りまいていた女子たちが、自分が歌を歌い始めると急にカルピスソーダの補填のために席を立ったり、「えーめっちゃねむーい」と言ってその場で就眠したりすることに気がついたのです。

この差は一体何の差なのか、きっと歌唱力ではないだろう、としばし熟考して気づいたのは、自分の曲のセレクションに問題があるのではないかということでした。

自分は高校時代、井上陽水先輩や小田和正先輩、大瀧詠一先輩、山下達郎&竹内まりや夫妻先輩の曲などを中心に聴いており、とても素晴らしい曲たちであることは間違いないのですが、これは18.19歳の同世代のなかで盛り上がるには非常にタイミングの難しい曲だったのです。

どうりで合同コンパニーなどに行って「今日は楽しかったね!またカラオケ行きたいね〜」などというメールを女子に送っても何の返答もないわけです。きっと「行きたくないわボケが」とdocomoのガラケーの前で吐き捨て、mixiに制服ディズニーの写真やゼミ合宿in山中湖の写真を載せたり、ウィルコムでテニスサークルのイケメンかなにかと無料通話をしていたのでしょう。とんだ大間違いでした。

しかし、そこからぼくの逆襲ははじまりました。TSUTAYAに行ってBUMP OF CHICKENや、RADWIMPSといった当時19歳くらいのなかでカラオケで歌われることの多かったグループのアルバムを全て借りて、激しく毎日聴きまくり、同時に授業の合間に金沢文庫駅近くの「モコモコ」という謎のカラオケ店に通い詰めながら、英語の早口の歌の練習をし続けました。

結果的に、合同コンパニーなどに行って「今日は楽しかったね!またカラオケ行きたいね〜」などというメールを女子に送っても、変わらず返信が来ることはなかったのですが、カラオケ自体を盛り上げるという社会適応をぼくはそのときゲットしたのです。

時は流れて2017年、つまり今ですが、それなりの空気を読んで打ち上げ行為などのときに星野源を歌ったり、見てないからよく知らないけどララランドとかいう映画の曲に「流行ってるもんね〜」といいながらタンバリンを叩くくらいの適応はできると思うのですが、最近困っているのが、AKB48というグループの曲を入れる輩です。

ぼくはなんというか48グループ、あるいは乃木坂46、欅坂46といったグループの曲に詳しすぎるので、うっかり誰かが入れていると歌いたくなってしまうわけです。

しかも、ポニシュやヘビロテ、KFC(恋するフォーチュンクッキー)くらいなら、一般人でも歌えるのでそこで歌ったりしても違和感はないのですが、稀に劇場公演の曲とかに詳しい人間が中途半端にヲタクぶって「ガラスのI LOVE YOU」や「虫のバラード」程度の一般にはマニアックだが、ヲタにとっては常識レベルの曲を入れると、特に飲酒で酩酊していたりした場合、その辺の判別がつかなくなって普通に歌い出してしまうという事故が発生してしまうのです。

泥酔していたりするとなお悪く、その辺の空気の微妙な変化にも気がつかず「りえりえりえりえりえちゃーん!」「タイガー!ファイアー!サイバー!」といったヲタクの合いの手を入れて周囲をドン引きさせてしまい、合同コンパニーなどに行って「今日は楽しかったね!またカラオケ行きたいね〜」などというLINEをうさまるのスタンプ付きで女子に送っても、相変わらず1通も返信は返ってこない。

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2) 

国境とJK」このあいだ池袋のジュンク堂に行ったら2冊売っていて小躍りしたのですが、翌日行った人が見たら1冊になっていたそうです。まだお読みでない方はどんどん買って読んでください!では。 

References
1)  久我山4悪:正確にはなんだったか忘れました、飲酒とか暴力とかそんな感じだった気がします。
2)  金沢八景のBIG ECHO正面入り口

今日は引越し日です。

というと、「4月からヨハネスブルグの病院に行かれてしまうっていう噂は本当だったんですね。尊敬します。ご多幸を!」とか「ご結婚おめでとうございます!!!先輩と九州一周したの懐かしいですw 新居にも遊びにいかせてくださいね!」とか「おー、スタジオの引越し大変だよな。機材も新しくなるの?」とか次々に意味不明の自分と全く関係のないコメントがFacebookに投稿されて心が壊れてしまう可能性があるので先に言っておきますが、今日は「病棟の」引越し日です。

このあいだふと気がついたら、今まで何もなかったと認識していた場所に突如立派な新病棟が建立されていて、これからはそこで働くことになるのだそうです。

しかしながら、自分は3月で異動になる都合上、この新病棟で働くのは数日だけで、引越し作業をするスタッフの皆さんの姿をみながら、脳内で海援隊の「贈る言葉」が流れたり、オフコースの「さよなら」「言葉にできない」「秋の気配」「愛を止めないで」「眠れぬ夜」「哀しいくらい」「YES-NO」「一億の夜を越えて」「生まれ来る子供たちのために」などの名曲が、途中からはもうあまり今の状況と関係なく流れ続けたりしています。

そんなわけで、3月は皆さん、新生活に向けて準備をしたりして、少し華やいだ気分の人も多いのではないでしょうか。

などと軽率なことを言ってしまうと、「華やいでいない気分の人に謝ってください!こっちは年度末進行で忙しいんです!」と甲高い声で叫んで不謹慎みたいな雰囲気を醸成してくる方がいるかもしれません。

そういった方はまず、大きく深呼吸をして伸びをしてみてください。そう、もっとです。もっと伸びてください。もっと伸びてください。そこでストップして!どうですか、ストレッチパワーがたまってきたんじゃないですか?

と何の話をしているのかわからなくなってきたのですが、引越しでもなんでも、やっぱり環境が変わるというのは僕は苦手で、なにか力がみなぎるような、希望に満ちた生活、俺たちってサイコーの仲間、12期生の絆はforever。そういう気分が盛り上がってきて、「おりゃああああ!」と興奮しながら毎日過ごしている感じになってしまうので、必然的に夏くらいには全てのやる気をなくしてaikoのアルバムを聴きながら休日はずっと部屋で寝ている、納涼会は欠席でお願いします、みたいなサイクルになってしまいがちなのです。

なので、4月からまた新しい人間たちと新しい生活をはじめることになるのですが、必要以上に興奮しないようにしようと、いまからaikoの曲を聴いて新生活に備えているのですが、もうこれ自体があかん気がしてきて、最近は山崎あおいばかり聴いています。あ、今更ストレッチパワーがたまってきました!

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第1詩集「国境とJK」みなさんぜひとも読んでください!詩とかよくわからんしいいわ、というそこのあなたにこそぜひ読んでいただければ嬉しくて嬉しくて言葉にできないと思います。

では。 

例えばそこらへんの道を歩いていたとして、急に外人のお兄さんがずんずん近づいてきて、なんやらかんやら尋ねられることが、まあたまにだけれどあるわけで、そういう時に、OhとかAhとかYeahとかAhaとか小粋な相槌をうって、その後に尋ねられたことに対して的確に流暢な英語を駆使して返答する。非常にかっこいいですよね。

ところが僕にはこれができません。

高校生のときは帰国子女でもない限り、まわりはみんな英語が話せなかったので、必然的に英語力=英語のテストの点数で、それも英語のテストはリーディングだけだったので、

(1)次の文章を読んで以下の問いに答えなさい。
「むかーしむかしあるところにおじいさんと年の差結婚をしたお姉さんがいました。おじいさんは山へ芝刈りに、お姉さんは丸の内にオフィスがあったので早朝に出勤し、同僚とランチをし、たまに外資系の人と合コンをしたり、なにもない日はただ一人のアパートに帰って猫とずっと遊んでいました。そう、おじいさんとお姉さんは一緒に住んではいなかったのです。」

みたいな文章が英語で書かれていて、それを読んでなるほどなるほど、と思いながらそれ以降に続く問いにバシバシ答えていけば英語の偏差値が86くらいになって、「きゃああああ!みてみて、オギュウくん偏差値86だって!カッコイイ!」「星野源の1兆倍ステキ!!!」「ミュージックステーションにでてそう!」「あああああああああああああああああ」

といった黄色い声援をもらう妄想を何度も何度もしていたのですが、実際はそんなことは起こらず、まず偏差値が86もありませんでした。

しかし、自分はこういった英語のリーディングのテストが、同じクラスの帰国子女だったモッチーという爽やかな青年の次に得意だったので、自分は著しく英語ができるんだとずっと思ったまま大学に進学することになりました。

しかし、僕の出身大学は、僕の入学の前年度までストロナク先生というアメリカ人が学長をしていたため、その名残で入学時にTOEFLとかいう、いかにも真の英語力を計っていそうなテストを受けなければならず、ここで自分の化けの皮はずるりと剥がれ、「お、おまえは!」「出たゾォ!怪人二十面相だァ!」「きゃあああああ」「フハハハハハハ、小林くん、もう遅(おそ)いよ、きみがそこでいくらあがいたって、その扉(とびら)は一生(いっしょう)開(ひら)きやしない。そこで君(きみ)は死(し)んでいくのだ」小林少年(しょうねん)の目(め)にキラリと涙(なみだ)が光(ひか)りました。「こんなとき、明智先生(あけちせんせい)がいてくれれば……」

という子どものころ読んだ少年探偵団が登場してしまうくらい、化けの皮が剥がれて、英語のできない落伍者のレッテルを貼られ、そこでキラリと涙をこぼして英語の勉強に邁進するはずでした。

ところが、ここにはとんでもない大誤算がありました。いかにも真の英語力を問うてそうなこのTOEFLというテストは、実際のところ、たんにリーディング、文法、リスニングという非常に限局的な英語力を問うているにすぎず、ほぼ受験英語でカバー可能だったのです。

結果、自分はここでも無駄に良い点数を叩き出し、1,2限のPE(Practical English)という授業を全て免除になったのです。

どんなにか得意の絶頂になったことでしょう。自分は英語ができる天才のイケメンだ、英語のできる国際派の爽やか大学生だ。そうだ!いいことを思いついたぞ!将来は国際少年探偵団に入ろう!国際少年探偵団のKobayashiです!などと意味不明のことを考えて、目を輝かせて立ち上がり、朝日にむかって「あああああああああ」と叫んだりしていました。

しかし、ここで調子に乗って以降、たいへん恥ずかしい話なのですが、自分は英語の勉強をすることは二度とありませんでした。これが間違いでした。

そもそもこのPEという授業を免除になったところから間違いでした。この授業は学部混合、男女混合のゼミみたいなリア充感のある授業で、PEのクラスでバーベキューにいった様子がmixiにアップされたり、「俺いまPEで一緒の国際教養学部の子が好きになってさ……」などという相談を受けるたびに、この青春のビッグウェーブに乗れなかった自分から逃避するため、脳内の国際少年探偵団の事務所に逃げ込んで、日々インターポールと協力して、難事件を脳内で解決し続けました。

そして気が付いたら自分は医者になっていました。

論文などはリーディング能力のみあれば読めてしまうのであまり問題はなかったのですが、問題となったのはスピーキングというものでした。

スピーキング、つまり会話です。もういい年になってきて、同い年の人たちも海外支社で働いたり国際学会に行ったりして英語をすらすら話しているのに、自分だけ話せない、そんなはずはない、そう思いました。

しかし、いざ必要に迫られたとき、例えば外人の兄ちゃんが学会場などでズンズン自分にむかって歩いてきて、気さくに話しかけてきたときも「Ah Ah yes no no no Ah  no yes I am Uh yes yes 」と3単語くらいしか発語できず、自分をMedical Doctorと聞いて色々な議論をしようと思ってきた兄ちゃんたちも愕然として、なにか未開の森の部族かなにかと出会ったかのような張り詰めた顔をして去って行ってしまうのです。

この様子をたまに他科に依頼を受けて行く病棟の、笑顔の素敵な看護助手のユキさんがみたらどう思うでしょうか?

どないやねん、

そう思うに決まっています。そこに呼吸器内科かなにかのレジデントが颯爽と現れて流暢な英語ですらすら喋ったらどうでしょうか、

もうどこにも立場がないじゃないですか!

そう発作的に思った自分は、DMM英会話というSkypeで外人と話せるツールにアクセスして、英語の稽古をすることにしました。

さっそく無料お試しレッスンに登録したところ、まず対話をする相手の国と人が選べる場面がでてきました。

噂によると東欧系の美人と話ができて楽しいという話だったのでとても期待していたのですが、体験版ではフィリピン人の講師しか選択肢になかったので、ミルチンという爽やか系のお兄さんを選択したところ、時間になるとポロポロポロポロ、と突如電話音がなって、ミルチンが画面に出現、いきなり英語で話しかけてくるものだから焦ってAh Ah yes no no no Ah  no yes I am Uh yes yesを繰り返して発狂し、気がついたときにはミルチンが画面のむこうでニヤニヤ笑っていて悲しかったよ。負けないで。

shounenntanteidan
1) 僕の頃はもっと最新版があった気がする。
 

4月から新生活がはじまるみなさん!!!「国境とJK」はもう読みましたか?
3月のうちに絶賛爆売れ中の「国境とJK」を読んで、ハルキストに差をつけよう!

では。 


Reference 1) 少年探偵団 江戸川乱歩・少年探偵2 (ポプラ文庫クラシック)  

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